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虫を調べる ヒゲナガヤチバエ?

ハエを捕まえて顕微鏡で観てみると、ともかく変わった形をしているので、ついつい写真を撮ってしまいます。それならついでに検索をして、ブログにも出して・・・と思って、つい、忙しくなります。さらに、そうやって検索をしてみると、いつも不安材料があって、それでタイトルに ? をつけることになってしまいます。今回も例にもれず ? つきです。いずれにしても、素人がやっていることなので、間違っているところも多いと思います。いろいろとご指摘いただければ幸いです。

今日のターゲットはこのハエです。



上から見た時は頭が銀色に光っていて、触角がやけに長いなと思ったほかはそれほど奇異な感じがしなかったのですが、顕微鏡で観てみるとやはり変わった形のハエでした。体長は7.2mm、前翅長6.3mm。検索を行ってみると、ヤチバエ科ヒゲナガヤチバエにたどり着きました。そこで、検索表に沿って進みながらその特徴を見ていきたいと思います。

まず、ヤチバエ科に至る科の検索は「絵解きで調べる昆虫」が簡単なので、その検索表を使ってみました。といっても、絵解きで説明がないので、「原色昆虫大図鑑」の検索表を見ながら、適当に書いてみます。



短角亜目という触角の短い種類についての部分です。実際には、検索は無弁類から進んでいったので、1 を飛ばしてしまっていました。後で、表の形に書こうとして、さて1 の額線はどれだろうと思って迷ってしまいました。頭の部分の写真を載せます。



額の部分がよく分からないので、点線で囲った部分をさらに拡大してみます。



額線は「大図鑑」には額囊溝と書いてあります。さらに、検索表には「ヤチバエ科のヒゲナガヤチバエ属Sepedonでは額囊類であるが半月瘤は発達しない。本属は触角梗節が著しく長い。」という注釈がわざわざついています。写真を見ると上にも下にも突起があるのですが、その間にある浅い溝のことかなと思っていますが、よく分かりません。(追記:額囊溝はFig. 5の触角から斜め下に続く溝のことかもしれません。そうだとすると、触角の上側では溝がはっきりしていないので、Fig. 2で書いた浅い溝は違うかもしれません)(追記:先に書いた追記に従って、Fig.2の額線の位置を修正しました。でも、合っているかどうか・・・

2 - 4 は翅に関することなので、翅の写真を載せます。





翅脈については、例によって、「大図鑑」風の名称と外国のサイトや論文に載っているやり方を併記しておきます。ただ、これも適当に付けた部分があるので、間違っているかもしれません。まず、2 の弁というのは翅の付け根にある膜状の構造のことですが、これにはありません。従って、無弁類ということになります。3 の翅脈についてはどちらの図を見ても構わないのですが、いずれにしてもR4+5脈とM1+2脈はほぼ平行に走っています。従って、 3 はOKです。4 のSc切れ目というのはSc脈が前縁に達するところで、前縁を走るC脈が切れてしまうことをいっているのですが、上の図を見ると切れてはいないので 4 はOKです。

次の 5 は鬚剛毛に関するものなので、顔の部分の写真を載せます。




顔は異様な格好をしているでしょう。斜め左上にある丸いものは口です。鬚剛毛はその口の脇に生える剛毛ですが、まったく剛毛は生えていません。それで 5 はOKです。6 はまた翅脈に関するものです。R4+5脈とM1+2脈はほぼ平行に走っているのでこれもOKになります。次の 7 は脚の脛節に関するものです。(追記:額線の位置を追加しました。合っているかどうかは分かりませんが・・・。さらに、図の番号を訂正しました。それに伴い、これ以後の本文の一部を変えています)(追記:頭盾と書いた場所は顔板のようです。頭盾は口のような穴のすぐ内側にあるみたいです。田中氏の「家屋害虫の同定法(2)」のFig. 43b-1に図が出ていました)(追記2015/03/22:田中氏の「家屋害虫の同定法(2)」のFig. 43b-1に従って、図を書き換えました



これは捕獲脚のような感じの後脚の部分です。よく見ると、脛節末端の背面に剛毛が生えています。それで 7 もOKとなります。次の 8 の後単眼剛毛についてはFig. 1でも分かりますが、次のFig. 7でも分かります。



後単眼剛毛というのは単眼の後ろにある1対の剛毛のことです。この2本がどちらを向いているかで科が分かれます。この個体では2本の剛毛の先端がやや離れていくようについてます。それで 8 もOKになります。最後の 9 はR1脈が前縁に出る位置ですが、翅のほぼ中央です。これでヤチバエ科に到達しました。

ヤチバエの幼虫は一般に水生で、ヒゲナガヤチバエも水面下で生息しているそうです。そこで、この科については「日本産水生昆虫」(東海大学出版会)に詳しく載っていました。この本に書かれていたヤチバエ科の特徴は次の通りです。



いろいろと書いてあったのですが、青色の部分はすでに検索表で調べたものです。それ以外を見ていきます。まず、1 は次の写真を見るとよく分かります。



これは頭の部分の拡大です。ずいぶん奇妙な触角があるでしょう。ついでだから触角も拡大してみます。



上額眼縁剛毛というのは上の方の写真で示したものです。他に剛毛は見えないので、2 もその通りなのでしょう。5 の頭盾は上のFig.5で示したものですが、口縁より先に出ることはないようです。これでヤチバエ科の特徴も確認できました。

次は属への検索です。これも「水生昆虫」に載っていたものです。



1b の前胸側板は次の写真で分かります。



この部分には剛毛はないので、5a に進みます。この項目が問題です。Fig. 7に「大図鑑」にならって剛毛の名前を入れてみました。なお、「大図鑑」では「剛毛」ではなくて「刺毛」と書いてあるので、それにならっています。写真でも分かりますが、残念ながら、5a に書いてある剛毛はいずれも存在しません。それでは検索表の別の項目に進めばよいかというと、この個体の性質とはかなりずれてきます。外見からはヒゲナガヤチバエの仲間で間違いないと思うのですが、とにかく不思議です。そこで、とりあえず、この項目を飛ばして進みます。

次の 6b の触角についてはFig. 8または9でも分かりますが、第3節に剛毛束などはありません。それで 7a に進みます。7a の最初の項目はすでに確認しました。2番めの項目は触角第2節が第3節より明らかに長いことで、Fig.8でも分かりますね。最後は翅が透明であることです。ということで、不安材料を抱えたままではありますが、ともかくヒゲナガヤチバエ属になりました。

次は種への検索です。



これは簡単で、頭部の色で他種と明確に区別できるようです。従って、ヒゲナガヤチバエだろうということになりました。

最後はおまけで、Fig. 10で白っぽく見える部分を拡大した写真です。



白い細かい毛で覆われているようです。撮影してからどの部分を撮ったのか探してみたのですが、どうしても見つかりません。どこを撮ったのでしょうね。

ヤチバエ科という初めての科を調べてみました。口の構造といい、触角といい、実に変わった形をしていました。そこで、つい検索もやってみる気になりました。胸背の剛毛について合わないところもあるのですが、外見からおそらくヒゲナガヤチバエで間違いないのではと思っています。それにしても剛毛は難しいですね。

追記:ヒゲナガヤチバエの生活史について次のような論文を見つけました。

永冨昭、櫛下町鉦敏、Kontyu 33(1), 35 (1965). (ここからダウンロード可能)

この論文には、ヒゲナガヤチバエが水辺で暮らし、水草などの水辺植物に卵を産むこと、そして、幼虫は水中での呼吸ができないので水面上で暮らして、ヒメモノアラガイなどの貝類を食することが載っています。蛹化は水際のものならなんでもよくて、成虫は1年中見られるとのことです。ヒメモノアラガイは肝蛭を媒介する有力な中間宿主と知られ、また、卵はズイムシアカタマゴバチに大量に寄生されるので、害虫であるニカメイガにも寄生するズイムシアカタマゴバチの存続に貢献しているとのことです
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廊下のむし探検 テングチョウ、ハエなど

廊下のむし探検 第463弾

今頃、マンションの廊下を歩いても小さなハエぐらいしかいないのですが、昨日は廊下の壁にテングチョウが止まっていました。



普段見るテングチョウよりはよほど枯れ葉っぽいですね。近寄ってフラッシュをたいたらパッと飛び立ってしまいました。どこにいったのかなと探してみると、



床の上で横たわっています。指で動かしてもまったく動こうとしません。擬死のようです。そのままほおっておいたのですが、それにしても枯れ葉そっくりですね。



これも廊下の壁に止まっていました。色はあまり黒くはないのですが、おそらくカラスヨトウではないかと思います。これも成虫越冬ですね。



それにナミテントウですね。

後はハエばかりです。



まずはこれ。翅にまだら模様があるので、ひょっとしたら名前が分かるかもと思って採集してきました。何となくシマバエ科かなと思って、シマバエ科で画像検索すると、早速、似た種にぶつかりました。しかも、種名まで書かれていて・・・。Homoneura mayrhoferiだそうです。インターネットってすごいですね。座ったままでこんなハエの名前まで分かるなんて・・・。

でも、ネットの情報は怪しいことが多いので、一応、自分でも調べてみようと思ってさらに検索してみると、シマバエ科の属への検索表が見つかりました。試案だそうですが、これから試してみます。また、文献も見つかりました。笹川満博氏の論文です。

M. Sasakawa and S. Ikeuchi, 昆蟲 53(3), 491 (1985). (ここからダウンロードできます)

この中にHomoneura mayrhoferiの簡単な説明と種への検索表が出ていました。ざっと読むと最終的には翅の模様で分かりそうです。



次のこのカスミカメのようなハエもシマバエ科の画像検索をしているときに見つかりました。シマバエ科のSteganopsis sp. 2と言われている種に似ています。これも採集したはずなので、一緒に調べてみます。この日は3匹いました。それにしても画像検索をしていると、こんな小さな虫でも綺麗に撮影されている方の多いこと多いこと。自分の腕の未熟さを思い知らされました。



これは何科か分かりますか?まだ調べてないので、これからなのですが・・・。頭頂が銀色に光っていますね。触角が結構長いです。後脚に捕獲脚のような棘が見えますね。ハエはいろいろな種類がいて実に面白いです。(追記:「絵解きで調べる昆虫」で検索をすると、ヤチバエ科に到達しました。図鑑やネットを見ると、ヒゲナガヤチバエに似ている感じです)(追記:その後、「日本産水生昆虫」(東海大学出版会、2005)に載っている検索表を使って検索した結果ヒゲナガヤチバエで合っているようです



以前、シワバネキノコバエと教えてもらった個体と似ています。それなのかどうかは分かりませんが・・・。いずれにしても、キノコバエなのでしょうね。(追記2017/11/27:シワバネキノコバエというのはジャワ産の種について与えられた名前なので、ここではAllactoneura sp.としておくのがよさそうです。詳細はこちらを見てください



こちらはキモグリバエの仲間でしょうね。この日はたくさんいました。でも、名前調べの方はキモグリバエの仲間からなかなか先へ進みません。一度は調べてみたいと思うのですが、本を海外から取り寄せないといけないのでどうしようかと迷っています。

虫を調べる モモブトハシリバエ?

12月も終わりになり、マンションの廊下でも虫はほとんどいなくなりました。そんな時でも、よく見てみると小さなハエの仲間がいるものです。そんな1匹を捕まえてきて、少し調べてみました。だいぶ苦労したのですが、それについては前日の記事を見てください。

まず、対象としたハエはこんな虫です。



体長はわずか3.9mmしかないのですが、それでも拡大してみるといろいろと面白い構造を持っていました。横から見た姿を載せます。



口のところが特に面白いですね。何だか鳥のくちばしのようなものがあります。まず、これが何の仲間なのか、「原色昆虫大図鑑III」の双翅目の検索表を使って調べてみることにしました。昨日も書きましたが、これは短角亜目に属するので、その部分の検索表を載せておきます。全部載せるのは大変なので、このハエがオドリバエ科であることを知って、その部分だけを抜粋して載せることにします。



関連する写真を載せます。まず、側面からの拡大写真です。



次は背側からです。



頭部と触角の拡大写真も載せておきます。



これは真上からです。



横からです。本当に面白い格好をしていますね。



そして、後ろからです。



最後は触角です。触角は3節まであって、長いのは刺毛だそうです。

さて、最初の検索表に戻って調べてみましょう。なお、私はハエについてはまったくの素人ですので、そのつもりで見てくださいね。最初の43と44の項目はそれぞれ、イエバエなどの普通のハエとアブ類を除外する項目なのでパスします。次の小顎鬚はFig. 4か5あたりを見ると分かりますが、節には分かれていないようです。従って、1-2節から構成されるというのは合っているみたいです。触角鞭節というのは第3節以降をいいます。Fig. 7でも分かりますが、刺毛は生えていますが、小節には分かれていないようです。従って、56に進みます。56は翅脈に関することなので、翅の写真も載せます。





翅脈は論文やネットに載っている名称と「大図鑑」の名称が若干異なっていて、ちょっと混乱するので、両方のやり方で名前を付けてみました。合っているどうかは分かりませんが・・・。上は「大図鑑」風、下は論文やネットに載っているやり方です。さて、56のCuA脈については上の方の写真を見て下さい。翅の後縁とはるかに離れたところでCuP脈と融合しています。その融合部の長さはCu脈の基部(Cuと書いてある部分)より十分長いので、ここに書いてあることと合致します。従って、63に飛びます。(追記:Fig. 9のCu脈とA1脈で囲まれた部分はcup室と書くべきなので図を修正しました。なお、cupはposterior cubital cellの略です。ついでに、brとbmはそれぞれbasal radial cellとbasal medial cellの略で、日本語では第1基室と第2基室になります

63では、第3触角節に刺毛があるかどうかという点ですが、Fig. 7のようにあります。さらに、r-m横脈は中央より翅の根元側にあります。また、M脈は2つに分かれ、M1+2脈はR4+5脈と離れて翅端に達しています。それで、64に進みます。Fig. 7でも分かりますが、触角の刺毛には節があるようには見えません。そこで、65に向かいます。Fig. 8を見ると、Rs脈は肩横脈(hと書いてある部分)から離れて分岐していて、Rs脈基部の長さはh脈よりははるかに長いので、結局、オドリバエ科になります。

ここで、ちょっと一服したい感じですが、続けてオドリバエ科の属の検索を行います。今度は、三枝豊平氏の科研費報告書「双翅目(ハエ目)昆虫の検索システムに関する研究」(平成7年)(こちらからpdfがダウンロード可能)を使わせていただきました。これも、最終的にはPlatypalpus属(モモブトハシリバエ属)になるのでその部分だけを抜粋して載せます。



ここで面白い言葉が出てきました。捕獲脚です。1は前脚にあるか、45は中脚にあるかという内容です。これについては後で載せることにして、その他の項目を最初に見ていきます。まず、2は翅に中室がないのでOK。42は平均棍の前方の刺毛塊についてで、おそらくFig. 2の白矢印の部分に刺毛があるかどうかだと思うのですが、ありません。43はFig. 8を見ると、M脈は2本で、また、翅腋葉は発達していません。

残りは捕獲脚です。



これはハエを前方から見たところですが、中脚がえらい構造をしています。何やらカマキリの脚を連想させます。まず、腿節は太くなり、下側は弓なりに湾曲しています。それに対応するように、脛節も弓なりに湾曲しています。その間には刺のような構造が見えます。これがどうやら捕獲脚のようです。少し拡大してみます。



ちょっと恐ろしいような構造ですね。こんな構造を体長わずか3.9mmの虫が持っているなんてちょっと驚きです。でも、これでPlatypalpus属(モモブトハシリバエ属)であることが分かりました。"platy"というのはラテン語で平らという"flat"の意味、それに"palpus"は口肢なので、平らな口肢という意味ですね。小顎鬚が平らなことを言っているのでしょう。

Platypalpus属についての説明は「大図鑑」でもわずかしか載っていないので、ちょっと論文を探してみました。




上記の論文(ここからpdfがダウンロードできます)に特徴がまとめられていました。左右の複眼が分離しているというのはFig. 4-6あたりを見ると分かります。それにしても大きな複眼ですね。これは♀の個体なので、♂はどうなっているのかは分かりません。3の肩部はFig. 2と3に載っています。発達しているかどうかは比較の問題なのでよく分かりません。4は中胸盾板が長細いこと、5は中脚が捕獲脚であることです。脛節末端の刺は次の写真を見て下さい。(追記:項目6の内容を勝手に解釈し、cua室と書いていたのですが、ここは原文通りcup室と書くべきなので書き換えました



この写真の矢印の部分になるはずなのですが、実ははっきりしません。Manual of Nearctic Diptera(ここからダウンロード可能)に載っているPlatypalpus trivialisはもっとはっきりした刺を持っています。ここがちょっと不安材料です。最後の翅脈はFig. 9の方の図を見ると言っている意味がよく分かります。

ということで、おそらくオドリバエ科のPlatypalpus属(モモブトハシリバエ属)でほぼ間違いないと思うのですが、ちょっと不安材料も抱えています。それにしても口吻のあたりといい、捕獲脚といい、こんな小さな虫なのにとんでもない構造を持っているのには驚いてしまいました。捕獲脚というはエサをつかむための構造だと思うのですが、前脚なら分かりますが、中脚だけにあるというのはどんな使い方をするのでしょうね。(追記:Platypalpusで画像検索すると、中脚で獲物の脚を挟みながら体液を吸っている画像が見つかりました《リンクを張ってよいのかどうか分からないので、検索してみてください》。中脚をこんな風に使うのだなと感心して見てしまいました。人がものを足でおさえ、手を使って何かをするやり方と似ていますね

追記:上の記事で「大図鑑」にはPlatypalpus属のことがわずかしか載っていないと書いたのですが、実は、結構詳しく載っていました。それで、ここに転載したいと思います。



この中では、2の触角第3節が三角形なこと《Fig. 7を見ると確かにそうです》、3の肩部が発達していることを『肩瘤』と書いてあること、4では、Fig. 8のbmは
第2基室ではなくて第2基室+中室と解釈するらしいことが分かります。また、6では『中脛節は基部が膝状に屈曲し』とありますが、Fig. 11で脛節を曲げた時に平らになっている部分のことかなと思っています

廊下のむし探検 ハエの名前調べが大変

廊下のむし探検 第462弾

冬になってくると虫が少なくなってくるので、どうしてもハエが目立つようになりますね。まぁ虫が少ない分、名前調べも楽になるので、せめてハエを捕まえてきて科ぐらいは分からないかと思って・・・。でも、なかなか難しくて、昨日からずっと悩んでいました。



それはこの種です。小さいハエで、初めはケバエかと思ったのですが、ちょっと違いました。採集してから体長を測ってみると、3.9mmでした。早速、「絵解きで調べる昆虫」(文教出版、2013)の双翅目の検索表で調べてみました。でも、最初の最初でつまづいてしまいました。触角の長い長角亜目か、短い短角亜目かというところです。ちょっと触角の部分を拡大してみます。



数字は節の番号で、実は分かってから付けたものです。初めは触角が長いので、てっきり蚊やガガンボなどが属する長角亜目だと思ってしまいました。でもよく見ると、長く伸びた部分に節が見えませんね。これに気がつけばもっと早かったのですが・・・。でも、とにかく検索表で追いかけていきました。ついでに翅脈も載せておきます。



翅脈の名称も後で付けたもので、最初はよく分かりませんでした。とにかく、中室という翅の中央付近にある室がなく、単眼があり、・・・などの特徴から割と簡単にケバエ科にたどり着きました。でも、これまで知っているケバエとはどう見ても違います。ひょっとして短角亜目かもと思って検索してみると、今度はノミバエ科やヤリバエ科になり、翅脈がまるで合いません。これで完全に行き詰まってしまいました。

もう諦めようかなと思っていたのですが、翅脈を手がかりに、Manual of Nearctic Diptera(ここからダウンロード可能)をぱらぱら見ていきました。すると似た翅脈に出会えました。実にEmpididae(オドリバエ科)でした。その中でもPlatypalpus trivialisという種の翅脈とそっくりです。やはり短角亜目のようでした。どこで間違ったのかというと、触角の長い部分がいくつかの節でできていると思ったのですが、実際には、第3節に生えている刺毛だったのですね。それでもう一度検索をやり直してみました。「絵解きで調べる昆虫」でオドリバエ科に行くためには、中室がないといけないのですが、この種にはないためたどり着かなかったようです。そこで、「原色昆虫大図鑑III」の方の検索表を使ってみました。なんとかたどり着けそうですが、詳細は後ほどまた書きます。

いずれにしても、オドリバエ科らしいことが分かったので、今度は三枝豊平氏の科研費報告書「双翅目(ハエ目)昆虫の検索システムに関する研究」(平成7年)(こちらからpdfがダウンロード可能)を使って属の検索をしてみました。すると比較的簡単にPlatypalpus属(モモブトハシリバエ属)にたどり着きました。「大図鑑」によると、この属には日本でも数十種いるそうですが、ほとんど調べられていないそうです。いろいろと顕微鏡写真を撮ったので、また、次の機会に載せます。わずか3mmそこそこのハエですが、調べるのに一日かかってしまいました。「一寸のハエにも五分の大和魂」という掲示板がありますが、まさに、その名の通りですね。でも、知っている人が見たら、きっと写真を見ただけで属まで分かったかもしれませんね。



次も小型のハエです。これは翅脈からはイエバエあたりを連想させますが、今回は捕まえてきたので、少し調べてみました。まず、中脚副基節には毛がないので、イエバエ、ヒメイエバエ、ハナバエ、フンバエのいずれかになります。



次に翅脈を見ると、CuA+CuP(Cu融合脈)は翅の端まで達していません。従って、ハナバエとフンバエの可能性は無くなります。次はA1脈が湾曲して、その仮想延長部がCu融合脈の仮想延長部を横切ります。従って、ヒメイエバエ科ということが分かります。名前調べはとりあえずそこまでです。



このハエも捕獲してきました。これはクロバエ科でした。





これもクロバエ科のツマグロキンバエかなと思うのですが、先ほどの個体とも胸背の色合いなどは似ている感じです。



後はクサカゲロウが2匹いました。顔を見てみると、両方ともスズキクサカゲロウでした。



ナミテントウもこんなに虫が少ないと貴重な存在です。



蛾ではチャバネフユエダシャクが3匹いました。



また、ナカオビアキナミシャクがちょうちょ止まりをしていました。この蛾はどうもこんな止まり方をしたがるのかもしれませんね。

廊下のむし探検 開店休業状態

廊下のむし探検 第461弾

今年はいつもの年より寒いのか、あれほどたくさんいたマンションの廊下も虫がほとんど見当たりません。ほとんど開店休業状態です。



今日は蛾1匹。このチャバネフユエダシャクだけがいました。



それとおそらくヘラクヌギカメムシだと思われる個体。

それにハエばかりでした。









こんなハエの写真ばかり撮ってどうなるだろうなと思いながら撮ってしまいました。一番上の写真のハエは翅脈がかろうじて見えています。Cu融合脈が翅端まで達していなくて、A1脈の延長線も交わらない感じなので、イエバエ科かな。真ん中2つはクロバエ科?一番下は?ハエはまだ慣れないので、捕まえないとなかなか科も分かりません。(追記:通りすがりさんから、「ハエは1枚目はハナレメイエバエの仲間?」というコメントをいただきました。ついでに、一番下はキノコバエ科のようです



最後はナミハグモの仲間かなと思うクモです。クモもせめて科の検索ができるとよいですね。

廊下のむし探検 シロオビフユシャクほか

廊下のむし探検 第460弾

今日も寒い一日でした。こんな日に探しても何もいないだろうなと思っても、足は勝手に廊下を歩いてしまいます。それでも今日は今シーズン4種目のフユシャクを見ることができました。



シロオビフユシャクです。いつも12月末から1月中旬ごろに出てきます。一昨年と昨年の初見日はそれぞれ12月17日と12月28日でした。今年が12月22日だから平均的でしょうか。今年は特に寒いなと思っていたのですが、フユシャクたちにとっては例年の寒さですよということですね。



いつもオオシマカラスヨトウといっている蛾です。地下駐車場の天井に止まっていました。かなり大きな蛾なので、遠くからでもよく目立ちます。近づいて撮影してみてびっくり。卵をいっぱい産んでいました。







この間変わったハエがいたので、今日は小さいハエも見つけたら写してみました。でも、いつものハエばかりのようです。翅脈からはイエバエ科かヒメイエバエ科あたりかなと思います。さすがに採集はしませんでした。



壁に小さな虫が止まっているなと思って近寄ってみると決まってこのネコハグモでした。何度だまされたことか。

廊下のむし探検 何もいない

廊下のむし探検 第459弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日も朝は氷点下になる寒さでした。おそらく、虫はいないだろうなと思いながらも、午後から歩いてみたのですが、やはりほとんどいませんでした。でも、いないというのも一つのデータだなと思って出しておきます。





今日はこんなハエからです。上のハエはちょっと姿形が面白いので載せました。下のハエは何となくこの間調べたフンバエに似ている感じです。最近、ハエの科までの検索ができるように(?)になったので、捕まえたらできそうだったのですが、この間のハナアブでくたびれてしまったので、この日はパスです。本当はまだまだほかのハエもいたのですが、写真を撮ると捕まえて科を調べなければならないので、何となく見て見ぬふりです。(追記:通りすがりさんから、上の写真のハエについて、「シマバエ科のLuzonomyza(Tetroxyrhina)かLuzonomyza(Luzonomyza)かも。」というコメントをいただきました。調べてみると、「日本の双翅目 I.シマバエ科」に書かれているLuzonomyza(Tetroxyrhina)の一種とよく似ています。特に、上の写真をよく見ると、翅の下の腹の先端に2本の突起が見えています。これはLuzonomyza(Tetroxyrhina)の♂の特徴のようです)(追記2018/02/14:下のハエの方はトゲハネバエ科かなと思われます。詳しくはこちらを見てください



フユシャクはこのクロオビフユナミシャク1匹だけ。本当に寂しくなりました。





こんなクモが2匹いました。以前作った画像リストを見てみると、今年の1月にも見ていて、そのときはカチドキナミハグモにしていました。「日本のクモ」(文一出版、2006)で調べてみようと思って索引を見ても載っていません。あれっと思って、目次からナミハグモ科を探すとそこにちゃんと載っています。どうやら索引から抜けているようです。そう思ってネットを探してみると、「日本のクモ」2006年版の訂正記事がでていました。本文の17ページ分に相当する部分の索引がすっかり抜けてしまっているようです。その他、2010年版になって訂正された箇所も多数載っていました。だいぶ変更があるようです。

今年1月に出した記事には追記を載せていたので、もう一度、それを書いておきます。「谷川明男氏の日本産クモ類目録によれば、ナミハグモ科には3属86種が載っていて、そのうち、ナミハグモという名前の付くCybaeus属には84種が載っていました。」どうやら名前調べは相当に大変な感じです。クモはどうも苦手で、採集する気がしません。

ハナアブの翅脈比べ

昨日、マンションの「廊下のむし探検」で見つけたハナアブを検索表で調べていたら、北海道だけに生息するラップホシヒラタアブに到達して悩んでいたところ、通りすがりさんから、全国的にいるコマバムツホシヒラタアブだと教えてもらいました。



見つけた個体は腹部に特徴的な模様のあるこんなハナアブです。両者の検索表上の最大の違いは翅脈のうち、R4+5脈とされる脈が、1)強く曲がる、2)弱く曲がる、3)真っ直ぐか、かすかに曲がるのどれかという点にかかっています。1)だとヘリヒラタアブなどに到達し、2)だとラップホシヒラタアブなどに到達し、3)となるとコマバムツホシヒラタアブを含む、まだ数多くの種が該当するようになります。




R4+5脈はこの図に示す通りです。曲がっているかどうかというのは赤い矢印で示したところです。なお、翅脈の名前は「原色昆虫大図鑑」に習ってつけたつもりですが、合っているどうかは分かりません。私はこの曲がり方が弱く曲がっていると判断して、ラップホシヒラタアブに到達してしまいました。コマバムツホシヒラタアブであるとすれば、かすかに曲がると判断しなければいけなかったようです。

ちょっと悔しくなったので、この部分の曲がり方が上記の2種でどの程度違うのか、今回の個体の写真をもとにして比べてみることにしました。なお、比較検討する個体はネット上の信頼の置けるサイトの標本写真から取りました。

まず、コマバムツホシヒラタアブ Scaeva komabensisについてです。



この両者を比べてみました。上は今回の個体、下は標本写真の明るさを適当に変え、黒白の二値化した上で、背景を透明にしました。重ねた結果がこれです。



実によく一致します。科捜研のドラマでいうと95%一致という程度ですね。よく見ると、m-cu横脈が少しずれていますが、少なくともR4+5脈の矢印で示した部分はほぼ完全に一致しています。

次はラップホシヒラタアブ Lapposyrphys lapponicusです。



この場合は標本写真の背景に腹部が写り込んでいたため、マンションで採集した個体写真の方を二値化しました。重ねた結果は次の通りです。



かなり一致はしていますが、細かな点で違っています。科捜研では60%一致ぐらいが出そうです。Cu脈の付近、擬脈の辺りにどうしても一致しない部分が出てしまいました。もちろん、写した時に翅が斜めになっていてずれているということも考えられますが、少なくともR4+5脈の曲がり具合(赤い矢印)は明らかに違うようで、ラップホシヒラタアブの方が強く曲がっています。でも、逆にいうと曲がり方の違いというのはこの程度だということです。これでは、比較してはじめて分かる程度で、個体1匹を見ただけでは相当熟練していないかぎり違いは分かりそうにありません。

今回の教訓としては、検索表で判断の難しい項目があったら、躊躇せずに、その両方の可能性を調べていき、ほかの特徴から判断していくこと。要は言葉にだまされないようにすることですね。通りすがりさん、どうも有難うございました。

廊下のむし探検 ハナアブで悩んでいます

廊下のむし探検 第458弾

寒い日が続いています。こんな日は昆虫豊富な我がマンションもさすがに虫はほとんどいません。そういう意味では虫の名前調べは楽なはずなのですが、実は、昨日からハナアブで悩まされています。といっても、名前調べにですが・・・。

昨日、廊下にこんなハナアブが止まっていました。



寒いのか壁に止まってじっとしています。腹部の模様がちょっと変わっていたので、早速、捕まえてきました。体長13.5mm。かなり大きなハナアブです。



こんな模様です。ちょっと勾玉のような感じのする模様ですね。早速、大石久志氏の「ルーペで調べる身近な縞模様のハナアブの見分け方(1)~(7)」、昆虫と自然 (1996)~(2000)の検索表を使って調べてみました。すると、それほど苦労せずにラップホシヒラタアブ Lapposyrphus lapponicusという種にたどり着きました。確かに、検索表に書かれたイラストと腹部の模様はよく似ています。

この種は「原色昆虫大図鑑III」と「学研生物図鑑 昆虫III」には出ていません。やっと、「札幌の昆虫」(北大出版、2006)に出ていました。ただ、説明は、「6~10月出現、体長9.5-12.5mm、山地。複眼に毛がない、翅のR4+5脈はやや強く下方にふくれる」だけが載っていました。大石氏の検索表では、さらに、「口の周りは黒色、後腿節はほとんど黒色」と書かれています。ハナアブの世界というサイトには詳細なハナアブの写真図鑑が掲載されていますが、ラップホシヒラタアブとした種と腹部の模様は大変よく似ています。ただ、分布がどうやら北海道だけのようです。

ここから悩み始めました。検索が間違っているのだろうかと思って何度も見直したのですが、間違いそうなところは、R4+5脈が明瞭に曲がっているかどうかというところです。そこで、翅を詳しく見てみます。



翅脈の名前の付け方を「原色昆虫大図鑑III」風にしたのですが、ネット上のサイトや論文に出ている名称とは若干違います。ちょっと心配になってきたので、そちらの方の名前も載せておきます。



両者の違いは、上の図ではvena spuria、下の図ではCuPと書いた部分です。「大図鑑」ではこの脈を擬脈と解釈しているので、名前の付け方が変わってきたのです。さて、「R4+5脈は明瞭に曲がる」というのは矢印で示した部分を指しています。この部分の曲がり方はhome of Flower Flies (Syrphidae)というサイトの標本写真ともよく合っている感じなのですが、仮に、この曲がり方が明瞭ではなくて、かすかに曲がると解釈すると、検索表で次のネックになるのは「複眼に毛があるか、ないか」という点になります。



顔面の写真から、複眼にはまばらに毛が生えていることが分かります。これを生えていると解釈すると、検索表で行き着く先はコマバムツホシヒラタアブになります。この種は腹部の左右の紋がくっついていてかなり違います。一方、「複眼に毛がない」と解釈すると、今度はEupeodes属のフタホシヒラタアブ、あるいは、ナミホシヒラタアブにたどり着きます。しかし、フタホシとは顔面の模様と体長が、ナミホシとは腹部の模様と脚の黒色部分が異なります。

さらに、先ほどのサイトの説明を読むと、Eupeodes属とLapposyrphus属との一番大きな違いは、後者では後胸腹板(metasternum)に毛がないことだと書かれています。でも、この後胸腹板がよく分かりません。



それらしい部分を斜め横から撮影したものです。右の方に伸びているのが後脚です。この後脚のついている部分が後脚腹板かなと思って見てみると、上の写真のように確かに毛はありません。でも、ちょっとよく分かりません。

先ほどのサイトハナアブの世界には標本写真も載っているので比較してみると、ラップホシヒラタアブと今回の個体の脚の黒い場所はよく似ています。



上の写真の赤い矢印で示した場所が黒い部分です。これらのことからラップホシヒラタアブで良いのだろうと思っているのですが、ちょっともやもやで終わっています。(追記:ついでに口の写真も撮ったので、載せておきます。



検索表には「口の周りは黒色」と書かれていました。この個体では黒っぽくはありますが、黒というわけではありませんでした
)(追記:通りすがりさんから、「これはやはりコマバムツボシヒラタアブだと思います。昔は夏に山でしか得られない珍種だと思われていたそうですが、暑い時期には山に、寒くなると平地に移動するヒラタアブで、長野では夏から秋が深まる頃まで最も普通に見られるヒラタアブです。」とのコメントをいただきました。いろいろと努力したのですが、結局、普通種のコマバムツボシヒラタアブだったようです

ついでに他の虫も出しておきます。この日は蛾はまったくいませんでした。



いたのはこんなキノコバエ?と、



それに、コカニグモでした。いよいよ「廊下のむし探検」も冬の季節になってしまったようです。

廊下のむし探検 スギタニモンキリガ?

廊下のむし探検 第457弾

昨日はフンバエの顕微鏡写真撮影で忙しくて、一昨日の「廊下のむし探検」で見つけた虫を調べる余裕がありませんでした。今日、改めて見てみると、名前調べのなかなか難しい虫がいました。



今日の最初はこの蛾です。「大図鑑」ではスギタニモンキリガで決まりだったのですが、その後、この種は3種に分かれ、それぞれスギタニモン、ヤマノモン、スミレモンと呼ばれるようになってしまいました。「標準図鑑」にはその見分け方も書かれており、昨年の12月10日に見た個体はヤマノモンだということにしました。

今回の個体は、前縁の黒い点の位置が下の模様の真上にあるので、「標準図鑑」の見分け方からはスギタニモンで決まりのような感じですが、一方、亜外縁線上の2つの黒点がはっきりしていて、翅全体が明るい色なので、ヤマノモンのような感じもします。だいぶ迷ったのですが、やはり前縁の黒点の位置からスギタニモンキリガかなと思っています。いずれにしても晩秋の11-12月に発生し、越冬はしないので、晩秋キリガですね。(追記:通りすがりさんから、「前縁部の黒紋は、(中略)下側の紋のちょうど下端くらいの位置になりますし、他の特徴からもヤマノモンキリガの様に見えます。」というコメントをいただきました。やはりヤマノモンキリガなのでしょうね



後は、クロオビフユナミシャクで、この日は3匹いました。



それと、このソトシロオビナミシャクです。



こんなヒラタアブが止まっていました。一応、採集してきて検索を試みてみました。今回用いた検索表は、大石久志氏のもので、「昆虫と自然」の1996年から2000年にかけて、「ルーペで調べる身近な縞模様のハナアブの見分け方」と題して連載されたものです。綺麗な図が出ていてたいへん見やすい検索表です。結果は普通にいるホソヒラタアブになりました。



でも、この腹の2重の縞模様を見たら、検索などしないでも分かりましたね。



次はこの小さなハエです。これも採集してきて、「原色昆虫大図鑑III」の検索表で検索してみました。結果はイエバエ科になりました。



この模様から名前が分かるとよいのですが、ハエの図鑑が手元になくて残念ながらここまでです。

虫を調べる キアシフンバエ

先日、こんなハエがいました。




ちょっと変わった感じのハエなので採集してきました。「原色昆虫大図鑑III」の科の検索表を使って調べてみると、フンバエ科にたどり着きました。私はそこでギブアップだったのですが、その後、通りすがりさんから、「キアシフンバエと思われます。」というコメントをいただきました。ハエ目は科がなんとか分かっても、種までたどり着けることはほとんどないので、チャンスだと思って少し調べてみました。

といっても、「大図鑑」には、「ヒメフンバエより個体数少なく、翅に暗斑なく、脚は橙黄色を呈する。」と書いてあるだけです。もう少し詳しく書いてある文献はないかなと思ってネットで探してみました。いろいろと見たのですが、結局、次の原記載論文が一番詳しいのではないかと思い、それを参考にすることにしました。

D. W. Coquillet, Proc. Unit. Stat. Natl. Museum 21, 301 (1898) (こちらからダウンロードできます)

まず、フンバエ科への検索から始めてみたいと思います。「原色昆虫大図鑑III」の有弁翅類という翅に覆弁がある仲間の科への検索をしてみます。その部分だけを抜き出すと、



のようになります。そこで、それに関連する写真を載せます。



まず、横からの写真です。脚が橙色であることが分かりますね。



少し拡大したものですが、口器が発達しているので、検索表の1はOKで、2に行きます。さらに拡大してみます。



中副基節に毛はありません。そこで、3に進みます。



3は翅脈に関するものなので、翅脈を見てみます。CuA+CuPと書いたものがCu融合脈です。これが翅縁まで達しているので、フンバエ科かハナバエ科かというところになるのですが、4のフンバエ科の特徴を見てみます。小楯板の下に毛はないので、前額を見てみます。



広々とした前額をしています。これは♀の個体なのですが、♂も同じだそうです。さらに、額内に刺毛はありません。後頭部についてはFig. 2を見ると、細かい毛がいっぱい生えています。下前側板はFig. 3を見ると分かりますが、一本だけ長い剛毛があります。基覆弁については翅の基部を拡大してみます。



覆弁は通常2種類あります。端覆弁と基覆弁です。このハエの場合、端覆弁はやや小型ですが、普通のものと変わらない感じです。ところが基覆弁は細い線状になって体にくっついているように見えます(おそらくこれでよいと思いますが、自信はありません)。とりあえず、これでフンバエ科であることが確かめられました。

Coquillet(1898)の論文でScatophaga mellipesと書かれている種が、「大図鑑」でScathophaga mellipesと書かれている種と同じようです。その説明は英文なので、なんとか訳してみました。ただ、専門用語が多くて誤訳も多いと思いますので、そのつもりで読んでくださいね。



関連する写真も追加します。(追記:脚の部分の訳の一部が不適当かなと思って書き換えました。『中脚の前面・・・・』の部分です。これは脚の色ではなくて、毛の色について書かれているようです









頭部はほぼ書かれている通りです。触角の各節の色ですが、触角第3節というのはFig. 5に書いてあります。この部分が黒く、後は黄色ないし茶色になっています(ちょっと写真では色がよく分からないのですが)。「触角第3節末端が黄色」というは何を指しているのか分かりませんでした。

胸部は最初の写真でも分かりますが、4本の黒い筋があります。正中部の5対の長刺毛はおそらく背中刺毛のことを指しているのだと思います(なお、刺毛の名前は適当につけているので、だいぶ間違っているのではと思っています)。次の中胸下前側板の長刺毛はFig. 3でも出てきましたが、Fig. 9に下前側板刺毛と書いてあるものです。小楯板の4本の刺毛はFig. 8に示したものかなと思います。ということでほぼ記述通りです。

腹部は黒で、Fig. 10で示すように、上面は若干の黒い刺毛とたくさんの短い毛が生えています。側面には黒い刺毛と薄い色の長毛がたくさん生えています。だいたい記述と合っているのかなというところです。

脚については、主に毛について書かれていて、♂については詳しいのですが、♀についてはほとんど書かれていません。さらに、♂と♀とはだいぶ違うようです。従って、この記述があっているのかどうかは判断できませんでした。ただ、Fig. 1や2を見ると前腿節の後半が黒いのですが、このことについてはどこにも書かれていないのが気になりました。

翅についてはFig. 6でも分かりますが、基部から前縁脈に沿った部分が少し茶色を帯びています。これも書かれている通りだと思われます。

ということで、若干の疑問は残っているのですが、ほぼ、キアシフンバエでよいかなという感じです。今後、♂がいたら、もう少し脚の毛について調べてみたいなと思っています。

廊下のむし探検 つららと晩秋の蛾2種

廊下のむし探検 第456弾

昨日の朝は特に冷えていたのか、私の住む大阪北部のマンションの手すりにこんなつららができていました。



1月だとか2月だと分かるのですが、まだ12月半ばだというのに・・・。これは虫はいないなと早々と諦めて、ちょっと暖かくなった午後から歩いてみました。



この日は晩秋の蛾が2種見られました。まず初めはこの真っ黒な蛾です。カレハガの仲間でウスズミカレハといいます。いつも12月ごろに2-3匹現れます。一昨年と昨年の初見日は12月14日と12月23日でした。翅を広げると少し透けて薄墨色に見えるのでこんな名前が付いているようです。左中脚の下に見えるのは下翅の一部です。そこに白い斑点があるので、前縁に2つの白点があるように見えます。



次はクシヒゲシャチホコです。♂の触角がふさふさしているのでこんな名前がついています。やはり晩秋の蛾で、一昨年と昨年の初見日は12月18日と12月8日でした。

後は最近の常連のフユシャクです。



チャバネフユエダシャク



クロオビフユナミシャクです。クロオビは2匹いました。



それに、もっと前からの常連のアオバハガタヨトウです。



ホソバヤマメイガは年中いる感じです。



選挙に行った帰りにふと見たら、外にある倉庫の壁に小さな虫が止まっていました。慌てて家までカメラを取りに帰り写しました。以前から見ているケブカカスミカメでした。



それにトビケラです。来年の目標はトビケラの科が分かるようになることかな。

後はハエ目のオンパレードです。



ガガンボみたいですが、



A 単眼があるない、B V字型の溝がある、C 翅脈が急激に曲がっている、という特徴からガガンボダマシかなと思われます。(追記2016/01/04:以前書いた記事を見ていると間違いがあちこちに見られます。気がついたら直していくようにしていますが・・・。ガガンボダマシは「単眼がある」が正しいでした



口吻が長いので、一見、蚊みたいですが、脚が長いのでガガンボかなという感じです。



拡大したのですが、ちょっとピントが甘くて翅脈がうまく読み取れません。頭はガガンボみたいですね。R1脈が翅縁に達しなくて内側に曲がっているのが気になりました。結局、よく分かりません。



このハエは採集してきて検索してみました。フンバエ科にたどり着きました。それ以上はよく分かりません。(追記:通りすがりさんから、「腿節の色、第3節のみ黒く赤みの強い触角からキアシフンバエと思われます。」というコメントをいただきました。名前が分かって嬉しいです。どうも有難うございました



小さなハエです。こちらも採集してきました。検索してみると、ヒメイエバエ科になりました。



それにクロバエ科のツマグロキンバエかな。



こちらもクロバエ科かなという感じです。最近、少しずつハエが分かるようになってきて嬉しく思っています。まだ、科のレベルですが・・・。

廊下のむし探検 ヒョウホンムシなど

廊下のむし探検 第455弾

相変わらず虫は少ないのですが、今日はこんな虫がいました。



実は最初壁に止まっていたのですが、カメラを持って近づいたら、下にぽとっと落ちてしまいました。その後、下の写真のように裏返ってじっとしています。



これでは何か分からないので、表にしようとすると、また、すぐにこんな格好になってしまいます。おそらく擬死なのでしょうが、無防備な腹を上にするなんて変わっていますね。これは以前教えていただいたナガヒョウホンムシでしょうね。体長は4.8mmです。触角が長いので、初めカミキリムシかなと思ったのですが、ふとヒョウホンムシという名前を思い出しました。

「原色日本甲虫図鑑(III)」にはヒョウホンムシ科になっていますが、「原色昆虫大図鑑III」ではシバンムシ科になっていました。ヒョウホンムシという名前はおそらく、乾燥動植物質を食べる食品害虫なので、標本を食するからだと思われます。英語ではspider beetleというみたいですが、これは脚が長いので、小さいクモみたいに見えるからのようです。



この間もいたナミテントウですが、また、撮ってしまいました。いつ見ても変わった模様です。



今日はチャバネフユエダシャクはいなくて、クロスジフユエダシャクが2匹いました。フユシャクは最近日替りでメンバー交代をしているようです。



ついでにナカオビアキナミシャクもこの日は翅を開いた形で止まっていました。消火器の裏の目立たない場所ですが。



体が金属のように光っています。翅脈が曲がる位置から、おそらくキンバエなどが含まれるクロバエ科ですね。今日は採集はしませんでした。



そして、これもクロバエ科のツマグロキンバエですね。



ハチもおそらくヒメバチ科だろうなと思うのですが、そこからが進みません。



最後はこのクモです。名前は分かりませんでした。

廊下のむし探検 また、フユシャク

廊下のむし探検 第454弾

外は雨、何となく鬱陶しい一日でした。午後から雨はやんだものの、いかにも虫はいなさそうな感じでしたが、一応、廊下を歩いてみました。





でも、歩いてみて良かったです。今日は今シーズン3種類目のフユシャクを見ることができました。チャバネフユエダシャクです。この日は3匹いました。昨年と一昨年の記録を見てみると、それぞれ、12月17日、12月18日が初見日でした。今年は1週間ほど早い出現です。その代わり、あれほどいたクロスジフユエダシャクを1匹も見なくなりました。今日届いた大阪市立自然史博物館発行の「Nature Study」の表紙がまさにこのチャバネフユエダシャクの♀でした。♂と♀はまったく違う感じですね。一度、♀を見てみたいなと思いました。



これも廊下の壁に止まっていました。ケブカチビナミシャクだと思います。



それにナカオビアキナミシャクです。また、チョウチョ止まりです。今年の流行かな。



だいぶ鱗粉が剥がれていますが、ノコメトガリキリガです。





チャタテですが、目が飛び出したような変わった形です。昨年見たイダテンチャタテとよく似ています。ただ、昨年の個体は腹がはるかに大きいでした。ネットで調べてみると、昨年の個体が♀で、これはどうやら♂のようです。



こちらはいつものクロミャクチャタテですね。



小さなハエは撮らないとつもりだったのですが、つい撮ってしまいました。で、名前は分かりません。(追記:ノミバエ科みたいです



これは翅脈からキノコバエ付近の種だと思われますが、何となく両側の複眼が眼橋でつながっているような感じです。それでクロバネキノコバエの方かなと思っています。



ハチもいたのですが、これも名前は分かりません。早く分かるようになりたいですね。



これはクロオオアリでしょうか。



雨に濡れた外にいました。オオトビサシガメですね。



昆虫だと思って撮影したら、クモの方でした。ネコハグモですね。今頃はこのクモをよく見ます。

廊下のむし探検 フユシャク、もう1種

廊下のむし探検 第453弾

先日来、クロスジフユエダシャクがたくさん出ていましたが、今日は別のフユシャクが見られました。





クロオビフユナミシャクです。今日は3匹いました。一昨年は同じ日の12月9日、昨年は12月13日が初見日だったので、今年も例年並みという感じでしょうか。その代わり、今日はクロスジフユエダシャクの方は1匹もいませんでした。



こんな止まり方をしていますが、いつものナカオビアキナミシャクのようです。いつもは翅を開いて止まるのに、今日はこんなチョウチョ止まりです。(追記:通りすがりさんから、「日中や灯りに飛んできた時など、興奮状態?では翅を開いて止まることが多いですが、活動を終えてお休みするナミシャクはこんな止まり方も多く見られますね。」というコメントをいただきました。翅を開いている時より、閉じている時の方が熱の発散が少ないので寒さ対策かなと思ったのですが、それほど単純ではなさそうです



これはカバエダシャクですね。



それに、マエアカスカシノメイガ



それに、アオバハガタヨトウです。



これは何だか分からなかったのですが、何となくチャマダラキリガかなと思っています。(追記:MSWiさんから、クロチャマダラキリガに近い感じですというコメントをいただきました



撮影した時はてっきりハチだと思いました。でも、写真を見ると頭の部分がハエっぽいですし、また、平均棍がかすかに見えています。従って、ハエの仲間みたいですね。さて、何でしょう。(追記:ヤチバエ科のヒゲナガヤチバエのようです



いつものセスジユスリカです。



翅脈から判断して、いつものクロミャクチャタテだと思うのですが、どうでしょうね。



これは変わった模様ですね。これもナミテントウの色変わりなのでしょうね。(追記:通りすがりさんから、「
ナミテントウは2紋か4紋型と紅型の両方が混ざって出ている様ですね。」というコメントをいただきました




最後は久しぶりに見るヒメツチハンミョウです。これは♀の方です。まだまだ健在ですね。

廊下のむし探検 ハエが多い

廊下のむし探検 第452弾

冬になると、やたらハエばかり目につくようになりますね。昨日も廊下を歩いてみたのですが、ハエとフユシャクくらいかなぁ。本当に虫が減ってしまいましたね。



今日の最初はこのハエです。翅脈を見てイエバエ科かなと思ったのですが、一応採集してきました。調べてみると、イエバエ科とはちょっと違っていました。



一番違うところはCuA+CuP脈が翅端まで到達している点です。こうなるとハナバエ科かフンバエ科になるのですが、額内剛毛があったので、ハナバエ科の方かなと思っています。



このハエはクロバエ科のようです。これも採集してきました。家の中にだんだんハエが溜まってきま~す。



これは野外でよく見るハエで、ツマグロキンバエでしょうね。こちらもクロバエ科です。



さて、問題のキノコバエです。これはこの間いた種と同じかな。



こちらはケバエの♀ですね。前脚脛節の刺が2本あり、内側の刺がかなり短いので、晩秋のケバエですね。採集して調べてみると、平均棍が黄色でした。従って、ウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)みたいです。flaviが黄色、halterが平均棍という意味が分かると、学名のflavihalterという呼び方の方が親しみが湧くようになりますね。



長さが3.6mmの小さな玉のようなものが転がっていました。てっきり木の実だとばかり思っていたのですが、ひっくり返してみると、



脚や触角が見えて、びっくり。甲虫のようですが、名前が分かりません。(追記:通りすがりさんから、「ゴミムシダマシ上科かヒラタムシ上科だとは思うんですけど、全く違うマイナーどころかもしれないですし、微小甲虫は難しいですね。」というコメントをいただきました。ほしさんから、「タマキノコムシ科も似ています。」というコメントをいただきました。皆さん、どうも有難うございました



クヌギカメムシです。おそらく、ヘラクヌギカメムシだと思います。



後は、クロスジフユエダシャクが3匹、それに、



オオシマカラスヨトウらしき個体がいました。



廊下を歩いていると、突然、飛んできて目の前に止まりました。テングチョウです。越冬組ですが、翅はまだ結構きれいそうです。(追記:MSWiさんから、「テングチョウの名の由来は下唇鬚の長さから来た物ですが、翅頂の突きだした部分も天狗の鼻に見えなくもないです。タテハチョウ科にはこんな風に翅がギザギザしている物が目立ちますが、何の為でしょうね。」というコメントをいただきました

ニクバエを調べる

先日来、マンションの廊下で採集したハエが10匹ほどにもなって、小さな毒瓶にいっぱいなっています。ハエは顕微鏡で見たときに、体に剛毛がいっぱい生えているので、どうにも気持ち悪くて観察が進みませんでした。でも、少しずつ調べてみようと思って、昨日、意を決して調べ始めました。



昨日はこんなハエから調べてみました。いかにもハエという感じのハエなのですが、胸に3本線があるので、おそらくニクバエかなと思われる個体です。

ハエ目の検索表は、「新訂 原色昆虫大図鑑III」(北隆館、2008)に詳しく載っています。このうち、有弁翅類という仲間についての検索で、ニクバエ科の部分だけを抜粋すると次のようになります。




これに関係する側面の写真をまず載せます。



有弁翅類というのは、上の写真のように、翅の根元に覆弁と呼ばれる膜があるものをさしています。覆弁には、端覆弁、基覆弁という2種類があります。とりあえず、この検索表に従って、ニクバエ科の特徴を追いかけてみました。いつもいっていますが、ハエには全くの素人なので、間違っていることが多いことをご承知おきください(特にハエは難しいので、その可能性大です)。

まず、口器は普通通りなので、これはパスします。次の「中脚の副基節はほぼ縦に並んだ剛毛列を生じる」というのは上の写真を見てください。脚の付け根の節を基節といい、それに接続した部分を副基節と呼んでいるようです。この写真でも剛毛列がよく見えます。イエバエ科ではこの部分に剛毛列がないので、すぐに見分けられます。次の項目は翅の翅脈に関するものなので、翅の写真を載せます。



M1脈というのは図で示した通りですが、途中で急に上側に曲がっています。これもイエバエの仲間には曲がらないものがあります。ハエの翅を見るときの見方の一つのポイントですね。ともかく、この2つの条件で、イエバエ、ヒメイエバエ、ハナバエ、フンバエと区別することができます。次は下小盾板についてです。



小盾板というのは胸の下にある三角形の部分です。その下側に下小盾板という出っ張りがあるかどうかという項目です。写真がうまく撮れなかったのですが、上の写真では下小盾板が土手状に出っ張るというヤドリバエ科と対照させて載せています。ヤドリバエ科では小盾板と同じような形の出っ張りがありますが、このハエでははっきりしません。これで、ヤドリバエ科と区別ができます。

次はニクバエ科の特徴を書いた部分です。もう1枚写真を載せます。



4aの肩後剛毛と横線前剛毛はこの写真に矢印で示しているものだと思うのですが、これが縦に並んでいることがニクバエ科の特徴になります。4bは背側剛毛に関してです。これは上から見た写真でも、横から見た写真でも見えます。太い剛毛が2本(赤矢印)あり、その他に細い剛毛が2本(白矢印)あるのですが、そのことを言っているようです。4cはM1脈の曲がる位置が、翅端よりも中室に近いということを言っています。翅脈の写真を見るとそのようですね。4dは中胸盾板に3本の黒い線があることで、これはすぐに分かります。次の腹の部分は見なかったのですが、とにかく、ニクバエ科でよさそうです。

ハエというと剛毛がたくさんあって、それぞれの存在や場所を問題にするので、何かと大変です。そこで、上の写真を使って剛毛の位置をなぞり、それぞれに「大図鑑」の図を参考に名前を付けてみました。





これがその写真です。実はこれを作るのが一番大変でした。剛毛には太い剛毛、中くらいの太さの剛毛、細い剛毛があって、そのどこまでを注目するのが分かりにくかったのと、写真では剛毛がうまく写らなかったので、実体顕微鏡で覗いて実物と対比させながら名前をつけていったので、時間がかかりました。剛毛の付け根には黄色の点をつけています。基本的には部位別に名前がついていて、同じ部位にあるものは破線で結んでいます。だいぶ間違っていそうですが、ともかく、見える部分の剛毛の名前は付けられた感じです。「大図鑑」の図には中刺毛が中央に2列並んでいるのですが、この個体では盾板-小盾板線の上にある1対の剛毛を除いて後は細いものばかりでした。

いずれにしても、結構、大変な作業だったのですが、こんな作業をすると少しはハエの剛毛にも慣れてきた感じです。

追記:頭部と腹部の写真を撮ったので、追加で載せておきます





触角には羽毛のような毛が生えています。"Manual of Nearctic Diptera" vol. 2 (ここでpdfダウンロード可能)によると、ニクバエ科の属への検索の最初の項目は、触角が羽毛状かどうかでした。羽毛状だとニクバエ亜科になるようです。



「大図鑑」によると、ニクバエ科の腹部は通常、「市松模様、条、帯、斑点などを表す。」とのことです。これはどれに該当するのでしょうね。

廊下のむし探検 虫はちょっとだけ

廊下のむし探検 第451弾

今日は晴れていたので、昼前に歩いてみました。さすがに12月に入ると虫が少ないですね。それでもよく探すととちょこちょこといました。



外壁にこんなカメムシがついていました。体長は5.9mm。小さなカメムシです。これはたぶんウスモンミドリカスミカメという種です。「日本原色カメムシ図鑑」によると、南方系の種で、西日本の平地では最優先種とのことです。また、重要害虫としても知られているようで、ネットで調べると、キクの圃場の害虫だとか、マメ科・イネ科の牧草の害虫だとか、書かれたサイトが多く見られました。



トビケラもいたのですが、相変わらず、名前をどうやって調べたらよいやら分かりません。



セスジユスリカがいました。今日は頭の部分をちょっと拡大。



触角の毛がちょっと面白いですね。



いつもの小さなハエ目の昆虫です。翅脈がはっきり見えるので、それを手がかりに探してみました。R脈に2つの横脈様の脈があることが目立ちます。1つはRs脈、もう1つはR4脈と名付けられているようです。ネットで探すと、これと同じような脈をしたキノコバエ科の属がいくつか見られました。たぶん、キノコバエ科なのでしょう。



冬になると虫が少なくなるので、ハエの写真をよく撮るのですが、採集しないとなかなか種類までは分かりません。それで、これまでいくつか採集したのですが、顕微鏡で見た時の感じが悪くて、どうも科から先の同定が進みません。そこで、今日はもう採集を止めにしました。これはたぶんヤドリバエ科でしょうか。



後は、いつものクロスジフユエダシャクが何匹かと



ナカオビアキナミシャクがちょっとと、



オオシマカラスヨトウらしき蛾と、



それに、この間、間違ったソトシロオビナミシャクでした。



最後はヤミイロカニグモでした。

廊下のむし探検 蛾、カメムシ、ハエ

廊下のむし探検 第450弾

冬になってくるといつもこんな風に代わり映えのしないタイトルが続きます。一昨日の「廊下のむし探検」です。名前の分からない蛾がいたため、昨日の方を先にアップしました。





分からなかったのはこの蛾です。黒っぽい蛾2匹で、キリガだろうとは思ったのですが、すぐには分からず、後回しにしていました。図鑑を見た結果、この2匹ともクロチャマダラキリガではないかと思ったのですが、どうでしょう。似た種にチャマダラキリガがいるのですが、そちらはこれほど黒くはなく、また、縁毛が波打っているというところが決め手になりました。あまり、自信はありませんが・・・。いずれにしても、越冬キリガです。

後はいつもの常連ばかりでした。





まずはクロスジフユナミシャクです。この日は4匹いました。



ナカオビアキナミシャクも3匹いました。ナカオビアキはときどきこの写真みたいに黒筋がはっきりしている個体がいて、クロスジフユかなと思ってしまうことがあります。でも、クロスジフユの触角は毛が長いのですぐに分かります。



カバエダシャクも1匹だけいました。蛾はこれだけです。



小さなカメムシが壁に止まってじっとしていました。ヒメナガカメムシだと思います。



クサカゲロウはいつものスズキクサカゲロウでした。



最後はこのハエです。翅脈から判断するとキノコバエ科ではないかと思うのですが、どうでしょうね。

廊下のむし探検 ハエと蛾ぐらいしか・・・

廊下のむし探検 第449弾

昨日も「廊下のむし探検」をしたのですが、まだ名前が分かっていない種があるので、今日の分を先に出します。今日は特別に寒くて、虫もほとんどいません。ハエはたくさんいたのですが、じっとしているか、飛んでも20cmほどしか飛べないほどでした。そんな中、フユシャクだけは元気よく飛んでいました。





クロスジフユエダシャクです。今日は3匹いました。1匹は飛んでいたので追いかけていったのですが、とうとう止まってくれませんでした。フユシャクを除くと、マンションの廊下は静かで、人を含めて動く姿はほとんど見ませんでした。





以前だったら、上の写真はカシワオビキリガ、下はテンスジキリガといっていたのですが、この間、通りすがりさんに教えていただいた特徴や似た蛾の比較図鑑を参考にすると、やはり両方共カシワオビキリガのようです。内横線が共に波打っています。蛾の名前調べもなかなか大変ですね。今度、標本箱も見直してみなければ・・・。



この間、トキンソウトリバといっていた蛾ですが、これは大丈夫かな。



後はクサカゲロウが何匹かいました。最近はいつもこんな写真を撮って、種類を見分けています。これはスズキクサカゲロウですね。最近見るクサカゲロウはスズキだけです。

後はハエばかりです。ハエは科が分かるところまでが精一杯なので、名前まではたどり着いていません。



キモグリバエ科のハエでしょうね。こんな小さいハエが壁にいっぱいついています。



これは採集してきて検索してみました。小楯板の下に土手状の出っ張りが出ているので、ヤドリバエ科みたいです。腹に刺のような毛がいっぱいあるので、おそらく○○ハリバエでしょうね。



小さなハエでちょこちょこ動くので、ピントが合いませんでした。これも採集してきて調べたら、先日も見たヒメイエバエ科のようです。翅にあるA1脈という翅脈が曲がっているところから判断しました。



これは先日から見ていたハエです。前胸背には金属光沢があり、細かい黄色の毛がまばらに生えています。捕まえようとするといつもは逃げてしまうのですが、今日は寒かったせいかじっとしていたので採集しました。検索してみるとクロバエ科になりました。そういえば、キンバエもクロバエ科だったので、それに近い種類だったのですね。



最後はこの種です。キノコバエの仲間でしょうか。これは採集してこなかったので、科も分かりませんでした。

ヒシバッタの検索 ハラヒシバッタ?

ヒシバッタというのはこんなバッタです。



上から見ると菱型なので、ヒシバッタというのでしょう。ヒシバッタの仲間には似た種が多いので、名前調べがなかなか大変です。そこで、一度、検索表を用いてきちんと検索をしてみようと思ってやってみました。用いた検索表は、日本直翅類学会編、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」(北大出版、2006)です。なにぶん素人なので間違っているところも多いと思います。そのつもりで見てくださいね。

まずはじめに上科の検索です。バッタ目は大きく分けてバッタ亜目とキリギリス亜目に分かれます。ヒシバッタはバッタ亜目なので、バッタ亜目の上科への検索からやってみます。クビナガバッタとノミバッタを除く、バッタ亜目の検索表は次の通りです。



バッタ上科とヒシバッタ上科の違いは上表のようになります。これを確かめていくところから始めます。関連する図を載せます。









Fig. 1と2は上からと横からの写真です。この個体は体長7.8mmの小さなヒシバッタです。ヒシバッタの前胸は長く伸びて腹の先端まで覆っています。これが項目の1Bbbで、図を見るとその辺がよく分かると思います。背中にある白く伸びた部分は前翅のようにも見えますが、真ん中に切れ目がないので、翅ではなくて前胸が伸びたものだということが分かりますね。

項目1Baaの爪間盤については、Fig. 3あるいは4を見ると、爪の間に何もないので爪間盤はありません。よく見ると、爪には小さな歯がついていることも分かります。Fig. 3と4は中脚と後脚の跗節を表したものですが、全部で3節に分かれているようです。いずれにしてもこれでヒシバッタ上科になりました。

日本産ヒシバッタ上科にはヒシバッタ科しかないので、次にヒシバッタ科の検索を行います。ただし、上の写真の個体は、検索の結果、ハラヒシバッタになったので、それに必要なところだけを抜粋して書いておきます。



まず、検索表の1については、Fig. 1の矢印1を見ると、先端に窪みがないので、3に進みます。これでヒラタヒシバッタの仲間を除外できました。次に、3は前胸背板の側葉に刺がないかどうかですが、Fig. 1を見るとないので、8に進みます。8は前胸背板側葉の先端が丸いか裁断状かを尋ねているのですが、Fig. 2の矢印8に示すように丸いので、13に進みます。もう1枚図を追加します。



この図の13で示した部分が前胸背板前域ですが、この部分は横長になっています。次に、14については前胸背板側葉の拡大写真を載せます。



前胸背板側葉のえぐれ部分はFig. 6に示すように2箇所です。上の部分がえぐれていることにより、前翅がはっきりと見えています。15については、Fig. 2に示すように後翅は前胸背板末端から露出していないので23に進みます。前胸背板前縁はFig. 5に示すように、やや上に凸になっているもののほぼ直線的なので25に進みます。前胸背板側面のえぐれ部分はFig. 6でもはっきり見えるので、ヒシバッタ属であることが分かります。

次にヒシバッタ属の検索を行います。「大図鑑」の検索表の最初の部分は別の属の検索が含まれているので、その部分を割愛すると、いきなりハラヒシバッタかそうでないかという項目が出てきます。前胸背板を前から見て上面が膨らんでいるかどうかという内容ですが、次の写真から判断することになります。



丸みを帯びた感じに見えます。市川顕彦著、「絵解き検索日本全土のヒシバッタ類」、昆虫と自然 33(2), 43 (1998)の検索表を見ると、上面の2つの稜が少し膨らんいるかどうかで判断するようです。見てみるとそのようにも見えます。従って、ハラヒシバッタで良いのではと思いますが、「少し膨らんでいる」という表現は微妙なので、他の種と比較しないとはっきりしたことはいえません。でも、とりあえず、ハラヒシバッタにたどり着いたことになります。

ついでに撮った写真も載せておきます。



尾部の部分の拡大写真です。この部分の形から♂であることが分かります。実は、ヒシバッタの正確な検索は♀でないとはっきりとはできないようです。



これは後脚の跗節を別の角度から写したものですが、なかなかごつい感じですね。

検索を行ってみた後の感想ですが、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」では検索表に図がついているので非常に分かりやすかったです。しかし、最後の「前胸背板を前から見ると上面が少し膨らんでいる」というところはやや微妙な表現で、別の種と比較しないとはっきりとした判断がつきません。また、市川顕彦氏の論文によると、成虫と終齢幼虫との区別がつきにくいとのこと。この区別の仕方も勉強しておかないといけないですね。(追記:ほしさんから、「ヒシバッタ類の成虫・幼虫の識別点はバッタ大図鑑(p.495)に出ていて、後肢の膝直前、上面にくびれがあれば成虫とされています。肉眼やルーペで容易に確認できます。」というコメントをいただきました。どうも有難うございました。Fig. 2を見ると、この個体は後脚ひざ上のくびれから成虫のようです
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