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廊下のむし探検 チャタテ、甲虫など

廊下のむし探検 第597弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。最近は虫を詳しく調べるので、時間がかかって仕方がありません。でも、詳しく調べると知らないことがいろいろと分かってくるので、だんだん楽しみになってきました。今日の最初のターゲットはこれです。



触角が長いので、全体を入れるとこんな風になってしまいます。体の部分をもっと大きくしてみると、



こんな変わった虫です。そう、チャタテムシですね。広辞苑を見ると、障子などに止まって大顎で紙を掻くことがあり、その微音が茶を立てる音に似るので名づけられたと書いてありました。「廊下のむし探検」をするまでは全く知らなかった虫ですが、一度気が付くと、マンションにはいろいろな種類のチャタテがかなりの数来ていることが分かりました。この写真の個体は前翅長が6.5mmくらいのやや大きめの種です。頭部に面白い模様があります。これを手がかりに「原色昆虫大図鑑III」の図版を見てみると、リンゴチャタテ、オオスジチャタテなどが含まれるPsococerastis属あたりが似ています。これで、ちょっとやる気が出てきて、一度検索をしてみようと思い立ちました。

チャタテムシの検索表は次の論文に載っています。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991) (ここからダウンロードできます)

ざっと検索をしてみると、若干曖昧な点もあるのですが、なんとかかんとかPsococerastis属にたどり着きました。たぶん先入観もあるのでしょうけど・・・。検索表のその部分を抜書きしてみると次のようになります。



見るからに長い長い道のりですね。顕微鏡写真をまだ撮っていないので、先ほどの写真から翅脈の部分だけをお見せすると次のようになります。



まず、亜目の検索では下唇鬚と舌の硬糸がよく分からないのですが、それ以外の触角の節数と跗節の節数からチャタテ亜目になりました。その次の科の検索では、上の写真の中の番号が検索項目に対応しているのでだいたい分かると思います。⑧と⑨の矢印で示した脈が、中脈(M脈)と後小室の一辺が融合した形になっているのが特徴のようで、結局、チャタテ科になりました。最後は属と種への検索です。まず、⑩の小顎髭の端節は実測すると幅の2.1倍に、触角は前翅長の1.8倍になりました。若干違うのですが、別の道を選ぶと翅が褐色の種になってしまうので、このまま進むことにします。⑪については図に番号を書き入れていますが、確かに60度くらいの角度で分岐しています。ということで、とりあえずPsococerastis属になりました。

Psococerastis属の種への検索は基本的に翅の色と模様で行います。まず、この個体では翅はほぼ透明です。その次の縁紋の後縁が尖るというところはよく分からなかったのですが、対応するP. tokyoensisは翅に広く褐色の模様があるので除外できます。さらに、この個体では褐色の模様が小さいので、結局、P. maliという種にたどり着きました。この種はリンゴチャタテという和名を持っていて、最初に目をつけた種と一致していました。合っているかどうかは分かりませんが、「原色昆虫大図鑑III」によると、「本州では山地のみから得られる。7-9月に出現、灯火によく飛来する。」とのことです。私の住んでいるところは平地と山地の中間的なところなので可能性はあるのではと思っています。



次はこの種です。リンゴカミキリの仲間でしたね。ただ、これも似た種が多くて名前調べは大変です。近畿地方に住んでいそうな種は、リンゴ、ソボリンゴ、ヒメリンゴ、ホソキリンゴ、ニセリンゴ、シラハタリンゴなどがあります。それで、一応捕獲して調べてみました。



まず、前翅で黒い部分が肩を覆うかどうかで2つに分かれます。写真右の上の矢印の部分です。この個体は肩を覆っているので、リンゴとヒメリンゴが除かれます。次は腹部の節の色ですが、ホソキリンゴは第1~3節が黒く、シラハタリンゴの♂は第5節中央後方、♀は先端に三角形の黒紋があるというので除けます。ということで、第5節だけが黒くなるソボリンゴとニセリンゴが残ります(写真左の矢印)。後は、ニセリンゴは翅端が尖るのですが、右矢印のようにこれは尖っていません(写真右の下の矢印)。さらに、ソボリンゴの方が全体に細長い形なので、たぶん、ソボリンゴカミキリでよいのではと思います。

その他の甲虫です。



翅の先が尖っているので、エグリトラカミキリでしょうね。



この手のハムシがこの間から出ているのですが、なかなか名前が決められません。今回はアオバネサルハムシに似ているような気がしたのですが、どうでしょう。



虹色に光る綺麗な甲虫ですね。たぶん、オオニジゴミムシダマシかなと思います。(追記2015/07/24:触角からナガニジゴミムシダマシのようです



それにクチキムシでしょうね。



キアシカミキリモドキですね。



これはアカハラクロコメツキだったかなぁ。ひっくり返すのを忘れてしまってよく分かりません。(追記:過去の写真と比較してみたのですが、たぶん、アカハラクロコメツキだと思います



甲虫の最後はこのコクワガタです。こんなに早く出てくるのかなぁと思ったのですが、過去のデータを見ると、初見日は一昨年が5/30、昨年が6/4だったので、ちょうど今頃だったのですね。



その他の虫です。これはホソバヒメカゲロウだと思います。ヒメカゲロウもこれまで文献を調べたことがなかったので、今度一度調べてみます。



マンションのエレベータホールにいました。かなり弱っているのか、飛べません。翌日見てみたら、同じ場所で死んでいました。一応、採集してきていろいろと眺めていたのですが、どこに特徴があるのかよく分かりませんでした。とりあえず、毛の色から、これはコマルハナバチ♂のようです。



クロオオアリの♂ですね。ちょうど翅を広げていたので、写してみました。

最後はクモです。



色のはっきりしているクモがいました。「日本のクモ」で探してみると、ワシグモ科のホシジロトンビグモが似ています。



アオオビハエトリだと思いますが、だいぶ毛が抜けてしまっていますね。



アシナガグモも全体を写そうとすると体の部分が小さくなってしまいます。その部分を拡大すると、



こうなります。この手のクモには、ウロコアシナガグモとエゾアシナガグモという似た種がいるのですが、♀では区別がつかないとのことです。この個体の触肢の先が細いので♀ですね。
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廊下のむし探検 珍客来訪

廊下のむし探検 第596弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日はこんな珍客がやってきました。



ウラゴマダラシジミです。ゼフィルスの一種ですね。昔、箕面市止々呂美というところで見たことがあったのですが、私の家の近くでは初めて見ました。地下駐車場にちょっと大きめのルリシジミがいるなと思ったらこのチョウでした。近づいても意外に逃げません。でも、写真を撮っているとそれが嫌なのか、ちょっと移動して、また止まりました。



もう一つはこのチョウです。止まっていると真っ黒なのですが、翅を開くと、



こんなに綺麗でした。ヒオドシチョウです。この日は実に3匹も見ました。マンションでこんなにいるということは、今年大発生しているのではないでしょうか。ちなみに下の字はトランクルームの表示板です。一生懸命に何かを吸っていますが、以前、コメントをいただき、ミネラルを吸収しているとのことでした。

後は蛾の仲間です。



廊下に止まっていました。ウンモンスズメですね。夕方、この蛾を透明パックに入れて持って来られた親子連れの方がおられました。名前を聞きに来られたのですが、その時、ちょっと間違って答えてしまいました。スズメガは昼間飛び回って、ホバリングしながら花の蜜を吸うので長い口吻を持つと説明したのですが、小学館の「昆虫の図鑑」によると、ウンモンスズメは「夜活動し、朝、あかりの近くにいる。口の長さは6mm。」と書いてありました。こういうことは子供用の図鑑の方が詳しいですね。



ホシヒメホウジャクですね。これは地下駐車場の天井にぶら下がっていました。



前日もいたネスジシャチホコです。



それにヨツボシホソバです。これも地下駐車場の天井に止まっていました。



これはイナズマコブガですね。廊下の壁のちょっと高いところに止まっていたので、腕を伸ばして撮りました。



前日もいたのですが、これはプライヤキリバです。晩秋や早春に見る時と違って色が濃いですね。



これはヒロバウスアオエダシャク



腹部をギュッと曲げた格好で止まっています。こんな格好で止まる蛾もときどきいますね。これはウストビモンナミシャクです。どうしてこんな格好をするのでしょう。



それにクスアオシャクです。(追記2015/06/30:キマエアオシャクの間違いでした



これはウコンカギバだと思うのですが、ヒメウコンカギバとの区別はつきません。



これはコガタシロモンノメイガですね。小さい蛾ですが、この日は2匹いました。



これはクロフタオビツトガかなと思います。



それにキムジノメイガ





ハマキガの仲間です。たぶん、上はミダレカクモンハマキの♂で、下はその♀ではないかと思います。ハマキガは皆似ていてよく分かりません。



最後はトリバガです。翅の中間に逆三角形の鱗粉塊が見えるので、たぶん、ブドウトリバかなと思うのですが、図鑑を見るとイッシキブドウトリバという種もいて区別がつきません。どれも難しいですね。

廊下のむし探検 奇妙な虫ほか

廊下のむし探検 第595弾

最近、外出することが多くてまた名前調べが滞ってきました。3日前の「廊下のむし探検」の結果です。この日は奇妙な虫がマンションの外壁に止まっているのを見つけました。



体長は12.2mm。とにかく平ぺったくて壁にくっついています。たぶん虫なのでしょうね。何を調べてよいのか分からないので、とりあえずいろいろな検索ワードで画像検索をしてみました。翅が短いのでおそらく幼虫かなと思い、また、何となくグンバイムシに似てそうだと思って、「グンバイムシ 幼虫」で検索するとおよそ形の違う虫が出てきます。諦めていたのですが、今朝、思い直して、「平ぺったい幼虫」という、実にいい加減なワードで検索してみました。そうしたら、出てくるわ出てくるわ。どうやらカメムシ目のミミズクの幼虫みたいです。でも、みなさんこの虫を表現するのに「平ぺったい幼虫」とするのですね。ちょっと面白くなりました。ただ、「ミミズクの幼虫」から先へはほとんど情報がありません。幼虫は名前を調べるのが難しいですよね。(追記:東北森林管理局の朝日庄内いきもの図鑑昆虫(カメムシ目)にミミズクLedra audituraの幼虫の写真が出ていますが、これにかなり似ています。

加藤正世、「日本産耳蝉科(Ledridae)に就いて」、動物学雑誌 43, 431 (1931).

によれば、Ledra属にはミミズクほか2種が載っていますが、この論文での日本には台湾を含んでいるので、現在の日本産についてはミミズクだけでした。他の属を見ていないので何とも言えないのですが、一応、ミミズク(?)ということにしておきます






相変わらず廊下をハチが飛び回っています。おそらく、ウツギヒメハナバチだと思うのですが、何とかそれを確めたくて、今日は「日本産ハナバチ図鑑」にある検索項目の整理をしてみました。



ミツバチ上科ハナバチ群から出発して、ウツギヒメハナバチが属するCalomelissa亜属までは全部で16項目を調べなければいけません。先日、ざっと検索をしてみたのですが、⑮あたりがややはっきりせず、ちょっともやもやで終わってしまいました。この亜属に到達できると、後はアマミ、ウツギ、コガタウツギの3種に絞られるので、比較的簡単に種まで辿り着くのではと思っています。それにしても、検索項目に用いられている単語は難しいですね。でも、この図鑑では各々の項目に拡大写真をつけているので、かなり分かりやすくできています。ただ、所々ないものもあって苦労しますが・・・。今度、じっくり調べてみたいと思います。



これはこの間、蜂屋さんに教えていただいたアリガタバチですね。採集しようと毒瓶を近づけたらさっと逃げられてしまいました。アリガタバチは何となく「有難いハチ」みたいで嬉しいのですが、たぶん、蟻型バチなのでしょうね。



複眼がやけに大きく見えます。何だろうと思ったのですが、かすかに見える腹部の縞模様からみると、ホソヒラタアブ♂なのでしょうね。



最近のテングチョウとハチ騒ぎでラクダムシはすっかり忘れされていました。蛇の鎌首のように頭を上げているので写してみました。





キイロトラカミキリ、今日は3匹いました。このカミキリは綺麗でいいですね。一昨年、昨年と初見日は6/14と6/4でした。やはり今年はだいぶ早いですね。



天井の隅にいたのでフラッシュ光量が足りなく黒っぽく写ってしまいました。たぶん、ミドリカミキリかなと思うのですが、よく分かりません。近くにもう1匹いました。



キボシツツハムシです。この虫も綺麗でいいですね。





○○サルハムシといいそうな、小さなハムシの仲間です。ちょうど2種いるからと思って勇んで図鑑を調べたのですが、図版を見れば見るほどだんだん分からなくなってしまいました。というわけでギブアップです。



これは昨年5/30にも見ていました。キベリコバネジョウカイですね。これもマンションの外壁についていました。



後はよく見る甲虫です。これはサビマダラオオホソカタムシですね。



これはキマワリかな。



例によって名前の分からないコメツキ。



最後はこのゾウムシです。似た種があっていつも名前が決められません。ただ、小盾板に光沢のある縦筋がないようなので、ひょっとしたらマツノシラホシゾウムシかなと思って採集してきました。これから少し顕微鏡で眺めてみます。

廊下のむし探検 蛾とクモ

廊下のむし探検 第594弾

一昨日の「廊下のむし探検」のうち、嫌われ者の蛾とクモについてです。6月に近づくと蛾がどんどん増えてきます。この日も目立ったものだけで20種。名前調べも大変ですが、蛾は昔、集めていたことがあったので、その分、ちょっとだけ気が楽です。



目立つ色の蛾ですね。触角を後ろに伸ばしているのでノメイガでしょうね。図鑑で探すとすぐに見つかりました。クロスジノメイガというのですが、実は私は初めて見ました。図鑑によると全国的に普通種みたいですが・・・。



前日、壁にとまっていたカギバアオシャクが床に降りてきていました。かなり大きな蛾です。近くで撮影出来たので、もう一度載せておきます。



アオシャクも似た種が多くて難しいですが、この蛾の外横線と内横線は独特の曲線を描いています。腹が赤くなる種にはハラアカアオシャクとか、ホソバハラアカアオシャクとかいろいろいるのですが、これはハラアカヒメアオシャクではないかと思いました。「標準図鑑」によると、「関東以西に産するが、非常にまれな種である。」と書いてあります。これを見て、ちょっと自信がなくなりました。



腹を持ち上げた独特の止まり方をしています。ヨコジマナミシャクです。よく見ている気がしますが、この2年間で昨年の6月1日に見ただけでした。



これはセスジナミシャクです。いつもこの模様の複雑さに感心するのですが、今回のはだいぶ破れてしまっていますね。



これはいつものマエキトビエダシャクではなくて、オオマエキトビエダシャクの方です。これもよく見る感じなのですが、記録を見ると一昨年の4月に2匹見ただけでした。意外に少ないのですね。





地下駐車場にスズメガが2匹ぶら下がっていました。上がコスズメ、下がウンモンスズメですね。スズメガというと、昼、花の前でホバリングする姿を思い浮かべます。飛びながら、長い口吻を伸ばして花の蜜を吸っているのです。でも、「標準図鑑」をみると、口吻が発達するのは、スズメガ科の中のスズメガ亜科とホウジャク亜科だけで、ウチスズメ亜科の口吻は退化する場合が多いそうです。ちなみに、コスズメはホウジャク亜科で、ウンモンスズメはウチスズメ亜科に属しています。



これはネスジシャチホコではないかと思います。



凝った模様のアミメケンモン



何かごつい感じの蛾なので、何だろうと思ったのですが、翅の形はプライヤキリバですね。6月発生というので、新しく出てきた個体かもしれません。



これはシマフコヤガですね。



それにクロシタキヨトウ

まだ他にもいろいろといたのですが、蛾はこのくらいにして、次はクモに移ります。





この日はハエトリが2種いました。上がミスジハエトリ、下がチャスジハエトリで、ともに♂ですね。クモの中ではハエトリはまぁまぁ好きな方です。よく見るとなかなか凝った模様をしています。

廊下のむし探検 ハナバチの顔ほか

廊下のむし探検 第593弾

最近、マンションの廊下にたくさんのハチが飛び回っています。管理人さんが、「芝生を刈る作業をしているので、ひょっとしたらハチの巣でも壊したのかも」と聞きに来られました。「これはウツギヒメハナバチというハチで、地面に穴を掘るハチなので大丈夫ですよ。」と答えたものの、本当にウツギヒメハナバチなのかどうか心配になってきました。それで、今日はちょっと調べてみました。



先日も出した、こんな写真のハチです。ついでにハチの勉強もしてみようと思って、顔を拡大してみました。



多田内修、村尾竜起著、「日本産ハナバチ図鑑」(文一総合出版、2014)を参照にして各部に名前を付けてみました。間違っているかもしれないので、そのつもりで見てください。変わった顔をしていますね。顔孔という大きな凹みがあるせいでしょうか。

ヒメハナバチ科に至る検索項目に、「触角下溝は2本」という項目があります。この写真をいくら見ても、どれが触角下溝なのかさっぱり分かりません。上の写真はハチをトレーシングペーパの筒で囲み、周りからLEDリング照明で照明して写したものです。こうすると、光る部分が抑えられ、全体にうまく写ります。でも、触角下溝を撮影するにはむしろ積極的に面を光らせた方がよいかもと思い、実体顕微鏡についているLED照明で直接照らして撮影してみました。刷毛で花粉を落とし、撮影したのが次の写真です。



こうすると、触角の下に2本ある触角下溝をはっきりと写すことができました。写真の赤い矢印で示した線がそれです。本に載っている検索表を使って検索すると、上のハチはヒメハナバチ科になり、さらにヒメハナバチ属までは簡単に進みます。その先の亜属の検索はなかなか厄介です。紆余曲折しながら、やっとウツギヒメハナバチが属しているCalomelissa亜属になったのですが、まだ、はっきりとはしていません。ただ、ウツギヒメハナバチは、大きな顔孔、頭盾は平らで下端が反り返る、前伸腹節三角域の外縁は外側にふくらむ、などの特徴をもっていますが、それらの部分はよく合っています。たぶん、間違いないと思うのですが、もう少し検討が必要です。






こちらはセイヨウミツバチでしょうね。



そして、これはハチではなくてアブの方です。たぶん、アシブトハナアブだと思います。



最近、よく見ますね。頭が小さいので、たぶん、クロオオアリの♂でしょうね。以前、♂アリは触角を曲げないでまっすぐ伸ばすというコメント頂いたのですが、確かに触角を前にまっすぐ伸ばしています。



次は甲虫です。これはキクスイカミキリですね。



このゾウムシは採集してきました。検索表で検索してみると、いつものケブカクチブトゾウムシみたいです。



下の帯状の出っ張りの幅が3mmなので小さいことが分かりますね。たぶん、サクラサルハムシではないかと思いますが、自信はありません。(追記2015/06/30:アオバネサルハムシではないかと思われます





チャタテが2種いました。どちらも小さいのですが、名前はまだ分かりません。



次はクモです。これはキンイロエビグモです。脚がずいぶん少ないですね。



色が黒っぽいのですが、アオオビハエトリだと思います。



最後はこのカニグモです。よく見かけるのですが、見れば見るほど自信がなくなってきて、よく分からなくなりました。クモって難しいですね。

虫を調べる カクモンヒトリとスジモンヒトリの比較

先日来、ささきさんにカクモンヒトリ、スジモンヒトリ、セスジヒトリの詳しい説明をしていただいたので、少し勉強のために手元にある標本で違いを確かめてみました。まず、それぞれの生態写真です。







かなり古い写真もあるので見づらいと思いますが、ご容赦ください。斑紋に若干違いがありますが、全体的には似ていることが分かりますね。

この3種の違いについて、「日本産蛾類標準図鑑」と「日本産蛾類大図鑑」で調べてみると次表のようになります。



いずれもあまり詳しくは書いていないのですが、スジモンは前翅前縁基部に黒条があること、セスジは胸背に黒色縦線があること、カクモンは♂♀で翅の色が違い、また、♂の触角に長い櫛歯があることなどが書いてありました。手元の標本でこの辺りを確かめてみたいなと思ったのですが、残念ながらセスジの標本がありません。それで、とりあえず、標本のあるカクモン♂とスジモン♂を較べてみます。





カクモンの翅の色は黄色で、前翅前縁に近い部分に黒紋があります(矢印)。ささきさんの言われるように黒紋はやや大きく、周辺がぼけたような感じになっています。また、この個体にはセスジのように胸背に黒色縦線があります(矢印)。一方、スジモンはカクモンに比べると色が赤っぽく、明らかに翅の細長いことが分かります。また、前翅前縁基部に黒条があります(矢印)。この両者の触角も比較してみます。



上がカクモン、下がスジモンですが、「大図鑑」に書かれているように、カクモンの触角には恐ろしく長い櫛歯があります。よくみると、この櫛歯の先端にさらに細い毛がでて、また、横にも細い毛がたくさん生えて全体に網目のようになっています。これに比べて、スジモンの櫛歯は短いですね。でも、細い毛はいっぱい生えています。

次に♀を比較したかったのですが、あいにく、スジモン♀の標本がありませんでした。その代わり、カクモン♀だと思っていた個体に2種類あることが分かりました。





仮にこれをカクモンAとカクモンBということにしておきます。翅の色から言えば、図鑑に書かれている説明とはカクモンBの方が合っているような気がします。斑紋は個体変異が大きいということで気にしないとすれば、翅の色だけでなく腹端の色も違います。ちょっと触角を見てみます。



これは触角を外側からほぼ同じ向きで見たところです。ともに鋸歯状なのですが、カクモンAは鋸歯が太く短い感じです。鋸歯には鱗粉が横向けについているので、余計に太く感じます。一方、カクモンBの鋸歯は細くて尖っていて、また、その手前に白い鱗粉列があります。このように若干の違いがあるので、カクモンだと思っていたのですが、どちらかが別種なのかもしれません。そう思って図鑑を見てみたのですが、該当する種が見当たらなくって・・・。個体変異の範囲なのかなぁ。(追記:「標準図鑑」を見直していたら、カクモンAはスジモンに似ている感じです。スジモンにも黒条のないものがあるみたいですね(2-026-15)。キバネモンにも少し似ているような

追記:ささきさんから、「カクモンヒトリA♀はご指摘のとおりスジモンですね。腹部の先端にもご注目ください。カクモンの♀の腹部先端はまるでドクガのようです。なぜなんでしょうね? ちなみにキバネモンヒトリの場合は前翅の幅が広く、展翅標本ではカクモンのような四角い感じになります。大きさはカクモンとスジモンの中間ぐらい。北方系の種で、近畿には分布していないと思います。」というコメントをいただきました。いつも詳しい説明をしていただき、大変有り難うございます。勉強になります

標本が十分揃っていないのですが、雰囲気は少しだけ分かったような気がします。いずれにしても、3種の♂♀の標本が欲しくなってしまいました。

廊下のむし探検 ハチ、テングチョウ、それに蛾がいっぱい

廊下のむし探検 第592弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日の廊下はハチとテングチョウが飛び回っていました。



テングチョウがマンションの廊下にたくさん現れたのは、一昨年も昨年も5月30日でした。今年はちょっと早めでしたが、それでもほとんど同時期ですね。昨年はあまりに大量に発生したので、廊下を歩くのもテングチョウをかきわけかきわけ歩くような感じでした。今年はどうなるでしょうね。



もう一種、廊下で飛び回っていたのはこのハチです。たぶん、ウツギヒメハナバチだと思いますが、一昨年は5月26日、昨年は5月30日に飛び回り始めたという記録が残っていました。ちょっと顔を見てみますね。



頭楯が白くないので、これは♀の方ですね。脚の茶色い毛のところに花粉をいっぱいくっつけます。何か特殊な構造になっているのでしょうね。



事実、こんなに花粉をつけているハチもたくさんいました。このハチ、普段はマンションの周りの芝生地の土に穴を開けて、中で花粉団子を作るはずなのですが、今時期、マンションの高階にも大量にやってきます。その理由がよく分かりません。やってくるのは♀が多いのですが、♂もいます。折角、花粉を集めてきたのだから、早く穴に入って花粉団子を作れば良さそうなのですが・・・。

後はこの日見た蛾です。



大型のアオシャクです。模様も凝っていますね。これはカギバアオシャクといいます。「廊下のむし探検」初登場です。蛾は一般に苦手なのですが、なぜかアオシャクの仲間にはそれほど恐怖心をいだきません。



こちらはホソバハラアカアオシャクだと思います。これも綺麗な蛾ですね。



ハグルマエダシャクもたくさん出てきました。やはり6月が近づくと蛾が多くなりますね。



廊下の壁に止まっていました。窓のすぐ脇だったので、ちょっと遠慮して斜めからパチリ。これはアトスジグロナミシャクですね。



前翅に黒い2つの点がなくて、外横線が湾曲しているので、たぶん、ツマキリエダシャクだろうなと思うのですが、いつもはっきりしません。(追記:MSWiさんから、「無印ツマキリに比べるとツツジは数が少なめなので、無印でいいのかな。モミジは翅表だけでも一発で分かりますが、無印とツツジは翅裏見ないと正直違いが分からない。翅裏外縁部が地色と同じならツツジ、明らかに茶色っぽくなっていれば無印です。」というコメントをいただきました。でも、翅裏は採集しないとなかなか見れませんね



これはキオビベニヒメシャクですね。フラッシュをたいて写真を撮ると、いつもこんな風につやつやした感じに写ります。どうしてかな。



キアシドクガもいました。外では、今頃、ひらひら飛ぶ姿が見られるかもしれませんね。昨年は6月3日が初見日でした。どれもこれも少し早目にでていますね。そういえば、今日は大阪fでも31度を越えたという話です。本当にもう夏と同じですね。



似た種もいるのですが、たぶん、キシャチホコの方でしょうね。



こちらはホソバシャチホコ



これは何でしょう。ちょっとしたクイズみたいですね。でも、解答が分かりませんでした。(追記:MSWiさんから、「ボロボロの蛾はモンクロギンシャチホコです。鳥にでも喰われかけたんでしょうね。ビークマーク。」というコメントをいただきました。そう言われると、モンクロギンの黒い部分の模様がうっすらと見えますね。私は前縁の赤っぽい色に騙されてしまっていました



これまで天井に止まっていたスジベニコケガが壁に止まっていました。近寄って撮影できたので、載せておきます。



これはクロモクメヨトウですね。



それにテンモンシマコヤガ



変わった止まり方をするスカシカギバがいました。どうして後翅をこんな風に膨らませるのでしょうね。昨年も後ろから撮ったのですが、



今年もパチリ。



最後はオビカクバネヒゲナガキバガです。いつも撮っているのですが、この日は何となく触角が微妙な形をしていたので、また撮ってみました。これでもこの日いた蛾の2/3くらいです。まだまだこの他に常連さんがたくさんいました。

廊下のむし探検 蛾が多い

廊下のむし探検 第591弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日も蛾が多かったですね。



たくさんいるので何から出したらよいか分からないのですが、何となく清楚なこのウスギヌカギバを出したくなりました。記録を見ると例年6月になってから出現してますね。今年はちょっと早いのかな。



これはクビワシャチホコです。「廊下のむし探検」初登場です。ということはこの2年半で初めてということになります。20年ほど前に調べた時には、6月から9月にかけて発生し、8月がピークで、年平均5匹ほど見ていました。最近はちょっと減ってしまったのかな。



次はややこしい種類です。似た種がぞろぞろいます。とりあえず、後翅の斑点が2重になっていそうなので、ユウマダラエダシャクではないかと思いますが、まったく自信はありません。



これはヒロバウスアオエダシャクです。先日もいたのですが、これは模様がはっきりしているのでもう一度載せておきます。前翅後縁や後翅縁毛にピンク色が出ていますね。たぶん、新鮮な個体なのでしょう。



先日から出ているコガタツバメエダシャクです。白で目立つので、どうしても撮影してしまいますね。



廊下の手すりの隅っこに入り込んでいましたが、カブラヤガですね。



これはウスモモイロアツバですが、もうちょっと薄い色だったような気がしたのですが、だいぶ濃い色になってしまいました。



模様がはっきりしないのですが、ソトウスグロアツバかヒロオビウスグロアツバあたりだと思います。たぶん、ソトウスグロアツバの方かな。



これはカシノシマメイガです。昨年は5月25日が初見日でした。ほぼ同じ時期ですね。



触角を前に伸ばした独特の格好をして止まっています。ヒメハナダカノメイガですね。昨年の初見日はやはり5月25日でした。不思議に毎年同じ頃に見ますね。



廊下の溝にいたので、こんな角度からの写真になってしまいました。翅の外縁が黄色くなっているので、キベリトガリメイガですね。いつも夏に見ている記憶があったのですが、記録を見ると昨年は6月1日に見ていました。

次からは蛾以外です。



これはサビマダラオオホソカタムシですね。そういえば、先日、「ホソカタムシの誘惑―日本産ホソカタムシ全種の図説」という本を借りて読んだのでしたね。それでも、これ以外のホソカタムシにはなかなかお目にかかれません。



ちょっと変わったカツオブシムシです。「原色日本甲虫図鑑III」を調べると、チビマルカツオブシムシかミヤママルカツオブシムシあたりというところです。せめて触角が見えると手がかりがあったのですが、この写真では見えません。





クモはなかなか分かりませんね。コモリグモあたりでしょうか。下の写真のクモはかなり大きかったです。(追記:MSWiさんから、「不明蜘蛛の1頭目はエビグモ科のヤドカリグモですね。2頭目は間違いなくコモリグモでしょう、恐らくハラクロコモリグモ。」というコメントをいただきました。上の種はこれまで何度か見ていたので、教えていただき助かりました。どうも有難うございました

廊下のむし探検 甲虫は難しい

廊下のむし探検 第590弾

今日は朝から、以前、採集した甲虫の同定をしていました。でも、とうとうギブアップです。



こんなに綺麗なコガネです。全体が銅色でぴかぴか光っています。早速、先日買ったばかりの「日本産コガネムシ上科標準図鑑」の検索表で調べてみました。まず、ダイコクコガネのような食糞性コガネではないので、食葉性コガネの検索表で検索してみると、スジコガネ亜科になります。次の属への検索表では順調に進んでいけるのですが、一か所だけ♂についての形質を問う項目があって、そこで、つまづきます。これは多分♀の方なので・・・。やむを得ず両方の道を進むことになりますが、このあたりから雲行きがだいぶ怪しくなります。

一方の道を進み、中胸腹板突起はあるので、スジコガネ属ではないことは確かそうです。でも、コガネムシ属の「前胸腹板突起を中基節の間にもつ」と、ナラノチャイロコガネ属の「中胸腹板は基部で分かれる」という項目の内容が分かりません。後者については、スジコガネ亜科の各部の名称の図と突き合わせてみると、中胸腹板は中脚の上側にあるのに、ナラノチャイロコガネの図を見ると、後胸腹板の位置で「基部で2分割され、中央部におおきなくぼみができる」と説明がなされています。さっぱり分かりませんねぇ。でも、たぶん、ナラノチャイロコガネなのかなと思って、説明と見比べてみると、随所に引っかかる場所が出てきました。やはり、これはナラノチャイロコガネではなくて、ウスチャコガネあたりだろうかと思ったりして、そちらも調べてみたのですが、こちらもはっきりしません。この辺りでギブアップです。



ハナムグリ4種の中ではコアオハナムグリだけが腹部が黒いと、先日、教えていただいたので、とりあえずひっくり返してみました。ひっくり返すと腹部の色も中胸腹板突起の形もよく見えますね。で、これは間違いなくコアオハナムグリですね。





片端からひっくり返してみました。皆、黒いです。ということはどれもコアオハナムグリでよさそうです。もちろん、ひっくり返した後はもとに戻してあげていますよ。



これは死んでいたのですが、これも採集してきました。中胸腹板突起がないのは確かなので、スジコガネ属ですね。種の検索はあまり確かではないのですが、たぶん、ヒラタアオコガネかなと思っています。



ゴミムシの仲間は調べていません。さて、何でしょう。





この手のコメツキもひっくり返すことにしています。で、間違いなくアカハラクロコメツキでした。こちらは写真を撮る間もなくもとに戻ってしまいます。



これはシモフリコメツキの仲間でしょうね。



これはよく分かりません。



これもコメツキのようですが、たぶん、オオクロホソナガクチキでしょうね。





両方とも何度か見ていて、上はリンゴコフキハムシ、下はケブカクロナガハムシとしていたのですが、あまり当てにはなりません。

これでようやく21日に観察した分が終わりました。

廊下のむし探検 ツバメがうろうろ

廊下のむし探検 第589弾

1月末で止まっていた画像リストをやっと更新することができました(こちらを御覧ください)。このリストはこれまでにこのブログに出した写真の検索のために作りました。あれはいつ出したかなとか、この「むし」は何だったかなと思い出すときには大変便利です。でも、最近、「むし」の数が増えてしまってリストもだんだん重くなってきてしまいました。少し方式を変えないといけないかも。

画像を整理していると、蛾やカメムシのリストはまあまあなのですが、ハエ、ハチ、甲虫はまだめちゃめちゃという感じですね。最初の頃と最近の観察との温度差も気になるし、間違っていそうな種も多いし、不明種の中に分かりそうなものもたくさんあるし、いずれにしても、一度整理し直さなければと思うのですが、毎日毎日虫の写真が増えていくので、なかなかその余裕がありません。整理のために一時休館にするとよいのだけど・・・。

ということで、まだ残っている5月21日の分を紹介しておきます。



地下駐車場にいくと、最近、ツバメの姿をよく見かけます。地下といっても1階と同じで外とつながっているので、ツバメは自由に入ってきます。車を出そうと思っても、ちっとものいてくれないので、車を降りて追い払わなければなりません。口に土をくわえていて、これから巣作りをするつもりなのでしょうね。



案の定、天井近くの出っ張りにこんな風に土をつけています。ここは車の通り道なので、きっと苦情が出て撤去されるでしょうけど。もっといい場所はありそうなのですが、毎年、同じ場所に作ろうとしますね。

この日は虫が少し少なめだったので、普段はあまり撮らない「むし」たちも撮ってみました。



まずはムカデです。まだ幼体なので小さいのですが、こうやって撮ってみると、意外に整った美しさがありますね。と言っておれるのも今のうちだけかもしれませんが・・・。大きくなると、近づくだけでも怖いですからね。



先がピンク色のこんなヤスデがいました。これは見たことのない種だなと思っていたら、



今度はこんな色のものも。これは日焼けのようなものかなと思って、もっと探してみると、



全体にやや淡い色のものや、



真っ黒なものもいました。ヤスデも面白そうなのですが、何を手がかりに調べていったらよいやら。



オカダンゴムシも小さな個体があちこちにいます。幼体なのでしょうね。



これはウロコアシナガグモかなと思っている種です。頭のところがごちゃごちゃしているので、拡大してみると、



細い柄の先に塊がついているものが触肢で、これは♂ですね。また、その下にある巨大なものは上顎なのでしょうね。♂の触肢の先端は生殖器官で、その形から種が特定できるとのことです。でも、やはり採集をしなければいけないのでしょうね。採集自体は簡単で、瓶に70%アルコールを入れておき、その中に突っ込んでいけば良いだけのようですが、それさえも抵抗があって、さらに、顕微鏡下で見るとなると更に抵抗がありそうで、まだやっていません。



ザトウムシもクモ綱なので、クモに近い仲間です。この間まで小さな個体がうろうろしていましたが、この日はこんな大きなのもいました。



これも名前調べができるのだと思うのですが、クモ同様、近づくのもびくびくの状態です。



小さなアリがいました。ワーカー(働きアリ)はこれまで何度か検索をしたことがあるので、今回も捕獲して調べてみました。今回は、寺山守ほか著、「日本産アリ類図鑑」(朝倉書店、2014)を初めて使ってみました。朝倉がこんな図鑑をねぇと思いましたが・・・。この本は図鑑とはなっていますが、写真はほとんどなく検索表が中心です。各検索項目には簡単な図が載っているので、検索はし易いですね。基本的に、ネット上の日本産アリ類画像データベースと同じ内容なのですが、本になっているだけ使いやすい感じです。ただ、標本写真は載っていないので、「日本産アリ類全種図鑑」(学研、2003)とを併用すると俄然よく分かるようになります。とりあえず、このアリも検索をしてみたのですが、いつもの通り紆余曲折しながら、ヤマアリ亜科ケアリ属トビイロケアリに一応落ち着きました。合っているかどうかは分かりませんが・・・。



小さなチャタテです。チャタテも一度検索してみようかなと思って採集してきました。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平高原実験センター研究報告12、35 (1992) (ここからダウンロードできます)

この論文を使ってみました。でも、触角の節数を見てコチャタテ亜目かなと思った後、顕微鏡下で針で翅を広げようとしている時に腹部が取れてしまい、ちょっと戦意喪失。また、次の機会に気を取り直して調べてみます。



ラクダムシはこの日は2匹いました。1匹があちこちうろうろしていたわけではなかったですね。



これはヒゲナガカメムシでしょうね。



猛烈に小さな虫がうろうろしているので撮影してみたら、見覚えのある格好のハエです。たぶん、ノミバエでしょうね。



これはセスジユスリカの仲間でしょうね。ユスリカもこうやって見ると、結構淡い色をしていてよいですね。



で、こちらはヤマトヤブカの♀です。あまり近づきたくはないのですが、それなりに整った格好をしています。

いろいろと書いていたら、甲虫を積み残してしまいました。次回に回します。

廊下のむし探検 蛾が続々

廊下のむし探検 第588弾

名前調べがせっかく追い付いてきたと思ったら、昨日は一日中外出でまた少し溜まってきました。一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。6月に近づいてくると蛾が続々出てきました。





まずは悩んだ種からです。これは同じ個体を向きを変えて撮ったものです。昨日、外出から帰ってから写真を見て、さて何だろうと悩んでしまいました。格好からハマキガであることは間違いないので、「大図鑑」、「標準図鑑」のハマキガの部分をそれぞれ2,3回見たのですが、一向に見当たりません。次に翅縁の縁毛が途中まで黒いことに着目して、アトキハマキあたりのハマキガ亜科だろうと狙いをつけて探してみました。結局、ツヤスジハマキという見たことのない種かなと思って、今度はネットで画像検索をしてみました。似たような感じの写真も見つかったことは見つかったのですが、あまり確信は持てませんでした。この種だとして「標準図鑑」を見ると、北海道から九州まで分布し、発生は6-7月。リンゴ、カキノキの害虫として記録があるそうです。



スラっとした感じでわりに好きな蛾の一つです。キムジノメイガです。フラッシュをたいて撮影したら、パッと逃げてしまいました。でも、ハエと違ってちゃんと写っていました。少し動作が遅いのでしょうね。



外横線がスムーズに湾曲しています。通常のホソバヤマメイガは途中で一度屈曲するので、さて何だろうと思って写しみました。でも、図鑑を探してみると、それらしい個体はすべて北部や高山に分布しているものばかりで、結局、ホソバヤマメイガかなという結論になりました。



これはこの間から出ていますね。小さいので目立ちませんが、よく探すと時々見つかります。オビカクバネヒゲナガキバガというやけに長い名前の蛾です。



シャクガみたいですが、模様に見覚えがありました。フタテンシロカギバというカギバガの仲間です。



天井にコガタツバメエダシャクが止まっていました。白地に白い翅だと目立ちませんね。この間からちょくちょく見るようになりました。





この手のヒメシャクはよく分からないので、天井に止まっているときは無視して、近くで撮影できる時だけ写しています。そうしたらこの日は2匹撮ることになりました。ともに、外横線が点々になっているので、オイワケヒメシャクかなと思っています。



こちらはヒロバウスアオエダシャクですね。



ゴマフリドクガがいました。床に止まっていたのでおっかなびっくりの撮影です。記録を見てみると、一昨年は4/30、昨年は4/23とそれぞれ一ヶ月ほど前に見ていました。今年は出現が遅かったですね。



ちょっと鱗粉が取れてしまっているようですが、これはコトビモンシャチホコだと思います。「廊下のむし探検」初登場です。20年ほど前のデータを見てみると、5年間で5月に3回、8-9月に3回の合計6匹見ていました。同じ時期にシャチホコガが合計40匹という数字と比べるとだいぶ少ないです。



そのシャチホコガです。この日も2匹いました。



それからクロシタシャチホコです。ちなみに、この蛾は過去5年間に20匹と、まあまあの数を見ていました。



地下駐車場にコスズメがいました。初見日は一昨年が5/25、昨年が5/19だったので、やはり今頃ですね。昨年撮った時に腹部の横の筋が金色に光っていたのが印象的でした。こうやって写真を見てみると、やはり金色に光っていますね。



スジベニコケガがまたいました。前日と同じ個体かもしれませんが・・・。



ハグルマトモエもいました。やや大きいので、蛾の苦手な私としては飛び出さないかちょっと気になるところです。でも、この模様は素晴らしいですね。



アサマキシタバは全部で8匹。昨年も多いなと思ったのですが、今年も多いですね。

これで蛾はやっと終わりました。まだ、この間から調べているコガネムシ類が実体顕微鏡のところに置きっぱなしだし、毒ビンの中にはチャタテとアリが入ったまま。今日も外出予定なので、いつ調べられるかなぁ。

廊下のむし探検 メミズムシほか

廊下のむし探検 第587弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。蛾は昨日出したので、残りの虫になります。この日は珍しい虫に出会えました。





廊下を何の気なしに歩いていたら、20cmほどぴょんと飛ぶとせわしなく歩き、また、ぴょんと飛んだら歩きまわるというようなことを繰り返している虫がいました。黒っぽい、小さな虫です。ちょうど、掃除をした後の水がたまっているところでした。一応、撮っておこうと思って近づいて写してみると、こんな変わった形の虫でした。何となくカメムシ目を思わせる形です。それにしては目が大きいです。それで、「原色昆虫大図鑑III」の図版をぱらぱら見ていたら見つかりました。メミズムシというようです。

「日本産水生昆虫」には詳しく出ていました。体長は4-5mmで、湿地や水辺の地表に生息するとのことです。カメムシ目水生昆虫の検索表も出ていて、それによると、

①触角は頭部より短く、複眼の下側に収納されるか複眼の後方に位置する。頭頂には3対の孔毛がない(タイコウチ下目)
②単眼は2個持つ;触角は背面から見える;複眼の内縁は円く湾入する;前脚は捕獲脚にならない

という2項目でメミズムシ科になります。さらに、日本産メミズムシ科は1種だけだということで、メミズムシになりました。上の写真の頭部を拡大するとこうなります。



確かに、触角は複眼の下から出ていて、背側からも見えます。また、頭部よりは短そうです。さらに、複眼は円くえぐれていて、単眼らしいものも2個見えています。前脚は捕獲脚にはなっていません。という具合に、大部分の特徴はこの写真から読み取れました。私は初めて見たのですが、珍しい種でもなさそうです。メミズムシ科は異翅類といって、カメムシなどと同じ仲間に入っています。一方、ウンカなどは同翅類といってセミなどと同じ仲間になります。異翅というのは前翅の一部が革質になっている種類です。



同じ異翅類として、ほかのカメムシも出しておきます。これはアカサシガメです。「廊下のむし探検」ではあまり見たことがなくて、一昨年の7月に1匹見ただけでした。



こちらはホソヘリカメムシですが、これはよく見ます。



甲虫は私にとって難解な種が多いのですが、これは採集してきて一応調べてみました。「日本産コガネムシ上科標準図鑑」の検索表を使って検索すると、コガネムシ科食葉性グループの亜科への検索ではコフキコガネ亜科になり、族への検索ではビロウドコガネ族になりました。さらに、属への検索ではカバイロビロウドコガネ属になり、最後の種への検索表では、上翅端の会合角は角張るか角張らないかという項目で大きく分かれます。その部分の写真を載せます。



「標準図鑑」に出ている絵と比較すると、これは「角張る」という方になると思うのですが、そうだとすると、たぶんハラゲビロウドコガネあるいはカバイロビロウドコガネということになりそうです。この2種は外見での区別は困難ということでここが終点になります。でも、ちょっと不確かなので、もう少し検討が必要かもしれません。ご存知の方がおられたらお教えいただけると助かります。甲虫は本当に難しいですね。



これはセマダラコガネでしょうか。





相変わらず、名前の分からないコメツキが2匹と、



クビナガムシと、



それにクチキムシが2匹。この日の甲虫はこんなところでした。



これは以前、「虫を調べる」シリーズで取り上げたヒゲナガヤチバエじゃないかと思います。採集しようと思って、毒ビンの口を開けて近づいたらさっさと逃げてしまいました。意外に敏捷です。



ラクダムシは今年の5月3日に見つけてからはほとんど毎日見かけます。毎回1匹だけなので、同じ個体がマンション中をうろうろしているのかもしれませんが・・・(笑)。でも、今年は発生数が多いのかもしれません。例年、4月から5月にかけて2-3回見ているだけです。



カゲロウ♀の亜成虫です。いい加減に撮影したので、種類までは分かりませんでした。



最後はヤサアリグモです。こうやって昆虫ばかり出した後に出てくると、本当に昆虫みたいですね。

廊下のむし探検 蛾が増えてきた

廊下のむし探検 第586弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。6月が近づいてくると、蛾がどんどん増えてきます。その分、甲虫が減ってきているような気がしますが、そんな関係があるのでしょうか。





今日も昨日と同じアサマキシタバから始めます。というのも、マンション全体で10匹もいたので・・・。でも、ちょっとグロテスクな感じですね。



地下駐車場にも少しずつ蛾が増えてきた感じがします。これも天井に止まっていました。シロスジアオヨトウです。昨年も今年と同じ5月19日に見ていました。暦もないのにどうやって同じ日に出てこられるのでしょうね。



模様がずいぶんはっきりしていますが、たぶん、オオバコヤガだと思います。



こちらはクロシタキヨトウでしょうね。



これはオオシラナミアツバ



それにシロズアツバ



これはトビスジアツバかなぁ。



シャチホコガがいました。後翅を前翅からはみ出させた独特の格好で止まっています。ぱっと見ると花びらのようです。何かの真似をしているのでしょうか。よく分かりませんね。



派手な色の蛾ですが、スジベニコケガです。



これはナミガタエダシャクです。翅の横についているのは何でしょうね。



これはナカウスエダシャクかな。



内横線と外横線がくっきりついていますね。これを手がかりに調べてみると、コガタヒメアオシャクによく似ていることが分かりました。だとすると、「廊下のむし探検」初登場です。



このはっきりした模様の蛾はツゲノメイガです。廊下の天井に止まっていました。





上はシリグロハマキだと思うのですが、下のハマキガがよく分からなくて名前調べに時間がかかりました。結局、上と同じシリグロハマキの♀ではないかという結論になりました。上が♂ですね。はっきりはしませんが・・・。



こちらはテングイラガです。小さな蛾です。



最後は蛾は蛾でも幼虫の方です。これはヨツボシホソバでしょうね。

キシタバ以外にはあまり目立った種はなかったのですが、数は確実に増えてきていますね。

廊下のむし探検 キシタバ登場

廊下のむし探検 第585弾

一昨日の結果です。名前調べが溜まってきたので、慌てて整理しました。この日の主人公はこのキシタバです。



ちょっとグロテスクな感じがする蛾ですが、下翅が黄色なので飛ぶと目立ちます。この仲間はカトカラと言って蛾の世界では人気の高い種類です。この写真の個体はアサマキシタバでキシタバの仲間でも早めに出てくる種類です。一昨年は5月25日、昨年は5月18日、そして、今年は5月17日が初見日でした。昨年は一度に4匹も見られたのですが、今年は2匹でした。今日も廊下を歩いてみたのですが、実に10匹もいました。昨年は特に多いなと思っていたのですが、今年もかなり多そうです。



こんな白い蛾が2,3匹ひらひらしていました。今頃よく見る種にウスキツバメエダシャクとコガタツバメエダシャクがいるのですが、昨年、通りすがりさんから顔の色で見分けられると教えていただきました。それで、今回もちょっと顔を見てみました。



白いですね。よって、コガタツバメエダシャクです。



これはウチムラサキヒメエダシャクです。結構、綺麗ですね。



翅がちょっとぼろぼろですが、クロシタシャチホコです。



これはアヤホソコヤガです。大きく写っていますが、実は、かなり小さな蛾です。



これはたぶんシバツトガですね。



これはマダラメイガです。「大図鑑」にはフタグロ、コフタグロという2種が載っているのですが、「標準図鑑」を見ると、さらに2種増えていました。オオフタグロ、ヤマトフタグロです。白い内横線の曲がり方から、コフタグロマダラメイガかなと思っているのですが、はっきりとは分かりません。



ヨコヅナサシガメが廊下の手すりの上をゆさゆさ歩いていました。長い口吻を見るとなんか刺されそうで、ちょっと避けて歩きますね。



いつものムラサキナガカメムシにしては色が薄いなっと思ったら、どうやら別種のようです。「原色日本カメムシ図鑑第3巻」に載っていました。ただし、イシハラナガカメムシとヤスマツナガカメムシという似た種がいて、しかも、第1巻に載っていた写真は間違っていたようです。本当は側板の色を見ればすぐに分かるらしいのですが、上からだと、触角第1節が一様に黒色、小盾板のY字が明瞭、膜質部の中央に褐色紋があるのは前者なので、イシハラナガカメムシでよいのかもしれません。



甲虫はこのシロヒゲナガゾウムシ



オオゾウムシだけでした。



ハエはいろいろいたのですが、とりあえずこのオドリバエ科だけを写しました。でも、Ramphomyia属かなと思うだけでそれから先は分かりません。



奇妙な形のクモですね。でも、実は昨年も見ていました。ガザミグモです。「日本のクモ」によると、もともとカザミグモ(風見グモ)と呼ばれていたのですが、カニグモ科なのでガザミグモ(蝤蛑グモ)と名称を変更したとのことです。



小さなハエトリなのですが、色が色だけに目立ちます。カタオカハエトリです。



いつもサラグモかなと思っているのですが、それから先が進みません。「サラグモ」で画像検索すると、自分のブログばかりが引っかかってしまって・・・(汗)。

廊下のむし探検 カメムシやらクモやら

廊下のむし探検 第584弾

「廊下のむし探検」の虫調べが追いつかなくなってきました。朝の続きで3日前の分を出します。それにしても、何と虫の多いマンションでしょうね。



今日はクモからです。結構きれいなクモですが、ミスジハエトリといいます。



これはイワテハエトリとしている種です。クモは基本的に生殖器を見なければ分からないらしく、採集必須なのですが、私はクモが大の苦手で弱ってしまいます。その中ではまだハエトリグモは好感が持てる方です。



これも小さなハエトリなのですが、名前は分かりませんでした。



脚が長すぎるので、途中でカットです。これはたぶん、ウロコアシナガグモではないかと思います。



これは以前ネットで調べてヘリジロサラグモとしたのですが、はっきりとは分かりません。それにしてもクモが多いですね。



生きているのか死んでいるのか分かりませんが、大型のツチカメムシで、ヨコヅナツチカメムシだろうと思います。この日は2匹いましたが、両方ともこんな風にほこりにまみれていました。





カタビロクサビウンカも2匹いました。ウンカなので、ひょっとしたらぴょんと飛ぶかなと思いながら近づくのですが、意外にじっとして動きません。



この大型のアリは最近良く見ます。たぶん、ムネアカオオアリの女王アリだと思いますが・・・。



この羽アリもよく見ます。クロオオアリなのでしょうか。



翅の生えたヤマトシロアリです。いつぞやは大量にマンションにやってきて、廊下には抜け落ちた翅でいっぱいになったことがあります。今年はほとんど見かけなかったですね。



大きなナメクジもいました。名前は分かりませんが、これもよく見ると、前半と後半とが違いますね。

虫の名前調べがたまってきたので、慌てて出します。まだ、2日前と今日の分が残っています。毎日毎日が大変です。

虫を調べる ハナムグリ類

この間から、ハナムグリの名前を調べようと悪戦苦闘をしています。まだ、はっきり分かったわけではないのですが、とりあえずこれまでに分かった部分だけでもまとめてみようかと思って書いてみました。だから、怪しいぞ、怪しいぞと思いながら見てくださいね。

今回は3種のハナムグリを調べてみました。私のいい加減な同定では、シロテンハナムグリ、コアオハナムグリ、アオハナムグリの3種です。まず、ハナムグリの仲間かどうかから始めてみたいと思います。参考にしたのは次の図鑑です。

岡島秀治、荒谷邦雄監修、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」 (学研、2012).

この図鑑はたいへん高価なのですが、値段に見合う価値のある図鑑だなと思いました。さて、その中のハナムグリ亜科の族への検索から始めてみました。この検索ではカナブンなどとハナムグリが分けられます。その部分の検索表を書くと次のようになります。



3種のうちシロテンハナムグリかなと思われる個体について調べていきたいと思います。



対象とするハナムグリはこんな個体です。体長は2.3cm。かなり大きなハナムグリです。これはたまたま以前捕まえてタトウの中に入れていました。検索表の①に関しては腹側から撮った次の写真を見てください。



中脚の根元付近を撮ったものです。中央に奇妙な突起が見えますね。これが後から重要になります。とりあえずは左右の中基節がこの突起のために離れている点に注目します。従って、①'を選びます。

②は次の写真を見てください。



前胸背板の後縁の角は鈍角になっています。また、そこから中央に向かって後縁は斜めに傾いています。これでカナブンを除外することができました。次は③ですが、この写真から判断できます。上翅の肩部で湾入が見られます。これにより本来は横からしか見えない中胸後側板が上からも見えることになります。これがハナムグリの一般的な特徴のようです。これでハナムグリ族になることが分かりました。

次は属への検索です。また、その部分の検索表を書いてみます。



まず、④の中胸腹板突起は先程の突起のことです。この形が問題になっています。紡錘形か棒状ならばコアオハナムグリ属かハナムグリ属、うちわ状から横長の楕円形だとシロテンハナムグリ属かクロハナムグリ属ということになります。上の写真を見ると、うちわ状か横長の楕円形のように見えますので、後者の方になるかなと思いました。なお、この突起は後胸腹板についているように思えるのですが、なぜ、中胸腹板突起というのか分からず、悩んでしまいました。とりあえず、その問題を置いておき先に進みます。

⑥は前胸背板の後縁中央部が湾入していることで、上の写真を見るとすぐに分かります。また、後基節については次の写真を見てください。



これは腹側からの全体像ですが、後基節はほとんど接しています。ということで、シロテンハナムグリ属になりました。さらに、進んでいきます。次は亜属への検索です。



⑦と⑧はHeteroprotaetia亜属とTomentoprotaetia亜属を除外する項目で、ともにその通りなので次に進みます。⑨は♂についての項目です。このハナムグリが♂かどうかは分からないのですが、目的地であるシロテンハナムグリの説明を見ると、♂の前脚脛節の外歯第3歯は不明瞭という項目があります。その部分を見てみます。



この写真を見ると、確かに不明瞭のようです。それで、仮に♂だと思って進んでいきます。⑨は腹側からの全体像を見ると分かりますが、腹部腹板の中央は平らになっています。それで⑨はOKということで、次の⑩に移ります。中脛節、後脛節の段刻というのは次の写真のことだと思います。



これは後脚脛節を写したものですが、横から見ると段があります。2段目がわずかなのですが、一応、2段刻だとしますと、Calopotosia亜属かPseudocalopotosia亜属に至ります。日本産では、前者にはシロテンハナムグリほか1種、後者には1種だけが記録されています。しかし、シロテンハナムグリ以外は南西諸島だけに分布しているので、消去法からシロテンハナムグリになりました。

シロテンハナムグリの説明の載っているいくつかの特徴も調べてみました。例えば、「頭盾の前縁は明瞭に上反し、中央で深く湾曲」の特徴は上の写真でも読み取れます。さらに、「中胸腹板突起はうちわ状、前縁はゆるやかに弧を描き、表面の点刻は大きくてまばら」という点もまあまああっているようです。



また、これから述べる種の特徴として出ててくるので、後脚跗節第1節の外角が尖らないという点も確認しておきました。

次はこの種です。



見るからにコアオハナムグリのような感じですが、マンションの廊下で捕まえたものです。属への検索表で見ていきます。いくつかの写真をまとめたものを載せます。



④の中胸腹板突起は図cを見てください。先ほどの種とだいぶ違っています。図鑑にはこれを紡錘状と書いてあるのですが、そうは見えません。次の⑤の後跗節第1節の外角が尖るかどうかは図bを見て下さい。先ほどの種とは異なりかなり突き出しています。ということで、コアオハナムグリ属になりました。この属にはコアオハナムグリとアオヒメハナムグリがいて、両方とも近畿地方には棲息するようです。あまり断言はできないのですが、体全体が毛で被われているので、たぶん、コアオハナムグリだろうなと思いました。なお、図dは頭盾を下から見たところです。中央に深い湾入があることが分かります。



最後はこの種です。これは外で捕まえました。これも特徴をまとめてみました。



中胸腹板突起は図cに載せてあります。うちわ状でもある感じなのですが、横長ではないので、たぶんこれを紡錘状というのだろうと思って④の方を選びました。後跗節第1節は図bを見ると分かりますが、外角は尖っていません。従って、ハナムグリ属ということになります。この属にはナミハナムグリとアオハナムグリという2種が近畿地方にも分布しています。

この2種の違いは以前も書きましたが、もう一度書くと、①毛がナミは密生するが、アオではまばら、②頭楯の前縁が縁取られて中央が湾入すればナミ、縁取られないとアオ、③前胸背板にやや強い点刻が密にあるとナミ、中央部はまばら、側縁では密なしわ状だとアオ、④上翅に2対の縦隆条があるとナミ、縦隆条が不明瞭だとアオ、⑤前脛節の第2外歯が中央近くだとナミ、第1外歯に近いとアオ、などの違いがあるようです。全般的な特徴はアオハナムグリに似ているような感じですが、図dを見ると、頭楯の前縁が縁取られているような感じもします。また、図aの外歯の第2外歯はやや第1外歯に近い感じですが、これもやや微妙です。

ということで種まで行くとどれも怪しいのですが、ポイントとなる特徴は掴めたのかなと思っています。たぶん、違っているところが多いと思いますので、ご存知の方はお知恵をお貸しください。

追記:F.Yさんから、「大きさでほぼ二つに分かれます。コアオとアオヒメ、ナミハナとアオハナ。前者はちいさめで、ひっくり返すと腹の部分がコアオは黒、アオヒメは赤で区別がつきます。後者の差は体毛の違いと頭楯のかたちの違いですかね。この2種はわかりづらいかもしれません。4種の中でコアオだけは腹の部分が黒いと思いましたが…。アオヒメは地元の関東には分布していないので区別は、そんな感じでコアオだけは簡単に判別できます。というわけで、上のものはコアオ、下のものはアオハナに見えます。どうでしょうか?」というコメントをいただきました。予想とあっていたので、ほっとしました。どうも有難うございました

追記:コアオとアオハナらしい個体の腹部の写真を撮ってみました。



左側はコアオ、右側はアオハナです。アオハナの腹部は銅色であるのに対して、コアオの方は真っ黒でした

廊下のむし探検 甲虫編

廊下のむし探検 第583弾

ハナムグリを調べていたら、「廊下のむし探検」の整理が遅くなってしまいました。これは3日前の結果です。昨日、蛾を出したので今回は甲虫編です。



この2,3日、私の家の前をうろうろしている大型の甲虫です。図鑑で調べると、オオヒラタシデムシのようです。Wikipediaによると、シデムシは「死出虫」とか「埋葬虫」だと書くようで、動物の死体に集まり、それをエサにすることで有名な虫だそうです。「広辞苑」で引いても、漢字は「埋葬虫」と当てていました。まさか、私に家に来ているのではないでしょうね。♀は翅端が突出するとありますので、これはたぶん♀の方ですね。



センチコガネの仲間がいました。オオセンチコガネとセンチコガネは光り方でだいたい区別できますが、時として迷うことがあります。以前、知り合いの先生に区別の仕方を教わりました。頭盾の形が半円形だとセンチ、台形だとオオセンチでしたね。だから、写真を写すときにその部分が写るようにしています。この上の個体の場合は半円形などでセンチコガネの方ですね。



これはコイチャコガネですね。これまでにも何度も見ています。





この2匹、共にビロウドコガネ族だと思われます。「日本産コガネムシ上科標準図鑑」を買ったので、調べてみようと思って、両方とも採集してきました。でも、検索がなかなか進みません。あっちうろうろ、こっちうろうろ。それで、今のところ、両方ともまだ名無しです。(追記2015/05/20:だいぶしつこく検索を繰り返したのですが、どうしても確信のある結果に行き着きません。一応、上の写真はチャイロコガネ属キラチャイロコガネあたり、下の写真はカバイロビロウドコガネ属ハラゲビロウドコガネ、またはカバイロビロウドコガネあたりというところまで来ました。それにしても甲虫の検索は難しい



コメツキはだいたい見ても分からないのですが、以前、通りすがりさんから教えていただき、ドウガネヒラタコメツキが少しだけ分かるようになりました。前胸背が長く、中央にはっきりした縦溝があります。図鑑を見ると、触角第3節が第2節の3.3倍だったら♂、2.8倍だったら♀と書かれていました。ちょうど触角が真横になって写っているので、この写真で測ってみました。この個体では2.9倍になりました。ということは♀なのかな。



こちらのコメツキはよく分かりません。



これはクチキムシですね。



キクスイモドキカミキリは長い触角を持っているので、全体を入るようにするといつもこんな写真になってしまいます。今日は体の部分を拡大しておきます。



図鑑の図版は小さいので見てもなかなか分かりませんが、こうやって拡大することのできる図鑑があるとよいですね。「廊下のむし探検」もちょっとだけそれを目指しています・・・。



これまで何度か見ていてリンゴコフキハムシとしていた個体です。合っているかどうかは分かりませんが・・・。



それに、このところすっかり常連さんになったキイロナガツツハムシです。



やや大きめのゾウムシで、オジロアシナガゾウムシです。一昨年の5月と7月にそれぞれ1匹ずつ見ていました。マンションではそれほど多いゾウムシではないようですね。



小さいけれど綺麗なゾウムシです。以前、通りすがりさんに教えていただいたヒラズネヒゲボソゾウムシだと思います。気をつけて見ると、よくいますね。

廊下のむし探検 蛾いろいろ

廊下のむし探検 第582弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日も「むし」が多かったので、とりあえず蛾だけまとめてみました。



分かりにくい蛾が登場しました。以前だと、フキノメイガかアワノメイガかというところだったのですが、その後、似た種が増えてさっぱり分からなくなりました。これについては次の論文に見分け方が書いてありました。

服部伊楚子、六浦晃、「日本産アワノメイガ属(Ostrinia)の種の同定と寄生植物」、植物防疫41, 62 (1987).

この論文を昨年、科学技術振興機構というところに複写依頼を出して手に入れました。この中で、アワノメイガ属5種の外見上の見分け方についても載っていました。それをまとめてみたのが次の表です。



論文には図が載っているのでもう少し分かりやすいのですが、実際に手元の標本で調べてみると、かなり難解でなかなか一意的には決まりません。まず、♂の場合は中脚脛節の形状が違うので、左2種と右3種を分けるのは比較的簡単ですが、それ以後は外横線や色で決めなくてはいけません。実際やってみても、何ともいえない個体がいて行き詰まってしまいました。



上の個体の場合は、Cu1とCu2脈のほぼ中心で外横線が鋭く内側に曲がり(矢印の部分)、一定の距離を走った後、再び鋭く曲がり下に向かっているところが判断材料になります。これからフキノメイガかなという感じですが、はっきりとは分かりません。アワノメイガ属は相変わらず難しいですね。



このノメイガはまた別の種で、ホシオビホソノメイガだと思います。これから夏になるとノメイガがいっぱい出てくるので、見分けるのが大変になります。



こちらはハマキガの仲間で、アトキハマキです。これも時々見ますね。色がはっきりしていて遠くからでもよく目立ちます。



この蛾はヒトリガの仲間で、カクモンヒトリだと思います。記録を見てみると、一昨年の6月に見ていました。(追記2015/05/20:ささきさんから、「『カクモンヒトり』はセスジヒトリのようですよ。」というコメントがありました。写真を見ると確かに「胸部背面の黒色縦線」がありますね。これまで、カクモン、スジモン、セスジの区別がはっきり分からなかったのですが、図鑑を見直して少し理解しました。カクモンは前縁近くの黒点、スジモンは前縁基部の黒条、セスジは胸部背面の黒色縦線がポイントのようです。ささきさん、どうもご指摘有難うございました

追記2015/05/26:ささきさんから、「スジモンヒトリ・カクモンヒトりにも胸部背面に黒条をもつ個体があります。特にカクモンヒトりでは稀ではありませんのでご注意ください。」というコメントをいただきました。なかなか厄介ですね。私の標本箱を調べてみると、確かにカクモンらしい個体で背筋のある個体がいました。結局、1)前翅基部から前縁に沿って黒条のあるのがスジモン、2)前翅前縁近くに黒紋があり、♂ならば長い櫛歯状の触角をもつものがカクモン、3)以上のようではなく、胸背に黒条を持つのがセスジということでしょうか



生きているのやら、死んでいるのやら分かりませんが、とりあえず写してみました。模様から、ナカグロモクメシャチホコではないかと思います。「廊下のむし探検」初登場だったので、もう少し綺麗だったらよかったのですが・・・。



ヒメシャクも難しいですね。この個体は外横線が飛び飛びなので、たぶんオイワケヒメシャクかなと思うのですが・・・。



これはホソスジキヒメシャクですね。



こちらはヤガ科のトビスジアツバです。



そして、ソトウスグロアツバですね。



これはシロズアツバかな。下唇鬚が長いですね。



最後はこの幼虫です。ものものしい格好をしていますが、たぶん、カシワマイマイの幼虫ですね。

廊下のむし探検 甲虫とクモ

廊下のむし探検 第581弾

朝の続きで、甲虫とクモです。



これまで何度も登場したのですが、格好がよいので今日も最初に出しておきます。クロカタビロオサムシです。それにしても今年は多いですね。毎日と言ってよいほど見ています。



最近はハナムグリを見たら、採集するようにしています。折角、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」という高価な本を買ったので、何とか使いこなしたいと思ってハナムグリを調べています。でも、分かったと思ったら、また、分からなくなり、悩んでばかりの状態です。とりあえず、この写真の個体はコアオハナムグリで間違いなさそうですが、今日、外で捕まえてきたハナムグリがよく分からなくて悩んでいます。(追記:ハナムグリ族の属への検索表を追加しておきます。



こんな簡単そうな検索表で悩んでいます。どうもコガネムシとは相性が悪いのかなぁ




これも採集してきて調べてみました。ビロウドコガネ族の属の検索をしてみると、何とかカバイロビロウドコガネ属に到達しました。その部分の検索表を書いてみるとこんな風になります。



まだはっきりとは分からないのですが、とりあえずワタリビロウドコガネになりました。ただ、このコガネ、図鑑によると、分布が関東から中部にかけてで近畿が入っていないことが気になります。今日は他にも2匹ほど捕まえてきて朝から顕微鏡を眺めています。(追記:検索表が一部間違っていたので訂正しました。後基節に縦隆起がある→後脛節に縦隆起がある



小さなエンマムシもいました。ダニが2匹ついていてずいぶん重そうですね。



小さなハネカクシもいました。



コメツキはこのアカハラクロコメツキだけすぐに分かりますね。



このコメツキはちょっと分かりません。



これはクビボソジョウカイですね。



それに、ヒメアカホシテントウかなぁ。



それとクチキムシ



それにベニカミキリでした。甲虫はこんなものでした。





これはヤミイロカニグモ♂でしょうか。



これはコカニグモかな。



これはちょっと分かりませんでした。これでやっと5月15日分が終わりました。

廊下のむし探検 蛾がたくさんいました

廊下のむし探検 第580弾

6月が近づいてくると、蛾の数がやはり増えてきましたね。一昨日の「廊下のむし探検」で見た蛾を紹介します。



今日の最初はこの蛾からです。これはクワゴモドキシャチホコというシャチホコガ科の蛾です。「大図鑑」によると4-10月に出現しで年2回発生するようです。「廊下のむし探検」初登場ですが、だいぶ昔の7月と8月に採集していました。和名の由来は分かりませんが、「大図鑑」によると、カイコガ科にクワコというやはりクワを食べる蛾がいて、カイコの野生種だと言われいます。これに似ているからだと思いますが、同じカイコガ科にはオオクワゴモドキという蛾もいました。クワゴモドキシャチホコはクワではなくて、ヤナギやポプラを食するそうです。



だいぶ鱗粉が取れてしまっているようですが、同じシャチホコガ科のウスイロギンモンシャチホコです。銀色の紋が光っていますが、以前、この光り方について実験をしたことがありました。光の当てる方向によって光り方がまったく変わってしまいます。詳細はこちら



これはアカヒゲドクガです。ドクガという名前がついていますが、成虫も幼虫は毒を持っていません。脚を前に伸ばして止まるやり方はドクガっぽいですね。



ヤガ科はいっぱいいたので、見た順に載せていきます。模様がはっきりしていますが、多分、オオバコヤガでしょう。



ウンモンクチバとニセウンモンクチバという模様では区別のつかない種がいていつも困ってしまいます。後翅の色が暗いので、ウンモンクチバの方かなと思ったのですが、よく分かりません。



地味な蛾で、木切れと本当によく似た格好をしています。モクメヨトウですね。「廊下のむし探検」初登場です。(追記:「標準図鑑」によると、以前はモクメヨトウと呼ばれていましたが、モンヤガ亜科に移動したためモクメヤガと和名を変更したとのことです



似た種が多いので、一見するとよく分からないのですが、図鑑と模様を順に比較していくと違いが分かってきます。これはマダラツマキリヨトウだと思います。昨年も見ました。



これはタイワンキシタアツバです。キシタというだけあって後翅の黄色いところがちらっと見えています。





前日も撮影したので、もう撮らなくてよかったのですが、この変わった形を見るとつい撮影したくなってしまいます。しかも前日と同じ方向から・・・。キクセダカモクメですね。



これは何だか分かりませんが、たぶん、スジキリヨトウあたりかなと思います。



ぱっと見でミツモンキンウワバにしたのですが、図鑑を見ると発生時期が7月以降となっています。もう少し検討したほうがよいかもしれません。



それからクロクモヤガです。



模様が消えてしまってはっきりとは分かりませんが、たぶん、テンクロアツバだと思います。





上の個体は間違いなくナミガタエダシャクですね。この蛾の特徴は前翅の後縁付近で外横線と中横線が接近するところです。ところが、2番めの写真は中横線が見えません。でも、外横線の曲がり方は同じなので、たぶん、同じ種でしょうね。



鱗粉が大幅に脱落しています。こんなるとよく分かりませんが、ニセオレクギエダシャクあたりでしょうか。



これは難問です。ナミシャク辺りで探したのですが、どうもぴったりくる種が見つかりません。



アシベニカギバですね。南国的な色合いをしていますね。



これはバラシロヒメハマキです。



最後はヨツボシホソバの幼虫です。

20年ほど前まで蛾を集めていたので、蛾が増えてきても名前調べはそれほど苦痛ではありません。でも、甲虫が増えてくると大変です。最近ではハエも検索表で調べるようになったのでかなり大変になってきました。まぁ、ハエは無視すればよいか・・・。

廊下のむし探検 ハエ、ハチ、カメムシなど

廊下のむし探検 第579弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。だいぶ追い付いてきましたね。でも、この日は数が多かったので、まずはハエやハチなどから出してみます。



今日の最初はこのケバエです。前脚脛節末端に1対の棘がないので、トゲナシケバエですね。いつものHardy and Takahashi (1960)を使って調べてみました。まず、属の検索をしてみると、簡単にPlecia属になりました。そこから先の種の検索も比較的簡単で、胸背に溝がなくて、触角の節数などからPlecia adiastolaになりました。九大の日本産昆虫目録データベースで調べると、クロトゲナシケバエという和名がついていました。残念ながら♀で論文と交尾器の比較をすることができないので結果はややあやふやですが、触角の図は載っているので、こちらも一応載せておきます。



第3節が変わった形をしていて、全部で12節ありました。形だけ見ると論文の図とよく似ているようです。



この日はこのハエがたくさんいました。あまりに多いので、1匹捕まえてきました。検索してみると、ハナバエ科になりました。そう言われるとそんな感じのハエですね。



これはシマバエ科でしょうね。以前、調べたことがあったのでこの日は捕まえませんでした。この間調べた時には、Sapromyza (Sapromyza)属になったのですが、これはどうでしょうね。



これは綺麗なハエです。ぜひとも捕まえたいと思って、毒ビンを持って追いかけたのですが、逃げられてしまいました。残念!残念!



床の帯状の出っ張りの幅が3mmなので、かなり小さいことは分かりますね。一応、捕まえたのですが、翅の落ちた後がありました。たぶん、女王アリですね。アリの検索の本もあるのですが、働き蟻以外はどうも検索がうまくいきません。今回も挫折でした。



これも小さな羽アリですが、同じ種なのかな。



こちらは大きな羽アリです。いつものクロオオアリなのでしょうね。



これはハバチの幼虫ですね。



次からはカメムシです。これはヤニサシガメですね。いつもゆっくりゆっくり歩いています。



こちらは小さなカメムシです。マルツチカメムシだと思います。



実はこのカメムシ、昨年も名前が分かりませんでした。その時は通りすがりさんから教えていただきました。今回も、写真を何度見ても思い浮かびません。図鑑を見ても駄目です。結局、過去の写真リストを見て、初めて昨年教えていただいたことを思い出しました。オオツマキヘリカメムシです。



最近はすっかり常連になってしまったラクダムシ



それに、この2,3日大量に廊下の壁に止まっているアカマダラカゲロウ亜成虫です。

残りの虫はまた次にします。

廊下のむし探検 甲虫ほか

廊下のむし探検 第578弾

一昨日に見た「むし」を紹介します。でも、今日は朝からヒメバチとハナムグリに悩まされ続けていました。ヒメバチの方はさっき出したので、今回はハナムグリです。



何でもないようなハナムグリですが、折角、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」を買ったので、これで少し勉強してみようかなと思いました。そこで、この本に載っている検索表で属の検索をしてみました。

まず、ハナムグリ族の属への検索表で最初の項目は「中胸腹板突起は紡錘形か棒状で前下方に突出する」というものです。中胸腹板突起は腹側から見るとすぐに分かります。



横向きになっていますが、中心にある突起がその部分です。この突起が紡錘形とはどうしても見えないのですが、他の選択肢では「中胸腹板突起は平らで、うちわ状から横長の楕円形」というので、そちらとは違うことだけは確かです。たぶん、突起が平らではなく、立体的な円柱状になっていることを言っているのでしょうね。ともかく、これでシロテンハナムグリ属とクロハナムグリ属を除外することができます。

次は、後跗節第1節の外角は尖るか尖らないかという項目です。尖っているとコアオハナムグリ属で、尖っていないとハナムグリ属というのです。これがよく分からなくてずいぶん悩みました。幸い、コアオハナムグリらしき標本があったので、その部分を比較してみました。



これは後脚の脛節と跗節の部分を写したものですが、跗節第1節は右側の矢印がある節のことです。この外角が尖るというのが右の写真の部分がちょっと尖っていることを指しているのかなと思いました。今回のハナムグリの場合はそれほどは尖っていないので、ハナムグリ属の方かなと思いました。が、どうもはっきりとはしません。とりあえずハナムグリ属だとすると、日本産にはナミハナムグリとアオハナムグリの2種がいます。ともに本州に分布しています。

この2種では、①毛がナミは密生するが、アオではまばら、②頭楯の前縁が縁取られて中央が湾入すればナミ、縁取られないとアオ、③前胸背板にやや強い点刻が密にあるとナミ、中央部はまばら、側縁では密なしわ状だとアオ、④上翅に2対の縦隆条があるとナミ、縦隆条が不明瞭だとアオ、⑤前脛節の第2外歯が中央近くだとナミ、第1外歯に近いとアオ、などの違いがあるようです。一枚写真を追加します。



この写真で頭楯、前脛節の歯、それに前胸背板の点刻などもよく見えます。①の毛はこの個体では全般的にそれほど目立ちません。②頭楯は縁取りがあるようには見えません。③の点刻は側縁でしわ状になっています。④上翅の縦隆条は不明瞭です。ということで、アオを支持しているのですが、最後の前脚の第2外歯だけは中央にあるのでナミを支持しています。というので、アオハナムグリの可能性が強いのですが、ちょっと不明確なところもあるという結果でした。分かる人が見ると、一発で分かると思うのですけどね~。(追記2015/05/19:F.Yさんから、腹部が黒いのはコアオハナムグリという簡単な見分け方を教えていただきました。この個体を調べてみたら腹部が黒かったので、コアオハナムグリで間違いなさそうです。後跗節第1節の外角の突起を見落としたようです。大きさも小さかったですし・・・



次の虫にいきます。これはコイチャコガネですね。



ハネカクシもいました。相変わらず名前は分かりません。





アカハラクロコメツキですね。最近、この手のコメツキがいると、必ず、ひっくり返して腹の色を見ることにしています。



こちらのコメツキは名前が分かりません。





ちょっと壁の高いところに止まっていたので、背伸びして撮影しました。たぶん、ゴミムシダマシ科のルリツヤヒメキマワリモドキではないかと思います。あまり自信はないですが・・・。



トゲヒゲトラカミキリですね。



廊下の壁に小さなアカマダラカゲロウの亜成虫がいっぱい止まっています。これは目が大きいので♂の方ですね。



ヤサアリグモです。どうやらミノムシを狙っていたようですね。



こんな細長いクモはよく見ますね。ちょっと拡大してみます。



図鑑を見ると大顎の形で見分けられるようですが、脚が邪魔してあまりよくは見えません。腹部の模様からヤサガタアシナガグモかなと思いました。



最後のクモは目立つ色なのですが、名前が分かりませんでした。赤いのはダニでしょうね。

廊下のむし探検 蛾、ハチ、ハエ

廊下のむし探検 第577弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。



変わった形の蛾ですね。



正面から見るとこんな感じです。これはキクセダカモクメというヤガ科の蛾です。「大図鑑」によると、5-6月および8-9月に出現し、ゴマナ、ユウガギクが食草だそうです。私の標本箱を見ると、9月に1匹だけ採集していました。



これはリュウキュウキノカワガですね。リュウキュウという名がついていますが、私の住んでいるところではよく見ることができます。「廊下のむし探検」でもこれまで5回登場しています。



この間からたくさん出てきました。アカテンクチバです。翅端の黒いマークが特徴ですね。





こちらはたぶんナカウスエダシャクですね。この日は2匹いました。



ナミシャクでしょうけど、模様が消えてしまってよく分かりません。



小さな蛾ですが、オビカクバネヒゲナガキバガですね。

成虫だけでなく、幼虫もいろいろといました。



オビカレハの幼虫です。



これは「原色蛾類幼虫図鑑」で探してみました。たぶん、アカスジシロコケガでしょうね。



これはミノウスバかな。



このハチは採集してきました。まず、いつもの「絵解きで調べる昆虫」で科の検索をしてみました。これは簡単にヒメバチ科になりました。この後の亜科の検索は、Information station of Parasitoid waspsというHPで試作暫定版が載せられています。このHPは非常に充実した内容ですが、私にとってこの検索表はなかなか難解な代物です。それでも一応試してみました。結果はヒメバチ亜科になったのですが、まったくあてにはなりません。この亜科には196種が記録されているので、たとえ合っていてもこの先はまだまだです。



この間からウロウロしていますが、やや大きいのでクロオオアリでしょうか。先日コメントをいただいたときは、♂アリというご意見と女王アリというご意見の2つがありました。



これは何でしょうね。タマバエのようですが、いつもの翅脈とは違っています。脚も長いですし・・・。Manual of Nearctic Dipteraを見ると、まったく一緒ではないのですが、似たような翅脈もありました。やはりタマバエ科でしょうか。

とりあえず、今回はここまでにしておきます。

廊下のむし探検 甲虫など

廊下のむし探検 第576弾

家でカメラのフラッシュの実験をしていて、「廊下のむし探検」の時にも設定を変えるのを忘れていました。お陰で、ISO2000で撮影してしまい、画面がざらざら。見るのも嫌だったのでそのまましていたのですが、写された虫には罪はないだろうと思って、とりあえず出すことにしました。5月11日の結果です。



最初はこのクビナガムシです。4月終わりにも見ました。これで2年半で3回め。それほど多くはないようです。いつ見ても変わった形をしていますね。



これはオオセンチコガネですね。自然光で撮るともっと綺麗なのですが、フラッシュをたくといつもこんな色になってしまいます。



これは何回か見ました。たぶん、ケブカクロナガハムシではないかと思います。



これはトビサルハムシでしょうか。



コメツキに似ていますが、おそらくオオクロホソナガクチキですね。





コメツキもいましたが、相変わらず名前は分からずじまい。



この間見つけたコクゾウムシをまた見つけました。小さいですが、形が変わっているので一度見ると忘れませんね。



カバイロビロウドコガネに似ていますが、どうでしょう。



よく見ると触角の間に角のようなものが2つ見えています。変わっているので、一応、採集してきました。検索をしてみるとヒメバチ科になりました。それから亜科の検索表で調べてみました。難しくて、何度も何度も試みた結果、メンガタヒメバチ亜科になったのですが、まったく自信はありません。顔の部分が少し変わっていて、その部分だけ実体顕微鏡写真を撮ってみました。



頭盾と顔面の境目がはっきりしません。顔面と頭盾を含めて平らになっています。先ほど角のように見えたのは黄色の模様の上で、その部分を生物顕微鏡で拡大してみました。



なんかべっ甲でできているような感じの三角形が見えます。さて、何でしょうね。



胸背の模様がこの間調べたコツチバチ科に似ていますが・・・。



アブラムシもいたのですが、写真が駄目でしたね。



触角が黒いので写真だけでも何とか分かるかなっと思ったのですが、結局分かりませんでした。

フラッシュとシャッターのタイミングの実験(続き)

こんな実験をするようになったきっかけは、フラッシュをたいてハエを撮影するときに、ハエが逃げてしまうことがよくあったからです。フラッシュは一瞬光るだけなのにどうして逃げるのだろうという疑問がでて、カメラのフラッシュとシャッターの開くタイミングとの関係を調べてみることになりました。これまで、一眼レフカメラを用いてそのタイミングを調べる実験フラッシュの閃光時間を調べる実験をしました。

ハエが逃げたのは、その後、プレ発光のせいだろうということが分かったのですが、実験道具を片付ける前に、追加で次のような実験をしてみました。一つは先幕と後幕シンクロについての実験と、もう一つはコンデジでの実験です。



実験配置をもう一度復習してみます。まず、マブチモータの先端に昆虫針をつけてこれを回転します。それを一眼レフの内蔵フラッシュを使って撮影します。フラッシュの光っている時間は短いので、回転している針が止まって写るはずです。「影とり」は光を拡散させるために使っています。一方、LEDリングフラッシュは連続発光させて、シャッターが開いている間に針が移動する範囲を写すために使っています。

実際に撮ってみるとこんな感じになります。



これはNIKON D7100で最短のフラッシュ同調ができる1/250秒で撮影しています。扇型に見えているのがシャッターが開いている時間に針が移動した範囲を示しています。針が点滅して見えているのは、LEDリングフラッシュがPWM(pulse width modulation)方式の調光を使っているためだと思われます。この間の実験から、点滅は25kHz、40マイクロ秒間隔で行われているようです。これを使うと回転速度やシャッターが開いている時間などを計算することができます。この写真を見ると、シャッターが開き始めたちょっと後でフラッシュが光るので、そこの部分だけ針がくっきりと見えています。

フラッシュには先幕シンクロ、後幕シンクロというフラッシュの光るタイミングを設定する項目があります。先幕はシャッターが開くと同時に光ります。これに対して、後幕はシャッターが閉じる寸前に光ります。これを上の実験で調べてみました。初めにシャッター速度1/250秒の時に実験してみましたが、先幕、後幕でまったく変わりませんでした。そこで、もう少しシャッター速度を遅くしてみました。そのために、モーターの電圧を1.230Vから0.814Vまで下げ、モーターを遅く回転させて、1/100秒で写してみました。その結果が次の写真です。



モータの回転が遅いので、1/100秒でも針の移動している部分を画面内に入れることが出来ました。モータは左回転なので、先幕では初めの方に光っていますが、後幕では後ろの方で光っています。まさに予想通りでした。

さて、一眼レフだとフラッシュ同調ができる最短のシャッター速度が決められています。例えば、NIKON D7100では1/250秒ですが、たいていは1/60秒になっています。ところで、コンデジではこんなシャッター速度は決まっていなくて、どんなに速いシャッター速度でも構わないようです。どうしてなのでしょう。



それを調べるために、コンデジFZ150にテレコンを取り付けるためのレンズアダプターをつけ、影とりとLEDリングフラッシュを取り付けます。後は一眼レフと同じように撮影します。LEDリングフラッシュは連続発光させるので発光量が小さく、ISOを1600にして感度を上げ、逆に、内蔵フラッシュはレベルを下げ、-2EVにして撮影しています。



その結果がこれです。これは1/500秒で撮影したものですが、一眼レフと異なり、シャッターが開いたと同時に光っています。やはり一眼レフのようにシャッター幕を上下するのではなくて、電子的に読みだしているのでだいぶ違っていますね。シャッター速度をもっと速くしてみます。



シャッターの開いている時間はどんどん短くなりますが、フラッシュは最初のタイミングで光っているのでまったく関係はありません。従って、フラッシュ光だけで撮影するのなら、シャッター速度は短くても構わないようです。面白いのは針が動いている間に網目のような模様が出ていることです。それに、針の動いた後半部分が次第に弱くなっていることも気になります。一眼レフだとこんなことはありません。たぶん、イメージセンサーからの読み出しのタイミングと針の動きが関係してこんな模様が出ていると思うのですが、よくは分かりません。(追記2015/05/15:ネットを見ていたら、cMOSセンサーでは走査線で読み出すごとにシャッターを切っていくローリングシャッターという方式を用いているため、走査速度より速く動く物体を撮ると歪みが出るというようなことが書かれていました。これをローリングシャッター現象と呼ぶそうです。これが関係しているのかもしれません)(追記2015/05/15:さらに調べてみると、PanasonicではMOSセンサーを用いているとのこと。cMOSとMOSとの違いはよくわからないのですけど・・・)

コンデジでも先幕と後幕フラッシュの設定があるので実験をしてみました。



シャッター速度を1/100秒まで遅くしたのですが、先幕と後幕はまったく同じタイミングで発光してしまいました。おそらく、1/60秒よりシャッター速度が遅くないと違いが出ないのでしょう。モーターをこれ以上ゆっくり回すのは辛いので、ここで実験を終わりました。

廊下のむし探検 甲虫、ラクダムシなど

廊下のむし探検 第575弾

昨日から、ブログに出した写真をまとめた画像リストの更新をしています。1月終わりで止まったままになっていたので、写真も相当な量になります。蛾が300枚、甲虫が450枚、ハエなどは何枚あるか分かりません。それをEXCELにデータとして入力して、最終的にはこちらにあるような画像リストにしています。一応、蛾とカメムシはできて、甲虫はデータを入力し終えたところです。それ以外は今まさに入力中です。でも、データが増えてきたので、かなり重くなってきました。もう少し、枚数を制限して図鑑のようにしないといけないかもしれません。

それはさておき、一昨日の残りの写真です。







この日いたハナムグリです。これまで何となく名前を決めていたのですが、折角、「日本産コガネムシ上科標準図鑑」を買ったので、少し調べてみようと思って、1匹捕まえて眺めてみました。この図鑑は充実した大変よい本なのですが、私のような素人が使いこなすにはまだまだ高級すぎる感じです。

今日はハナムグリを調べようと思って、ハナムグリ族の検索表を見てみたのですが、①中胸腹板突起は紡錘形か、②後跗節第1節の外角は尖るか、というところで引っかかってしまい、さらには、頭楯の前縁が縁取られているか、というところでまたまた引っかかってしまいました。結局、今のところ五里霧中の状態です。もう少し、いろいろな種を捕まえてきてから判断しようかなと思っています。



クロカタビロオサムシ、この日も2匹いました。いずれも元気で動き回っています。マンションの廊下でこんなにオサムシをたびたび見たことはなかったですね。



名前は調べていないのですが、やけに綺麗なゴミムシです。大きさは小さいのですけど・・・。



これはチャイロコガネの仲間でしょうね。ハナムグリで手一杯で、こちらまで手が回りませんでした。



こんな模様、珍しいなと思って撮ったのですが、同じ模様のテントウが図鑑に出ていないので、やはり普通のナミテントウなのでしょうね。(追記:フッカーSさんから、「テントウムシはナミテントウではなく、ダンダラテントウですね。上翅の赤紋は変異が多く、南方に行くほど赤紋の範囲が多くなるようです。」というコメントをいただきました。「原色日本甲虫図鑑III」の検索表を見ると、ダンダラテントウ属の特徴として、「触角は前頭の幅と等長かより短い。触角末端節は前節より狭く先端はとがる。触角基節は長さより幅広く、内方に強くふくらむ。」と書いてありました。ピントが合っていないのですが、触角部分を拡大すると、





こうなります。上が今回のテントウ、下が2014/11/28に撮ったナミテントウです。確かに今回のテントウの方が触角ははるかに短くて、先端が尖っている感じです。また、基節もかなり形が違うようです。もう少しきちんとした写真を撮ればよかった・・・。フッカーSさん、どうも有難うございました




小さなヒメマルカツオブシムシですが、最近、だいぶうまく撮れるようになりました。



これはジョウカイモドキの仲間だと思うのですが、名前は分かりません。





甲虫の最後はホタルカミキリキクスイモドキカミキリでした。



ラクダムシ、このところ毎日見ていますね。この日の個体は産卵管がないので♂なのでしょうね。ちょっと顔をアップしてみました。



ちょっと怖いような、何となくユーモラスな顔をしていますね。



ちょっと潰れてしまっていますが、クロハサミムシでしょうか。



胸背に縦溝が見えているので、たぶん、この間から出ているPlecia membraniferaの♂でしょうね。



このハチは何だろう。(追記:蜂屋さんから、「そのハチはアリガタバチ科のハチです。あまりアリガタバチには詳しく無いので参考程度に、おそらくムカシアリガタバチかと思われます。アリガタバチにしては大きくてよくいるタイプです。」というコメントをいただきました。アリガタバチという名前を初めて知りました。手元の図鑑に図版がないのでよく分かりませんが、頭の形が特徴的なような。今度一度捕まえてきて調べてみたいと思います。蜂屋さん、どうも有難うございました



最後はこの虫です。翅にギザギザの模様があるので、チャバネヒメカゲロウでしょうね。

今日は画像リストのデータ入力でくたびれ、ハナムグリがよく分からず、さらにくたびれてしまいました。

廊下のむし探検 カメムシと蛾

廊下のむし探検 第574弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果です。難しい種が多くて、最近、どうも名前調べに時間がかかってしまいます。



最初はカメムシからです。この間からヒラタカメムシはいつも同じ種だなぁと言っていたら、見慣れぬ種がでてきました。一応、採集してきて、「原色日本カメムシ図鑑第3巻」に載っている検索表で調べてみました。亜科の検索ではヒラタカメムシ亜科になりました。日本産ヒラタカメムシ亜科はヒラタカメムシ属だけで、20種が記録されていて、数種の未記載種が存在するそうです。ヒラタカメムシ属の種への検索表で調べてみると、スズヤヒラタカメムシにたどり着くのですが、この種は触角の第3節の先端2/3だけが淡色だそうです。この種は上の写真でも分かりますが、第3節全体が淡色になっています。ひょっとしたら未記載種なのかもしれません。一応、実体顕微鏡下で撮影しておきました。



何となく触角が可愛いですね。名前がつけられると良いのですけど・・・。



こちらはいつもいるトビイロオオヒラタカメムシです。ヒラタカメムシは2年前に初めて気がついた虫ですが、最近はすっかり常連さんになってきました。



これはホソヘリカメムシです。



それから、ホシハラビロヘリカメムシです。



ちょっと潰れてしまっていますが、初めて見た蛾です。何の仲間かさっぱり分からなかったので、「日本産蛾類大図鑑」の図版を最初からぱらぱら眺めていきました。こういう時は1巻にまとまっている「大図鑑」の方が便利ですね。「日本産蛾類標準図鑑」は全4巻になっているので、ちょっと面倒臭い感じです。でも、とりあえずそれで分かりました。ヤガ科ベニコヤガ亜科のベニエグリコヤガみたいです。全国的に分布するようですが、私は初めてでした。



見た感じはシャチホコガですね。図鑑を調べてみると、ホソバネグロシャチホコみたいです。初めての蛾かなと思ったのですが、昨年の7月に見ていました。



たぶん、キハラゴマダラヒトリだと思います。



こちらはスギドクガです。脚を前に伸ばした止まり方は独特ですね。



前翅前縁が黄色なので、何だろうと思ったのですが、結局、いつものニセオレクギエダシャクに落ち着いてしまいました。違っているかもしれません。



ヨモギエダシャク



それにナミガタエダシャクです。最近、地下駐車場の蛾が少しずつ増えてきた感じです。廊下の蛍光灯は以前のマンション改修時にやや赤い色に変えたのですが、地下駐車場は以前の青っぽい色の蛍光灯をそのまま使っています。それで、虫が多いのではと思って前から注目していました。



これも迷った種です。ミダレカクモンやカクモンを疑ったのですが、最終的にはシリグロハマキにしてしまいました。



この毛虫はあまり特徴がないので、まだ調べていないのですが・・・。

廊下のむし探検 ラクダムシ、ハエ、カワゲラなど

廊下のむし探検 第573弾

一昨日の「廊下のむし探検」の報告です。甲虫、蛾は終わったので、そのほかの「むし」についてです。



ラクダムシがまたいました。長い産卵管を持っていますね。これを写した直後に飛んでいってしまいました。何となく、なかなか飛ばないのじゃないかと思っていたのですが・・・。



派手なガガンボがいました。たぶん、ベッコウガガンボ♀ですね。普通のガガンボとだいぶイメージが違います。



こちらは普通のガガンボです。ちょっと大きめですが、やはり名前は分からないでしょうね。諦め気味です。



前脚脛節末端に棘がないので、トゲナシケバエ科ですね。一応、採集してきました。体長は5mm程度。調べてみると、やはりトゲナシケバエ科Plecia属でした。以前、トゲナシケバエの♂についてはHardy and Takahashi (1960)に載っている検索表で調べたことがありました。そのときの結果は「トゲナシケバエを調べる」として出しましたが、最終的には交尾器を見て、Plecia membraniferaとしました。今回は♀で交尾器の比較ができないので、ちょっと曖昧なのですが、検索の結果はやはりPlecia membraniferaになりました。でも、ちょっとはっきりしないところもあるので、一応、触角と胸背の写真を載せておきます。



最後の11節目がちょっと見にくいのですが、触角は全部で11節でした。



胸背にはかなり深い2本の縦溝があります。胸背の後半部分もかなり大きく凹んでいました。こんなところを手がかりとして載せておくことにします。(追記:後で見てみると、胸背の縦溝は「トゲナシケバエを調べる」に載せたPlecia membranifera♂とよく似ている感じです



これはたぶん、クヌギトビカスミカメではないかと思います。



それに、カタビロクサビウンカです。結構、格好いいでしょう~。



これはアカマダラカゲロウ♀の亜成虫ですね。尾が3本あります。



これはフタツメカワゲラの仲間ですが、それから先は分かりません。



それにこの間から出ているヤマトシロアリですね。



この間も見た、ムネアカオオアリかなと思われる大型の女王アリがまたいました。床の帯状の出っ張りの幅が3mmなので、如何に大きいか分かりますね。





こんなアリも2匹いました。雄アリなのでしょうね。



これはたぶん、ミスジハエトリでしょうね。



この間教えていただいたキンイロエビグモの♂でしょうか。脚がだいぶ取れてしまっています。でも、やや大きかったので、ちょっと気味が悪い感じでした。

廊下のむし探検 とりあえず蛾だけ

廊下のむし探検 第572弾

一昨日の「廊下のむし探検」の続きですが、思ったより名前調べに手こずりました。まだ、トゲナシケバエの同定が終わっていないので、とりあえず蛾だけ出しておきます。蛾も難しいものばかりでした。



まずはこのヒゲナガガからです。ちょっと拡大してみます。



意外に綺麗な蛾でしょう。ヒゲナガガは綺麗な種が多いので個人的にはかなり好きな方です。触角の半分ほどが黒い鱗粉に覆われています。従って、♀ということになります。以前だったら、翅の中間を横切る白い帯から、ケブカヒゲナガとしていたのですが、「標準図鑑」を見ると、ケブカが入っているAdela属に、アトキケブカ、ムモンケブカという2種が増えていました。「標準図鑑」を眺めると、白い帯をもち、近畿地方にいそうな種としては、その他にもホソオビ、キオビクロあたりの可能性がありそうです。

このうち、ホソオビは白帯がかなり細いので除外できそうです。また、キオビクロは白帯の両側を黒帯が、さらにその外側を灰色の帯が縁取るので、これも除外できそうです。残りは3種ということになります。ケブカ、アトキケブカ、ムモンケブカの学名にはHirowatari, 1997という命名者の名前があるので文献を探してみると、次の論文に載っていることが分かりました。

T. Hirowatari, "A taxonomic revision of the genus Adela Latreille (Lepidoptera, Adelidae) from Japan", Trans. lepid. Soc. Japan 48, 271 (1997). (こちらからダウンロード可能です)

これによると、Adela属は♂の触角第8,9鞭節に特異な突起があることで特徴付けられるそうです。ところで、日本産のAdela属にはミドリ、ケブカの2種がいることになっていたのですが、詳しく調べてみると、ケブカとサれていたのは別種であることが分かり、その他にも近似種が2種いることが分かったそうです。そこで、それらを改めてケブカ、アトキケブカ、ムモンケブカとしました。その検索表も載っていました。要は、①前翅に白い横帯があるかないかでミドリとケブカ類をまず分けます。次に、前後翅の特徴、♂顔面でムモンケブカとそれ以外を分けます。上の写真は♀で、しかも前翅しか見えないので、前翅の白帯が相対的に太いという特徴で、ムモンケブカを除外してしまいます。

最後は、アトキケブカか、ケブカかというところですが、基本は後翅肛角部の縁毛の色で分けるのですが、この写真では見えないので、♀触角で見分けてみます。アトキケブカは♀触角基部の1/3が、ケブカは1/2が黒い鱗粉に覆われるとあります(論文の検索表は逆になっていました。おそらく間違いだと思います)。触角を折れ線近似して、ImageJというソフトを使って長さを測ってみると、右触角では基部の1/2.2、左では基部の1/2.1が黒いので、この値から判断するとケブカヒゲナガ♀ということになります。でも、やはり後翅を見ないとはっきりしたこととは言えませんね。

追記2015/05/10:Adela属♂の触角第8,9鞭節にある特異な突起(hook-peg)というのは次のようなものです。



これは標本の♂触角の根元の部分の拡大です。これはいったい何でしょうね
)



小さな蛾です。オビカクバネヒゲナガキバガだと思います。



この蛾もだいぶ時間がかかりました。通常よくいるのはアヤホソコヤガといって、後翅に赤い模様があるのですが、これにはありません。似た種を順に調べて行ったのですが、外横線、亜外縁線、内横線などの形状が少しずつ違います。いろいろと調べると、結局、アヤホソコヤガがもっとも似ているので、後翅は赤くないのですが、それではないかと思います。





これは迷ったというより、はじめから諦めています。オレクギエダシャクとニセオレクギエダシャクという外見でほとんど見分けがつかない種がいるからです。「標準図鑑」により、ニセオレクギの特徴をオレクギと比べてみると次のようになります。①亜外縁線が不明瞭で、オレクギに比して屈曲の弱い個体が多い、②新鮮な個体では翅の中央部や外横線の外側などに黄色鱗粉を混じ、全体に光沢がある。上の写真では亜外縁線は不明瞭で、屈曲はそれほど大きくなく、さらに、翅には黄色鱗粉が混じっているので、ニセオレクギエダシャクかなと思うのですが、はっきりとはしませんね。いつものことです。



これは模様がはっきりしています。ナミガタエダシャクです。



これはキナミシロヒメシャクではないかと思います。



Idaea属のヒメシャクですね。あまり見たくない種です。似た種にウスモンキ、オオウスモンキ、ウスキ、オイワケ、サクライキなどがあり、ほとんど区別がつきません。一応、外横線、外縁に沿った黄白色の帯、外縁の黒点列、横脈紋などを見ていくのですが、外縁の黒点列がないのでサクライキが除外でき、外横線が明瞭でないのでウスキが除外でき、外横線が翅脈上で点になっていないのでオイワケを除外できとか・・・。結局、オオウスモンキヒメシャクかなと思ったのですが、まったくあてにはなりません。



これは前日もいた個体かもしれませんが、ホシオビコケガです。



後は毛虫です。これはマイマイガですね。



そして、これはオカモトトゲエダシャク



最後のこの幼虫は分かりませんでした。だいぶ調べたのですが・・・。

ブログに出した画像をまとめた画像リストを作っていたのですが、1月末で止まっていました。昨日やっと蛾とカメムシを更新しました。こちらから御覧ください。蛾の中に幼虫の欄も新設しました。まだ、名前や科はあやしいものだらけなので、そのつもりで見てくださいね。ヤガやエダシャクなどは画像が多くて、かなり重くなっているかもしれません。

廊下のむし探検 甲虫がいっぱい

廊下のむし探検 第571弾

昨日の「廊下のむし探検」で見つけた虫の整理がやっと終わりました。とりあえず、甲虫を先に出します。



最初はこの虫です。模様からアリモドキかなと思って図鑑を探してみたのですが、ピンとくる種がいません。そこで、ぱらぱら図鑑をめくっていて、ゴミムシにたどり着きました。たぶん、ジュウジアトキリゴミムシではないかと思います。



ハネカクシはこの日はこんな種がいました。全部で3匹。相変わらず、名前は分かりません。



ビロウドコガネの仲間だと思いますが、いい加減に撮影してしまってよく分かりませんでした。



踏まれたのか胸背が割れています。でも、模様がはっきりしていて、この間教えていただいたナミハナムグリなのかなと思ったですが、もう少し調べてみようと思っていたら、先日注文した図鑑が今日届きました。「日本産コガネムシ上科標準図鑑」(学研、2012)です。早速、見てみたのですが、コアオハナムグリ属かハナムグリ属かというところのようです。載っていた検索表を見ると、後跗節第1節の外角は尖るか尖らないかですって。この写真ではよく分かりません。結局、甲虫も採集しないといけないのかなぁ。



これはヒメマルカツオブシムシですね。



で、これは何でしょうね。分からないので、「原色日本甲虫図鑑III」を最初から見ていきました。結局、ヒメカツオブシムシかなぁというところに落ち着きました。上の種と同じカツオブシムシ科ですね。こちらの方の体長は4-5mmなのでかなり大きい感じがします。



後はいつものモモブトカミキリモドキ



それにアオグロカミキリモドキです。



セボシジョウカイですね。



ナガかフジかはっきり分かりませんが、とりあえずナガハムシダマシとしておきます。



それに、ヒゲブトハムシダマシです。





コメツキは2種。残念ながら、名前は分かりません。



これはホタルカミキリですね。



キイロナガツツハムシですね。このごろ、毎日見ます。



ムシクソハムシらしい虫がいました。早速、ひっくり返してみました。



脚を縮めてこんな姿になりました。ムシクソハムシはコブハムシ属なのですが、この属の種への検索表は「原色日本甲虫図鑑IV」に載っていました。①前胸腹板後突起の測縁は側方に鋭く突出し、末端部も角張る、②体背面は多少とも淡色の斑紋を装う、③後胸腹板の後突起は三角形、その末端はまるい、という条件でムシクソハムシにたどりつきます。この写真でも何とか分かる感じです。もう少しはっきりした写真は以前、実体顕微鏡で撮影しました。こちらを見てください。





廊下の壁に小さなゾウムシが止まっていました。近づこうとしたら、ポタっと下に落ちました。床にいるところを撮影した写真です。図鑑を見ると、アキグミシギゾウムシかなというところです。
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