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廊下のむし探検 ハチ、甲虫など

廊下のむし探検 第629弾

昨日の続きで、一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。



今日の最初はこの虫です。先日、これとそっくりなハチを私はコマユバチだとしていたら、オオハリアリ♂だと教えていただきショックを受けました。今回のは少し色合いが違いますが、よく似た形です。きっと、オオハリアリに近い種かなと思って、一応、採集してきました。ハチとアリは見かけ上の胸部と腹部をつなぐ腹柄節があるかどうかで分かります。一応、撮影しておこうと思って顕微鏡で撮影してみました。



ところが、腹柄節がありません。これはアリではなくて、ハチの方だったのです。口から飛び出しているのは大顎です。ついでに顔もアップしてみました。



すごく長い大顎ですね。今は、科の検索をしようかどうか迷っています。なんせ、体長3.2mmの小さなハチだったので・・・。

追記2015/06/30:今朝、「絵解きで調べる昆虫」の中の検索表を使って科の検索をしてみました。結果、コマユバチ科になりました。主な決め手は、①細腰であること、②後脚転節が2節からなること、③翅脈からの判定です。翅脈の写真を載せます。





上が前翅、下が後翅です。翅脈の名称は次の論文に準じています。

C. van Achterberg, "A revision of the subfamily Zelinae Auct. (Hymenoptera, Braconidae)", Tijdschrift voor entomologie 122, 241 (1979). (ここからダウンロードできます)

準じてというのは、CU→Cu、SC→Sc、1-M、2-M、・・・→Mなどに変えているからです。どうもこう書いたほうが親しみやすくって・・・。SRと書いたのは、
sectio radiiの略で、径脈(R脈)の分枝を意味しています。ヒメバチ科との最大の違いは前翅のm-cu横脈が1本しかないことです。この間みたいに、これはコマユではなくてアリですよなんてことにならないとよいのですけど・・・





チャタテで今頃いるのは、ウロコチャタテ(上)とカバイロチャタテ(下)ですね。



クサカゲロウでは、ヤマトクサカゲロウがいました。



次は甲虫です。これはナガフトヒゲナガゾウムシですね。これまで何回か見ています。



またコメツキダマシみたいですね。たぶん、チャイロコメツキダマシ属ではないかと思います。



これはいつもいるアカハラクロコメツキでしょう。



それにフナガタクチキムシ



ナガチャコガネ



似た種が多いのではっきりしません。たぶん、ヒメオビオオキノコかなと思ったのですが、どうでしょう。



それに昨年教えていただいたエノキハムシです。

最後はクモです。



これはキンイロエビグモでしょう。



それにウデブトハエトリですね。



最後のこのハエトリがよく分かりません。ネットを見ていると、ネコハエトリの幼体かなとも思うのですが・・・。
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廊下のむし探検 変わった蛾がいた

廊下のむし探検 第628弾

今日は夕方まで外出していたので、マンションの廊下を歩いたのは4時半を過ぎたころでした。気温は低いし、天気は悪いし、あまり虫には期待していなかったのですが、それでもそこそこ見ることが出来ました。





今日はこんな変わった蛾がいました。脚を広げた止まり方からはイラガを連想したので、図鑑を見てみたのですが載っていません。それではシャチホコガかなと思ったのですが、こちらもいません。結局、図鑑をぱらぱらめくっていたら見つかりました。実に、コウモリガ科でした。たぶん、シロテンコウモリという種です。私は初めて見ました。「標準図鑑」を見ると、この蛾、北海道から九州まで産するのですが、日本ではさほど多くはいないようです。もともとインドと日本で見つかり、インドのダージリングをタイプ産地、日本産は亜種とされてきたのですが、最近の論文では亜種区分がされていなかったりと分類上はやや不確定です。

ところで、コウモリガは英語でghost-mothと呼ぶようです。つまり、幽霊の蛾です。なぜなのかはWikipediaに載っていました。コウモリガの仲間は数匹の♂が集まって、♀を引き寄せるためにディスプレイ飛行をし、ゆっくり舞い上がったり降りたりするそうです。その様子を幽霊に例えたのですね。

次の論文にはコウモリガの交尾や産卵の様子が載っていました。

松沢 寛他、「コウモリガの交尾・産卵について」、日本応用動物昆虫学会誌 7, 153 (1963). (ここからダウンロード可能)

♂は夕方、通常は1,2頭から数頭で飛翔を始めますが、多い時には百数十頭になることもあるようです。♀は少し遅れて現れ、それを見つけた♂が追いかけて交尾をします。交尾は24時間も行われ、交尾後、♀は直ちに産卵を始めるようです。この時、飛びながら卵をばらばら落として産卵することもあったり、また、地面を這いながら産卵することもあるそうです。その卵の数や、数千から1万個にもなるそうです。幼虫は果樹や樹木を広範囲に加害するので、害虫として知られています。



次はシャチホコガです。翅の中央が黒っぽいので、たぶん、オオアオシャチホコですね。そうなら「廊下のむし探検」初登場です。



それにオオエグリシャチホコです。こちらはよく見る蛾です。



オオベニヘリコケガですが、壁に止まっていたので、綺麗に撮れました。



キシタバがいました。コシロシタバですね。結構、大きな蛾なのですが、近寄ってもまったく恐怖感がありませんでした。本当に蛾恐怖症を克服したのかも。



これはクロハナコヤガです。こちらは小さな蛾です。地下駐車場の天井に止まっていたので、手を伸ばして接写で写しました。



色が褪せているのでよく分かりませんが、たぶん、ホンドコブヒゲアツバではないかと思います。



撮影した時は真っ白に見えたので、なんだか分からなかったのですが、よく見ると黄色の筋が何本か入っています。たぶん、キナミシロヒメシャクではないかと思います。



そして、これはウスキクロテンヒメシャクですね。



それにアカフツヅリガかな。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第627弾

朝の続きで、二日前に見た蛾です。この日はいろいろな蛾がいました。



まず最初はこの蛾からです。床で歩いてはちょっと飛び、歩いてはちょっと飛び、なかなか止まってくれません。結局、一瞬止まったところを撮りました。家に戻ってきて調べてみると、いつも見ているスカシコケガでした。



この日はヒトリガ科の蛾が結構いましたね。これはアカヒトリです。よく見る蛾なのですが、「廊下のむし探検」では初登場のようです。



アカスジシロコケガです。以前、♂の性標を調べようと頑張ったことがありましたね。これもその♂です。



写真で種を決めるのが難しい蛾です。ヨツボシホソバとマエグロホソバという蛾がいて、♂はすぐに分かるのですが、♀はほとんど同じ模様なので見ただけではほとんど区別がつきません。これについても以前、調べたことがありました。翅脈が違っていたのですね。この写真の蛾も翅脈が少し見えるので調べてみました。



M2脈というのがなさそうなのでマエグロホソバかなと思うのですが、はっきりとはしません。やはり写真だと難しいですね。



次もヒトリガ科でクビワウスグロホソバです。



次からはシャクガ科です。これはコヨツメアオシャクです。綺麗な蛾ですね。



翅がだいぶぼろぼろなのですが、アシブトチズモンアオシャクです。



小さな蛾です。ウスキヒメシャクでしょうね。



それにチャノウンモンエダシャク



次はヤガ科で、コウンモンクチバです。この後は小さな蛾ばかりでした。



これは初めてだったのですが、マルハキバガ科のカレハヒメマルハキバガのようです。



ハマキガであることはすぐに分かりますが、似た種が多くてどれだか決められません。アオダモヒメハマキが一番似ている感じですが・・・。



これも似た種がいていつも迷う種です。たぶん、コゲチャオオフサキバガかなと思いますが、はっきりとは分かりません。



最後はエグリノメイガですね。これも「廊下のむし探検」初登場です。



ついでに前回出すのを忘れていたクモも出しておきます。小さいので幼体だと思いますが、模様からヤマオニグモかなと思うのですが、どうでしょう。

廊下のむし探検 蛾以外の虫

廊下のむし探検 第626弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果ですが、昨日は天気が悪くて行かなかったので、名前調べがたまっていたのはこれだけになりました。ふー。まず、蛾以外の虫を出すことにします。



今日はまずこの虫からです。床に見える帯状の出っ張りの幅が3mmなので、それと比較してみて下さい。そんなには大きくはないですが、拡大してみると、結構綺麗です。似た種が多いのでなんとも言えないのですが、形や模様の位置、大きさなどから、図鑑との絵合わせでムツボシタマムシになりました。昨年の6月19日にも見ていました。その時は?マーク付きでムツボシタマムシにしていました。今回も同じですね。



キイロテントウはいつ見ても可愛いですね。黒い2つの点が目のように見えてしまいますが、実は模様で、目は先端の方の黒いのがそうでしたね。一昨年は6月30日、昨年は6月25日に見ていました。ちょうど今頃ですね。



それから、この間もいたアオドウガネです。



採集してきて検索したのはこのチャタテと次の羽アリでした。まず、チャタテです。いつものように、次の論文に出ている検索表で検索してみました。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)

まず、科の検索では、①長翅型、②跗節は2節、③爪の先端近くに歯、④前翅に後小室を持つ、⑤後小室と中脈は結合し、部分的に融合する、という条件でチャタテ科になります。詳細はスジチャタテでの検索を以前に出しましたので、そちらを御覧ください。次に、チャタテ科の種への検索では、①小顎髭の端節は幅の約2.5倍、触角は前翅長の1.5倍まで、②触角は前翅長の約1.5倍、前翅は全体褐色、という2つの条件でカバイロチャタテになりました。触角も小顎髭末端節も正確には測っていないのですが、だいたいの雰囲気でやっています。なお、前翅長は5mmでした。この種は昨年も7月と9月に見ていたのですが、その時は?マーク付きでした。今回はたぶん?を外しても大丈夫だと思います。



次はこの羽アリです。全体としてつやつやな印象で、体長は概略7.8mm、前翅長は6.8mmでした。いつものように、寺山守ほか、「日本産アリ類図鑑」、(朝倉書店、2014)で検索をしてみました。まず、亜科の検索ではヤマアリ亜科になりました。次の属の検索で例によってつまづきました。やはり中胸気門の位置が問題です。先日、クロヤマアリの検索をして、翅のすぐ下あたりに中胸気門を見つけたのですが、実は今回も同じようなところにあるみたいです。この中胸気門の位置が側面に位置するとオオアリ属、背面もしくはごく背方よりに位置するとヤマアリ属ほかになります。

ここで後者を選ぶと、先日と同じクロヤマアリあたりか、もしくは、ツヤクロヤマアリになります。クロヤマアリ辺りの種とは腹部の軟毛が違うようです。また、ツヤクロヤマアリも分布が本州中部北部なので違うようです。ということで行き詰まってしまいます。翅脈を見るとクロオオアリと同じIVe型なので、中胸気門の位置は考えず、オオアリ属に進むと、かなりあやふやなのですが、イトウオオアリにたどり着きました。ただ、図鑑の説明を見ると体長は3.5-4.5mmとかなり小さいし、結婚飛行は8月ということを見るとやはり違っているかもしれません。ということで、現在、まだ考慮中です。アリは難しいですねぇ~。

追記:横から撮った写真も載せておきます。



なかなか格好のよいアリですね)(追記2015/06/29:♀有翅アリ(女王アリ)の検索を試してきたのですが、種までの検索となるとネットや図鑑でもワーカー(働き蟻)用しかありません。
有翅アリは翅を動かすために胸部の筋肉は発達し、従って、胸部の形は翅のないワーカーとはかなり変化してしまいます。胸部や前伸腹節の形を使ったワーカーの検索表そのままでは種の検索は難しいのではと思ってきました





クビアカサシガメは今年初めて見たのに、最近、やけにたくさんいます。下の写真は蜘蛛の巣に触角の先が引っかかってぶら下がっていたものです。



最後はこのバッタです。たぶん、ホシササキリだと思います。昨年は6月27日が初見日でした。これもちょうど今頃ですね。

蛾は小さいのが多くて、まだ、調査中です。

廊下のむし探検 コフキコガネなど

廊下のむし探検 第625弾

先日、コフキコガネらしい甲虫に出会ったのですが、2日前にも同じような個体に出会えました。もう死にかけていたのですが・・・。



こんな甲虫です。触角の先の片状節が大きいので♂ですね。やはりこの間と同じコフキコガネの仲間だと思われます。そこで、ちょっとこの間の個体と比較してみます。



左側がこの間の個体、右側は今度の個体です。今度の方がコフキという名前にふさわしい色ですね。コフキコガネ属で近畿地方に生息するのはコフキコガネとオオコフキコガネだと思われるので、このどちらかかなと思って比較してみました。



これは腹側からの写真です。よく見ると、何となく違っているところがあります。



矢印で対照させているところが何となく違うので、たぶん、別種かなと思われます。上記の2種は頭盾と額の点刻の違いと尾節板の先端の形に違いがあります。尾節板の先端を拡大してみます。



左は先日の個体、右は今回の個体です。先端の形に違いがあると言えばあるのですが、それほど大きな違いは見られません。むしろ、右の方が突き出している印象があります。たぶん、左がコフキコガネ、右がオオコフキコガネかなと思うのですが、どうでしょうね。



先日見たハムシダマシがまたいました。全体が細かい毛で被われているので、ピントが合っているのやら合っていないのやら。



これはヒゲコメツキですね。あちこちにダニがついて可愛そうな感じです。





アオカミキリモドキキバネカミキリモドキです。



これはキマワリでしょうね。



フナガタクチキムシです。最近、毎日のように見ます。



そして、ウスモンカレキゾウムシですね。最近、虫があまりいないのですが、それでも、甲虫はちょこちょこ見ます。



シオヤアブがいました。この間までまったく見かけなかったのですが、これを見てからときどき見るようになりました。今頃、出てくるのでしょうね。



蛾は主だったものがこれだけでした。でも、シンジュサンだったら御の字ですね。これはもう死にそうな感じで床に横たわっていました。





カオマダラクサカゲロウかなと思ったのですが、何となく違いますね。何でしょう。採集しなかった・・・。



こちらはスズキクサカゲロウかな。



ウロコチャタテは最近よく見るようになりました。



後はクモです。ヤミイロカニグモ



ヤサアリグモでした。

廊下のむし探検 蛾、甲虫ほか

廊下のむし探検 第625弾

虫の名前調べがだんだん遅れ気味になってきました。3日前の「廊下のむし探検」の結果です。今日はまずこの間も見たホシシャクからです。



ガラス窓に止まっていたので、ちょっと離れたところからフラッシュをたいて撮りました。ちょっと幻想的な写真でしょ。



こちらは裏側からです。翅が薄くて本当に綺麗な蛾ですね。



後は蛾らしい蛾ばかりです。これはキノカワガです。



いつもと違う止まり方なので、少し戸惑ってしまいました。でも、模様からシラオビキリガですね。



シャクドウクチバですね。



写真が鮮明ではないのですが、たぶん、ウスアオモンコヤガだと思います。



そして、ネグロシマメイガです。

蛾はいつも見ている種ばかりだったのですが、甲虫はこれまで見たことのない種がいろいろいました。



まずはこの甲虫です。てっきりハムシだと思いました。ただ、触角の末端節がやけに長いなぁと気になりました。やはりハムシにはいません。次はカミキリを見てみました。やはりいません。もう後は破れかぶれです。結局、ハムシダマシ科のハムシダマシにたどり着きました。「原色日本甲虫図鑑III」によると、触角の末端節の長さが第3から第10節までの和に等しいと♂、第7から第10節の和よりやや短いと♀とのこと。これはたぶん♀ですね。



このカミキリも初めて見ました。図鑑と比較すると、たぶん、センノカミキリという種みたいです。やや大型のカミキリです。図鑑を見ると、亜種がいろいろといるようです。(追記:通りすがりさんからのコメントの中でセンノキカミキリとなっていたので、「原色昆虫大図鑑III」を見てみると確かにセンノキカミキリになっていました。「カミキリムシの和名変遷」というサイトでは1984年に出された「原色日本昆虫図鑑IV」だけがセンノカミキリで、それ以降はすべてセンノキカミキリになっていました。一方、九大の目録ではセンノカミキリでした。たぶん、和名が変更になったのでしょう。新しい図鑑で用いられているセンノキカミキリにしておきます



これはヤハズカミキリかなと思いました。これも初めて見ました。翅端が切れ込んでいるのでヤハズという名前がついているようです。ちょっと拡大してみます。



こんな感じです。図鑑の写真とちょっと違うような気もするのですが・・・。



タケトラカミキリです。これは2年前の8月に一度見ています。



派手なガガンボなので名前が分かるかなと思ったのですが、図鑑を見た限りはよく分かりません。それで、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」という掲示板で探してみました。どうやら、ガガンボ科Nephrotoma属だということは分かったのですが、♀なので名前までは難しいかもしれません。



後はクモです。これはアサヒエビグモかなと思ったのですが、よくは分かりません。



「日本のクモ」をずっと見ていったのですが、さっぱり名前が分かりません。

廊下のむし探検 甲虫など

廊下のむし探検 第624弾

羽アリを調べていたら、肝心の「廊下のむし探検」の結果報告が遅れてしまいました。これは3日前の結果です。



写真に撮るとそうは感じないのですが、廊下を歩いていたらとてつもなく大きな虫という感じでした。カナブンですね。



ついでに頭盾も拡大しておきます。大きさを測ろうとスケールのついたテープを横に貼ったら下に落ちてひっくり返ってしまいました。



それで、ついでに腹側も写しておきます。意外に綺麗ですね。(追記:通りすがりさんから、「検索していると、緑色のカナブンをアオカナブンと誤同定しているブログなども見られますが、腹面の後脚基部も簡単な見分けのポイントですが、どちらも見慣れた者にとっては見る必要の無い部分ですね。」というコメントをいただきました。図鑑の説明を読むと、左右の後基節が接すればアオカナブン、明瞭に離れればカナブンみたいです。この写真では確かに離れているので、カナブンで間違いないですね



こちらはもうちょっと小型のコガネです。一応、採集してきて、昨日、検索をしてみました。たぶん、アオドウガネかなと思うのですけど・・・。



これはよく分からないので、図鑑をずっと見ていったら、ミナミエグリゴミムシダマシという種にたどり着きました。でも、この種は沖縄にいる種で、この亜種のヤマトエグリゴミムシダマシというのが本州にいるようです。「廊下のむし探検」の記録を見てみると、実は、二年前の7月にも似た種を見て、やはり同じ種にたどりついたようです。合っているのかなぁ。



これはオオニジゴミムシダマシとしている種です。虹色が綺麗なのですが、なぜか蜘蛛の巣をつけている虫が多いですね。(追記2015/07/24:触角からナガニジゴミムシダマシのようです



これはフナガタクチキムシ



それに、サビキコリ



それとウスモンカレキゾウムシ



ここまではトントン拍子に来たのですが、このゾウムシが分かりません。触角の柄節がずいぶん短いような感じです。また、鱗片が細長くてチョウの鱗粉のような格好をしています。いろいろと調べたのですが、結局、分かりませんでした。



これはたぶん、ガロアケシカミキリだと思うのですが、体長が6.5mmもあります。図鑑には4-5mmと書いてあり、ちょっと気になります。



甲虫以外です。綺麗なクサカゲロウです。顔を拡大してみます。



これはフタモンクサカゲロウですね。



こちらはスズキクサカゲロウ。クサカゲロウもちょこちょこいるのですが、だいたい種類が決まっているようです。



これはヒメヒラタアブの仲間でしょうね。





上はセスジユスリカだといつも言っている種です。下はよく分かりません。



それからクビアカサシガメ。この頃、毎日見ています。



最後は小さなクモです。撮影した時はズグロオニグモかなと思ったのですが、あまりズグロでないので、よく分かりません。

これでやっと3日前の整理が終わりました。

羽アリを調べる クロヤマアリ?

羽アリを何とか調べてみたいと思って、2匹捕まえてきて検索表を使って調べてみました。



調べたのは翅の途中が黒いこんな種です。この種は以前、フッカーSさんから、クロヤマアリか、ハヤシクロヤマアリだと教えていただいた種と同じだと思います。



これは横から撮影したものです。体長はどの部分を測ってよいのか分からないので、スケールを入れておきました。(追記2015/07/04:論文を読んでいたら、前胸背板はもっと頭に近い部分で、写真の前胸背板と中胸背板と書いた部分は中胸背板のようです。もう少し調べてから訂正しておきます

図の中の①は検索項目の番号で後で用います。検索には、

寺山守ほか、「日本産アリ類図鑑」、(朝倉書店、2014)

の中の検索表を用いました。実際に検索してみたところ、クロヤマアリ隠蔽種群にたどり着いたので、その経路に沿って説明してきたいと思います。



まずは亜科への検索です。クロヤマアリの属するヤマアリ亜科に至る部分は赤字で書いてあり、その他の部分はいくつかの亜科をまとめました。まず、①から確かめていきます。①に関連する写真を載せておきます。





アリはハチの仲間で腹部第1節と後胸が融合した前伸腹節というのを持っています。腹柄節は本来は腹部の節だったのですが、見かけ上の胸部と見かけ上の腹部を結ぶ節になっています。腹柄節はFig. 1の①で示してあります。また、Fig. 2の拡大写真にも載っています。アリはこれが1節なのか2節なのかで大きく分かれます。この写真の個体は1節です。次の腹部末端の背板の刺列はクビレハリアリ亜科を除くための項目なので、ここでは省略します。3つ目の頭盾前縁側方の小突起もクビレハリアリ亜科を除くための項目ですが、Fig. 2に示す通り、頭盾には特に変わった構造は見られません。

次の②に行きます。腹柄節を横から見たら幅が狭いというのはFig. 3を見るとよく分かります。次の腹部第1節と第2節の間がくびれるというのは、「日本産アリ類全種図鑑」に載っている標本写真を見るとよく分かります。節の間に段差がついているような状態なのですね。




腹部の写真を載せますが、特に段差がついているようには見えません。その次の腹部第1背板と第1腹板は融合していないという項目については次の写真を見てください。



腹部を腹側よりの横から撮影したものです。写真のように背板と腹板の間には腹部第1節を含め、明らかな切れ目があります。従って、腹部第1節は融合はしていません。さらに、腹部末端の写真を載せます。



腹部末端には火山の噴火口のような丸い飛び出しがあります。従って、刺針はないので③に進みます。③はまさに、Fig. 6の腹部末端についてで、丸い開口とその周りの毛について書かれています。ちょっと写真がうまく撮れなくて、周囲の毛が写っていないのですが、確かに毛は生えていました。ということでヤマアリ亜科になります。

次は属の検索です。



これも同様にクロヤマアリの属するヤマアリ属に至る部分を赤字で書いてあります。まず、④'はトゲアリ属を除く項目で刺はないので⑤に行きます。次はサムライアリ属を除く項目ですが、Fig. 2に示すように大腮は三角形状です。次の⑥は触角の節数についてで次の写真を見てください。



触角は確かに12節です。これで⑥まで来ました。次はいよいよ中胸の気門です。Fig. 3を見てください。中胸気門は翅のすぐ下で、中胸の後ろ側にあります。これが側面に位置するのか、それとも、背面もしくはごく背方よりかということで、オオアリ属かヤマアリ属かが分かれます。しかし、翅がある条件では一番高い位置にあるので、たぶん、背方よりだと思って⑦'を取ると、次は前伸腹節気門の形です。これもFig. 3を見ると分かりますが、細長い形をしています。これでヤマアリ属になりました。

次は種の検索です。



⑨は黒いのでOKです。⑩からは腹部の毛についてです。Fig. 4を見ると、黒い帯状の部分は毛のない部分、白かったり緑がかっている部分は細かい毛がいっぱい生えているところです。第3背板にもいっぱい生えているので、次の⑪に進みます。次は腹部第2節についてです。その部分の写真を載せます。



第2背板は白っぽくなっていて、その中に黒い立毛が何本か生えています。この白い部分は更に拡大すると、次のようになります。



細かい毛がぎっしり生えています。これがたぶん軟毛だと思います。この写真には背板の後縁にある立毛が写っていますが、軟毛とははっきり異なります。背板中央部に立毛が5本以上はありそうなので、⑪'を選びます。なおその他の頭の格好、柄節指数などは絵を見るとワーカー(働き蟻)用の項目のような気がして、調べていません。次の⑫は第2背板の軟毛が第1背板と同程度に生えているということですが、Fig. 8を見るとそんな感じがします。後の後頭部の彫刻というのはよく分かりませんでした。若干、不明なところがちょこちょことあるのですが、たぶん、クロヤマアリ隠蔽種群で間違いないのではと思っています。

なお、隠蔽種というのは分類用語で、従来まで同一だと思われていた種に別種が含まれている場合に用いる用語です。この場合は、先日も書きましたが、従来まで同一だと思われていたクロヤマアリに体表炭化水素の組成比パターンに明らかな違いが見られ、4種に分かれるという知見から来ています。「日本産アリ類図鑑」によると、この4種はクロヤマアリ(北海道から本州東北部の日本海側)、ヒガシクロヤマアリ(東北から関東、中部)、ニシクロヤマアリ(中部以南、四国、一部九州)、ミナミクロヤマアリ(九州、一部四国や本州)の4種となっています。ただ、外見上は区別がつかないので、なんとも言えない感じです。

ひと通り羽アリの検索をしてみましたが、若干、怪しいところがポツポツとありました。この部分は他の種と比較しながらでないと分からないと思うので、今度は何種かまとめて調べてみたいなと思いました。

羽アリの翅脈比べ

最近、マンションの廊下を歩いていても羽アリの姿をよく見かけます。昨年、これを捕まえてきて検索を試みたのですが、結局、挫折してしまいました。それからは羽アリがいるなと思うだけで、あまり注目しませんでした。でも、先日来、いろいろな方からコメントをいただき、羽アリも少しずつ分かってきたような気がします。

そんなとき、論文を検索していたところ、羽アリの翅脈を分類した論文が見つかりました。先日も紹介したのですが、ロシアの人の論文です。

K. S. Perfilieva, "Trends in Evolution of Ant Wing Venation (Hymenoptera, Formicidae)", Zoologicheskii Zhurnal 89, 965 (2010). (ここからダウンロードできます)

この内容がどれほどあてになるのかどうかは判断できませんが、それでも化石も含め、アリ科120属350種を調べたというので一見の価値はあります。これはアリ科21亜科のうち、17亜科にあたるそうです。著者は、これらの情報をもとに、アリ科翅脈の原型を考え、現在見られるアリの翅脈はその原型が少しずつ変化していったものだと考えました。そして、その変化の仕方に関して全部で5つのパターンを考え、それぞれに I からVまでの番号をつけました。さらに、それぞれのパターンに対していくつかのバリエーションを考え、全部で16の翅脈パターンに分類しました。詳細は論文のFig. 3を見てください。

折角、こんな論文が出ているので、私が採集した羽アリはいったいどのタイプにあたるのか調べてみました。



まずはこの間から問題になっているクロヤマアリ♀らしい羽アリの翅脈です。どこを見たらよいか分からないと思いますが、中心にあるmcuと書いた翅室に注目します。この種の場合、mcuは四角形です。これから、翅脈パターンのIIかIIIということになります。次はRsとM脈の関係です。この写真の場合はこの2つの脈は一旦合流しRs+M脈となり、ついで、Rs脈とM脈に分岐します。この辺りの様子からIIIdというパターンにあたるのではないかと考えられます。このIIIdというパターンはいろいろなアリが持っていて、著者が調べた中ではカタアリ亜科の23%、ヤマアリ亜科の26%、フタフシアリ亜科の18%などが持っていたそうです。



次は同じヤマアリ亜科でもクロオオアリ♂ではないかと思われる個体です。この場合はmcuという翅室はありません。このことから翅脈パターンのIVかVが該当します。さらに、Rs脈とM脈との関係を見てみると、先ほどとよく似たパターンをしています。このことから、IVeに該当するのではないかと思います。ヤマアリ亜科は基本的にIIIdかIVeのどちらかのパターンを持ち、その割合はIIIdが26%、IVeが74%だったそうです。その他にもこのパターンを持つものは多くて、カタアリ亜科の23%、フタフシアリ亜科の18%が持っているそうです。



3つ目はこの間、コマユバチ科だと思って出したのですが、その後、フッカーSさんからオオハリアリ♂だと教えていただいた種です。この時に出した写真の向きを合わせ、翅脈の名称を統一したものが上の写真です。やはり、mcuという翅室がありますが、この場合は五角形です。ここが五角形だと I というパターンになります。さらに、r-mという横脈とrという横脈の位置がだいたい一致しているので、Ib というパターンに当たることが分かります。Ib というパターンをもつものはそれほど多くなくて、ハリアリ型亜科群の25%とカタアリ亜科の14%に限られます。翅脈のパターンからもハリアリの仲間だとおおよそのことは分かるのですね。

というわけで、手元にある3種について翅脈を比べてみました。なんせ数が少ないので、♂と♀の違いはどうか、同じ属なら一緒なのか、など知りたいことは何も分かりません。でも、これからは少しずつ注目していこうかなと思っています。

廊下のむし探検 蛾と羽アリ

廊下のむし探検 第623弾

一昨日、廊下を歩いた時に別のカメラで撮ったのをすっかり忘れていました。昨日、蛾を出したばかりだったのですが、残りの蛾を出します。



これを見て蝶と思わない人がどのくらいるでしょうね。でも、よく見ると触角が違っています。蝶の触角は先端が太い棍棒型ですが、これは櫛歯状で、しかも、先端が細くなっています。これはアゲハモドキという蛾の仲間です。たぶん、毒を持つジャコウアゲハに擬態しているのでしょうね。大きさはだいぶ違うのですが・・・。



これはフサヤガだと思います。実は、コフサヤガという似た種がいるのですが、写真ではあまり区別がつかなくて・・・。



これはアオアツバです。ほとんど一年中見られて、個体数の多い蛾です。



マエグロホソバですね。



これはシロマダラノメイガです。「廊下のむし探検」初登場ですが、標本箱を調べてみると、6-9月に採集した標本がありました。



蛾の最後はフタキボシアツバです。これは6-9月にかけて何度も見ています。



ついでにテングチョウがいたので撮ってみました。昨年はいやっというほどいたのですが、今年はそんなに多くはなかったですね。



蜂の仲間も出しておきます。クーラーの室外機の板囲いの中に蜂が何度も出たり入ったりしています。セグロアシナガバチですね。中で巣でも作っているのでしょうか。管理人さんに言わないといけないですね。それにしてもこの薄緑色のものは何でしょうね。



羽アリがたくさんいるのですが、なかなか名前までは分かりません。これは先日、フッカーSさんに教えていただいたクロヤマアリでしょうね。クロヤマアリらしき個体は先日採集してきて検索表を使って同定をしてみました。どうやら間違いはなさそうです。今日はその写真撮影で忙しかったです。



ところで、一度、羽アリの検索をしたら、次はどの羽アリも分かるかというとそうではありませんでした。この写真の個体も採集してきたのですが、どうもよく分かりません。羽アリは難しいですね。



これはもっと小さな羽アリです。何匹かいたので、そのうちの1匹を捕まえてきたのですが、これもなかなか分かりません。





これは先日、オオハリアリの♂だと教えていいただいた種です。下は少し黒いのですが、同じ種でしょうね。

廊下のむし探検 アマガエル、蛾

廊下のむし探検 第622弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日はこんな珍客がいました。



目のところに黒い筋があるので、ニホンアマガエルですね。廊下の手すりの上に載ってじっとしていました。折角だから、あちこちから撮らせていただきました。





ついでに顔のアップです。



昨年はモリアオガエルがやはりこの手すりの上でじっとしていました。何をしているのでしょうね。



蛾は少なかったのですが、この日は難しい種ばかりでした。この蛾は綺麗なのですが、名前調べはひと仕事です。似た種が多すぎます。いずれにしてもスガ科なのですが、サクラスガ、リンゴスガ、マユミシロスガ、マユミオオスガ、オオボシオオスガ、ツルウメモドキスガ、コマユミシロスガ、ニシキスガが候補にあがります。黒い点の列数や点の数を数えてみると6列で57個でした。これから、サクラ、リンゴ、マユミシロ、ニシキあたりが除けますが、それから先は進めません。マユミオオスガあたりかなと思うのですが・・・。



ハグルマエダシャクの仲間ですが、これも難しいです。ハグルマエダシャクの他に、マル、スジ、オオツカ、クロ、ミナミ、アベリヤがあります。この写真を拡大してみると、触角の櫛歯が少し見えます。♂ですね。でも、意外に櫛歯が短い感じがします。これから、ハグルマエダシャク、ミナミ、アベリヤあたりが除けるかなと思います。後は雰囲気だけですが、スジハグルマエダシャクかなと思いました。



これも似た種があるので、分かりにくい種ですね。白い点が3つあるのはコゲチャオオフサキバガとオオフサキバガが考えられますが、翅の色から、たぶん、コゲチャオオフサキバガかなと思っています。



今度は鱗粉がほとんどなくなっているこの蛾です。プライヤエグリシャチホコかなと思ったのですが、毛塊がないのでどうでしょうね。



最後はオオウスベニトガリメイガでしょうね。

蛾は少なかったのですが、難しい、難しい。くたびれたので、ほかの虫は後に回します。

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第621弾

一昨日に廊下を歩いてときに見た虫のうち、蛾を紹介します。よく分からない蛾がいて名前調べにだいぶ時間がかかってしまいました。結局、挫折です。





小さくて、特徴のない蛾です。頭部が黄褐色で、触角は長く、翅は丸い形をしています。「標準図鑑」のIIIとIVをだいぶ調べたのですが、ぴんとくる蛾が見つかりません。最終的にはムラサキツヤマガリガあたりの蛾かなと思ったのですが、はっきりとはしません。



同じ小さくてもこれだけ模様がはっきりしていると分かりやすいのですが・・・。ヨモギネムシガです。



これはおそらくコトビモンシャチホコですね。よく見る蛾だと思っていたのですが、調べてみると昨年と一昨年は見ていなくて今年の5月に見たばかりでした。



これはクロハナコヤガです。コヤガは何となく好きな蛾の仲間です。調べてみると、一昨年は6月9日に、昨年は6月19日に見ていました。やはり毎年今頃に見ていたのですね。以前も書いたのですが、私はブログに使うトリミング後の画像のファイル名を、(ローマ字で書いた和名)+(日付)+(番号)の順でつけています。例えば、このクロハナコヤガの写真では、kurohanakoyaga20150622-1.jpgという具合です。いつ見たかなと思って探すときは、Fileseeker3というフリーソフトで、画像の入っているフォルダーを"kurohanakoyaga"で検索すると、「廊下のむし探検」で見たこの2年半のリストがざっと出てきて、結構、便利です。



最後はこの蛾です。下唇鬚がひゅっと後ろに向かって伸び、ちょっと格好のよい蛾です。こんな蛾はたいてい○○アツバという名前です。この蛾もツマオビアツバという名前を持っています。先ほど書いたように、"tsumaobi"で検索すると、引っかかるのは今回の写真だけなので、「廊下のむし探検」初登場ということになります。

廊下のむし探検 甲虫、アリなど

廊下のむし探検 第620弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果で、蛾以外の「むし」です。



溝の隙間から覗いているのは誰でしょう?でも、この顔、見覚えがありますね。たぶん、シロコブゾウムシです。



コクワガタがまたいました。いつも蜘蛛の巣だらけになっていますね。



最近、ハナムグリがいるとひっくり返すことにしています。腹部が黒かったらコアオハナムグリでしたね。これは黒かったので、きっとコアオハナムグリですね。



これはたぶん、サビキコリですね。その独特の形から、コメツキの中では唯一すぐに分かりますね。



これはサビマダラオオホソカタムシです。



小さなハムシですが、この間からよく見ます。アオバネサルハムシかなと思っているのですが・・・。



最近、やや大型で翅が黒い羽アリをよく見ます。先日、フッカーSさんから、クロヤマアリ♀か、ハヤシクロヤマアリ♀だと教えていただきました。今日は朝から2,3日前に採集した個体を使って検索してみました。用いた検索表は

寺山守ほか、「日本産アリ類図鑑」、(朝倉書店、2014)

に載っていたものです。詳細はまた次回に載せますが、羽アリの検索でいつも引っかかってしまうのは中胸の気門の位置です。この位置が側面だったらオオアリ属、背面または背方よりだったらヤマアリ属などになるのですが、翅が生えているので側面なのか背面なのかよく分かりません。仕方なく、両方を進んでいくといつももやもやしてしまいます。でも、今日はクロオオアリだと思っている個体とこの個体は翅脈がまったく違うことに気が付きました。アリの翅脈については次の論文にちょっとした分類が載っています。

K. S. Perfilieva, "Trends in Evolution of Ant Wing Venation (Hymenoptera, Formicidae)", Zoologicheskii Zhurnal 89, 965 (2010). (ここからダウンロードできます)

これによると、ヤマアリ亜科ではIIIdとIVeという2つの翅脈タイプがあるのですが、クロオオアリはIVeタイプ、この個体はIIIdタイプでした。そこで、たぶん、オオアリ属ではなくてヤマアリ属だろうと見当をつけて、自信を持って検索を進めていったところ、結局、クロヤマアリ隠蔽種群という奇妙な名前の種群にたどり着きました。こんな奇妙な名前にしているのは、全国に分布するクロヤマアリの体表炭化水素を調べたところ、形態的には識別困難な4種からなる種群だと分かったからです。この4種のうち、近畿地方にいそうなのはニシクロヤマアリなのですが、はっきりしないのでクロヤマアリにしておきます。

追記:体表炭化水素というのが何を意味しているのか興味があったので論文を検索してみました。まず、クロヤマアリに4種いることを見つけたというのは次の論文です。

T. Akino et al., "Intraspecific variation of cuticular hydrocarbon composition in Formica japonica Motschoulsky (Hymenoptera: Formicidae)", Zool. Sci. 19, 1155 (2002). (こちらからダウンロードできます)

また、アリの体表炭化水素の季節変動に年周期があるということを見つけたという日本語の論文もありました。

石井 啓介ほか、「ガスクロマトグラフィー質量分析を用いたアリの体表成分分析―体表炭化水素組成比の季節変動―」、J. Mass Spectr. Soc. Japan 57, 61 (2009). (こちらからダウンロードできます)

これらの論文によると、アリの体表はワックス状表皮脂質に覆われていますが、その95-99%が炭素数23-50程度の直鎖アルカン、側鎖を持つ分岐アルカン、それに直鎖アルケンなどの炭化水素からできているそうです。この組成は種特異的で、また、コロニーによっても変化することが知られています。アリは触角にある微細毛でこの物質を取り込みその組成を判断し、同じコロニーのアリだと判断したときは味方として受け入れ、他のコロニーのアリだと判断すると敵として攻撃したり逃避したりするそうです。人でいうとちょうど匂いで見分けているようなものです。

最初の論文では、アリを冷凍して、その後、ヘキサンという有機溶媒に5分間浸し、体表の炭化水素を抽出します。さらに、ガスクロ-質量分析という分析装置で体表炭化水素の組成を分析します。日本全国の400コロニーでその組成を調べたところ、日本産クロヤマアリには明確に分離できる4種のタイプのあることが分かったという論文です。匂いの違うアリが4種類いたということですね。

次の論文は、横浜の大学構内でクロヤマアリのワーカーを各月1回採集し、その体表炭化水素を同様の方法で分析したところ、直鎖アルケンと分岐アルカンの組成比パターンは毎年規則的な変動を示すことを見つけたという論文です。季節によって匂いが変化するなんてことはあってもよさそうですね。アリ同士が敵味方を何かで見分けているという話は聞いたことがあったのですが、体表炭化水素だったのですね。少し勉強になりました




小さな羽アリもいました。この翅脈もIIIdに似ているのでヤマアリ属かな。こうやって翅脈を見ていくのも楽しいですね。



これは小さなハチです。以前見た種なのかどうかも分かりません。



これも小さなカメムシです。写真で拡大しないと何の虫なのかも分からないくらいの大きさなのですが、ヒョウタンナガカメムシ科のヒナナガカメムシだと思います。



これはカタビロクサビカメムシですが、なぜかよく見ますね。(追記:通りすがりさんから指摘していただきました。カタビロクサビウンカですね。どうも有難うございました



スジチャタテだと思います。最近はよく見ますね。



これも小さな小さなクモです。名前は分かりません。「むし」が少ないとついつい小さな「むし」も撮ってしまいますね。

廊下のむし探検 ホシシャクほか

廊下のむし探検 第619弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。最近は本当に虫が減ってしまいました。ちょっとつまらないと言えばつまらないのですが、その代わり写真の整理は楽ですね。



今日の最初はこの蛾からです。ホシシャクです。昨年も一昨年も一度だけ見ました。一昨年は7月4日、昨年は6月24日。今年はちょっと早かったですね。翅が薄くていかにもか弱い感じです。なぜ、蝶ではなくて、蛾の仲間なんかに入ったんでしょうね。「標準図鑑」によると、シャクガ科ホシシャク亜科に入っていて、昼飛性ですが、夜間に灯火にも飛来するそうです。



こちらはヒョウモンエダシャクです。「標準図鑑」によると、夜間灯火にも飛来するが、昼間も吸蜜のため花を訪れるなど活発に活動するそうです。確かに昼間ときどき見かけますね。



こちらはハラゲチビエダシャクです。「廊下のむし探検」初登場ですが、ときどき見かけます。





蛾の最後はヨツボシホソバカノコガでした。カノコガも昼間よく見かけますね。



甲虫では、4月に悩んだハムシがまたいました。あの時はいろいろと迷った挙句、結局、ニレウスバヒゲナガハムシにしました。たぶん、同じ種だと思うのですが、どうでしょうね。



アオカミキリモドキがこの日も2匹いました。この頃、毎日見ますね。



これはキマワリですね。歩き方が何となく変わっていますね。



ヤマトヤブカの♂の方です。蚊も止まっていると極力撮るようにしているのですが、いつもこの種です。



これはマダラヒメグモでしょうね。



それにズグロオニグモ



それにアサヒエビグモです。クモもだいたい出てくる種が決まってきましたね。

廊下のむし探検 クビアカサシガメなど

廊下のむし探検 第618弾

先日、廊下の壁の高いところにいてうまく撮れなかったクビアカサシガメが、一昨日は廊下の手すりにいました。これ幸いと思って撮影しました。



近くで見たのですが、思ったほど赤くありません。むしろ黒っぽい赤です。ひょっとして近縁種がいるのかなと思って、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」を見てみると、クビアカサシガメ属にはチャイロサシガメ、クビアカサシガメ、セマダラサシガメの3種がいました。でも、外見が大きく異なるので、クビアカサシガメで間違いなさそうです。図鑑によると、日本固有種で本州から南西諸島まで分布しているとのことです。



次はこの甲虫です。これまで見たことはなかったのですが、図鑑で調べてみるとキバネカミキリモドキに似ている感じです。北海道から九州まで分布しているとのことです。



後は天井にいたオオゾウムシ





それにコメツキが2匹ぐらいでした。





ハナアブです。上はアシブトハナアブ♂だろうと思うのですが、さて、下は何でしょう。♀であることは確かでしょうが・・・。「ハナアブの世界」でも調べてみたのですが、結局、分かりませんでした。(追記:通りすがりさんから、「ハナアブの2枚目は、アシブトハナアブ雌のテネラルですかね。」というコメントをいただきました。テネラルというのは羽化直後の状態をいうようです。どうりで図鑑やネットにもでていなかったのですね



何となくこんなガガンボがいると、いつもマドガガンボだと言っているのですが、これにも近縁種がいるのかなぁ。最近は近縁種恐怖症になっています。





ヒシウンカがちょこちょこいます。でも、この間調べてみたのですが、ヒシウンカ科であることが分かっただけで、それから先はまったく手がかりすらありません。



先日、苦労して調べたチャタテです。今のところは?マーク付きのスジチャタテです。



それからウデブトハエトリですね。最近、よく見ます。



最後はこのクモです。たぶん、マダラヒメグモという外来種だと思います。これも最近、よく見ます。

ナガチャコガネの脚の爪

先日、ナガチャコガネらしい甲虫を捕まえました。



こんな甲虫です。「日本産コガネムシ上科標準図鑑」を見ていると、これの爪について、検索表では「爪はさけ、内歯は斜めに裁断される」と書かれています。どんな爪なのか気になって顕微鏡で見てみました。これのことかなと思ったのですが、本当にこれでよいのかどうか分からないので、一応、写真を撮りました。





照明の仕方でだいぶ雰囲気が変わってしまいますが、爪に裂け目が入り、内歯は裁断されたような感じがします。さて、どうでしょうね。

廊下のむし探検 スズメガ3種ほか

廊下のむし探検 第617弾

最近は天気がすぐれず、気温も低めなので、やはり虫は少ないですね。昨日の「廊下のむし探検」の結果です。







この日はスズメガが3種いました。上から、クチバスズメモモスズメセスジスズメです。「大図鑑」によると、スズメガ科はスズメガ亜科とホウジャク亜科に分かれますが、上2種はスズメガ亜科で、セスジだけがホウジャク亜科になります。どう違うのかなと思って「大図鑑」を見ると、スズメガ亜科では「下唇鬚第1節内面の鱗粉のない部分に感覚毛塊がない」が、ホウジャク亜科では「感覚毛塊がある」とのことです。何となくそっけないですね。「標準図鑑」を見てみると、上2種はともにウチスズメ亜科に入っていました。ウチスズメ亜科は「感覚毛塊を持たない。口吻は退化する場合が多く、触角の末端も細い。・・・」などもう少し詳しく書かれていました。一方、ホウジャク亜科では「感覚毛塊がある。口吻は発達する。通常幼虫は円筒形で体表に顆粒を持たない。」とのことです。そう言えば、ホウジャクは触角が先端にいくほど太くなっていましたね。写真では先端がよく見えませんが・・・。



シャチホコガが地下駐車場に止まっていました。



こちらはナンキンキノカワガです。食草がナンキンハゼだとのことで、和名の由来はこちらから来ているのかもしれませんね。



オオウスベニトガリメイガです。普段、天井に止まっているのであまり撮らないのですが、壁に止まっていたので撮ってみました。しげしげ見ると、かなり変わった止まり方をしていますね。





さて、問題の蛾にやってきました。上の2枚の写真は向きを変えて撮ったもので同じ個体です。触角が櫛歯状なところが面白いですね。何だか分からなかったのですが、何となくミノガあたりを探していたら似た種がでてきました。いくつか候補があったのですが、翅型が「標準図鑑」に載っているイノウエヒメミノガという種に近い感じです。さらに、この個体の前翅長は4.1mmでした。図鑑の標本写真で前翅長を測ると5.5mmで少し大きいのですが、こんなに小さくて似た種は他にはいないのでそうかなと思っています。「標準図鑑」の説明を読むと、「大図鑑」に載っているウスバヒメミノガは実はこの種だとのことで、この種はウスバと呼ばれるほど翅が薄くはないようです。そう思って、「大図鑑」のウスバヒメミノガの説明を読むと、「関東平野の平野部では6月10日から20日頃の間に出現し、発生期は非常に短い。」とのことです。ここは近畿なのですが、時期はぴったり合いますね。



こうなると名前はよくわかりませんね。

スジチャタテで悩む

マンションの廊下に、この間から模様のはっきりしたチャタテムシが出てきています。翅の模様からおそらくスジチャタテ Psococerastis tokyoensis (Elderlein, 1906)だろうと思っているのですが、一度、ちゃんと検索をして確かめてみようと思ったのが悩みの始まりでした。でも、いつまでも悩みを抱えていても仕方がないので、一度、出しておこうと思って書いてみました。

この間から見ているチャタテというのはこんな虫です。「原色昆虫大図鑑III」によると、もともと食藻性、食菌性なので、我々の生活と直接関係しない虫なのですが、屋内生息の種には書物の糊や貯蔵食品を食べる害虫もいるとのことです。



これはたぶん♂の方です。♀も模様は同じなのですが、少し大きく、腹部末端が違っています。



こちらがその♀だと思われる個体です。



大きさは♂が前翅長5.2mm、♀が5.9mmでした。これが本当にスジチャタテかどうかを検索表で調べてみました。用いた検索表は次の論文に載っています。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)

まず、この個体がチャタテ科に属しているかどうかは次の検索表で確かめることができます。



ここでは詳細は省略し、次に載せる写真に項目の番号を入れておきましたので、参照しながら見てください。次にチャタテ科の種への検索をしてみます。



問題はこの検索表の⑩です。ここでいつも引っかかってしまいます。⑩の最初の項目は小顎髭の末端節の長さに関するものです。まず♂についてその部分の写真を載せます。



消毒用アルコールにつけたまま撮影しているので、ちょっとぼやっとしていますが、小顎髭はよく分かります。この長さと幅の比を測ってみると2.7になりました。次に触角の長さを測ってみます。



アルコールに漬ける前の写真を用いて測ってみました。節数を数えると13節みたいなので、おそらく切れてはいないと思います。ImageJの折れ線ツールで測ると、向かって右側は前翅長の1.59倍、左側は1.62倍になります。ところで、⑩を見ると、小顎髭の長さも触角の長さもともに⑩'に該当しそうですが、そちらを選ぶとその先ですぐに行きづまってしまいます。おそらく、⑩で合っていると思うのですが、ここが最大の悩みどころです。

そこで、この辺りに関して他の論文も調べてみました。

H. Okamoto, "Die Psociden Japans", Trans. Sap. Nat. Hist. Soc. 2, 114 (1907). (ここで読むことができます)
C. N. Smithers, "Keys to the Families and Genera of Psocoptera (Arthropoda: Insecta)", Tech. Rep. Aust. Museum No. 2, (1990). (ここからpdfがダウロード可能です)

上の論文にはスジチャタテ Psococerastis tokyoensisについて詳細に書かれています。スジチャタテなので、⑩に該当するはずなのですが、触角の長さについては♂で1.4倍、♀は1.23倍と書いてあり、検索表では⑩'に該当してしまいます。また、下の論文にはオーストラリアの種についての属の検索表が載っていて、その中で小顎髭の長さについてはPsococerastis属では幅の2.6-2.8倍、その他の属については3.5-4.5倍となっていて、富田氏の論文と数字がかなり違っています。オーストラリアと日本では属している種が異なるので何とも言えませんが、この辺りの数字についてはもう少し検討が必要な気がしてきました。

それで、とりあえず⑩を選んだとして、次は⑪のR2+3脈とR4+5脈のなす角についてです。翅の写真を載せます。



翅脈の名前は次の論文によっています。

K. Yoshizawa, "Morphology of Psocomorpha (Psocodea: 'Psocoptera')", Insecta Matsumurana 62, 1 (2005). (こちらからpdfがダウンロードできます)

この⑪'→で示した部分が2つの脈の分岐点ですが、その分岐した脈がなす角度は60度くらいです。さらに、Sc脈は途中で途切れています。ということで⑪'の方を選びます。これで、Psococerastis属になりました。次は⑫で、縁紋の後縁が尖るという項目です。この項目は上で載せたOkamotoの論文に載っている検索表でも採用されています。そこで縁紋の部分を拡大してみます。



おそらく、⑬→の部分が鋭角になっていることを示しているのではないかと思います。そこで、⑬を選ぶことで無事にPsococerastis tokyoensis(スジチャタテ)になりました。ちなみに、Psococerastis tokyoensisの記載論文であるElderleinの論文には前翅の絵も載っていました。



G. Enderlein, "Die Copeognathen-Fauna Japans", Zool. Jahrb. Abt. f. Syst. 23, 243 (1906). (ここで読むことができます)

翅の模様はよく似ています。おそらく大丈夫だと思うのですけど・・・。

ついでに♀についても撮影したので載せておきます。







最後は腹部末端の写真です。実のところ、どちらが♂なのか、♀なのかよく分かりませんが、上の2つの個体で腹部末端の構造は違っていました。♀だと思っている方はこの写真のように複雑な構造をしていましたが、♂だと思っている方は単純な形をしていました。

どうもはっきりしない結論になってしまいましたが、おそらくスジチャタテで間違いないと思っています。ただ、検索表とちょっと違っているところがあって気になります。もう少し別の種も調べてみる必要がありそうです。

廊下のむし探検 変わった甲虫ほか

廊下のむし探検 第616弾

3日遅れの「廊下のむし探検」の報告です。蛾は昨日出したので、その他の「むし」です。この日はこんな変わった虫がいました。



廊下の壁に止まっていました。ともかく、奇妙な格好の虫です。顔の部分を拡大すると、



もっと奇妙です。体長は約6.2mm。複眼が触角で大きくえぐられています。でも、翅の感じ、大顎の感じからはやはり甲虫でしょうね。触角が長いということで、やはりカミキリムシ科かなと思って、じっくり調べてみました。ちょっと似た模様のカミキリが見つかりました。タイワンメダカカミキリという種です。やはりカミキリだったようです。「原色日本甲虫図鑑IV」の説明を読むと、台湾という名前がついていても、北海道から九州まで分布、特に珍しいとも少ないとも書かれていないので、普通にいるようです。サンショウ、イヌザンショウの枯れ木に集まるということです。それにしても奇妙な形で止まりますね。もっとも図鑑の標本写真を見ると、普通のカミキリとまったく変わりがないのですが・・・。



このコガネもだいぶ迷いました。後で必要かなと思って、



頭盾を撮ったり、死んだふりをしたので、



ひっくり返して写したりしました。見た感じからは、コフキコガネ亜科コフキコガネ属かなと思いました。この属で近畿に生息していそうなのはオオコフキとコフキです。それから、触角の片状節とよぶ房状の部分が大きいので♂のようです(ひっくり返した写真を拡大すると見えます)。「日本産コガネムシ上科標準図鑑」を見ると、尾節板の先端がオオコフキでは尖り、コフキでは鈍く丸まるか裁断状になるということです。尾節板の先端はひっくり返した写真の一番右側の部分がそれです。これは丸まっている感じなので、コフキコガネかなと思っています。図鑑によると、成虫はアカマツ、スギ、クヌギ、ナラ、クリなどの葉を食害するが、幼虫は芝生の害虫になるそうです。(追記:写真を拡大してみても片状節がよく分からないので、元の写真の拡大版を載せておきます。



これで分かると思います。また、中胸腹板突起の形も種の識別には使われています。おそらく、矢印で示した部分だと思うのですが、残念ながらこの写真ではその形までは見えません)(追記2015/06/26:「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に載っている写真とあまりに形が違っていたので、中胸腹板突起を間違って示してしまいました。写真を差し替えました。おそらくこれでよいのではないかと思います



これはもうちょっと小型のコガネです。一応、採集してきたのですが、まだ調べていません。図鑑と絵合わせで調べてみると、ナガチャコガネに似ている感じです。だとすると、この間調べてちょっと挫折しかけたコフキコガネ亜科になりますね。もう一度、チャレンジしてみます。それにしても、クサカゲロウを調べたり、チャタテを調べたり、コガネを調べたりと忙しい毎日です。



普段、コメツキは調べないのですが、どうも見た感じが普通のコメツキと違うので、図鑑を見てみました。違っているかもしれませんが、どうやらコメツキダマシ科のようです。その中でも、何となくコチャイロコメツキダマシあたりに似ている感じです。





これはこの間から出ているフナガタクチキムシでしょうね。この日は2匹いました。



立派なゾウムシがいました。マダラアシゾウムシです。昨年も一昨年も1匹ずつ、6月終わりに見ていました。数としてはそれほど多くないみたいです。これも変わった形の虫ですね。



後はいつものアオカミキリモドキと思われる個体でした。



このカメムシはちょっと分かりにくいのですが、チャイロナガカメムシかなと思っています。





この日のクサカゲロウは、このイツホシアカマダラクサカゲロウ





スズキクサカゲロウでした。クサカゲロウも少し分かってくると楽しいものですね。



最後はこのクモです。腹側からしか写せなかったので名前までは分からないのですが、写した辺りは昨年チュウガタシロカネグモがいたので、おそらくそれでしょう。

廊下のむし探検 一昨日の蛾

廊下のむし探検 第615弾

今日と昨日の分を先に出してしまったので、一昨日に見た虫の名前調べを慌ててやりました。とりあえず蛾だけです。



廊下の壁にホタルガが止まっていました。外を歩いているとよく見る蛾なのですが、マンションでは比較的見ることが少ないです。一昨年は0、昨年は2匹だけでした。この日は2匹。もっとも1匹は床に転がっていたのですが・・・。



裏返って死んでいました。腹部や翅の一部などが青光りしていますね。マダラガは一般にこういう色をしていて、綺麗です。



これは大きな蛾です。地下駐車場の天井に止まっていました。たぶん、オオバナミガタエダシャクです。ところで、今日はマイマイガが室内でばたばた飛んでいて、私の座っているすぐ近くに止まったのですが、不思議に怖いとは思いませんでした。2年半、蛾の写真ばかり撮ってきたので、ついに蛾恐怖症が克服できたのかも。でも、気になって仕方がなかったのですが・・・。



クロテントビヒメシャクか、ウスクロテントビヒメシャクか迷ったのですが、外横線の外側が薄色なので、ウスクロテントビヒメシャクの方を選びました。どうでしょうね。(追記2018/07/03:ウスクロテントビヒメシャクではなく、ウスクロテンヒメシャクでした。訂正しておきます



これはたぶん、ハイイロホソバノメイガだと思います。



ちょっと写真がよくないのですが、コメシマメイガかな。



これはネスジキノカワガでしょうね。キノカワガがコブガ科というのはどうも馴染めません。



こちらはシラオビキリガですね。夏キリガ。



それにチャオビヨトウ



それからテンモンシマコヤガですね。

その他の虫の中では甲虫でだいぶ手こずっています。次回に回します。

廊下のむし探検 今日はウラキン、昨日はシカ

廊下のむし探検 第614弾

昨日も今日も外出したり、いろいろあって「廊下のむし探検」はできませんでした。そのわりに意外なものに出会えました。

まずは、今日の夕方5時半ごろに外出から帰ってきて、ふと、集会室のガラス戸を見たらこんな蝶が止まっていました。



最初はいつものアカシジミかなと思ったのですが、どうも色合いが違います。何となく図鑑で見たことのあるウラキンシジミに似ています。初めてだったのでちょっと興奮して、家族に見張っているように言って、急いで家までカメラを取りに帰りました。戻ってみると、まだ、止まったままでした。動かないので写真はこのポーズだけなのですが、ガラスに映ってまるで2匹いるみたいですね。ひと通り撮り終わったときに飛び上がったのですが、飛ぶと黒っぽくなり地味な感じです。今年はウラゴマダラといい、ゼフをよく見ます。その代わり、いつもいるアカシジミはまったく見かけません。どうしたのでしょう。

次は昨日の昼前のことです。マンションの向かい側にある斜面にシカの群れがやってきていました。



ざっと数えて見ると、全部で12匹。こんなにたくさんのシカの群れを見たのは初めてです。





まるで奈良公園にいるようですね。最初は斜面に生えている雑草か芝を食べているようでした。初め、白い斑点があるので子供かと思ったのですが、夏毛はみなこんな白い斑点をつけるようですね。りっぱな角が生えてきているのが何頭かいました。



そのうち、植栽に手を出し始めました。うーん、これは大変と思っていたら、



すぐに群れだって林の方に移動し始めました。最近、シカが多い、多いと思ってはいたのですが、こんなに多いとは思いもよりませんでした。

一昨日の「廊下のむし探検」の報告をまだしていないのですが、こちらの方が面白そうなので先に出します。

虫を調べる イツホシアカマダラクサカゲロウ

先日、イツホシアカマダラクサカゲロウらしい個体を見つけました。まだ、詳しく調べていなかったなと思って、捕獲しておきました。今日は検索表を使って調べてみました。その結果、イツホシアカマダラクサカゲロウで間違いないようです。せっかく調べたのに時間がたつとすぐに忘れてしまうので、忘れないようにここに書いておきます。






まず、捕獲したのはこんなクサカゲロウです。前翅長は13.2mm。翅の横脈は大部分黒くなっています。触角の間に黒い点があります。この種を検索表を使って、属と種の検索をしてみました。用いた文献は次のとおりです。

塚口茂彦著、"Chrysopidae of Japan (Insecta, Neuroptera)"(1995).

この中に書かれている検索表を順番に見ていきます。まずは属への検索です。



これはクサカゲロウ族全体の検索表です。今回の種に関係しているところは赤字で書いてあります。なお、原文は英語で、私のつたない語学力で訳しているのでそのつもりで見てください。

まず①については腹部に発音性の構造を持つかどうかですが、持たないので①bを選び、③に進みます。③は頭部に紋があるかどうかなので、その部分の写真を載せます。



頭部にはいろいろな部分に紋があります。従って、③bを選び、⑦に進みます。⑦は額の紋についてです。この個体は紋は明確にあるのですが、触角直下の縫合線に接続するかどうかを見なければいけません。その部分を拡大してみます。



縫合線があまりはっきりしないのですが、紋とは十分に離れていそうです。従って、⑦bを選びます。⑧は横脈のの色ですが、一番上の写真のように黒色が入っています。従って、⑧bを選びます。最後は翅脈に関するものです。



前翅にim室というのがあり、その上にRs-M脈という横脈があります。im室の先端と横脈がどちらが翅の先端に近いかという項目ですが、この写真のようにim室の先端の方が翅の先端に近いので⑩bを選びます。従って、ニセコガタクサカゲロウ属になります。

次は種への検索表です。



ニセコガタクサカゲロウ属には発音性の構造を持つものがいるので、それを除外する項目が①です。従って、②に進みます。前額と頭盾の模様は上の写真を見てください。確かにあります。従って、②aを選びます。次は触角の間にスポットがあるかどうかです。写真を見ると確かにあるので、イツホシアカマダラクサカゲロウということになりました。後は各論の説明を読んで、性質を調べていかないといけないのですが、今回はパスします。

ついでに撮った写真も載せておきます。



これは頭から胸にかけてを背側から写したものです。



これは頭部を横から撮ったものです。複眼の横に四角い黒い模様があるのですが、そこに白い輪が写っているのはリング照明が写ってしまったためです。無視してください。なお、一番上の2枚の写真と比べて、下の写真はいずれも黄色くなっているのは、酢酸エチルを含む入れ物に入れておいたためです。色素が化学変化したのかもしれません。

クサカゲロウもいろいろと調べてきたので、少しずつ分かるようになってきた感じです。特に、検索表にはだいぶ慣れてきました。検索表にある発音性のファイル状構造ってどんなものだろうとだんだん気になってきました。

廊下のむし探検 虫いろいろ

廊下のむし探検 第613弾

クサカゲロウの顕微鏡写真を撮っていたら、3日前の虫の名前調べを忘れてしまっていました。慌ててやってみたので違っているかもしれませんが、一応、出しておきます。虫はいろいろといるのですが、これといって目立つ虫はいませんでした。





それで、今日はこんな目立たない虫から始めてしまいました。これはウロコチャタテだと思います。。今頃、小さい虫がちょこちょこ動きまわっているなと思うとたいがいこの虫です。図鑑を見ると似た種にオオウロコチャタテというのもあるようです。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)

この論文を見ると、ウロコチャタテ科の種への検索表が載っていて、それによると、「爪の先端近くに1個の歯を持つ。頭頂に1対の淡黄褐色の円斑を持つ。前翅長は約3.6mm」がオオウロコチャタテだそうです。ウロコチャタテの方は爪の歯が2つ、頭頂の円斑がなく、前翅の鱗片が黄褐色味が強いとのことです。この種は頭頂の円斑がないので、ウロコチャタテの方だと思います。



この間から出始めているチャタテでチャタテ科のスジチャタテだと思っているのですが、まだ、検索が終わっていません。この間捕まえたのが♀、今回のが♂のようです。クサカゲロウの写真が終わったら少しこちらを撮ろうと思って、今は消毒用エタノールの中に入れてあります。



こちらはシマサシガメですね。ヤニサシガメに比べるとずいぶん整った形をしています。



これは以前同定したトビイロオオヒラタカメムシだと思います。でも、最近はヒラタカメムシは見ないですね。



先ほど、フッカーSさんに教えていただいたクロヤマアリの♀かもしれません。一度捕まえてきて調べれば良いのですが、だいぶ前に有翅アリの検索に失敗してから、最近は採集をちょっとためらっています。



外壁に止まっていたのですが、これはウシアブでしょうね。(追記:通りすがりさんから、「アブはTabaninae…と言うかTabanusでしょうが、種までとなると難しいですね。日本産アブ科雌成虫の検索表と全種の目録という英文のPDFがあるので、雌を捕獲できればなんとか分かるかも知れません。こちらはキスジアブが多く見られます@長野」というコメントいただきました。これはウシアブではないかもしれませんね。アブはいつも「学研生物図鑑昆虫III」に頼っているのですが、もう少し詳しく調べないといけないみたいですね。ちなみに、教えていただいた論文と関連論文は以下の通りです。

早川 博文、「日本産アブ科雌成虫の検索表と全種の目録」、衞生動物 36, 15 (1985). (ここからダウンロードできます)
早川 博文、「日本産アブ科雌成虫の分類(1)-アブ属ウシアブ群,アカウシアブ群及びその関連種」、東北農業試験場研究資料 10, 35 (1990). (ここからダウンロードできます)
早川 博文、「日本産アブ科雌成虫の分類-2-ヒゲナガサシアブ属及びゴマフアブ属」、東北農業試験場研究資料 10, 51 (1990). (ここからダウンロードできます)

いずれも雌なのですね





これもこの間から出ているオオニジゴミムシダマシではないかと思います。翅の虹色を写真にうまく撮りたいのですが、なんとなく黒っぽく写ってしまいます。(追記2015/07/24:触角からナガニジゴミムシダマシのようです



これはユミアシゴミムシダマシでしょうね。



キイロナガツツハムシですね。



キボシツツハムシ



小さなカミキリです。天井に止まっていました。たぶん、翅の模様からアトモンマルケシカミキリでしょうね。



ちょこちょこと動いてはこんな格好になりピタッと動かなくなりました。写しにくい場所だったので、ウロウロしているうちにいなくなってしまいました。たぶん、キハダエビグモかその辺りでしょう。

クサカゲロウの顔比べ

先日からマンションの廊下にはいろいろな種類のクサカゲロウが出始めました。ついでだから、検索をしてみようと思って少し採集してきました。

記録に残しておこうと顕微鏡で顔を撮影しようとするのですが、クサカゲロウの顔くらいが一番撮りにくい大きさでした。実体顕微鏡ではちょっと小さすぎるし(ズーム最大5.6x)、生物顕微鏡ではちょっと大きすぎるしということで・・・。実体顕微鏡でも撮れることは撮れるのですが、おそらく解像度がの問題だと思うのですが、深度合成をすると周辺が乱れてしまってとても見られるような写真にはなりません。

それで、いろいろと試していたのですが、以前試みたことがあったミラーレス一眼を使ってみることにしました。これまでは実体顕微鏡の実像を直接レンズをはずした一眼レフカメラに入れていたのですが、今回はミラーレス一眼に接眼レンズを取り付け、顕微鏡で作った実像を接眼レンズでさらに拡大するような配置にしてみました。すると、結構、うまく撮れることが分かりました。



実像を作って、それを接眼レンズで見るようにしたので、結構、長くなってしまいました。上の3つは一体になっています。その下には長さを調節するために、Nikon Fマウントアダプターと中国製の接写リング「近摂接圏」をつなげています。カメラ部分は固定しないで、ただ嵌めこむだけにして、リモコンを使って撮影しています。これで焦点位置を変えながら30-50枚ほど撮影し、CombineZPを使って深度合成をしています。

先日話題になったリング照明も取り付けています。撮影対象が光ったりしてコントラストが強すぎる場合はトレーシングペーパを巻いた拡散板を置いて撮影していますが、クサカゲロウのように薄い色の場合はむしろコントラストが弱くなりすぎるために、顕微鏡の照明で直接照明するか、それに加えてリング照明を補助照明として使っています。

手元にある5種のクサカゲロウとその顔の拡大を載せていきます。





まずはこの間も載せたヨツボシクサカゲロウです。これはクサカゲロウ属に属しています。今年の5月1日採集して、そのまま保存用の毒瓶に入れておいたものです。4つの黒い点があります。





次はヒメクサカゲロウ属のスズキクサカゲロウです。頬に丸い模様と曲がった柄のような模様があります。小鰓肢、下唇肢ともに黒くなっています。この写真はちょっと失敗でした。向かって左側の小鰓肢はうまく写っていますが、右側は模様を少し隠してしまいました。さらに先端が写っていません。これは6月12日採集のものです。





これはニセコクサカゲロウ属のフタモンクサカゲロウで、6月12日頃採集したものです。頬に黒い点が1つずつあります。それ以外は色がついていません。





このクサカゲロウはややこしい模様がありますが、ニセコクサカゲロウ属のイツホシアカマダラクサカゲロウだと思われます。これは6月12日採集しました。触角の間に黒い点があります。顔にはややこしい模様があり、また、小鰓肢、下唇肢も黒くなっています。これも片方の小鰓肢が模様の一部を隠してしまいました。なかなか思うようなポーズを取ってくれませんね。下の左右に変なものが写っているのは、脚の先の爪が写ってしまったものです。





最後はこの間から問題になっているクサカゲロウです。私はユメクサカゲロウ属のマボロシクサカゲロウではないかと思っています。顔にも、口肢にもまったく模様がありません。

検索はまだしていないので、種名はややあやしいものもあります。(上から4番目のイツホシアカマダラクサカゲロウは怪しいかなと思っていたのですが、検索の結果は大丈夫みたいです

追記:NIKON D90を直接顕微鏡に取り付けた場合と、NIKON 1 V1を接眼レンズを介して取り付けた場合の像倍率を測定しました。測定方法は、対物ミクロを撮影し、1mmの目盛りが何ピクセルになるかを測り、さらに、それを実際の大きさに直して求めます。まず、NIKON D90では実測の結果、対物ミクロの1 mmは1002.0 pixelに相当します。カタログによると、このカメラのイメージセンサーの大きさは23.6×15.8 mm^2で、これが4288×2848 pixelに相当します。従って、1 pixel=5.50μmになるので、これから計算すると1 mmのスケールがイメージセンサー上で5.51 mmになっていることになります。つまり、倍率は5.51倍です。

同じことを接眼レンズ付きのNIKON 1 V1でやってみると、対物ミクロの1 mmは1656.1 pixel。イメージセンサーの大きさは13.2×8.8 mm^2、これが3872×2592 pixelに対応しています。従って、1 pixel=3.41μm、従って、倍率は5.65倍になりました。倍率はほぼ同じだったのです。Nikon 1 V1の方がイメージセンサーが小さいので大きく見えたのですね。

ついでに、対物ミクロの目盛り線の幅から解像度を測ってみました。NIKON D90では元の大きさに換算して4.2μm、NIKON 1 V1が3.4μmとなり、後者の方が少しよいことが分かります。これが少しはっきりと写っていた理由かもしれませんが、それほど違わないですね。むしろ、NIKON 1 V1の方のピクセル数が相対的に多いことが効いていたのかも。なお、ImageJで調べてみると、対物ミクロの線は鋭い中心線と横に長い尾を引いていくることが分かります。これは以前にも書いたのですが、実体顕微鏡の収差(?)のせいで青色の解像度がかなり悪くなっていることによっています
)(追記:倍率は以前にも測っていましたね。忘れていました

廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第612弾

一昨日の結果です。また、名前調べが遅れてきてしまいました。とりあえず、蛾だけ出します。



この日は目立った蛾がいなくて、どれを出そうかなと迷ったのですが、名前調べに迷ったこの種からにします。いつもならモモノゴマダラノメイガとしていたのですが、どうも黒い斑点が大きい感じがして、もう一種のマツノゴマダラノメイガじゃないかと思って図鑑を調べてみました。基本的には交尾器で見るようですが、外観では、マツノゴマダラはモモノゴマダラに比べて、前・後翅にある黒点はやや大きくて明瞭なこと、後翅の外横線に相当する点列は連続的になること、裏面の黒色斑点が発達していることなどから見分けられるそうです。そう思って見ると、黒色斑点は大きいし、後翅の外横線に相当する黒点は連続的な気がします。従って、マツノゴマダラノメイガではないかと思ったのですが、どうでしょうね。



翅に黒い点が2つあるので、比較的すぐにたどり着けました。たぶん、フタテンツヅリガですね。「廊下のむし探検」初登場です。



これはシバツトガですね。「標準図鑑」によると、1964年に北米からシバ苗に付着して移入されたとされています。近年、朝鮮半島にも入ったようです。



こちらはこの間も登場したウスアミメキハマキです。ちょっと華奢な感じの蛾です。



これも華奢ですが、サツマヒメシャクです。記録を見ると、これまで4月、6月、10月に4度見ていました。



こちらもヒメシャクですが、これはウンモンオオシロヒメシャクです。小さいのにオオシロという名前がついているので、なかなか名前が覚えられません。これまで3度見ていました。



これはウチジロマイマイというドクガ科の蛾です。といっても毒はありません。一昨年は6月12日、昨年は6月14日、今年は6月13日が初見日でした。驚くほど一致していますね。



これはクロシタシャチホコです。



それにホソバシャチホコ



それにオビカレハです。他にも何種かいたのですが、常連なので今日はパスします。

廊下のむし探検 サシガメ、クサカゲロウなど

廊下のむし探検 第611弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。蛾はすでに昨日出したので、残りの虫についてです。特に目立った虫はいなかったのですが、初登場の虫もちらほらいました。

今日はまずはカメムシからです。



こんなサシガメがいました。廊下の壁のちょっと手の届かないところに止まっていたので、望遠で撮ったら赤い部分がちょっと分かりにくくなりました。でも、たぶんクビアカサシガメですね。私は初めて見たのですが、「日本原色カメムシ図鑑第1巻」を見ると、本州から九州まで分布していると書いてあるので、普通にいるのでしょうね。コナラ、クヌギなどの樹上で生活し、鱗翅類の幼虫などを捕食するとのことです。



これはヒゲナガサシガメですね。こちらはこれまで6月から9月にかけて何度か見ています。



これはブチヒゲカメムシですね。外ではよく見るのですが、実は、「廊下のむし探検」初登場です。廊下にいたのですが、だいぶ弱っていました。



どうやらクサカゲロウが何種類か廊下に来ているようです。これは採集してきたのですが、スズキクサカゲロウでした。





スズキクサカゲロウかなと思って、写真だけ撮って採集しませんでした。後で写真を見ると、どうやら以前教えていただいたイツホシアカマダラクサカゲロウのようです。これは失敗!どうも、観察力がないみたいですね。



次はこのチャタテです。以前、翅の模様からスジチャタテだとしていたのですが、もう一度きちんと確かめるために今回は採集してきました。でも、毒瓶に入れておいたら、翅がくちゃくちゃ。それで、消毒用エタノールに入れて観察しました。そして、いつものように次の論文の検索表で調べてみました。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991). (こちらからダウンロードできます)

まず、チャタテ科は間違いないと思います。でも、種への検索の最初のところでいつもつかえてしまいます。検索表の最初には「小顎髭の端節は幅の2倍より短い。触角は前翅長の約2倍」という項目があります。対する項目は、「小顎髭の端節は幅の約2.5倍。触角は前翅長の1.5倍まで」です。小顎髭の長さが幅の2倍か2.5倍かというのはなかなか微妙です。更に、触角は上の写真ではあまり長くないみたいですが、実は先端が切れてしまっていました。

スジチャタテの方に進むには前者を選ばなければならないので仮にそちらを選ぶとすると、次に迷うのは、「縁紋の後縁は尖る」という項目です。これがよく分かりません。だけど、これを選ばないとスジチャタテにはたどり着きません。というので、もう少し調べてみます。チャタテもなかなか難しいですね。



ガガンボが変わった止まり方をしていました。翅に模様があるし、これは分かるだろうなと思って、図鑑やらネットを調べたのですが、結局、分かりませんでした。



大きさからはクロオオアリの♀だと思うのですが、最近見る個体は何となく翅が着色しているようです。(追記:フッカーSさんから、「 クロオオアリの♀だと思われたのは、おそらくクロヤマアリの♀でしょう。クロヤマアリの♀も比較的大きいですが、クロオオアリの♀よりは全然小さいです。飛翔時期はクロオオアリが5~6月頃と早く、クロヤマアリが6~7月となるのですが、今年は暑くて全国的に虫の出が早い傾向なので、クロオオアリもクロヤマアリも前倒しになってる感があります。羽アリは雨後によく出るので、雨の多い6月は上手くするといろんな種類の羽アリが日替わりで見られます(笑)。」というコメントをいただきました。やはりクロオオアリではなかったのですね。ちなみに、床の帯状の模様の幅が3mmなので、それから推定すると、体長は11.7mmくらい、前翅長は10.5mmくらいでした)(追記:フッカーSさんから続いて、「体長が12ミリ近いなら、ハヤシクロヤマアリ♀の可能性もありますね。クロヤマアリの場合、有翅メスの通常の体長は10ミリほどです。腹部背面を見て、第2節の真ん中あたりに立毛が何本かあればクロヤマアリ、ほとんど見えなければハヤシクロヤマアリになると思います。」というコメントをいただきました。どうも有難うございました。今度見つけたら調べてみたいと思います



トビケラですが、動き回ってなかなか止まりません。最後は溝の隅にこんな格好で止まってじっとしています。名前は分かりませんが・・・。



よく見るカミキリだと思っていたのですが、トゲヒゲトラカミキリとは模様がちょっと違うようです。エグリトラカミキリは翅端に刺があるのですが、それがありません。むしろ、翅端が裁断状でないのが不思議です。結局、よく分からずじまいです。



これはフタモンウバタマコメツキです。オオフタモンウバタマコメツキの本土亜種ですね。



最後はクモです。これはコカニグモです。カツオブシムシをくわえているようです。



オチバカニグモの仲間なのですが、名前はわかりません。



最後はシャコグモです。この間見たのが♂だったのですが、これは♀の方ですね。

廊下のむし探検 小さな蛾が多い

廊下のむし探検 第610弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。昨日はあまり目立った虫はいなかったのですが、何となく小さな蛾が多かったですね。



今日の最初はこの蛾です。ケンモンかなと思って図鑑を探してみたら、やはりケンモンヤガ亜科でした。シロフクロケンモンといいます。「廊下のむし探検」初登場です。昔作った標本箱を見てみたら、7月に採った1匹だけが入っていました。あまり数は多くはなさそうです。「標準図鑑」によると、北海道から九州まで分布し、6月から9月に出現だそうです。



あまり特徴がないのですが、翅にいくつか黒い点があります。これはホシホソバといってヒトリガ科の仲間です。「廊下のむし探検」でも5月から9月にかけて何度か見ています。



これはアカスジシロコケガです。そういえば、この種は♂と♀では模様が少し違っていたのですね。これは♂の方ですが、♂には性標があるというので、昨年の秋調べたことがありました。詳しくはこちらをどうぞ。



これはマエグロホソバです。やはりヒトリガ科ですね。



これはたぶん、キヒメシャクですね。これも「廊下のむし探検」初登場です。



外横線にはっきりしていて鋸歯があるので、たぶん、ウスキヒメシャクですね。



これはクロスジアオナミシャク



それにウスキヒメアオシャク



これには似た種があるので、ちょっと迷いました。ヒメクロミスジノメイガ、マエウスキノメイガ、クロミスジノメイガです。翅の色とか、筋がはっきりしていることなどから、たぶん、ヒメクロミスジノメイガだと思います。



これはオオウスベニトガリメイガですね。



ニジュウシトリバだと思って、一応、「標準図鑑」を見てみると、和名と属名が変更されていました。和名はマダラニジュウシトリバで、属名はAlucitaからPterotopteryxに変わっていました。ただ、説明を読むと属名についてはまだ検討が必要みたいです。



これはカクバネヒゲナガキバガ



そして、ウスヅマスジキバガです。後の虫は次回に回します。

廊下のむし探検 蛾、ゴキブリほか

廊下のむし探検 第609弾

先ほどの続きです。先ほどは甲虫とクモを出したので、その他の虫を出します。



今日の最初はこの蛾です。この蛾を見ると、すぐにモリヤママドガという名前を思い出しますが、現在はギンスジオオマドガという名前になっています。「大図鑑」を見ると、以前はHerdonia osacesalisという種が日本産に該当するとして、モリヤママドガという和名があてられていたのですが、H. osacesalisはインドから中国に分布する種で、日本産とは別種ということで、H. margaritaに学名が改められ、ギンスジオオマドガという和名がつけられたとのことでした。昨年も6月11日に見ていました。本当に同じ頃に出てきますね。



スカシカギバは最近よく見ますね。今日は廊下の天井に止まっていました。



ヒメウコンカギバとの違いがよく分からないのですが、一応、ウコンカギバということにしておきます。



これはウスヅマスジキバガだと思います。小さい蛾ですが、よく見かけます。



模様がはっきりしないのですが、たぶん、ミダレカクモンハマキではないかと思います。



これもはっきりしないのですが、ニセオレクギエダシャクあたりだと思います。



最後はギンバネヒメシャクかな。



チャバネゴキブリのような格好ですが、胸背にある特有の模様がありません。おかしいなと思って調べてみたら、どうやらヒメクロゴキブリという種のようです。大きさは翅の先端まで10.7mm。実は、昨年の5月31日に正体不明の虫として紹介しました。この時に教えていただいたのがヒメクロゴキブリでした。ただ、この時は翅に白い筋がいっぱい入っていたのですが、これはないですね。どうしてでしょう。



これはヒメホシカメムシです。



アカマダラカゲロウは小さくて可愛いので、ついつい撮影してしまいます。これは目が大きいので♂ですね。



ウロコチャタテ、久しぶりですね。昨年6月8日に初めて見てから、ずいぶんたくさん見かけるようになりました。それまではいることすら知らなかったのですが・・・。昨年は翅を顕微鏡で拡大して、鱗のような鱗片がいっぱいあることなどを調べたのでしたね。ちょっと懐かしくなりました。







羽アリもいろいろな種類がいそうですね。真ん中の写真の個体は翅が片方だけ取れていました。

廊下のむし探検 オオタコゾウムシなど

廊下のむし探検 第608弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。最近はなぜか虫の数が少なくて、写真整理が楽になってきました。でも、そこそこ面白い虫は登場しています。



今日の最初はこのゾウムシです。あまりぱっとしませんが、何となくアルファルファタコゾウムシと似ています。でも、「原色日本甲虫大図鑑IV」を何度見ても同じ模様の種は載っていません。諦めて、「タコゾウムシ」で画像検索をしてみると、それらしい種に行き当たりました。オオタコゾウムシです。もしそうならば、オオタコゾウムシは南ヨーロッパの原産の外来種で、1978年に横浜で見つかってから全国的に広がったようです。最初の発見については次の報告に載っていました。

N. Watanabe, Appl. Ent. Zool. 14, 494 (1979). (ここからダウンロードできます)

これによると、横浜のクローバーで覆われた丘の上で、ゴミに隠れていたところを見つけたそうです。オオタコゾウムシは学名ではHypera punctataといい、英語名はclover leaf weevilです。その名の通りクローバー類を食草としています。私のマンションの近くにクローバーはあったかなぁ。



地下駐車場の天井に止まっていました。やけに触角の長い種です。図鑑を見ると、カラフトモモブトカミキリとか、ヒゲナガモモブトカミキリに似ていますが、両方とも生息地が北海道です。説明を読むと、ヒゲナガモモブトカミキリの日本産亜種が本州、四国、九州に生息するので、そちらの方かもしれません。



この間、クロツヤヒラタゴミムシではないかと思った種です。この日は寸法を測ってみました。例によって寸法のついたテープを近くに貼り付けて、こんな風に撮ります。



下が凸凹しているので、テープも曲がって正確には測れませんが、まあまあ測れるのではないかと思っています。ImageJで計測したところ、体長は12.4mmになりました。図鑑によると、クロツヤヒラタゴミムシの体長は10.5-14mmなので、一応、範囲には入っていました。



これはオオニジゴミムシダマシかな。



これはキマワリだと思うのですが、翅が片方伸びていませんね。



例によってハネカクシもいました。以前、少し教わったのですが、種類数が多すぎてなかなか名前調べをする元気が出てきません。

ついでにクモも出しておきます。



アオオビハエトリがアリを捕まえていました。カメラを近づけると、必ず、第1脚を上げてこんな格好をします。





ウデブトハエトリがまたいました。触肢の先が太いので♂の方ですね。



最後はこのクモです。拡大して目の配置を見てみると、何となくエビグモかなと思って図鑑を見たところ、シャコグモに似ています。たぶん、シャコグモかその近くの種でしょうね。

廊下のむし探検 クサカゲロウ、甲虫など

廊下のむし探検 第607弾

朝の続きで、一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。「むし」はいろいろといたのですが、この日のトピックスはこのクサカゲロウでしょう。



たぶん、この間逃したのと同じ個体だと思いますが、顔に斑紋のないクサカゲロウです。というのは、ダニが同じ場所についていたので・・・。今回は無事に採集できました。検索の結果、最終的にムモンクサカゲロウとマボロシクサカゲロウが残るのですが、この二者を分ける決め手は大顎が対称か非対称かという点です。



それで顔を拡大してみたのですが、どうも大顎が見えません。



こちらはヨツボシクサカゲロウの顔ですが、黒い大顎が見えていますね。たぶん、上の写真の個体では大顎は口の中に隠れてしまっているのだと思います。どうしようもないので、他の性質も調べてみました。それによると、限りなくマボロシクサカゲロウに近い感じですが、決定的な違いが大顎の片方だけに歯があるかどうかなので、断言はできませんでした。まぁ、マボロシクサカゲロウ(?)というところですね。それにしても、クサカゲロウも種類によってだいぶ顔つきが違いますね。



その他の虫です。この羽アリは以前教わりましたね。頭が大きいので、たぶん、クロオオアリ♀でしょうね。確かに触角も柄節で折れ曲がっています。



こちらもそうかな。



これはモリチャバネゴキブリですね。森に住んでいるといっても何となく嫌ですね。



それにこの間取り上げたヒシウンカです。





地下駐車場の天井に止まっていました。何の気なしに撮影してしまったのですが、家に戻ってから、「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」を見てみると、コロギス科のハネナシコロギスという種に似ています。コロギス科は初めてだったのに、いい加減に写してしまいました。廊下を回ってから最後に地下駐車場に行くので、どうもいい加減になってしまいますね。



この蚊はやはりヤマトヤブカでしょうね。



次は甲虫です。このハムシ、この間からでていますね。この日は体長を測ってみました。体長は3.5mmでした。たぶん、アオバネサルハムシだと思うのですが、どうでしょうね。



これはゴミムシですね。今日は琵琶湖博物館のWEB図鑑「里山のゴミムシ」でじっくり調べてみました。といっても、結局、絵あわせなのですけど・・・。最終的にクロツヤヒラタゴミムシかなというところまで行ったのですが、これもどうでしょうね。



ナナホシテントウ



コメツキが今にも飛びそうに翅を広げたり閉じたりしていました。飛び立つ瞬間を撮ろうと待ち構えていたのですが、結局、飛びませんでした。相変わらず名前は分かりません。



アカハラクロコメツキかなと思って、ひっくり返してみました。



いつもだったら一瞬で飛び上がるのですが、この日は飛び上がらずにもがいていました。お陰で、腹の写真も撮ることができました。



ズグロオニグモですね。ズグロというのがよく分かりますね。



それにコカニグモですね。



最後はむちゃくちゃ小さなクモを試しに写してみました。名前は分かりませんが・・・。
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