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アメバチモドキ?を調べる

先日、マンションの廊下にアメバチのようなハチが来ていました。てっきりアメバチだと思って、属の検索を始めたのですが、何か変な感じがしたので、もう一度、一から調べてみようと思いました。



対象とするハチはこんなハチです。体長は13.5mmで、見た限りはほとんどアメバチそのものです。アメバチを含むヒメバチ科については、神奈川県立 生命の星・地球博物館 渡辺恭平氏のホームページに大変詳しい説明が載っています。そこにはヒメバチ科の亜科への検索表も載っているのですが、大変複雑なのでどうしようかと迷っていたら、アメバチに似た種に対する検索表も作られていて、それを使わせていただくことにしました。検索の結果、やはりアメバチではなくて、ハバチヤドリヒメバチ科Netelia属(アメバチモドキ類)ではないかという結果になりました。

アメバチとはいったいどこが違うのかをはっきりさせるために、検索表のうち、その部分だけを抜き出して書いてみました。



そこで、これからこの検索表を用いて、上の写真の個体を調べていきたいと思います。なお、検索表の表現を一部変えているところもありますので、ご承知おきください。なにぶん、この分野には素人で、間違っているところも多いと思いますので、そのつもりで見てください。

関連する写真を載せておきます。





まず①は、Fig. 1の前翅のRs+M脈のうち、矢印で示した部分に脈がないことを示していますが、これがヒメバチ科の特徴になります。なお、翅脈の名称についてはThe American Entomological Instituteのサイトに書かれているRoss system veinsに従っています。

アメバチが属するアメバチ亜科との違いは次の②あるいは②'の項目を見ると分かります。まず、②aは後体節第1背板に関するものですが、Fig. 2にその部分の写真を載せています。ここで、気門が節の後方にあるものがアメバチ科、前方にあるものがそれ以外になります。また、柄側刻という凹みがアメバチ亜科にはありませんが、それ以外の種ではあるというのが②bです。柄側刻はFig. 2に矢印で示してある部分だと思うのですが、この種の場合、凹みというより完全な穴になっています。

②cは鏡胞についてですが、Fig. 1に示すように、不完全ではありますが、この種では鏡胞があります。一方、アメバチ亜科にはありません。これらのことから、この個体はアメバチ亜科ではなさそうだということが分かります。

アメバチモドキはハバチヤドリヒメバチ亜科に入っていますが、その部分の検索を書いたものが③'です。これ関係する写真を加えます。





③'aの大腮はFig. 3に載せていますが、強くねじれています。③'bは顔面と頭盾の丸みですが、顔を横から写したFig. 4を見るとわずかに丸みを帯びていて、その中間部に凹みがあることが分かります。③'cの鏡胞の形は三角形とは言えないのですが、小さいことは間違いありません。さらに、気門の位置はFig. 2に示してありますが、節の基部付近というよりは中間よりやや前方というところになります。このように若干違いはあるようですが、大まかには合っているので、おそらくこれでよいのではないかと思います。ということで、どうやらアメバチではなくて、Netelia属(アメバチモドキ)ではないかということになりました。残念ながら、種までは同定できませんでした。



ついでに、いくつか撮影した写真を載せておきます。まず、後脚の脛節末端には棘が2本あります。



腹部第1節と後胸が融合した前伸腹節の表面は、細かい横じわで覆われています。



前脚の脛節末端にも棘が1本ありますが、途中で曲がっています。



脚の爪はこのように櫛歯状になっています。



このハチは♀で産卵管を持っています。もう一本の突起は産卵鞘のようです。

ということで、アメバチモドキと思われる個体を調べてみました。アメバチだとばかり思っていたのですが、どうやら違うようです。やはり調べてみるものですね。

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廊下のむし探検 甲虫、クサカゲロウ、クモなど

廊下のむし探検 第397弾

一昨日の「廊下のむし探検」の続きです。この日はあまり目立った種はいなかったのですが、なんだかんだと厄介な種がいました。





ずいぶん特徴的な形をしていますが、何せ、水に濡れてびしゃびしゃなので、何が何だか分かりません。この形を手がかりに「原色日本甲虫図鑑」、「原色昆虫大図鑑」、「学研生物図鑑」を探し回りました。コクヌスト、ゴミムシダマシあたりに似た種がいそうなのですが、やはり違います。結局、辿り着いたのはいつも見ているサビマダラオオホソカタムシです。翅や前胸背の隆起の具合や、前胸背の形、それに前脛節の突起などはよく似ている感じです。水に濡れるとこんな姿になるのかな。



オサムシ科はほとんど区別がつかないのですが、最近は、琵琶湖博物館のWEB図鑑「里山のごみむし」で絵合わせすることである程度近くまでは行けるのではと思って、頑張っています。今回の種はコゴモクムシということになったのですが、どうでしょう。



これはいつものユミアシゴミムシダマシだと思います。



最近、このオオトビサシガメをよく見ます。普段は小昆虫の体液を吸っているのですが、kotobankによると、「指でとらえると口吻で刺すことがある」ということなので、ちょっと注意した方がよいかな。



また、クサカゲロウがいました。ちょっと大きめだから、ヨツボシクサカゲロウかなと思ったのですが、いつものように顔を拡大してみました。



顔に黒い点が片側で2個、両側で合わせて4個なので、ヨツボシクサカゲロウのようです。



小さいマダラカゲロウ♀です。アカマダラカゲロウかなと思ったのですが、発生時期は春だと思っていたので、今ごろも見られるのかなと疑問になりました。ネット調べると、羽化の時期が5月から10月と長いのが特徴だそうです。



これはユスリカの仲間でしょうね。



地下駐車場の天井付近の壁にガガンボが大発生しています。なかなか下に降りてきてくれないのですが、たまたま止まっていた個体を写しました。



前胸背にV字型の模様があるので、ガガンボの仲間であることは間違いないです。でも、名前までは分かりません。



廊下の手すりに止まっていました。このギョロッとした目の持ち主は誰でしょう。



たぶん、ミスジハエトリ♀だと思います。



最後のこのクモが何だか分かりませんでした。「日本のクモ」を何度見ても載っていません。オニグモの仲間の幼体かなと思っています。

廊下のむし探検 小さい蛾たち

廊下のむし探検 第396弾

また、2日遅れの「廊下のむし探検」の結果です。一度、遅れ始めると、なかなか回復するのが難しいですね。





今日はこんな小さな蛾からです。この2枚の写真は別個体です。前翅の中央に淡褐色の帯があります。「大図鑑」で調べてみると、ヤガ科のウスオビチビアツバかなと思ったのですが、「標準図鑑」で見ると、アツバモドキ科のウスオビアツバモドキと科名も和名も変化していました。アツバモドキ科というのは以前にも登場したことがあるのですが、ヤガ科とどこが違うのかなと思って、図鑑の説明を読んでみました。

もともと、ヤガ上科は後翅の翅脈に特徴があって、M2、M3、CuA1、CuA2の4本の翅脈に分かれているように見える4分岐ヤガ上科とM3がM2から離れてしまい、M3、CuA1、CuA2の3本の翅脈に分かれているように見える3分岐ヤガ上科に分けられるそうです。前者にはドクガ科、ヒトリガ科、ヤガ科、コブガ科、アツバモドキ科が含まれ、後者にはシャチホコガ科が含まれます。このうちアツバモドキ科はM3とCuA1が融合して3分岐のように見える特殊な脈をしているようです。さらに、通常は存在する鼓膜器官がないということで、別の科になっているみたいです。

ちょうど、ウスオビアツバモドキが従来属していたヤガ科ミジンアツバ亜科の仲間たちも、この日、見られました。





上はこの間から出ているクロテンカバアツバ、下はチビアツバだと思います。特に上の種とウスオビアツバモドキは雰囲気もよく似ています。ミジンアツバ亜科は単眼がないというのが特徴だそうです。これは、一度、採集して翅脈や鼓膜、単眼などを調べてみないといけないですね。



これは前日にも見られたヤガ科のウスモモイロアツバです。



これはクロクモエダシャク



翅がだいぶ破れていますが、フタテンオエダシャクだと思います。



これも本来はもう少し綺麗なのですが、ウラベニエダシャクです。





翅に黒い三角紋があるので、ヘリオビヒメハマキかなと思われますが、図鑑を見ると、クロサンカク、ハラブトという似た種が載っています。でも、クロサンカクは春から初夏にかけて発生、ハラブトは翅の基部が黒いということで、ヘリオビヒメハマキでよいのではないかと思います。





この2種、翅の先が尖っているところはよく似ていますが、触角の感じはずいぶん違います。上はよく知られたカクバネヒゲナガキバガですね。下については、翅の中央に淡色の帯があり、全体に黒いのでクロカクバネヒゲナガキバガかなと思うのですが、図鑑に書いてある分布は本州(岩手、東京、奈良)、九州となっており、それほど数がいないようなので、あまり自信はありません。

その他のむしでは、甲虫とクモの名前が分かっていないものがあり、後で出すことにします。
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Author:廊下のむし

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