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廊下のむし探検 ハエの名前調べが大変

廊下のむし探検 第462弾

冬になってくると虫が少なくなってくるので、どうしてもハエが目立つようになりますね。まぁ虫が少ない分、名前調べも楽になるので、せめてハエを捕まえてきて科ぐらいは分からないかと思って・・・。でも、なかなか難しくて、昨日からずっと悩んでいました。



それはこの種です。小さいハエで、初めはケバエかと思ったのですが、ちょっと違いました。採集してから体長を測ってみると、3.9mmでした。早速、「絵解きで調べる昆虫」(文教出版、2013)の双翅目の検索表で調べてみました。でも、最初の最初でつまづいてしまいました。触角の長い長角亜目か、短い短角亜目かというところです。ちょっと触角の部分を拡大してみます。



数字は節の番号で、実は分かってから付けたものです。初めは触角が長いので、てっきり蚊やガガンボなどが属する長角亜目だと思ってしまいました。でもよく見ると、長く伸びた部分に節が見えませんね。これに気がつけばもっと早かったのですが・・・。でも、とにかく検索表で追いかけていきました。ついでに翅脈も載せておきます。



翅脈の名称も後で付けたもので、最初はよく分かりませんでした。とにかく、中室という翅の中央付近にある室がなく、単眼があり、・・・などの特徴から割と簡単にケバエ科にたどり着きました。でも、これまで知っているケバエとはどう見ても違います。ひょっとして短角亜目かもと思って検索してみると、今度はノミバエ科やヤリバエ科になり、翅脈がまるで合いません。これで完全に行き詰まってしまいました。

もう諦めようかなと思っていたのですが、翅脈を手がかりに、Manual of Nearctic Diptera(ここからダウンロード可能)をぱらぱら見ていきました。すると似た翅脈に出会えました。実にEmpididae(オドリバエ科)でした。その中でもPlatypalpus trivialisという種の翅脈とそっくりです。やはり短角亜目のようでした。どこで間違ったのかというと、触角の長い部分がいくつかの節でできていると思ったのですが、実際には、第3節に生えている刺毛だったのですね。それでもう一度検索をやり直してみました。「絵解きで調べる昆虫」でオドリバエ科に行くためには、中室がないといけないのですが、この種にはないためたどり着かなかったようです。そこで、「原色昆虫大図鑑III」の方の検索表を使ってみました。なんとかたどり着けそうですが、詳細は後ほどまた書きます。

いずれにしても、オドリバエ科らしいことが分かったので、今度は三枝豊平氏の科研費報告書「双翅目(ハエ目)昆虫の検索システムに関する研究」(平成7年)(こちらからpdfがダウンロード可能)を使って属の検索をしてみました。すると比較的簡単にPlatypalpus属(モモブトハシリバエ属)にたどり着きました。「大図鑑」によると、この属には日本でも数十種いるそうですが、ほとんど調べられていないそうです。いろいろと顕微鏡写真を撮ったので、また、次の機会に載せます。わずか3mmそこそこのハエですが、調べるのに一日かかってしまいました。「一寸のハエにも五分の大和魂」という掲示板がありますが、まさに、その名の通りですね。でも、知っている人が見たら、きっと写真を見ただけで属まで分かったかもしれませんね。



次も小型のハエです。これは翅脈からはイエバエあたりを連想させますが、今回は捕まえてきたので、少し調べてみました。まず、中脚副基節には毛がないので、イエバエ、ヒメイエバエ、ハナバエ、フンバエのいずれかになります。



次に翅脈を見ると、CuA+CuP(Cu融合脈)は翅の端まで達していません。従って、ハナバエとフンバエの可能性は無くなります。次はA1脈が湾曲して、その仮想延長部がCu融合脈の仮想延長部を横切ります。従って、ヒメイエバエ科ということが分かります。名前調べはとりあえずそこまでです。



このハエも捕獲してきました。これはクロバエ科でした。





これもクロバエ科のツマグロキンバエかなと思うのですが、先ほどの個体とも胸背の色合いなどは似ている感じです。



後はクサカゲロウが2匹いました。顔を見てみると、両方ともスズキクサカゲロウでした。



ナミテントウもこんなに虫が少ないと貴重な存在です。



蛾ではチャバネフユエダシャクが3匹いました。



また、ナカオビアキナミシャクがちょうちょ止まりをしていました。この蛾はどうもこんな止まり方をしたがるのかもしれませんね。
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