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ハグロケバエ♂を調べる

先日、ケバエ科3種の検索を行いました。今日はマンションの廊下に大型のケバエ科であるハグロケバエが2匹いました。早速、捕まえてきて、Hardy and Takahashi (1960)の論文に載っている検索表を用いて調べてみました。



ハグロケバエというのはこんな虫です。これは昨年撮影したものですが、捕まえてきた個体は♂で体長は12mmほどありました。ケバエ科の中では唯一見てすぐに分かる種類だと思います。

検索表では、まず最初に「前脚脛節の外側の刺の先端が丸くなっている」という項目があるのですが、ハグロケバエはまさにそれに該当します。



これは前脚脛節の刺の写真ですが、外側の刺は大きい方です。この刺を横から見たのが右の写真ですが、先端が丸くなっていることがよく分かります。従って、検索表を使って一発で決定できるので、ちょっと嬉しくなります。

ついでに各部を見ていきます。写真はいずれも実体顕微鏡を用いて、焦点位置を変えて何枚も撮影し、深度合成の方法を使って作成しています。



翅は薄黒くて、Rsと書いた部分の脈の長さがr-m脈の2倍くらい長くなっています。また、CuA1脈は途中で途切れています(翅脈の名称は正確ではないかもしれません)。



これは腹部先端を背側から見たところです。ここで見える腹部背板第9節は種によって形が違うことが多いので、識別によく用いられています。ハグロケバエではV字型の切り込みがあります。交尾器の形は重要な決め手なのですが、私はまだ十分に把握していません。





ついでに頭部の写真も撮ってみました。♂なので大きな複眼が付いています。後ろ側には単眼3個ついていることが分かります。短い触角と長い口肢が見えています。今度、♀がいたらもう一度調べてみたいなと思っています。

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ケバエ科の検索をやってみた

この間からケバエ科の虫がマンションの廊下にたくさん集まってきていました。一度、名前を調べてみようと思って、いくつか採集してきました。採集してきたのは♀だったのですが、よく見ると次の3種類のケバエが含まれていることが分かりました。







一番上のaは前胸背が黒いのですが、脚は大部分茶色です。bは前胸背と脚の大腿部が先端を除いて茶色、残りは黒です。最後のcは前胸背も脚もだいたいは黒くなっています。体長はそれぞれ、4.5mm、6.5mm、6mmくらいです。いずれの個体も前脚の脛節の先端に二股になった刺があります(図の矢印)。

検索については、なにぶんにも素人がやっていますので、間違っていることも多いと思いますが、悪しからず・・・。まず、これらがケバエ科に属するかどうかは、日本環境動物昆虫学会編の「絵解きで調べる昆虫」を参考にして調べることができます。その部分を抜粋して書くと、



のようになります。例として、一番上の写真aの個体で調べていきます。





この種は最終的にBibio aneuretusと同定される種ですが、ガガンボやアミカでなければ、C脈(翅の肋骨の役目をする脈)が外周を巡るかどうかで、チョウバエやカの仲間から区別されます。Fig.2のように外周を回るC脈は翅の上半分だけしかありません。さらに、Fig.2を見るとM脈で囲まれた部分がないので中室はありません。また、Fig. 1で示したように、単眼があって、さらに、Fig.2で示すようにM脈とCu脈で囲まれた第2基室があります。最後にRs脈はR2+3脈になるだけで分枝ができません。このことから、この個体はケバエ科であることが分かります。結局、翅脈のパターンを見るとケバエ科であることがほぼ分かります。

次にケバエ科の属の検索ですが、これには、D. E. Hardy and M. Takahashi, Pacific Insects 2, 383 (1960)という論文を用いました。この論文はこちらからpdfがダウンロードできます。この論文は英語で書かれているので、必要な部分を抜粋して訳してみました。



これによると、先程も出たRs脈の分枝がないという点と、写真aからcの矢印で示した1対の刺があることで、Bibio属であることが分かります。

ここから先の種の検索も同じ論文に載っています。これも同様に必要な部分だけを抜粋して訳してみました。



先ほどのBibio aneuretusと推定される個体を例にして、この検索表で追いかけていきます。①と③は同じような内容で、Fig.1cの写真を見ると分かりますが、前脚脛節の刺は先が尖っていて、なおかつ、長さはだいたい等しくなっています。②は、Rsと書かれた部分の脈の長さとr-mと書かれた脈の長さの比較で、両者はほぼ等しいのでこの項目はOKになります。④は翅に関する部分で、翅は無色透明なので、⑥に跳び、♀なので、さらに、⑱に跳び、胸部が黒なので、㉒に跳びます。さらに、Fig.2のM脈は2本に分かれ、共に翅の縁まで届いているので、㉓に到達します。翅の色を確かめ、さらに、前脚腿節裏側を見てみます。



Fig.3に示すように、確かに腿節裏側の先端に近いところで、かなり太い毛が生えています。これらのことから、この個体はBibio aneuretus(キスネアシボソケバエ)だと思われます。(追記:B. aneuretusは「原色昆虫大図鑑III」と「札幌の昆虫」に出ていました

同様のことを他の個体でも行ってみます。






この個体は基本的に先ほどと同じ道を辿りますが、⑱で胸の色が茶色なので、⑲に跳びます。頭部はFig.4aの写真を見ると分かりますが、丸い形をしていて、Fig.4bに示すように口肢が触角の近くから出るので、㉑に進み、脚の脛節と跗節が黒いので、Bibio simulansになります。なお、⑲の「軸節の柄」はcardo stipitesの訳だったのですが、よく分からなかったので、飛ばしました。(追記:Hardy and Takahashi(1960)によると、♀の場合、脛節と跗節の色だけでB. simulansとB. omaniを区別することは不可能だろうということが書いてありました。従って、ここではB. simulans(メスアカアシボソケバエ)またはB. omani(和名なし)とした方がよいでしょうまた、これまで報告してきたB. omaniはB. simulansまたはB. omaniとした方がよいと思われます。なお、前者は「原色昆虫大図鑑III」に載っています)(追記2:神奈川県立生命の星・地球博物館の渡辺恭平氏によるヒメバチ科の形態用語辞典によると、cardoは軸節、stipitesはstipesの複数形で蝶咬節と訳すそうです。いずれも小腮の主要構成部分で、「stipesは基部でcardoと,先端でgalaelaciniaと関節し,側方で小腮肢を伴う」と書かれていました。この意味はこれから勉強してみます

最後の個体は全身真っ黒です。各部の写真を示します。





この場合は検索表の④で翅が色づいていることから、⑤に進み、Bibio singularisになりました。(追記:Hardy and Takahashi (1960)によると、B. singularisは北海道に分布し、発生時期も6月と今回の個体とは合いません。もう少し検討が必要なようです

結局、3種とも異なる種類のBibio属になりました。この検索表は基本的に色や形で分類しているので、分かりやすいのですが、例えば、前脚の内側と外側の刺が同長と言われても、どの程度を同長としてどの程度を違うとするのかなどははっきりしません。翅の色も薄く色づくというのがどの程度をいうのかが判断しにくい点もありました。結局、何種類かの標本と比較しながら検索するようにできているようです。いずれにしても、この検索が合っているかどうかは、この論文自身が記載論文になっているので、その内容と確かめなければいけないのですが、それはまた後程してみたいと思います。

廊下のむし探検 オオワラジカイガラムシ♀がいました

廊下のむし探検 第255弾

先日、マンションの廊下にワラジカイガラムシの♂が来ていました。昨年もいたのですが、そのときはオオワラジカイガラムシの♂だと教えてもらいました。通りすがりさんからは、ハワードワラジカイガラムシやイセリヤカイガラムシの♂も似ていて、周囲の♀や環境から推測するしかないというコメントをいただきました。今回、幸運にもマンションの廊下に♀がいました。



初め見た時は、ワラジムシの幼虫かなと思ったのですが、脚の数が6本なので、やはり昆虫なのかと思って、撮影だけして帰りました。家に戻ってから何の種類かなと思っていたのですが、見た感じがワラジに似ているので、ひょっとしてワラジカイガラムシかもしれないと思って、ネットで検索しました。すると、まさに大当たりでした。

ハワードワラジカイガラムシは通常白い粉をつけているらしく、イセリヤカイガラムシはだいぶ様子が異なる感じなので、おそらく、オオワラジカイガラムシの♀で間違いなさそうです。さらに、触角の節数が7節以下であれば幼虫で、8節か9節であれば成虫とのことです。この写真では9節ほどありそうなので、成虫のようです。

カイガラムシはカメムシ目の仲間なのですね。カメムシ目の昆虫はこの日はたくさんいました。



黒い丸が縁にまで達していないので、ヒメホシカメムシでしょうね。「日本原色カメムシ図鑑第3巻」によると、第1巻に載っていたPhysopelta cincticollisという学名が、日本産にはP. parvicepsをあてる方がよいということで変更になったと書いてありました。



この日はヒラタカメムシの仲間もたくさんいました。これは、体の周りがノコギリ状なので、ノコギリヒラタカメムシで間違いないと思うのですが、その他の種類はなかなか分かりにくいです。もともと第1巻でヒラタカメムシ科は6種しか載っていなかったのですが、第3巻では、実に、52種に増えています。検索表は出ているのですが、捕獲してこなかったので、とりあえずの名前です。





上の写真はトビイロオオヒラタカメムシ、下の写真はアラゲオオヒラタカメムシとしたのですが、あまり自信はありません。



この小型のアメンボもカメムシ目の仲間です。残念ながら、名前は分かりませんでした。



さらに、このヨコバイもカメムシ目の昆虫です。昨年も見ましたが、クロヒラタヨコバイという種だと思います。カメムシ目といってもバラエティがありますね。



これはケバエの仲間の♀です。最近、ケバエの検索をやっているので、早速、捕まえてきました。Hardy and Takahashi (1960)の論文に従って検索をやってみると、Bibio singularisという種になりました。合っているかどうかは分かりませんが。とりあえず、これでケバエ科Bibio属3種を調べたことになります。

後は甲虫です。



やや大きめのコガネです。図鑑で調べてみると、ナガチャコガネという種に似ています。茶の害虫として知られています。(追記:通りすがりさんから、ナガチャコガネではなさそうですというコメントを頂きました。もうちょっと調べてみます



これはウスチャコガネですね。



センチコガネもいました。昨年、センチコガネとオオセンチコガネの見分け方を教えてもらい、調べてみました。頭の部分の頭盾の形で見分けるというので、そこにばかり注目して撮影していたら、後脚の端がはみ出していました。



これはイタドリハムシです。この日は2匹見ました。



この虫、あまり特徴がないのですが、翅が細かく光っています。初め鱗片かなと思ったのですが、後から調べてみるとどうやら毛のようです。おそらく、ケブカクロナガハムシではないかと思います。翅の表面に剛毛をたくさん生やしているようです。



最後のこの虫、この間もいたのですが、名前が分かりません。どうも気になる虫です。

廊下のむし探検 甲虫が多い

廊下のむし探検 第254弾

昨日、マンションの廊下を歩いて見つけた甲虫の記録です。今頃の廊下のむしは甲虫が多い感じです。でも、甲虫はいつまでたっても慣れないので、名前調べがいつも大変です。



最初はこの変わった感じのする甲虫です。ジョウカイボンの仲間かなと思って、図鑑を探してみました。模様や形が少し違う気がしたのですが、セボシジョウカイかなと思って、ネットで画像検索すると似た個体がでてきました。壁から立ち上がるようにして止まっていたので、何だろうと思って写しました。



カミキリムシも何種かいました。これはこの間も出ていたトゲヒゲトラカミキリです。



これは、アトモンサビカミキリだと思います。



そして、こちらはナカジロサビカミキリでしょうか。



この綺麗な虫も最近急に増えてきました。アカハムシダマシです。(追記:益本仁雄氏(甲虫ニュースNo.107 (1994))(pdfダウンロード可能)によれば、アオハムシダマシ属に属するアカ、アオ、ヒゴ、ツマアオ、アカガネの5種については、検討した結果、同一種とすべきだとし、和名としてはアオハムシダマシ、学名としてはArthromacra decora (Marseul, 1876)が適当である旨が書かれていました。これに従えば、上記の種はアオハムシダマシとするのが適当みたいです)(追記2:通りすがりさんから、研究者によっても見解が異なるとのコメントを頂いたので少し調べてみました。益本氏の後、今坂正一氏が分類をやり直していました。月刊むしNo. 421, 20 (2006)によると、日本産アオハムシダマシ属は14種に分類できるという主張です。絵解き検索表も載っていて、大腿部の色でおおよその区別ができるとのことです。全体が黄褐色(キイアオ、ヤクアオ)、先端が黒褐色だが金属光沢なし(アカガネ、オキアオ)、全体が黒で金属光沢なし(アカ)、先端が黒褐色で緑色の金属光沢あり(アオほか)の4分類です。上の写真の個体では、大腿部の先端が黒で金属光沢があることと、生息地域からアオハムシダマシで良さそうですが、触角の節の長さなどはアオというよりアカに近い感じで、イマイチすっきりしません



このハムシダマシ、また、いました。いつも、ナガハムシダマシかフジハムシダマシか迷ってしまいます。そこで、昨日は捕獲して検索を試みました。検索表は「原色日本昆虫図鑑III」に属の検索が、益本仁雄氏の論文(甲虫ニュースNo. 107 (1994))に種の検索が載っていました(pdfダウンロード可能)。

まず、「原色日本昆虫図鑑III」に載っているハムシダマシ科の検索表を用いると、とりあえず、ナガハムシダマシ属になりました。更に、益本氏の検索表を用いると、ナガかフジかどっちかということになりました。この2種は、1)複眼の間隔、2)前胸背の点刻、3)鞘翅の点刻条溝で区別することになっています。そこで、その部分を拡大してみました。



この検索表で、フジハムシダマシは、

1)頭部は弱く平圧され、眼間距離は複眼横径の♂でおよそ1.5倍、♀で3.5倍(ナガでは2倍と2.2倍)
2)前胸背の点刻は一層密で、前方1/3で強く広がる(ナガではそれほど密ではなく、緩やかに広がる)
3)鞘翅は一層明らかな点刻条溝があり、点刻は密、間室の高まりは一層強い(フジほど鮮明でない)

となっています。

「一層」という表現が多いことで分かるように、相対的な記述が多く、1匹だけを捕まえてきて調べてもはっきりとは分かりません。また、2)の「前方1/3で強く広がる」は何を意味しているのか分かりません。この中で唯一絶対的な表現は、眼間距離と複眼横径との比です。そこで、その比を計算してみました。その結果はフジに近い1.55になりました。ところで、ナガの標本をネットで探して比を計算してみると、1.5-2.3とかなり分布していました。結局、はっきりはしないのですが、フジハムシダマシに近いかなという結論になりました。先日、シラホシゾウムシの検索をしてみたのですが、今回同様曖昧な結果に終わりました。どうも甲虫の検索は難しいですね。(追記:通りすがりさんから、フジハムシダマシ♂でよいと思いますとのコメントをいただきました



これは以前にも見たことがあったのですが、おそらくフジハムシだと思います。



これは、ドウガネサルハムシでしょうか。



これはバラルリツツハムシかなと思ったのですが、自信はありません。(追記2018/01/26:「日本列島の甲虫全種目録 (2017年)」によると、バラルリツツハムシ Cryptocephalus approximatusとキアシルリハムシ Cryptocephalus fortunatusは互いにシノニムで、改めてキアシルリツツハムシ Cryptocephalus (Cryptocephalus) hyacinthinusと呼ばれているようです



これはゾウムシの仲間で、シロヒゲナガゾウムシだと思います。昨年も2-3回見ました。



先日、通りすがりさんに教えていただいた、小さな甲虫ですが、この日は写真がうまく撮れました。翅に白い毛や茶色の毛が入り交じっています。図鑑を見ると、何となくシラフチビマルトゲムシに似ている感じです。(追記:通りすがりさんから、シラフチビマルトゲムシで合ってそうですねというコメントを頂きました



こういうコガネは何に注目するのか分かりません。図鑑を見ると、チャイロコガネ、ビロウドコガネ、カンショコガネ、みんな似ている感じです。



最後のこの甲虫。壁の高いところに止まっていたので、頭の部分が写せなくて、名前調べができませんでした。

廊下のむし探検 シャクガが多い

廊下のむし探検 第253弾

廊下のむしが増えてきて、名前調べがちょっと滞ってきました。今日は一昨日、昨日、今日の3日分の蛾の名前調べをしました。全体として蛾は少ないのですが、その中ではシャクガの仲間が多いようです。



今日は、この芸術的な模様の蛾からです。これは、セスジナミシャクという蛾ですが、蜘蛛の巣の模様でしょうか、ともかく、複雑な模様が左右の翅全体を使って描かれています。どうしてこんな模様になったのか、不思議ですね。



これも複雑な模様の蛾ですが、鱗粉が少し剥がれてしまっています。オオハガタナミシャクです。





似た種があっていつも迷うのですが、ツマキリエダシャクかなと思います。ツツジツマキリエダシャクとの違いはよく分かりません。今日は2匹いました。



これはウスオエダシャク



それと、ウスネズミエダシャク



マエキトビエダシャク



それに、ツマキエダシャクです。定番のシャクガが次々と現れてきているようです。



いつもいるので、おそらく、ヤガ科のマダラウスズミケンモンだと思うのですが、実際のところ、似た種のウスズミケンモンと区別がつきません。後翅の色が違うので、展翅をするとすぐに分かるのですが。



これは、マメチャイロキヨトウです。よく見る蛾です。



それに、アオアツバです。ヤガ科もそこそこいますね。



この格好のいい蛾はヤマトカギバです。これもよく見ます。前翅と後翅、それに、左右の翅の模様が実にうまくつながっていますね。



これはナノメイガ



それに、フタスジシマメイガ



これはキシタホソバあたりかな。



最後は、ウスキヒゲナガです。

甲虫の数に比べると、蛾は少ない気がしたのですが、3日分をまとめると結構な数になりました。

廊下のむし探検 カッコウムシほか

廊下のむし探検 第252弾

昨日の廊下のむし探検の記録の続きで、甲虫編です。

甲虫も山のようにいたのですが、先日、カッコウムシという聞きなれない虫の話を書いたら、早速、別の種類が見つかりました。今回は一目見てカッコウムシかなと思いました。勉強の成果が出たようです。



アリモドキカッコウムシという名前の甲虫です。カッコウムシの幼虫は朽木に住んで、木材性の甲虫の幼虫を食べるそうです。





この2枚の写真、同じ種類か、違う種類かも分かりません。実は、昨年も上の写真と同じ個体を見つけ、ジョウカイモドキかなと思ったのですが、名前が分かりませんでした。今年もだいぶ調べたのですが、結局、分かりませんでした。



これはコクヌスト科のオオコクヌストではないかと思います。体長20mmほど、久々に大型の甲虫でした。コトバンクによると、コクヌスト科の甲虫は穀物中に住んでいるので「穀盗人」と名付けられたが、成虫は穀物中の甲虫や蛾の幼虫を食するということです。オオコクヌストは、図鑑によれば、マツの樹皮下などに生息し、キクイムシ類を捕食するそうです。





下の方が少し細長いので、上はクロボシツツハムシ、下はムツボシツツハムシかなと思うのですが、あまり違いが分かりません。(追記:通りすがりさんから、両方とも、クロボシツツハムシというコメントをいただきました。ムツボシツツハムシは北海道に産するとのことです





コメツキは違いがよく分からないので、なかなか図鑑を見る気にもなりません。〈追記:下の写真は前にも登場したアカハラクロコメツキでしょうというコメントをいただきました



コガネムシもどうも苦手です。チャイロコガネの仲間でしょうか。

後はこれまでも出てきた種です。



カシワノミゾウムシかなと思われる個体です。この日は2匹いました。



ヒラタハナムグリです。



ニホンタケナガシンクイかなと思うのですが、何となく触角が違うような。



ヒメスギカミキリ



モモブトカミキリモドキ



小さいテントウですが、毛が生えていないので、おそらくフタホシテントウですね。こんな小さいテントウにもちゃんと名前があるというのは、何となく嬉しいですね。

廊下のむし探検 カメムシ、ハチ、ハエなど

廊下のむし探検 第251弾

昨日の廊下の虫は種類があまりにも多すぎました。それで、2回あるいは3回に分けて報告します。甲虫と蛾は現在、名前調べの真最中なので、そのほかの虫についてからです。それでも、いろいろと変わった虫がいました。





この日ともかく多かったのが、このコブヒゲカスミカメというカメムシの仲間です。上が♀、下が♂です。雄の触角の一部が太くなっています。廊下をあちらこちら、全部で20匹ほどはいたでしょうか。歩いていて踏みそうになり困ってしまいました。昨年のブログを調べてみると、4/21に見ていました。やはり今頃多いのですね。



これはケブカヒメヘリカメムシです。以前、ヒメヘリカメムシの検索をしたことがあったので、最近は後腿節が黒い点々だったらケブカ、黒かったらブチだと見分けています。



この虫、初めは何だかさっぱり分かりませんでした。全体的にはハチのようであり、頭にある角やら、後脚が曲がっているところなどは違うような。「学研生物図鑑」に載っていないので、名前調べを諦めようと思っていたのですが、試しに、「原色昆虫大図鑑III」の図版をパラパラ見ていたら、それらしいのが見つかりました。説明を読むと、アシブトコバチ科のオニアシブトコバチのようです。この頭にある2つの突起が「オニ」と名前が付けられたもとになるのでしょうね。「大図鑑」には2種載っているのですが、この角の先が「2歯に終わる」がオニで、「先端は丸くて分又せず」はツヤオニのようです。よく見ると、角の先がちょっと凹んでいるような。このことでしょうか。



アメバチがいました。翅に特異な模様がないので、Ophion属でしょうが、この間から見ているアメバチと少し違うようです。頭と前胸の部分を比較してみました。



こうやって比べるとだいぶ違います。左側はこれまでいたもので、私のいい加減な検索ではモンキアメバチとした種です。右側は今回のアメバチで、また、いい加減な検索をしてみるとオオアメバチになりました。アメバチが少し分かってきて嬉しく思います。



ニホンミツバチとセイヨウミツバチについては、以前、通りすがりさんから後翅の脈で見分けると教えていただきました。ちょうどうまい具合に後翅が見えた状態でうずくまっているハチを見つけました。早速写真を撮って調べてみました。



黒の矢印の部分に翅脈が走っていればニホンミツバチ、なければセイヨウミツバチです。この写真はないので、セイヨウミツバチでしょうね。どうやら刺されないで調べることができました。今度はニホンミツバチの番ですね。



まだ、ハチはパッと見て、科までは分かりません。このハチは何科でしょう。



ハエは翅脈から少し分かるようになってきました。これは、おそらくクロバネキノコバエ科です。



ケバエの仲間もたくさんいます。私のいい加減な検索では、これはBibio omani(和名なし)♀です。(追記:2014/04/29付けブログで検索の結果を載せました。そのときは、Bibio simulansまたはB. omaniという結果になりました



そして、これはキスネアシボソケバエ♀です。昨日、顕微鏡写真を撮ったので、今度、2種の検索過程をお見せします。



これはムシヒキアブですが、おそらくマガリケムシヒキだと思います。頭の後ろの部分に曲がった毛があるのが特徴です。これも近縁種があるかもしれませんが。





この変わった虫が今年もいました。昨年はまったく分からなくて、いろいろな方から教えていただき、オオワラジカイガラムシの♂だということが分かりました。カイガラムシの♂がこんな格好をしているとは、思いも寄りませんでした。この日は2匹見ました。下の写真、腹部の先端が幾つかに分かれているのでしょうか。(追記;通りすがりさんから、「オオワラジカイガラムシ、ハワードワラジカイガラムシ、イセリアカイガラムシのオスは周囲のメスや環境から推測するしかない」とのコメントをいただきました



最後はこのアリグモです。おそらく、ヤガタアリグモだと思います。マンションの廊下でもアリグモはよく見ます。アリはそれほど見ないのですが。

シラホシゾウムシ類の検索

この間からシラホシゾウムシ類がマンションの廊下に出てくるのですが、いつも名前が分からなくて困っていました。そこで、先日、1匹を捕まえてきて、「原色日本甲虫図鑑IV」に出ている検索表を使って調べてみました。この検索表には、シラホシゾウムシ属(Shirahoshizo)が6種が出ています。これは、日本産ゾウムシデータベースに出ているShirahoshizo属7種のうち、ヤマトシラホシゾウムシを除く全種になります。

この間から見ているゾウムシというはこんなゾウムシです。



翅に白い点が2箇所ずつ付いていて、よく見かけるゾウムシなのですが、名前調べにいつも困っていました。これに関係する検索表を、「原色日本甲虫図鑑IV」から抜粋引用すると次のようになります。



結論からいうと、この種だと断言できなくて、赤字で書いた部分が可能性のある種になり、さらに、この中ではニセマツノシラホシゾウムシが一番可能性が高いかなと思っています。

上の検索表に関連する部分の写真を載せます。









Fig.1は全体像を示しています。体長は5.5mmでした。頭の後ろで前脚が付いている部分が前胸、左右の上翅の付け根にある部分が小盾板です。まず、①は第1-5間室に小突起があるかないかという点ですが、間室はFig.1に示すように、点刻列と点刻列の間の部分を指します。内側から順に番号が付けられています。Fig.2は中央の拡大図ですが、特に小突起は見えません。そこで、②にいきます。

②は腹部第3,4節にある点刻列が何列かということですが、Fig3に示すように、はっきりしたものが腹部の各節に1列、崩れたようになってつながっているのが1列の計2列(黄色の矢印)になります。それで、③に進みます。ここからが微妙になります。

③の初めの項目は小盾板に光沢ある中央隆起条があるかという点ですが、Fig.2の黄色の矢印で示すようにあるといえばあります。また、次の項目は前胸の後半は両側平行ということですが、Fig.1に示すように平行と言えば平行です。最後の後脚の腿節についてはFig.4に載せてありますが、後でまとめて論じることにします。

従って、この結果からニセマツノシラホシゾウムシで良さそうですが、中央隆起条についても、前胸の後半が平行かいう点についてもあやふやな感じです。仮に、これがNOということになると、④に進みます。④に書いてあるような多数の小灰色紋はないので、⑤に進みます。ここからは、後腿節の形状の比較により、マツノシラホシゾウムシかコマツノシラホシゾウムシのいずれかを決めるということになります(交尾器についての記述は除いています)。

従って、交尾器によらなければ、結局、後腿節の形状により3種を区別しなければならないことになります。後腿節の形状は図鑑に描かれていました。これをトレースし、3種を重ねあわせました。さらに、Fig.4の写真から後腿節の部分の輪郭を抽出して、重ねると次のような図になりました。



赤、青、白の線はそれぞれニセマツノ、コマツノ、マツノの腿節の形を、黄色の矢印の部分2箇所が合うように重ねたものです。これに、Fig.4の後腿節の輪郭を重ねてみました。黄色の点線がそれです。どれともピタリと合っているわけではないのですが、検索表にあるように、突起〈下の部分)から基部(右側)へ行く部分の形状が重要であるとすれば、ニセマツノがもっともよく合うような気がします。

ということで、小盾板の隆起条、前胸の形状、および、後腿節の形状から、非常にあやふやなのですが、今回の個体はニセマツノシラホシゾウムシではないかと推定されました。♂の交尾器はもう少し形の変化が明確なので、もっとはっきりと分かるかもしれませんが・・・。

ゾウムシの検索をしてみた感想としては、あいまいな表現が多くて、調べたい個体だけを調べたのでは判断がつかないことが多い気がしました。違う種類の標本を用意して、それと比較して初めて分かるかなという感じです。従って、今回ももやもや感がなくなりません。


廊下のむし探検 オオシロアヤシャクほか

廊下のむし探検 第250弾

第250回目の「廊下のむし探検」です。記念すべき250回目の表紙を飾る虫はこれです。



蛾というと嫌いな方も多いと思いますが(実は私もその一人なのですが)、こうやってあらため見ると何か整った美しさを感じます。シャクガ科のオオシロアヤシャクです。ちっとも青くはないのですが、アオシャク亜科に入れられています。関東以西の山地に産するとのことです。図鑑は展翅をしたものが載せられていますが、実は、蛾の翅の模様はこういう風に止まった時に見せたい模様が作られているのだと思います。この蛾でも、特に、後翅を見ると、ちょうど円弧を描くように右の翅と左の翅の模様がうまくつながっています。

その他に見た蛾も紹介します。



同じくシャクガ科のフタナミトビヒメシャクです。



ゴマフリドクガが出てきました。昨年は4月30日でしたから、今年はちょっと早かったですね。





オオトビモンアツバ(上)とトビモンアツバ(下)です。そのほか、春キリガではアカバキリガとシロヘリキリガが1匹ずついました。



先日、うまく写せなかった虫がこの日もいました。今回はじっくりと写すことができました。通りすがりさんから教えてもらい、カッコウムシ科という奇妙な名前の科に属する虫だと分かりました。図鑑で調べてみると、ダンダラカッコウムシによく似ています。クロダンダラカッコウムシという近縁種もあるのですが、赤い部分があるので、おそらくダンダラの方かなと思っています。

なぜカッコウムシというのか気になったのですが、英語ではcheckered beetlesで「市松模様のある甲虫」でした。中国語では、まさに「郭公虫」だったのですが、残念ながら語源までは分かりませんでした。(追記:「郭公虫」の成名故事はこのサイトに書いてある感じですが、残念ながら途中までなのでよく分かりません。論文の一部のようです



この間からいるゾウムシです。シラホシゾウムシ属のゾウムシであることは確かなのですが、それ以上はいつも分かりませんでした。今回は採集をしてきて、検索表を用いて調べてみたのですが、ニセマツノシラホシゾウムシかなぁというところまでで、やはりはっきりしたところまでは分かりませんでした。後で、苦心の様子を報告する予定です。



体長2-3mmの小さなテントウです。いつも、ナミテントウの小さい個体かなと思っていたのですが、図鑑を見てみると小さなテントウも載っていました。フタモンクロテントウという種かもしれません。やはり調べてみるものですね。(追記:通りすがりさんから、フタホシテントウだと教えていただきました。他の小型種は背面に毛が生えているので、容易に区別できるとのことです



これはコブヒゲカスミカメの♀だと思います。



例によって名前の分からないハチ。



それに、これはアサヒエビグモだと思います。



このクモ、ハエトリグモだと思うのですが、昨年も4月に見て名前が分かりませんでした。さて、何でしょう。(追記:イワテハエトリだと思われます。ブログ参照

廊下のむし探検 珍種ナカモンカギバほか

廊下のむし探検 第249弾

最近、廊下のむし探検が楽しくなってきました。野外を歩くよりもよっぽどたくさんの虫を見ることができ、その中には結構珍しい種類もいるからです。今日も珍しい蛾に出会えました。



遠くから見た時はハマキガかなと思ったのですが、近づいてみると翅の形が違います。何となくイラガ科を思わせるような形です。調べてみると、ナカモンカギバというカギバガ科の蛾でした。カギバガでこんな止まり方をするのは初めてです。模様はたしかにウスギヌカギバなどによく似ています。図鑑を見ると非常に稀な蛾のようで、「標準図鑑」でも採集された県として、岐阜、愛知、兵庫、島根、岡山、広島、山口、香川、大分が挙げられていました。どうやら中部以西に分布しているようです。私の住む大阪はリストに入っていませんね。



蛾ではほかにモンキクロノメイガと、



オオエグリシャチホコを見ました。



先日見たスネアカヒゲナガゾウムシ(かな?)をまた見ました。先日見たことをすっかり忘れていて、また、一から探してしまいました。



これはカバイロビロウドコガネ属でしょうか。脚が入っている部分は水に濡れていただけだったのですが、フラッシュをたいたらこんな感じになってしまいました。(追記:通りすがりさんから、種まで同定できるかもというコメントをいただきました。今度、一度捕まえてきて頑張ってみます



これはモモブトカミキリモドキでしょうね。



写真があまり鮮明でなかったので、名前調べを諦めてしまいました。(追記:通りすがりさんから、カッコウムシ科?というコメントをいただきました。今日も廊下で動いている個体を見つけて、写真を撮りました。図鑑で調べてみると、カッコウムシ科のダンダラカッコウムシに似ています



テントウムシみたいな斑点ですが、ムツボシツツハムシではないかと思います。(追記:ムツボシツツハムシは北海道に産するハムシのようで、これはクロボシツツハムシの方ではないかと思います





最近、ケバエの仲間が廊下のあちこちで這いまわっています。よく見ると、上の写真のように前胸背板が黒くて、脚が橙がかった個体と、下の写真のように前胸背板が茶色で、脚の腿節の大部分が橙色で、そのほかの部分が黒い個体がいることが分かりました。後者の方が少し大きい感じです。それぞれ1匹ずつ捕まえてきて、検索表(D. E. Hardy and M. Takahashi (1960))で種の同定をしてみました。詳細はまた後ほど書きますが、共にケバエ科Bibio属に属しており、上の写真の方はキスネアシボソケバエ♀、下の写真の方はBibio omani(和名なし)♀になりました。素人の同定なので、あまり当てにはなりませんが・・・。でも、先日、♂のケバエを同定した時も、キスネアシボソケバエにたどり着いたので、ひょっとしたら合っているかもしれません。(追記:2014/04/29付けブログで検索の結果を載せました。そのときは、上の写真はB. aneuretus(キスネアシボソケバエ)、下の写真はBibio simulans(メスアカアシボソケバエ)またはB. omani(和名なし)という結果になりました



ダンゴムシ、今日はいました。早速、後ろからも撮影してみました。



逆三角形に見える部分があります。これが逆三角形だとオカダンゴムシ科、湾曲した台形だとコシビロダンゴムシ科だと書いてある論文がありました。従って、これはオカダンゴムシでしょう。Wikipediaによれば、オカダンゴムシは普通にいるダンゴムシですが、明治時代に外国から入ってきた種のようです。もともとは、コシビロダンゴムシが日本に生息していたのですが、乾燥に弱いため主に森林に分布し、人家近くはオカダンゴムシが分布するようになったそうです。もっとも、日本分類学会連合による生物種数調査では、オカダンゴムシ科には既知種2種、コシビロダンゴムシ科には既知種22種、推定未知種数25種ということなので、そのものずばりかどうかははっきりとは分かりません。

廊下のむし探検 タチバナチビチョッキリかな

廊下のむし探検 第248弾

昨日の午後、廊下を歩いて見つけた虫たちです。午前中も歩いたのですが、午後歩いてみると、甲虫が多くなるようです。今日は小さなチョッキリを見つけました。





初め、ゾウムシの仲間かなと思って、「原色日本甲虫図鑑IV」を見てみました。チョッキリに似ているなと思ったのですが、頭から胸、そして腹の部分が一体となったような壺のような形のチョッキリは載っていません。仕方なく、ネットでチョッキリ、チョッキリと探しているうちに、4年前に高槻市の9才の小学生が近畿初のチョッキリを見つけたという記事に行き当たりました。その写真を見てびっくり。それにそっくりです。タチバナチビチョッキリというチョッキリ族チョッキリ亜族に属する虫でした。近似種があるのかどうか分かりませんが、ひょっとすると珍しい種類なのかもしれません。



廊下には小さな甲虫がいっぱいいるのですが、カメラを近づけると決まって動き出します。動き出しても、瞬間止まることがあるので、その瞬間を狙って写真に撮ろうと追いかけています。虫の方も必死なようで、こんな段差があると、





ころっとひっくり返ってしまいました。起き上がってもまだ、下翅がちょっと出ています。これはツマキアオジョウカイモドキです。





この虫も動き回っていました。形からてっきりキクイムシだなと思ったのですが、頭に丸い点刻列があり、羽も点刻だらけで、さらに、触角も違うので、違う種類でした。ナガシンクムシ科のニホンタケナガシンクイという種に似ていますが、これも似た種があるのでなんとも言えません。



ツノブトホタルモドキもこの日も3匹ほど、やはり廊下で動き回っていました。



そして、名前の分からないマルガタゴミムシです。離れたところではじっとしているのですが、カメラを近づけると決まって動き出します。よほど写されるのが嫌なのでしょうね。



その他、ウスチャコガネが2匹いました。



そして、これはヒラタハナムグリかな。これはじっとしていました。



この小さな甲虫は科も分かりませんでした。かなり長い毛が周辺だけに生えています。(追記:通りすがりさんから、マルトゲムシ科の一種に似ているというコメントを頂きました





マダラカゲロウの仲間が廊下の壁に止まっていました。♂だったので、尾部を拡大してみると、把握器がよく分かります。この形から、オオマダラカゲロウのようです。



今頃は、廊下にケバエの仲間がいっぱいいます。今日採集してきたので、今度名前を調べてみます。(追記:検索をしてみた結果Bibio simulansまたはBibio omaniという種になりました

廊下のむし探検 小さな小さな蛾

廊下のむし探検 第247弾

今日の廊下の虫は少なめでした。その中で小さな小さな蛾がいました。



こんな蛾です。頭の先から翅の先端まで4mmほどです。はじめはトビケラかなと思ったのですが、採集して顕微鏡で見てみると、翅は鱗粉で覆われています。それも、光の当てる方向で白い部分は金色に、黒い部分は青く光り、大変綺麗です。「標準図鑑」で調べてみると、どうやらムラサキマダラスイコバネというスイコバネ科の蛾のようです。大阪で記録され、山口県でも見つかったという記録が載っていました。4月下旬に出現するようです。

こんな小さな蛾の展翅はしたことがないので、一度やってみようと思って、極細の昆虫針を持ってきました。実体顕微鏡下で蛾の向きを変えようと、針の端でちょっと触ったら、蛾はすっ飛んでしまい、顕微鏡の駆動部の油の中に入ってしまいました。もうどうしようもありません。残念やら悔しいやら。まぁ、次の機会を待ちましょう。



壁面に70度くらいの角度で止まっています。これも蛾です。ヒメハマキの仲間で、ニセマメサヤヒメハマキマメサヤヒメハマキだと思います。この2種の区別にはいつも苦労します。



ヒトリガの仲間です。黒い点があまりにも少ないので、なんとも言えないのですが、おろらくキハラゴマダラヒトリだと思います。



そのほか、アカバキリガ



シタコバネナミシャク



それにソトカバナミシャクなどもいました。

蛾以外の虫は次の通りです。



最近、こんな風に壁の穴に頭を突っ込んでいる甲虫をよく見かけます。今日は引っ張り出してみました。



この間も見たフジハムシダマシナガハムシダマシでした。





これも以前見たことがある甲虫です。ツノブトホタルモドキだと思います。今日は2匹いました。



これはトゲヒゲトラカミキリですね。



これはクビボソジョウカイかな。



ツチバチの仲間かなと思ったのですが、図鑑にはぴったり来るものがありませんでした。



ガガンボかヒメガガンボの仲間ですが、撮影の時に、Sc脈(翅の前縁付近にある脈)を撮るようにしないといけないなと思いました。





このクモは2匹いたのですが、おそらくアサヒエビグモだと思います。ちょっと自信はないのですが。



最後はダンゴムシ。いつもは無視しているのですが、たまに写してみようと思って写してみました。でも、ネットで調べてみると、オカダンゴムシとコシビロダンゴムシというのがいて、後ろから写さないと分からないみたいです。後から、もう一度写しに行ってみたのですが、いざ探すとなかなか見つかりません。今度いた時に写してみます。

廊下のむし探検 ゾウムシ、カツオブシムシほか

廊下のむし探検 第246弾

旅行に行っていたので、「廊下のむし探検」はしばらくお休みでした。今日、久しぶりに歩いてみると、風は冷たく、すっかり冬のような天気になっていました。当然、虫は少ない感じです。それでも、少し変わった虫もいました。



小さい小さいゾウムシです。よく見ると体中に毛が生えていて、前胸背板で毛の向きが変わって模様みたいになっています。目が異様に大きな感じがします。さらに、後脚大腿部もちょっと変わっています。こんなゾウムシなかなか探せないだろうなと、半ば諦め気味に「原色日本甲虫図鑑IV」を探してみました。意外にすぐに見つかりました。そのものずばりかどうかは分かりませんが、カシワノミゾウムシという種に似ています。「ノミ」という名前が付いているだけさすがに小さく、体長は3mmに満たないようです。図鑑には検索表も出ていますが、採集してこなかったので、最終的にどの種なのかはよく分かりません。



これはよく見るゾウムシです。マツノシラホシゾウムシあたりの種ですが、似た種があっていつも迷う種です。これも、「原色日本甲虫図鑑IV」には検索表が出ていました。今度、一度採集してきて調べてみようかなと思っています。





コアオハナムグリが出てきました。今日見た個体はずいぶん汚れた感じでした。



こうなると種類もよく分かりませんね。



これも体長2.8mmの小さい虫です。家族が家の中で捕まえていました。模様から調べてみると、チャマダラカツオブシムシという衣類の害虫に似ています。ただし、図鑑によればやはり似た種があって、♂は触角の節の形、♀は交尾器で調べないといけないようです。どの種も名前を決めようとすると大変ですね。(追記:通りすがりさんから、ヒメマルカツオブシムシ?というコメントをいただきました



また、アメバチがいました。今回は模様からおそらくモンキアメバチだろうと思って、採集はしませんでした。



ウルマーシマトビケラかなと思うトビケラです。目が良いのか、ずいぶん離れたところから私の姿を見た途端逃げ出しました。それを追いかけ追いかけ撮影したものです。



アオバシャチホコがいました。色といい形といい、とにかくグロテスクな蛾です。



これはクロモンキノメイガです。よく見る種です。

後はいつものナミシャクたちです。



シタコバネナミシャク



クロスジアオナミシャクです。後は、モンキキナミシャクが今日は20匹ほどいました。



これはザトウムシの仲間です。赤い刺が何本か見えているので、ゴホントゲザトウムシではないかと思います。日本産生物種数調査によれば、ザトウムシ目は日本で既知種は81種、未知種が7種とのことです。ゴホントゲザトウムシの属するマザトウムシ科には6種もいるそうです。ザトウムシもなかなか大変そうです。



最後はクモです。「日本のクモ」を見ていると、コガネエビグモに似ているみたいですが、図鑑によれば、本州では500m以上の山地に産するとのことで違うかもしれません。(追記:アサヒエビグモではないかと思われます

廊下のむし探検 甲虫、ハエ、ハチなど

廊下のむし探検 第245弾

明日から忙しくなるので、今日の「廊下のむし探検」の結果を今のうちに出しておきます。今日は甲虫がたくさんいました。ということは、名前調べが大変でした。その他、ハチ、ハエ、トビケラ、ガなどバラエティに富んでいました。



今日の最初はこのカミキリです。脚を精一杯伸ばしきって壁に止まっていました。模様が変わっているので、名前調べは比較的楽でした。おそらく、トゲヒゲトラカミキリだと思います。昨年も4/16に見たので、ほとんど同じ時期に見たことになります。



見た感じからゾウムシなのはすぐに分かったのですが、それからがなかなか分かりませんでした。結局、スネアカヒゲナガゾウムシではないかという結論になりました。図鑑によれば、「クズやフジの枯つるにつき、多い」とのことです。



これは先日も見たマツキボシゾウムシです。松の害虫として知られています。



カミキリモドキだろうなとは思ったのですが、こんなに前胸背板が平坦なものは図鑑にはないような気がして、結局、名前が分かりませんでした。(追記:通りすがりさんから、アオグロカミキリモドキだと教えてもらいました



これはコアオハナムグリですね。マンションの廊下ではよく見かけます。

甲虫以外の虫もたくさんいました。



また、アメバチがいました。今回も捕獲してきて調べてみました。体長は12mmと小さかったのですが、この間のアメバチと同じ特徴を持っていました。この間の同定が合っていれば、モンキアメバチだと思われます。



外壁のひさしの部分に1匹のハチがじっとして止まっていました。セグロアシナガバチだと思いますが、この場所に巣でも作ろうというのでしょうか。



これもハチですが、名前まではちょっと。



特徴のあるガガンボなので、名前が分かるかなと思ったのですが、残念ながら分かりませんでした。







ハエもいろいろと写真を撮ったのですが、まだ修行が足りなくて、科は捕獲して検索してみないと分かりません。最後のハエ、翅の脈がない部分はやはり強度的に弱いみたいですね。(追記2018/02/14:上の二つの写真は共にオドリバエ科ではないかと思われます



トビケラですが、名前は分かりません。





これはガの仲間でヒゲナガガの一種ですが、カメラを近づけると嫌がって向きを変え、結局、飛んでいってしまいました。ウスキヒゲナガかアトボシウスキヒゲナガだと思われますが、翅の後角の縁毛だけに白い部分があり、触角に綺麗な環状模様があるので、ウスキヒゲナガの方ではないかと思われます。



これはヒメウスアオシャクかな。



それに、フタナミトビヒメシャク



最後はソトウスグロアツバだと思います。

廊下のむし探検 蜂に似た蝿、ヒゲナガガほか

廊下のむし探検 第244弾

廊下のむしも名前調べの難しい日が続いています。この日もバラエティーに富んでいましたが、やはり名前調べは難しいものが多かったです。そんな中、ちょっと変わった虫がいました。



一見すると蜂のようでもあり、ちょっと奇妙な感じを受ける虫です。私は初めて見ました。おそらく、ハチモドキバエだろうなと思って、保育社の「原色日本昆虫図鑑(下)」の図版を見ていたら、似た種がいました。ミツモンハチモドキバエという種です。今度はこの名前で画像検索すると、似た写真がぞろぞろと出てきました。図鑑の説明を読むと、単眼がなく、触角直下に黒色の小円紋が3つ、翅に輪郭の不明瞭な3個の褐色紋、翅端も褐色に染まるとあります。確かに、単眼はないし、触角の下に黒い点が一つ見えています。翅には細長い褐色紋がある感じです。

日本産双翅目科一覧」というページがあるのですが、そこで、このハエの属するデガシラバエ科を見てみると、4属6種が載っていました。ミツモンハチモドキバエはPorpomastix属に入っているのですが、日本産はこの1種だけでした。おそらく、ミツモンハチモドキバエでよいのではと思っています。デガシラバエ科では、過去にオオハチモドキバエを6-7月に見ています。それにしても、面白い翅脈をしています。ちょっと興味の湧くハエですね。(追記:通りすがりさんから、産卵管についてのコメントがありました。「原色日本昆虫図鑑〈下)」によると、「♀では産卵筒は長く、残余の腹部よりも長く、下方に湾曲している」とのことです。腹部を横から撮影すればよかったなと、ちょっと後悔しています





この奇妙な形の虫はケブカヒゲナガというヒゲナガガ科の仲間です。♂は触角が非常に長いのですが、♀はこの写真のように、触角はやや短く、その代わり途中まで黒色鱗で覆われています。ヒゲナガガは野外ではよちよちしながら飛び回る姿をよく見かけますが、マンションの廊下にも時々やってきます。「標準図鑑」で調べると、アトキケブカ、ムモンケブカという近縁種がいるのですが、いずれも後翅の色や縁毛に違いがあって、この写真からはよく分かりません。この日は2匹見かけました。



やっと名前の言えるコメツキに出会えました。体長7mmくらいの小さなコメツキですが、おそらく、ヨツキボシコメツキだと思います。図鑑によれば、春、花に集まるとのことです。いつも「コメツキの仲間」としか書けないのに、名前が書けるとやはり嬉しいですね。今度はコメツキも頑張って調べてみたいなと思います。



で、こちらの虫。相変わらず、コメツキの仲間です。(追記:通りすがりさんから、「多分カバイロコメツキ」というコメントを頂きました



クチブトゾウムシ、最近、毎日のように見かけるようになりました。そろそろ名前調べをしないといけないですね。(追記2015/04/13:2015/04/11に行った検索により、ケブカクチブトゾウムシだと思われます



今頃の季節、一番多い虫はこのヒゲナガカワトビケラです。マンション全体で数十匹かなというぐらいたくさんいます。川が近いからでしょうね。



翅の後縁に白い紋があるトビケラです。以前からウルマーシマトビケラかなと思っていたのですが、きちんと調べたことはありませんでした。標本はたくさんあるので、今度調べてみます。



この間から出ているカワゲラです。アミメカゲロウ科かなと思っているのですが、幼虫の時の鰓の痕跡がどれだか分からず、検索がストップしています。今度、カワゲラ科のヤマトフタツメカワゲラが出てきたら、それと比較して調べてみたいと思っています。



ちょっとぐたっとした感じですが、セイヨウミツバチでしょうね。マンションの廊下ではミツバチも時々やってきます。(追記:通りすがりさんから、ニホンとセイヨウは後翅の脈で見分けるというコメントを頂きました。原色日本昆虫図鑑(下)によると、「(セイヨウミツバチは)後翅M3+4が短いことで区別される」とのことです。ネットで調べるといろいろなサイトに区別点が描かれていました



最後も小型のハチです。今年は是非ともハチが分かるようになりたいなと思っています。

お知らせ

なにこれ生き物探検」という姉妹ページを作ってみました。野外を歩いているときに見つけた虫や植物を調べてみたいなと思うことは多いのですが、「廊下のむし」というわけではないので、ブログに出しにくかったからです。試しに、「ヤエムグラ」という植物のとげを深度合成写真で撮ったものを載せてみました。なぜか、新着記事のリストに載らなかったので、あまり見ていただけませんでした。こちらの方もときどき出していきますのでよろしくお願いします。

廊下のむし探検 サカハチトガリバほか

廊下のむし探検 第243弾

3月から4月にかけての虫の大量発生時期が終わりになってきたのか、マンションの廊下では少しずつ虫が減ってきました。昨日は天気が良くなかったせいもあるでしょうが、虫は特に少なめでした。

そんな中、ちょっと変わった感じの蛾がいました。



トガリバガ科のサカハチトガリバです。窓枠の下に止まっていたのですが、このままでは何が何だか分からないですね。展翅してある標本ではこんな感じになります。



これまで、マンションの廊下では春に時々見ていました。蛾は、他にはブナキリガ1匹、モンキキナミシャク10匹くらい、カバナミシャク2-3匹くらいでした。



ヒメカバナミシャクは綺麗に撮れたので載せておきます。





甲虫ではクチブトゾウムシがいました。体長は5-5.5mmの小さいゾウムシです。ちょうど一年ほど前、このゾウムシが廊下にいっぱいいるので、名前を調べてやろうと検索表を見始めたのが、虫の検索をしようと思ったきっかけでした。その時の資料を引っ張り出してみました。森本桂、小島弘昭、宮川澄昭著、"The Insects of Japan" Vol. 3 (2006)です。この中にクチブトゾウムシ族という項目があり、検索表も出ていました。ちらっと見たのですが、用語が結構難しくて、すぐには検索ができそうもない感じです。採集してきたので、ぼちぼちと調べてみようと思っています。(追記2015/04/13:2015/04/11に行った検索により、ケブカクチブトゾウムシだと思われます



先日も出てきたジョウカイボンの仲間です。その時は、ウスチャジョウカイかクビアカジョウカイかと迷っていたのですが、通りすがりさんからジョウカイボンは現在研究が進み、どんどん種類が増えているとコメントいただきました。今坂正一氏のホームページには2013年のチェックリストが出ているのですが、ジョウカイボン科は種、亜種を含め371種が記録され、そのうち400台に乗るのは確実と書かれていました。ウスチャやクビアカは原色日本甲虫図鑑IIIではAthemellus属になっているのですが、その後、いくつかの属がLycocerus属に統合され、図鑑に合わせて18種載っていたものが、チェックリストでは48種にもなっていました。なかなか大変な仲間です。

その他の虫です。



マダラガガンボの♂がまたまたいました。今度は間近にいたので接写で腹の先端を撮影してみました。



左側は側面から、右側は背面からです。これと、鳥居氏の講演要旨(pdf)に載っている写真と比べると、やはり近縁種に近い感じですが、見れば見るほど分からなくなってきます。





変わった模様のハエがいました。上の二枚の写真は角度を変えて写したものです。ハマダラミバエの仲間だと思うのですが、名前までは分かりませんでした。ネットで調べると、ニ、三同じような模様の写真が見られましたが、いずれも名前は分からないと書かれていました。



これは先日検索をしたハエと同じだと思うのですが、その検索が合っていれば、オドリバエ科Empis属Polyblepharis亜属に属するハエの♂です。



黄色のちょっと綺麗なクモです。おそらくムツボシオニグモではないかと思いますが、クモの詳しい図鑑が手元にないので、はっきりとは分かりません。



最後もクモです。たぶんワシグモの仲間だと思うのですが、「日本のクモ」にはピタリと来るものがありませんでした。腹部がしわだらけです。


アメバチの検索の続き

先日、アメバチの属への検索を試みました。今日は、もう一歩進めて種への検索を行ってみました。なにぶん、素人なので、そのつもりで読んでみてください。



アメバチとはこんなハチです。かなり大きなハチなので、気のつく方も多いと思います。この写真は4月9日にマンションの地下駐車場で見つけたアメバチですが、翌日のブログに載せました。この時、捕獲してきて詳しく調べてみました。

アメバチを含むヒメバチなど狩人蜂については、神奈川県立生命の星・地球博物館の渡辺恭平氏のホームページが、非常に詳しく、かつ、分かりやすく書かれているので、私のような素人でも大いに役立ちます。



その中からヒメバチ科アメバチ亜科の属への検索について書かれているもののうち、Ophion属に関する部分を抜粋して引用いたしました。この種がOphion属だということが検索の結果分かったからです。なお、翅脈の名称についてはいろいろな流儀があるらしく、ここではAmerican Entomological Instituteのページに書かれている名称を採用したため、翅脈の名称については検索表の文章を一部変更しています。

前回も書きましたが、ここに書かれた内容は次の図をみると、その幾つかは理解できます(○をつけています)。





要は、下の写真にある黒い矢印のところに茶色の節片がなくて(以前のブログを見て下さい)、Rs+Mと書いた短い途切れた脈があると、だいたいOphion属だと考えても大丈夫なようです。

さて、これから先は種の同定になります。北海道農業研究センターの小西和彦氏の日本産ヒメバチ目録によれば、Ophion属は日本に10種記録されています。このうち8種までの検索表が韓国の論文に載っていました(K.-B. Kim, K.-I. Suh, and J.-W. Lee, Korean J. Syst. Zool. 25, 1 (2009)(ここからダウンロード可能))。2種載っていないのですが、とりあえずこれを使って検索をしてみました。



まず、検索表を翻訳してみました。昆虫の専門用語はほとんど分からないのですが、頑張って訳してみたのが上の表です。あちこち間違っていると思いますので、そのつもりで見て下さい。





この検索に必要な図を載せておきます。まず、①は小盾板が三角形か四角形かというものですが、上の写真でも分かりますが、三角形なので③に進みます。中胸背縦斜溝というのは、上の写真でも少しだけ見える溝のことです。この個体は、溝の長さが短いので④に行きます。④は中胸盾板の色に関するもので、黒褐色ではないので⑥に進みます。⑥はあちこちに白黄色の模様があり、腹部先端側面に白黄色の縦帯があることを示していると思うので、上の写真と比べて、⑥のOphion obscuratus(モンキアメバチ)にたどり着きました。

同じような検索表は1928年にUchidaによっても載せられていました(T. Uchida, J. Fac. Agri. Hokkaido Imp. Univ.21, 177 (1928)(ここからダウンロード可能))。これはドイツ語です。昆虫の専門用語とドイツ語という2つの障壁があったのですが、なんとか訳してみました。



こちらも種の名称変更があったり、統一されたりで、正味8種についてだったのですが、先ほどの韓国の論文に載っていなかった2種が幸いにも載っていました。残念がら⑦は翻訳できなかったのですが、ここで調べるO. fuscomaculatasは韓国の論文で最初に否定される種だったので、⑦は飛び越えて検索を行ってみました。すると、偶然にも(必然かも)、同じO. obscuratus(モンキアメバチ)にたどり着きました。

ということで、この個体はモンキアメバチではないかという結論になりました。モンキアメバチはアジアから北アフリカまで広く分布している種です。検索結果にはまったく自信はないのですが、こうして検索をしてみると、少しずつアメバチに親しみが湧いてきました。やはり、写真を撮るだけとはだいぶ違います。

廊下のむし探検 カミキリ、カメムシ、ハエなど

廊下のむし探検 第242弾

昨日は暖かかったのですが、外出したついでに廊下を歩いてみると、意外に虫の数は少なかったです。それでも、ぽつぽつと気になる虫がいました。



特徴的な模様のあるカミキリムシです。でも、「原色日本甲虫図鑑IV」を見ると似たような種がいっぱいいます。模様がぴったり合いそうな種を選ぶと、ズマルトラカミキリになりました。調べてみると、昨年も4月から5月にかけて見ていました。なお、図鑑には「ヅマル」となっているのですが、ネットで調べると和名が途中で変わったらしく、最近では「ズマル」と表記するようです。



そして、前日もいた気になる甲虫がまたいました。前日の個体は胸背の中央に毛がなかったのですが、これはわずかですが毛があります。まったく見当がつかないので、「毛が生えている甲虫」といういい加減な言葉で画像検索してみました。カブトムシがいっぱい出てくるのですが、その下に、実に、自分のブログが引っかかりました。3月24日に書いたブログで、その中で、追記として、似たような甲虫をキスイモドキ科のツノブトホタルモドキとしていました。外観は確かによく似ています。図鑑の図と比較しても、触角などはよく似ています。ただ、頭部が黒いところがちょっと違う気がします。これに近い仲間かもしれません。(追記:八田氏の「日本産キスイモドキ科概説」甲虫ニュース79/80, 1 (1987)(ここからダウンロード可能)によると、日本産キスイモドキ科には、キスイモドキ属とツノブトホタルモドキ属の2属があって、後者は1属1種のようです。触角の形状や前胸背板の形状を見ると、後者によく似ているので、ツノブトホタルモドキで間違いないかもしれません。頭部の色については書いてありませんでした。本州、四国、九州に分布していますが、産地は局地的で個体数も少なく、比較的標高の高い山地に分布しているとのことです



マダラガガンボのオスがまたまたいました。天井に近いところに止まっていたので、手を伸ばして腹部先端を背面から撮影してみました。



この写真と鳥居氏の講演要旨の写真と再び比較すると、微妙ですが、やはりマダラガガンボの近縁種の方に近い感じです。先日、側面から撮影した時もそのように思ったので、この写真の個体はマダラガガンボではなく、その近縁種の方かもしれません。折角、分かってきたので、和名が欲しいところですねぇ。



奇妙な外観のハエ目昆虫がいました。複眼に毛がいっぱい生えているので、気になります。先日もいたので、この日は捕獲してきました。

最近は、ハエ目昆虫の検索はだいぶ慣れてきて、それほど苦痛なくできるようになりました。





「絵解きで調べる昆虫」の検索表に従って検索すると、要は、ガガンボの仲間でなければ、①単眼があるか、②単眼があれば、翅脈に第2基室があるか、③そうであれば、Rs脈が3本以上に分岐していないことを確かめると、この昆虫がケバエ科に属することが分かります。上の写真で該当部分を示しました。ただし、翅脈の名称については文献毎にばらばらなので、最大公約数的に付けました。間違っているかもしれません。特に、CuA2に沿う薄い色の脈を偽脈としたときに、A1をCuPとすべきかどうかが分かりませんでした。

その先は英語になりますが、D. E. Hardy and M. Takahashi, Pacific Insects 2, 383 (1960) (pdfでダウンロード可能)の論文に書かれた検索表を用いると、ケバエ科の属と種の検索ができます。属の検索は簡単で、①Rs脈が分岐していないこと、②前脚の脛節に鋭い刺が1対だけあることを確かめると、Bibio属にたどり着きます。種の検索はかなり大変で、まだ、手をつけていません。いずれにしても、Bibio属の♂であることは間違いなさそうです。



小さなチョウバエです。なかなかこっちを向いてくれないので、後ろ向けの写真になってしまいました。おそらく、ホシチョウバエかなと思いますが、よく分かりません。



こちらはミツボシツチカメムシです。この辺りにいるカメムシの仲間では綺麗な方だと思います。



越冬組のキバラモクメキリガがいました。溝の隅に止まっていたので、真上から写したことになります。



だいぶ鱗粉が取れた感じですが、シロヘリキリガです。



これも模様がはっきりしませんが、ホソバキリガかなと思います。キリガと名のつく蛾はこの3匹だけで、後は、モンキキナミシャクが10匹くらい、ギフウスキナミシャクが3匹くらい、マエアカスカシノメイガが1匹くらいと蛾に関しては寂しくなりました。


廊下のむし探検 ゴマフカミキリほか

廊下のむし探検 第241弾

廊下を歩いていても、蛾の姿はほとんど見かけなくなりました。代わりに甲虫がいろいろと出てきました。甲虫の名前調べは大変で毎日フーフー言っています。

まず大物から。



それほど自信はないのですが、ゴマフカミキリだと思います。マンションの廊下では初めて見ました。図鑑によると、4-8月に広葉樹林の伐採木や衰弱木に集まるとありました。



これは小さい甲虫です。図鑑をだいぶ探し回りました。最後は、クロオビカサハラハムシかなというところに行き着きました。図鑑によれば、体長4.2mm、食草はカシワ類とのことです。



似た種類が多くて、あまり確信はないのですが、ムネアカテングベニボタルではないかと思います。図鑑に前胸背板の模式図が書かれていて、それで最終的に判断しました。4-6月に発生で、山地で普通とのことです。



変わった模様です。何となく目が可愛い感じがします。クロホシタマクモゾウムシだと思います。初めて見ました。



だんだん名前の分からない種が登場します。これは昨日もいたフジハムシダマシかナガハムシダマシかなと思った種です。はっきりしません。



図鑑を3度も見直したのですが、とうとうギブアップです。白い毛の生え方が変わっているなと思いました。(追記:先日も見たキスイモドキ科のツノブトホタルモドキか、その近くの種かもしれません。頭が黒くて毛が生えていないところが図鑑と少し違います。前胸背板の中央部も毛がありませんが、別の個体では毛が生えていたので、この個体では擦れて取れたのかもしれません



これは初めから諦めているコメツキです。ちょっとは分かるかなと図鑑を見てみたのですが、やはり似た種がぞろぞろといました。



これはもっと分からないマルガタゴミムシです。結構数はいるのですが、同一種かどうかもよく分かりません。

甲虫以外ではハエ目が目立ちました。



ハマダラハルカです。最近、ちょこちょこと見ます。写真を撮ろうと近づくと結構嫌がって、結局、後ろ向きの格好になってしまいました。



この姿には何となく芸術性を感じます。それにしても素晴らしく長い前脚です。種までははっきり分かりませんが、おそらく、セスジユスリカではないかと思います。初め何の種類か分からず、翅脈を手がかりに探して、ユスリカにたどり着きました。





外に通じる階段にこんなペアが2-3いました。小さな虫が連結しているのですが、結構、速く移動します。移動方向は横ではなくて前後方向です。このまま、壁に登ったり、階段を降りたりします。二人三脚みたいなのに、お互いの脚をうまく合わせられるのが面白いですね。しばらく眺めていました。



大きなアリもいました。アリも良くは知らないのですが、おそらく、クロオオアリではないかと思います。

次は蛾です。



ナミシャクもだんだん少なくなってきました。今は、モンキキナミシャクとシタコバネナミシャクが何匹かいるくらいです。これはクロスジアオナミシャクです。



カバナミシャクは綺麗に撮れた時だけ載せておきます。これはソトカバナミシャクかな。



それにプライヤキリバ。キリガ類は2-3匹程度まで数が減りました。今いるのはブナキリガかな。



最後はクモです。甲虫の名前調べでくたびれてしまっていたので、クモの名前までは・・・とちょっとやる気がなかったのですが、「日本のクモ」をぱっと開いたら、そのページに載っていました。イヅツグモというイヅツグモ科のクモのようです。里山から山地に分布し、越冬するようです。

廊下のむし探検 甲虫もいろいろ

廊下のむし探検 第240弾

昨日の廊下のむし探検で見た「むし」のうちの甲虫編です。甲虫は苦手でなかなか名前が分からず、今までかかってしまいました。一応は名前を調べたのですが、間違っているものも多いと思います。いろいろとお教え下さい。



変わった形なので、すぐに分かるかなと思って、「原色日本昆虫図鑑」を見ていたら、ジョウカイボンに似たような種がありました。でも、ぴったりとくる種がありません。確か、去年も見たような気がしたので、昨年のブログを見ていたら、見つかりました。昨年はツマキアオジョウカイモドキとした種でした。昨年は3月30日と4月29日のブログに載せていました。





ずんぐりとした形ですが、ゾウムシの仲間のようです。図鑑で探していたら、アカミヒゲナガゾウムシという種と模様が一致していました。似た種もあるので、そのものかどうかは分かりませんが・・・。





おそろしく首の長い虫です。オトシブミの仲間ですね。図鑑で見ると、エゴツルクビオトシブミに似ています。



昨年、だいぶ苦しんだクチブトゾウムシです。その時はケブカクチブトゾウムシとしたのですが、最近、検索に少しは慣れたので、今度、もう一度調べてみようかなと思っています。(追記2015/04/13:2015/04/11に行った検索により、ケブカクチブトゾウムシであると思われます



これはいつものマツトビゾウムシです。最近、よく見ます。



ウリハムシですね。



名前調べにだいぶ時間がかかったのですが、おそらくフジハムシですね。実は、昨年も4月に見ていました。



これも時間がかかったのですが、図鑑との絵合わせではフジハムシダマシかなと思いました。ナガハムシダマシとも似ているようで、どう違うのかはよく分かりません。



これはよく花にいるモモブトカミキリモドキでしょうか。今日はやたら、「モドキ」や「ダマシ」が多いですね。



最後はこの前も見たヒメスギカミキリです。この日は甲虫がやけに多かったですね。

廊下のむし探検 オオシモフリスズメ、ついに登場

廊下のむし探検 第239弾

標題を見ても、蛾に関心のない方は何のことやら分からないと思いますが、早春の大型蛾3種、エゾヨツメ、イボタガ、オオシモフリスズメの一つに出会えたという意味です。以前といっても、もう10年以上も前になるのですが、私の住むマンションではこの3種をほとんど毎年のように見ていました。でも、最近、どれも見なくなりちょっと寂しく思っていました。

今年は鳥が少ないという話をよく聞きますが、その影響でしょうか、先日、エゾヨツメを久々に見ることができ、そして、昨日はオオシモフリスズメを見ることができました。







スズメガとしては日本最大です。腹の先を上に持ち上げ、全体におどろおどろしい感じの蛾です。カメラを近づけると、その腹の先をちょっと持ち上げたり、体を少し震わせたりするので、写す方も緊張します。駐車場の入口中央付近に止まっていたので、いつ車に轢かれててもおかしくない状態でした。外出するときに気がついたので、帰るまでそのままいてくれと願いながら帰ってくるとそのままいてくれました。家族に車に轢かれないように見張ってもらって、急いで家までカメラを取りに帰り、写したのが上の写真です。これで残りはイボタガだけになりました。



次はハマキガです。これも外出する時だったので、採集はできませんでした。いつもならニセマメサヤヒメハマキかマメサヤヒメハマキでしょうと書くのですが、新しい「標準図鑑」の索引で引いてみるとびっくり。いずれも載っていません。仕方なく、学名で引くと載っていました。和名が変わってしまっているようです。属名はMatsumuraesesですが、この仲間はいずれも語尾がサヤムシガという名前になっていました。ニセマメサヤヒメハマキがダイズサヤムシガ、マメサヤヒメハマキがマメヒメサヤムシガという風にです。

おまけに、「大図鑑」の方ではたくさんの個体の写真があったのですが、「標準図鑑」ではMatsumuraeses属5種がそれぞれ1枚ずつの写真になっていました。「大図鑑」には上のような模様の蛾はニセマメサヤヒメハマキにあったのですが、「標準図鑑」ではクズヒメサヤムシガになっています。結局、また、交尾器の世界になるのかもしれません。ハチやハエの検索をしていると、脚の刺毛や体の剛毛、翅脈など多角的に特徴を調べていくのですが、蛾の場合は翅の模様や形の次はすぐに交尾器ということになり、解剖が必要です。どうも交尾器にこだわりすぎているような気がします。

和名の変更については、Post-MJ Edition2に「大図鑑」の変更点として載っていました。それによると、2003年の奥氏の「岩手県の小蛾類」という岩手蟲之會會報別冊(2003)に基づいているようです。ネットで調べると、サヤムシというのは大豆などのマメ科作物を幼虫が食することからついた名前のようで、マダラメイガやシンクイガの幼虫がそのように言われているようです。「ヒメハマキ」という亜科に共通した語尾がなくなってしまいちょっと残念な気がします。



この間から出ているシタコバネナミシャクです。ガはモンキキナミシャクを除いてほとんど見かけなくなりました。



アメバチがいました。先日、取り逃がしたので、今回は慎重に捕獲しました。早速、自分勝手に翻訳した、種の検索表を使って調べてみるとモンキアメバチに到着しました。合っているのかどうかは分かりませんが、次の機会に報告します。



ルリチュウレンジがまたいました。



名前の分からないハチです。



この間からいる小さなヒメハナバチの仲間です。廊下でウロウロしているので、だいぶ踏まれてしまっていました。



マツヒラタナガカメムシです。図鑑には松の樹皮下に住むと書いてありますが、害虫で検索してもほとんど引っかかりませんでした。ヒョウタンナガカメムシ科という科に入っています。



アカヒメヘリカメムシです。先日、ヒメヘリカメムシ科の検索をやってみたので、ヒメヘリカメムシを見るとちょっと親しみが湧くようになりました。



ヒゲナガカメムシだと思います。触角は途中の黒い部分で折り曲がるのでしたね。



通りすがりさんに教えていただいたのですが、ハルカ科のハマダラハルカのようです。



この頃、アメンボの姿をよく見ます。これも、コセアカアメンボでしょうね。廊下のちょっとした水溜まりにいました。(追記2015/04/14:tosakaさんから、「色からすると、ヒメアメンボのようにおもいます。」というコメントをいただきました。検索してみると、確かに前脚腿節に黒い帯が入っていて、ヒメアメンボのようです。



ついでにその部分の写真を載せておきます。検索で手一杯の状態で、外観でぱっと分かるところまでなかなか行きませんね。ご指摘どうも有難うございました



変わった色のクモがいました。キンイロエビグモだそうです。こんなクモは見たことがなかったのですが、よくいるクモのようです。



オチバカニグモの仲間は皆似ていて種まではよく分からないのですが、クロスジオチバカニグモではないかと思っています。

甲虫もたくさんいたのですが、まだ、名前調べが終わっていないので、また、後で出します。

廊下のむし探検 オオシモフリスズメ残骸とハチやハエ

廊下のむし探検 第238弾

昨日は暖かかったのですが、前日までの寒さのためか、廊下には意外に蛾の姿は見られませんでした。先日、久しぶりにエゾヨツメが見られたと喜んでいたら、昨日はマンションの玄関近くの芝生で、オオシモフリスズメを見つけました。



ただし、こんな姿で。以前は年1-2回くらいは見られていたのですが、ここ数年はほとんど見ることがありませんでした。やっと見られたと思ったら翅だけでした。でも、やはり発生はしていたのですね。

オオシモフリスズメは日本最大のスズメガで、幼虫も成虫も警戒音を出すので、私にとってはちょっと怖い蛾です。以前、隣の市の公民館の館長さんが、奇妙なものを見つけたといってバケツに入れて持って来られたのが、この蛾の幼虫でした。長さ10数センチ、太さ2センチほどもあろうかという大きなイモムシで、揺すると音を立てて体を振り回すので、本当に怖い感じでした。それでも、水槽に土を入れて中に入れてやるとやがて土の中で蛹になりました。でも、やはり乾燥してしまったのか、翌年は羽化しませんでした。



廊下を歩いていると、こんな翅と脚だけになった蛾の姿をよく見かけます。おそらくスズメの仕業でしょうね。かなり大きなオオシモフリスズメですが、やはりスズメにやられたのでしょうか。(追記:通りすがりさんから、猛禽類かカラスかなぁというコメントを頂きました。確かに、オオシモフリスズメは大型で警戒音まで出すので、スズメには手に余るかもしれません

蛾の姿は少なかったのですが、この日はハチが多くいました。これまで、いろいろの虫の検索をしてきたのですが、ハチではアメバチしかしてこなかったので、相変わらず絵合わせで調べるしか方法がありません。それでも、名前や科が分からないものだらけです。



すっきりしたハチで、小盾板に黄色の模様があるので、名前が分かるかなと思ったのですが、結局、分かりませんでした。(追記:通りすがりさんから、コマユバチ科でしょうとコメントをいただきました



先日見たフタホシハバチの仲間に体型が似ています。おそらく、ハバチの仲間ですね。そう思ってネットや図鑑で調べてみました。ニホンカブラハバチに似ている感じがしますが、ちょっと違うような気もして、よく分かりません。(追記:吉田浩史「大阪府のハバチ・キバチ類」西日本ハチ研究会(2006)によれば、カブラハバチ属は日本に7種、近畿に4種記録されているそうです。近畿4種のうち、胸部背面が全面的に橙黄色になるのは、ニホンカブラハバチとイヌノフグリハバチの2種で、これらは基本的に腹部第1背板の色で見分けられますが、説明を読むと脚の色でも見分けられそうです。上の写真は♀のようですが、ニホンカブラ♀は基節から腿節の大部分が橙黄色、腿節末端、脛節背面と跗節の大半が黒色、イヌノフグリ♀は基節から腿節が橙黄色、脛節、跗節はほぼ全体黒色とのことです。これから判断すると、上の写真の個体はイヌノフグリハバチ♀のようです。イヌノフグリハバチは、春から初夏、秋に出現し、平地から低山地、農耕地から森林周辺まで普通に見られるとのことです



独特のつやをもっています。これはルリチュウレンジでしょう。また、近縁種があるといわれるかもしれませんが・・・。



これはツチバチの仲間ですね。腹の毛、触角、胸の背などを参考に図鑑を見てみると、ヒメハラナガツチバチに似ている感じです。



これはヒメバチの仲間だろうなというところです。



最後に、この小さなハチ。この間からいて、昨日は、ちょっとオーバーに言えば、1メートル歩く毎に1匹の割合で廊下にじっと止まっていました。





顔の部分を正面から見てみると、頭盾の部分が黄白色のものと黒いものがいます。おそらく、上が♂、下が♀でしょうか。大きさ的には小さいですが、この姿は以前見たウツギノヒメハナバチとよく似ています。そこで、1匹だけ捕まえてきて、「絵解きで調べる昆虫」で検索をしてみました。体長は6.5mm、大変小さなハチです。検索を続けていくと、最後はミツバチ科群に到達してしまい、どうしようかと思ったら、その下にヒメハナバチ科がありました。まだ、ちょっとはっきりしないのですが、ヒメハナバチ科のようです。以前、ウツギノヒメハナバチも廊下のあちこちで見かけたことがありましたが、このハチ、廊下でいったい何をしているのでしょうか。



先日、検索を試みたオドリバエの♂がいました。早速、捕まえてきて検索の続きをしてみました。ちょっとはっきりしないところもあるのですが、Empis属Polyblepharis亜属に間違いなさそうです。さらに、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」には種までの検索表が載っていました。これを使って検索を続けると、最後は専門用語が出てきてよく分からなくなるのですが、compsogyneあたりかなというところまでは辿り着きました。詳細はまたのちほど。



以前なら、間違いなく、ガガンボの仲間と書いていたと思うのですが、最近は少し分かり始めました。まず、よく見ると、中胸の背(頭の後ろの黒く光っている部分)にV字の溝がありません。さらに、よく見ると単眼があります。これらの情報から、ガガンボの仲間ではないことが分かります。さらに、翅脈をみると、ハルカ科かカバエ科あたりにたどり着きます。一箇所、ハルカ科の特徴であるr横脈が写真からは見えないのですが、ハルカ科のハマダラハルカあたりとちょっと似たところがあります。ひょっとしたらその仲間かもしれません。(追記:通りすがりさんから、「ハマダラハルカは多分合ってます」とコメントをいただきました



こちらも胸にV字溝がなくて、ガガンボの仲間ではありません。写真が不鮮明で単眼があるかどうかが分からず、ちょっと行き詰まりました。写真は翅脈と単眼が分かるように撮らないとだめですね。(追記2018/02/20:これは翅脈からキノコバエ科ではないかと思います



複眼に毛がいっぱい生えているようでちょっと面白いなと思いました。(追記:「絵解きで調べる昆虫」でハエ目の科の検索をしたところ、ケバエ科になりました。さらに、D. E. Hardy and M. Takahashi, Pacific Insects 2, 383 (1960)(ダウンロード可能)で属の検索をしたところ、Bibio属になりました。その先の種の検索で手こずっています



花粉でもついたのでしょうか、粉まみれです。



最後は甲虫です。触角がすごいので、図鑑で調べてもすぐに行き着きました。ベニボタルの仲間のようです。そこから先はよく分かりませんでした。(追記:通りすがりさんから、ヒメアカハネムシ?というコメントを頂きました。甲虫は本当に難しいですね

オドリバエの検索と深度合成写真

昨日、ハエ目の昆虫♂と♀がマンションの廊下にいたことを報告しました。このとき、♀の脚には黒い毛のようなものがいっぱい生えていました。ちょっと変わっていたので、その♀を捕まえてきて調べてみました。実は、検索をするには♂の方が都合がよかったということを後から気が付きました。というのは、普通、検索表は属、亜属、種に近づくにつれ、♂の形態で行うことが多いからです。

でも、ともかくこんな虫です。



脚に鳥の羽のような黒い毛がたくさんついています。不思議な昆虫です。これが何の仲間なのかを調べるために、ハエ目の科の検索をしてみました。なにぶん、素人がやっていることなので、そのつもりで見て下さい。なお、写真は実体顕微鏡を用いて撮影し、深度合成という方法で合成したものです。これは焦点位置を変えながら何枚も撮影し、後でソフト(この場合はcombineZP)を用いて合成する方法です。

今回、検索表には以前紹介した「絵解きで調べる昆虫」という本を用いました。「原色昆虫大図鑑」の検索表に比べると、扱う科の数が少なく、その分検索表は簡単になっています。例えば、今回のハエは調べてみると、オドリバエ科にたどり着いたのですが、その時に用いた項目数はわずか5つです。「原色昆虫大図鑑」の9項目に比べるとかなり楽になっています。その項目が次の5つです。



「絵解きで調べる昆虫」では、項目の番号がなかったり、絵だけで説明のない部分があったので適当に補ったのですが、間違っているかもしれません(特に、㉚、㊳)。まず、これは短角亜目という、触角の可動部分である鞭節のうち第1鞭節が発達した種類(いわゆるハエの仲間)についての検索です。これに対して、鞭節が4節以上にあるのはカの仲間で、糸角亜目といいます。


そこで、まず触角を見てみましょう。この写真で第1鞭節と書いた部分が可動部で、この部分が大きく、先端には短い節が付いているようです。通常、第1鞭節には刺のような刺毛があるのですが、この個体にはありません。複眼と複眼の間隔が離れていて♀であることが分かります。その間に3つの単眼が見えています。

次に、項目に従って特徴を見ていきます。


まず、項目㉚は脚の先端部分についてですが、鋭い爪が2本見えていますが、この下にある2つの白い部分を褥板(じょくばん)というようです。この2つの褥板の間にもう1つ爪間板があるかないかという項目ですが、写真のようにありません。この部分が刺毛状になっているかどうかはこの写真ではちょっと分かりません。





項目㊳は翅脈に関するものです(なお、翅脈の名称はいろいろな文献を見ながら、若干の想像を加えて私が勝手につけたものなので、間違っているものもあると思います)。Fig.3のように第2基室と第3基室という部分がありますが、この第3基室が大きくなって翅の縁近くまで伸びていないかどうかという内容です。項目㊺は通常のハエのような額線や半月板があるのかどうかという項目ですが、Fig.4のように口は部分は普通のハエとは異なっています。項目㊻は翅脈で中室があるかどうかという点ですが、Fig.3のように中室はあります。最後は、Rs脈の分岐位置が肩横脈hより離れているかどうかという点ですが、Fig.3のように離れているので、オドリバエ科ということになります。(追記:Fig. 3でRs脈の位置が間違っていたので訂正しました

オドリバエ科の属、亜属の検索には、三枝豊平氏の「日本産双翅目の図解検索システム(Family Empididae)」が使えます。この検索表を使わせていただき調べてみると、最終的にはEmpis属にたどり着きました。その時に用いた項目は次の通りです。⑥c以降は♂でないと分からないので、検索はここで止まってしまっています。



まず、①は前脚の形態に関してです。②は翅の翅脈で中室を持つかどうかです。③についてはFig.3にあるように、M1、M2、M3+4という3本の脈が翅の縁まで伸びています。④と⑥1)は、R4脈があって、それがR5脈から大きな角度で離反していることを示しています。ついでに、⑥2)はSc脈についですが、写真では分かりにくいのですが、先端は消失しています。⑤は口吻に関してですが、Fig.4に示すように下に向いた長い口吻があります。


⑥3)の平均棍はFig.5に示すような形をしたものですが、後翅が退化したものです。この平均棍の前の部分〈図の矢印の部分)に毛の生えた部分が確かにあります。これで、このハエはEmpis属だということが推測されます。

次に亜属についてですが、⑥aの項目は口吻の唇弁が太くて短いということですが、ここが一番迷いました。Fig.4の下の写真は口吻の先端部分を拡大したものですが、固そうな部分が上唇、その下に長い下唇があります。この下唇が唇弁だと思い、この項目はNOだすると、NOの項目は「唇弁の先が2つに分かれる」となっていて行き詰まります。

一寸のハエにも五分の大和魂・改」という双翅目の専門的な掲示板があるのですが、そこを探し回ると、似たような種がいくつも見られ、それはほとんどPolyblepharis亜属に属しているとされています。その亜属に行くためには、どうしてもこの項目がYESでなければなりません。そこで、更に、その掲示板を探していると、死後、唇弁が伸びるというような記述が見つかりました。はっきりしないのですが、ひょっとするとYESなのかもしれません。いずれにしても、ここからは♂の形態の項目になるので、最後まで行き着かなかったのですが、おそらく掲示板に載っているハエなどと同じで、Polyblepharis亜属に属しているものと推測されます。種まで行くにはさらに♂交尾器を調べる必要があると思われ、これでとりあえず検索は終わりました。

ついでに、以前、ミラーレス一眼を生物顕微鏡に取り付けたというをしましたが、10倍の対物鏡を用いて、このハエの各部を撮影し、深度合成を用いて表現してみました。いずれも、20-50枚ほど、焦点位置を変えて撮影した写真を合成したものです。照明にはリング照明の一部を接近させて用いました。その写真が次の4枚です。









一番上は頭を上から見たところで単眼が見えています。次は脚の先端部分。その次の2枚は後脚の脛節で黒い毛が生えている部分です。黒い毛は木の葉みたいな形をしていて、脈が長さ方向に平行に入っています。全体に「ほこり」みたいなものがいっぱいついているように見えるのは、深度合成のソフトで取りきれなかった「島」の部分だと思われ、もう少し撮影上の工夫をするか、ソフトを用いる場合の何らかの工夫が必要だと思われます。でも、全体に鮮明に撮れたので満足しています。

廊下のむし探検 今日はちょっと寒かった

廊下のむし探検 第237弾

4月になったのに、冬並みの寒さがやってきました。廊下を歩いていても、真冬のような強い風が吹き、みぞれでも降りそうな天気でした。さすがに虫は少なかったです。





虫がいないと、どうしてもハエ目の昆虫に目がいくようになります。廊下にはこんな虫がいました。上が♂、下が♀のようです。♀の脚には黒い毛のようなものがいっぱい生えています。この♀の方を捕まえてきて、検索表で調べてみました。オドリバエ科Empis属らしいところまでは辿り着きました。詳細はまた次の機会に!



マダラガガンボの♂が止まっていました。今日は至近距離だったので、近寄って腹部先端を写してみました。



鳥居氏の講演要旨と比べてみると、マダラガガンボではなく、その近縁種のような気がするのですが、どうでしょう。







ガガンボもたくさんいたのですが、オドリバエの検索でくたびれてしまったので、今日はパスです。



廊下にこの小さなハチがいっぱいいました。飛ぶわけでもなし、歩くわけでもなく、じっとしています。



地下駐車場の天井にはチョウも止まっていました。翅の模様からアカタテハのようです。



シャチホコガの仲間は夏に多いのですが、今頃出てくるのはノヒラトビモンシャチホコです。廊下の蛍光灯に止まっていました。



このごろ毎回のように見ているシタコバネナミシャクです。





いつか翅の模様から名前が分かる日がくることを期待して、綺麗に撮れたときのカバナミシャクを載せておきます。





最後に小さなクモです。コカニグモだと思います。

廊下のむし探検 春の女神エゾヨツメほか

廊下のむし探検 第236弾

チョウの世界で春の女神がギフチョウなら、蛾の世界ではエゾヨツメでしょう。そんなエゾヨツメが久々ぶりに姿を表してくれました。






チョウのように翅を閉じた独特の止まり方をします。ヤママユガ科に属する大型蛾です。以前は、春というとこのエゾヨツメ、それに、イボタガやオオシモフリスズメをときどき見かけたのですが、最近はまったくというほど見かけなくなりました。そんな久々のエゾヨツメです。

以前、蛾を始めた頃、エゾヨツメの♀を捕まえてきたことがありました。入れ物に入れておいたら、大量の卵を産んでしまいました。そのまま放おっておいたら、それが次々と孵化して小さな毛虫が入れ物いっぱいになったことがあります。何か餌をやらなくてはと、キャベツやらレタスを入れたのですが、やはりどれも食べず、仕方なく、図鑑で食草を調べ、近くにあるウバメガシ、クリやクヌギの葉などを与えました。そうしたら、最終的には一匹だけ育って、最後は蛹にまでなりました。しかし、乾燥しすぎたのか、翌年羽化はしませんでした。そんな思い出のある蛾です。



蛾が出たついでに他の蛾も出しておきます。クロスジキリガです。今シーズン初めての蛾です。



キリガもまだ少しだけいます。これはシロヘリキリガです。その他、スモモキリガらしいのも見かけました。



キリガではないのですが、同じヤガ科のナカジロアツバは2匹いました。



でも、どちらかと言うと、今の時期、ヤガよりはシャクガの方が多くいます。これはオオトビスジエダシャクでしょうね。



その中でもナミシャクがたくさんいます。これはチャオビコバネナミシャクだと思います。茶色の帯が綺麗に見えます。



先日見た、シタコバネナミシャクもいました。その他、モンキキナミシャク、ギフウスキナミシャク、カバナミシャク類はたくさんいました。



ホシボシトガリバも2匹いました。その他、マユミトガリバも1匹いました。



そして問題のハマキガです。今年はハマキガをできるだけ採集していこうと思っていたので、今回も採集しました。翅にある淡黄色の点と、その近くにある黒い模様、それに翅型などで探してみると、ヘリオビヒメハマキ付近にたどり着きます。「大図鑑」では、近縁種としてハラブトヒメハマキが挙げられ、さらに、文章中にはクロサンカクモンヒメハマキのことが書かれています。新しい「標準図鑑」では、クロサンカクモンヒメハマキも種として取り上げられていました。

それによると、まず、発生時期が異なり、ヘリブトは7-11月、クロサンカクモンは春から初夏、ハラブトは3-10月になっています。また、♂では後翅の付け根の部分が3種で異なるとのことです。早速、手元の標本を調べてみました。十数匹いるうちのほとんどは9-11月に採集したもので、わずかに6月が1匹、4月が1匹混じっていました。♂の翅の基部を調べてみた結果が次の写真です。



ヘリオビの♂は後翅の基部に細長い鱗片がつまった楕円形のくぼみ(楕円形の鱗片でカバーされている)があると書かれていますが、写真の左側の矢印の部分がそれに相当するのでしょう。それに対して、クロサンカクはこの部分に基毛叢を持ち、ハラブトは基毛叢を欠き、基部が黒くなるとあります。おそらく、基毛叢というのは右側の写真の矢印の部分の毛の束を表しているので、左はヘリオビ、右はクロサンカクモンだと思われます。6月以降の♂個体はすべてヘリオビ、4月の♂個体はクロサンカクモンだったので、今頃、出てくるのはクロサンカクモンかもしれません。残念ながら、採集した個体は♀だったのではっきりしたことは分かりませんが、おそらく、クロサンカクモンヒメハマキでしょう。

その他の虫です。



これは図鑑と見比べながら、アトモンサビカミキリかなと思ったのですが、自信はありません。



昨年も見た虫です。昨年はウスチャジョウカイとしたのですが、どうでしょうか。(追記:「原色日本昆虫図鑑IIIを見ると、シコクジョウカイ、ウスチャジョウカイ黒色型、クビアカジョウカイ、ムネアカクロジョウカイあたりは、図鑑の写真を見る限り、ほとんど区別がつきません。説明には、(触角の第3節の長さ/第2節の長さ、前胸背板の幅/長さ)の2つの比が書いてあり、それぞれ、(1.7, <1.0)、(1.4, 1,1)、(1.5, 1.1)、(2.3, <1.0)となっていました。上の写真から実測すると、(1.41-1.46, 1.04)となったので、シコク、ムネアカクロは除外できそうですが、ウスチャとクビアカは区別がつきません。通りすがりさんから、ジョウカイボンは亜種を含め、昨年371種を数え、さらに増えているところなので、交尾器を調べる必要があるかもしれないとのコメントをいただきました



チャイロコガネの仲間の感じですが、似た種が多くて種までは分かりませんでした。どうも甲虫の名前調べは苦手です。



こんな虫もいました。翅の脈がひどくくっきりとしています。胸にV字の皺があり、単眼がないので、ガガンボの仲間です。翅脈を使って検索してみると、ヒメガガンボ科にたどり着きました。でも、よく見ると大変変わった翅脈をしています。A1(A2)脈が奇妙に湾曲しているし、M脈も変わった感じに分岐しています。この特徴からなんとか種まで辿り着かないかなとネットを調べたのですが、残念ながら見つかりませんでした。



ヒゲナガカワトビケラもたくさん出てきていました。



そして、これはおそらくニンギョウトビケラでしょうね。その他にもいろいろな種類のトビケラがいました。



最後に、先日もいたミドリヒメカゲロウです。翅の形も翅脈も止まり方も大変変わっています。ちょっと気になる存在です。

廊下のむし探検 カメムシや甲虫がぞろぞろ

廊下のむし探検 第235弾

4月になって、マンションの廊下に出てくる虫も変化してきた感じがします。蛾は少なくなり、甲虫やカメムシが増えてきました。

昨日は、カメムシがとにかく多い感じがしました。



これはシロヘリカメムシです。マンションではあまり見かけない種です。



昨年は2度ほど見かけました。変わった形をした虫ですが、これもカメムシです。ノコギリヒラタカメムシといいます。



似た種類が多いのですが、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」には検索表も出ていました。それによると、アムールシロヘリナガカメムシでないかと思います。(追記:「日本原色カメムシ図鑑第3巻」によると、シロヘリナガカメムシ類3種の見分け方は、①革質部の先端近くに明瞭な白色紋がなければシロヘリナガカメムシ、②革質部の先端近くに白色紋があり、触角第4節基部近くに白色環状紋があり、爪状部(小盾板の両脇にある狭い部分)の基部に大きい黒色紋があり、小盾板の先端のみ黄白色であればモンシロナガカメムシ、③革質部の先端近くに白色紋があり、触角第4節が一様に黒色、爪状部の基部に大きい黒色紋がなく、小盾板に1対の黄白色短条があればアムールシロヘリナガカメムシとのことです。この写真、よく見ると触角が3節しかないように見えますが・・・



マルカメムシも結構いました。マルカメムシというと茶色のイメージですが、こんな緑色の個体もいるのですね。



この間からいるムラサキナガカメムシです。後ろから撮ると、透明な翅に穴なのか模様なのか2つの黒い点があることが分かります。(追記:ムラサキナガカメムシと同じようなY字型の模様を持っていても、イシハラナガカメムシやヤスマツナガカメムシという似た種がいるので要注意ですね



カスミカメの仲間です。翅の革質部が折れ曲がったところの楔状部が明るい茶色、触角の第2節が長くて黄色、後脚が黒く、前胸背板後縁部が黒いなどの特徴で探したのですが、カメムシ図鑑第2巻に該当するのが見つかりませんでした。もう少し探してみます。(追記:採集してきたので、正面からの写真も載せておきます。体長は4.8mmくらい



甲虫もたくさんいました。





翅の色がだいぶ違いますが、点刻の様子は似ていて、おそらく、ヒメスギカミキリの色違いだと思います。(追記:通りすがりさんから、触角の長い上の写真が♂、短い下の写真が♀と教えていただきました。「原色日本甲虫図鑑IV」の説明をあらためて見てみると、♂は上翅が紺青色、♀では赤褐色と書かれていました





マルガタゴミムシの仲間と思われる個体も廊下のあちこちに見られました。ちょっと前まではまったく見なかったのですが・・・。絵合わせで、昨年はチビマルガタゴミムシかなと思ったのですが、今年はもう少し詳しく調べてみたいと思って、1匹捕まえてきました。(追記:採集してきた個体は体長約8mm。琵琶湖博物館の「里山のゴミムシ」の標本写真と絵合わせで比較して見ると、今年は、マルガタゴミムシ亜科マルガタゴミムシにたどり着きました



昨年もそうでしたが、コメツキはどうも名前を調べる気にはなれません。(追記:通りすがりさんから、アカハラクロコメツキっぽいとのコメントを頂きました。「原色日本甲虫図鑑III」を見ると、確かによく似ている感じです。実際、図鑑の説明通り、体は黒色の毛で覆われていて、腹部は通常赤褐色、上翅条溝は深く明瞭でした。前胸背板がオパール光沢とも書かれているのですが、これははどういう感じなのでしょう



こんな虫もいました。おそらくハネカクシの仲間でしょうね。



これは翅脈からタマバチの仲間かなと思います。タマバチは虫こぶを作る虫として知られています。



変わった翅脈をしています。いろいろと調べてみると、ハバチの仲間でフタホシハバチか、それに近い種のようです。以前、西日本ハチ研究会の「大阪府のハバチ・キバチ類」という本を購入していたのですが、見てみるとフタホシハバチには近似種がいるようです。本を買った時はこんな本が役に立つのかなと思っていたのですが、やはり買っておくべきものですね。初めてじっくり読んでみました。



ハエはまだ修行中でよく分かりません。(追記2018/02/14:このハエはヤチバエ科ヤドリヤチバエ亜科ではないかと思われます。詳しくはこちらを見てください





マダラガガンボの♂がいました。以前紹介した鳥居氏の講演要旨をみると、交尾器の形状がマダラガガンボの近縁種に近いような感じですが、断定はできませんでした。



アメンボがまたいました。今回もコセアカアメンボのようです。



変わった形の虫ですが、「学研生物図鑑昆虫III」に載っているミドリヒメカゲロウとそっくりです。初めて見ました。



蛾ではユミモンシャシホコがいました。



これはトビモンアツバです。蛾も今までのフユシャク、キリガが少なくなり、様変わりしてきた感じです。

廊下のむし探検 カメムシ、甲虫、蛾など

廊下のむし探検 第234弾

昨日は良い天気だったので、散歩に行くついでに「廊下のむし探検」もしてみました。いろいろな種類のカメムシが見られました。もちろん、蛾も多かったのですが・・・。



最初はこのカメムシ。名前調べに意外に苦労しました。図鑑とはだいぶ感じが違うのですが、模様は一致するので、ナカボシカメムシではないかと思います。日本原色カメムシ図鑑第1巻によれば、山地のコナラ、クヌギ、ミズナラなどで生活するが、個体数は少ないとのことです。(追記:通りすがりさんから、カメムシは越冬の前後で色合いが変化するものもあるので、ナカボシカメムシで合っていると思いますとのコメントをいただきました



次はこのカメムシです。これも名前調べに時間がかかりました。おそらく、キンカメムシ科のチャイロカメムシではないかと思います。えっ、これがキンカメムシ?と思ったのですが、カメムシ図鑑第3巻にも、「キンカメムシと呼ぶにはいささか物足りない」と書かれていました。イネ科植物に寄生するそうです。



そして、お馴染みのナガメです。いつ見ても綺麗です。この日は変わったカメムシを見ることができました。上2つは初めて見ました。



小型のカミキリかなと思ったのですが、壁に止まっている場所が悪くてうまく写せません。いつものチャック付きポリ袋に入れて持って帰りました。



袋のまま撮影して、後からAuto Color Adjustで色を再現させたものです。ほぼ実物の色が出ています。独特の形から、カミキリではなくて、カミキリモドキかなと思って図鑑を見てみました。昨年も見たアオグロカミキリモドキかなと思うのですが、口の周りの鬚がちょっと違うような気がして、自信はありません。



体長は5mmほどの小さなオナシカワゲラの仲間です。オナシカワゲラ科は少し採集をして、種の同定を試みようと思っているので、採集してきました。



同じくチャック付きポリ袋に入れて、裏から撮影したものです。あちこちに黄色い部分がある変わった色のカワゲラでした。鰓の後が見られないことから、おそらくオナシカワゲラ属だと思います。また、尾の先の形から♀であることも分かります。



もう一種、やや大型のカワゲラもいました。昨年は今頃見るカワゲラをヤマトヒメカワゲラとしていました。以前、採集した個体があるので、もう一度調べてみないといけませんね。(追記2018/02/26:カワゲラは検索がうまくいかず、まだ科の同定もできません。とりあえずカワゲラ目の一種ぐらいにしておきます



体長わずか3.5mmの小さなトビケラです。翅にまだら模様があって、綺麗な感じなのですが、おそらく名前までは分からないだろうなと思って諦め気味です。(追記2018/02/02:これはハルノチビミノガあたりのミノガ科の蛾だと思われます

後は蛾です。



ナミシャクは清楚な感じがして好きな方なのですが、意外に名前調べに手こずることが多いです。これは茶色の紋が見えているので、シタコバネナミシャクではないかと思います。



これもナミシャクです。全体に緑がかっていますが、白い2本の帯の曲がり具合から、クロシタコバネナミシャクではないかと思います。





そして、カバナミシャクの仲間です。この日もたくさんいました。名前調べはちょっと保留にして、綺麗に撮れたものだけを載せておきます。(追記:通りがかりさんから、2枚目はマエナミカバナミシャクか、そのそっくりさんではというコメントをいただきました。カバナミシャクはしばらく保留と思った瞬間、違いがまったく分からなくなってきました



ギフウスキナミシャクも2匹いました。



モンキキナミシャクは相変わらずたくさんいます。こうしてみるとナミシャクの仲間は多いですね。



全体にキリガは下火の感じです。蛍光灯の影にアカバキリガがいました。



そして、越冬組のカシワキボシキリガです。



そして、最後は模様が複雑な蛾で、マユミトガリバだと思います。

ルーペはなぜ目に近づけて見るのか?

ルーペは目に近づけて見なさいと、中学校の教科書にも書かれています。でも、ルーペを渡されて、目に近づけて見る人はたいていは慣れた方で、ほとんどの人は虫眼鏡のように目から離して見てしまいます。目に近づけてみるとどんないいことがあるのでしょう。こんな疑問が突然湧いてきて、ちょっと考えてみました。



ルーペを使って物体を見たときの光学系の図です。この図で、L1 はルーペ、L2 は目の水晶体を表しています。S は網膜です。物体 U を置くと、ルーペ L1 でこの虚像を V の位置に作り、それを仮想的な物体としてレンズ L2 で網膜上に実像を作り、目で見えるという仕組みになっています。

これは以前書いた、カメラのクローズアップレンズの仕組みと基本的に全く同じです。一つだけ違う点は、人が近くのものを見る時、よく見える距離が決まっているという点です。これを明視距離といいます。本を読むときでも、知らず知らずにこの明視距離に本を置いて見てしまうのです。上の光学系の図では、Lと書いた長さがその明視距離に相当します。ルーペでものを見るときには、この明視距離は一定にしたまま、ルーペ L1 と物体 U の両方を動かして、よく見える位置を探すことになるのです。

言い換えれば、ルーペで見るときは、目からの距離が L にある V の位置に常に虚像ができるように動かさなければならないのです。その場合はどんな風に作図をすればよいのでしょう。



この図はルーペを近づけたときの作図の例です。V も L2 も S も以前と同じ位置にあります。ルーペを動かすと、物体 U の位置も変わってしまうので、今までのような作図はできません。そこで、U を動かしてもその高さは一定なことを用いて、U の先端を通って光軸に平行に A という線を引きます。この線とレンズ L1 の中心線が交わる点を P とします。P とレンズ L1 の焦点位置 F1 を通る線 B を書き、その延長線が V と交わる点を R とします。これで虚像の高さが分かりました。

次に R を通ってレンズ L1 の中心 O を通る線 E を引き、これと A と交わる点を W とします。これで、物体の位置が分かります。最終的に網膜にできる実像の大きさは、R から光軸に平行に線 C を引き、レンズ L2 と交わる点を Q とします。さらに、Q を通ってレンズ L2 の焦点位置 F2 を通る線 D を引いて、網膜面 S と交わる点を T とすると実像の高さが分かります。ちょっと面倒臭いですが、こんな作図をすると、虚像の位置が決まっている場合の作図ができます。

次に、ルーペでできる虚像は物体の何倍の大きさになるのか、倍率を計算してみました。計算方法は次の図にまとめています。



a、b、l、f1、f2、L などは最初の図に説明を入れています。倍率は M で表しています。下から2番めの式(4)で、ルーペを使った時に、物体が何倍に見えるかという倍率が求まります。倍率は目からルーペまでの距離 l によって変化します。l の前の符号がマイナスなので、目から離れるほど倍率が低下します。従って、最大倍率はルーペを目にくっつけた時に得られ、それが一番下の式(5)で書かれています。ルーペの倍率はたいていこの値で表されています。

目とルーペとの距離を変えたときの倍率の変化をグラフに表すと次のようになります。



これは明視距離を250mm、ルーペの焦点距離を25mmとしたときの例ですが、目から離れるに従って、急激に倍率は低下し、明視距離まで離すと倍率は1になり、拡大しないことになります。だから、ルーペは目に近づけないと意味がなかったのです。この他にも、ルーペは焦点距離が短いので、口径が小さくなるため、目から離すとルーペを見込む視角が小さくなり、全視野の中で見える部分が狭くなっていくことも見えにくくなる要因の一つです。

ルーペの仕組みや倍率の式についてはどこにでも書いてありますが、記憶のためにちょっとまとめてみました。(追記:実際に試してみると、明視距離250mm以上にルーペを離しても大きく見えます。ルーペを目から離した場合には、明視距離でしか見えないと仮定したところに、若干問題がありそうです

(付録

目が焦点の合う位置は、最短で明視距離近傍になり、それ以上の距離では自由に合うものとします。この場合、目は焦点の合う位置を遠方にずらしていくことで、ルーペで見える像の大きさも変化していくはずです。その効果を見積もってみました。

物体の大きさを h としますと、虚像の大きさは倍率を M とすることで、Mh となります。しかし、この場合は虚像の大きさだけで評価することはできません。なぜなら、同じ大きさの物体でも遠くのものは小さく見えるからです。そこで、虚像の大きさを距離で割った量で評価することにします。視角をtan(正接)で表したと考えればとよいと思います。



このグラフは物体の大きさを単位長さとし、縦軸には虚像の大きさを目から虚像までの距離で割った値を取っています。横軸には目の焦点が合う位置を目からの距離で表しています。実際には上の式(4)を L で割った値を縦軸に用い、L を変数として横軸にしています。グラフが4本あるのは、目から測ったルーペまでの距離を変えた結果を示しています。

グラフは上の方に線があるほど大きく見えることを意味しています。ルーペを目につけた場合(l =0)は、目の焦点の合う位置が変化しても、見える像の大きさはほとんど変わりません。しかし、ルーペを目から離すと、焦点の合う位置が遠くなるにつれ、像も大きく見えていることが分かります。ここで、目の焦点の合う位置を遠くにするということは、ルーペの位置を固定して、物体の位置を少しずつ遠ざけながら、拡大されていく像をルーペで見ることに対応しています。一番下のグラフは明視距離より遠くにルーペをおいた場合ですが、やはり同じように遠くを見るようにすれば像が大きくなることが分かります。しかし、いずれの場合も、ルーペを目につけた場合に勝てないことは明らかです。

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