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廊下のむし探検 チャエダシャクほか

廊下のむし探検 第180弾

11月も最後の週ともなると、マンションの廊下のむし探検はだいぶ寂しくなりそうですが、最近は意外に賑やかな感じです。





チャエダシャクの登場です。昨年は11月29日だったので、今年は3日ほど早い出現です。昨年のブログにも書きましたが、お茶の害虫です。また、♂はそのふさふさした触角が特徴です。大図鑑には、♀はほとんど灯火にやってこないと書いてありました。実際、私のマンションでも見るのもほとんど♂ばかりです。上の方の写真の個体は触角が見えていないので、ひょっとしたら♀の方かもしれません。



ちょっと見ると何の写真だか分からないような感じですが、翅を畳んで斜めにして、尻尾を上げて止まっています。ヤガ科のフサヤガです。変わった止まり方の代表格です。成虫のまま越冬します。



この蛾も何が何だか分からないような感じですが、チョウのように翅を閉じて止まります。ただ、ピッタリと閉じるのではなくて、少し隙間を開けています。翅の表模様は分からないのですが、止まり方から、おそらく、ヤガ科のルリモンクチバだと思います。標準図鑑によると、6-8月と10-11月の年2化だそうです。



これはミツモンキンウワバだと思います。



この蛾はそのシンメトリーの美しさに見とれてしまいます。シャクガ科のウスミドリナミシャクです。

次は蛾以外の虫です。



これはブチヒメヘリカメムシかなと思います。原色日本カメムシ図鑑第1巻では「ブチヒゲ」となっていたのですが、第3巻では「ブチヒメ」に訂正されていました。



フタモンホシカメムシとクロホシカメムシという似た種類があります。両者の違いは脚の付け根の部分の色だというので、ひっくり返さないと分からないのですが、何となくフタモンホシカメムシの方かなと思います。翅が少し短いのですが、図鑑によると長翅型と短翅型があると書かれていました。



脚が赤くて大変綺麗な種です。似た種があるのですが、おそらく、ヘラクヌギカメムシではないかと思います。



小さな甲虫です。今時分、マンションの外壁にはこういう小さな虫が結構止まっています。名前ははっきりとはしませんが、アカハバビロオオキノコというオオキノコムシ科の甲虫ではないかと思います。





これらも外壁に止まっていました。アルファルファタコゾウムシだと思います。Wikipediaには、ヨーロッパ原産の外来種で、マメ科牧草の害虫だと書いてありました。日本の侵略的外来種ワースト100に入っているようです。



それに、いつものホシクロトガリヒメバチです。この頃、毎日のように見かけます。



最後は、名前の分からないハチです。こういう虫の名前がさっと分かるといいなと思っています。
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廊下のむし探検 ヒメツチハンミョウ、その後

廊下のむし探検 第179弾

今回はヒメツチハンミョウのその後です。



いつものように廊下を歩いていると、マンションの西の外れにある階段の途中で、黒い虫がひっくり返っていました。近づいてみると、ヒメツチハンミョウの♀です。3日ぶりの再会です。どうやら階段を登っていき、ひっくり返ってしまったようです。ちょっと可愛そうなので、草に捕まらせて起こしてやりました。でも、階段の端まで来るとまたすぐにひっくり返ってしまいました。凸凹があるとうまくバランスがとれないようです。



仕方なく、下の廊下のところまで戻してやりました。そうしたら、一目散でマンションの隣にある林に向かって歩き出しました。見ていると結構速く歩きます。以前、廊下の壁を登るスピードを測ったことがあって、20cm/分くらいだと書きましたが、床だともうちょっと速い感じです。







他にもいないかなと思って、廊下とマンションの横の草むらを探してみました。今度はマンションの東の外れに♂がいました。こちらは草むらの中にあるコンクリートの溝をゆっくりと歩いています。マンションから帰っていく途中のようです。草の生えているところを歩かず、歩きやすいコンクリートの上を歩いているので、ちょっと面白いなと思いました。

いったいなぜマンションにやってくるのでしょう。これは仮説なのですが、きっと♂と♀の出会いを求めてではないかと思います。地面を歩くツチハンミョウにとって、草の茂ったところではなかなか相手を見つけられません。おそらく、フェロモンも相当近くまで来ないと効かないと思うので、こういう草の生えていない目立つ場所に行って、互いを探し合うのではないかと思います。

ツチハンミョウを調べておられるS先生によると、もうお腹の大きくなった♀が別の場所では見つかっているとのことです。私のマンションで見る♀はいずれもお腹が小さいので、変だなと思っていたのですが、結構、離れた場所から、マンションというお見合い会場にほぼ毎日のように通っているのかもしれません。無事に相手が見つかり、お腹が大きくなってきた♀は、もうマンションにはやってこなくなるのでしょう。今頃までやってきているのは、なかなか相手が見つからないカップルなのかもしれません。

廊下のむし探検 カメムシや蛾など

廊下のむし探検 第178弾

昨日は暖かく、朝から虫達もマンションの廊下に出てきていました。最近では地下駐車場より、廊下の方に虫がたくさんいます。






まず、クヌギカメムシの仲間です。昨年も11/23に登場しました。今年は11/24だったので、ほんの1日違いです。クヌギカメムシにはヘラクヌギカメムシとサジクヌギカメムシ、それに、クヌギカメムシという似た種類があります。この3種は気門の色や♂の生殖節の先端の形で見分けられます。昨年、生殖節の先端を拡大して調べてみて(ブログ参照)、ヘラクヌギカメムシだという結論になりました。今年は調べていないのですが、おそらく同じ種類でしょう。





今まで、こんなカメムシがいると、アオモンツノカメムシだと書いていたのですが、あらためて「原色日本カメムシ図鑑第1巻」の解説を読むと、「本種に似た別種が本州に分布する」と書かれていました。それで、「第3巻」を見てみました。ヒメアオモンツノカメムシという種がいるそうです。さらに、似た種のベニモンツオカメムシとその仲間がたくさんいて写真では見分けが付きません。今度、採集してきて調べてみます。ということで一時保留です。





キバラヘリカメムシです。この間から何度も出てきているのですが、綺麗なのでつい写真を撮ってしまいます。



カスミカメムシの仲間だということはすぐに分かるのですが、図鑑を見てもどうもピッタリとくる種がありません。ネットで探してみたり、色々と調べてみた結果、図鑑とは色合いがだいぶ違うのですが、ミイロカスミカメではないかという結論になりました。もしそうなら、昨年も11/18に見ていました。

次は蛾の仲間です。



これはナカオビアキナミシャクです。名前に「秋」が入っていて、枯葉色なので、何となく秋を連想させます。昨年は12/7に登場しましたが、標本箱を見ると11/23-26にかけて採集していました。やはり今頃発生するのですね。この蛾を見ると、そろそろフユシャクの季節だなと思ってしまいます。



これはニッコウナミシャクといいます。全国的に分布していますが、私のマンションでは数少ない蛾です。これまで11月中旬に1頭採集しているだけです。



ヤガ科のアカエグリバです。成虫越冬をするので、いつも今頃になるとマンションではよく見かける蛾ですが、今年は夏にも見ました。図鑑の説明によると、年2-3化で、通年成虫が見られるようです。この蛾もまるで枯れ葉のような模様をしています。



最後に、この間、ホシクロトガリヒメバチとしたハチです。触角の中程や後脚の先端近くなどに白い模様があります。

この日は残念ながらヒメツチハンミョウは見られませんでした。もう2日間、見ていないことになります。

廊下のむし探検 マツヘリカメムシ、ミバエなど

廊下のむし探検 第177弾

虫の数が減ってきたので、3日前と昨日の2日分の「廊下のむし探検」をまとめて報告します。



10月25日付けのブログで、関西では初めてではないかと思われる北米原産のマツヘリカメムシを報告しました。この日(11/23)、再び、このマツヘリカメムシがマンションの廊下にいるのを見つけました。私の住んでいるあたりではもうかなり分布しているのかもしれません。2008年3月に東京都小金井市で発見されてから、わずか5年で関西にまで広がったということでしょう。松の害虫なので、また、心配の種が増えてしまいました。



カメムシが出たついでに、もう一種、ミナミトゲヘリカメムシです。このカメムシも名前の通り南方系で、日本原色カメムシ図鑑第1巻が出された1993年には、本州、四国南岸の6県が分布として挙げられていましたが、第3巻が出た2012年には関東まで分布が広がっていると書かれていました。



翅に変わった模様があるハエです。図鑑を見ると、ミバエやシマバエの仲間には、翅に模様があるので、そのあたりを中心に探してみると、学研生物図鑑昆虫IIIにあるミバエ科のチャイロハススジハマダラミバエに模様が似ていることが分かりました。そこで、ハエ目についての詳しい掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂・改」で、「ハマダラミバエ」や「ハススジハマダラミバエ」などを検索語として探してみました。すると、詳しい説明が出てきました。そこに登場してきたMontiludia fucosa、クロハスジハマダラミバエ、クチジロハススジハマダラミバエなどについて更に調べてみると、これらは翅の模様である程度見分けられるようです。この3種の中では、クロハスジハマダラミバエが一番近いように思いました。(追記2018/02/09:「日本昆虫目録第8巻」によると、クロハスジハマダラミバエ Anomoia purmunda purmundaとなっているので和名を訂正しておきました



先日出てきたホシクロトガリヒメバチにスタイルがよく似ていますが、脚に白い模様があること、触角や腹の先端に白い模様がないことなどが違います。その辺を手がかりに探してみると、ヒメバチ科のシロモンヒラタヒメバチ♀ではないかと思います。



ヒメツチハンミョウは3日前に久しぶりに♂の姿が見られました。昨日もう一度、一階の廊下を探してみたのですが、その時は♂も♀も見つかりませんでした。ゆっくりと動く割には本当に神出鬼没です。



クサカゲロウがあちこちに止まっているので、そのうち一匹を調べてみたのですが、やはりスズキクサカゲロウのようでした。



普段からよく見ているので、あまり注目していなかったのですが、こんなに寒くなってからでもまだいました。ヒゲナガカワトビケラです。



このトビケラは、前胸が橙で、脚が黒いので、ホタルトビケラではないかと思います。幼虫時代を水中で過ごす水生昆虫なのですが、夏の間は陸地で夏眠をするという面白い習性を持っています。



今年はニトベエダシャクをたくさん見ます。昨日もマンション全体で5-6匹いました。



これはオオトビモンシャチホコです。秋に発生して卵で越冬します。



最後はウスキツバメエダシャクです。一階の外の草むらの中にいました。白いのでよく目立ちます。近づいてみると翅がかなり傷んでいました。

廊下のむし探検 蛾が少しだけ

廊下のむし探検 第176弾

一昨日に引き続いて、昨日も廊下を歩いてみました。しかし、この日は蛾が少しいただけでした。



これはニッコウトガリバです。この日は廊下の壁に止まっていたので、近づいて撮影することができました。右中程に尖ったものが見えていますが、これは腹の部分に生えている鱗粉塊です。これがあるとニッコウトガリバ、なければムラサキトガリバということになります。



この間から出てきているナカジロトガリバです。同じトガリバガの仲間でも少し華奢な感じがします。



これはヤガ科のアオバハガタヨトウという蛾です。緑の模様の蛾はそれほど多くないので、その意味では目立ちます。これまで10月から12月にかけて何頭か採集しています。



そして、いつものオオトビモンアツバです。翅の先端部分に黒い切り込みのある模様が特徴です。



キバラヘリカメムシがまたいました。今年はやけにたくさん見ます。この日の個体は前胸の先が尖っていて、腹が黄色い典型的な個体です。



ヒメツチハンミョウはこの日♀が2匹いました。1匹はじっとしていましたが、もう1匹は活発に動いていました。近くの草むらを探してみてもちっとも見つからないのですが、なぜかマンションの廊下にはコンスタントにやってきます。



退化した翅の跡が見えているので、これは間違いなくハエ目でしょうね。さて、名前をどう調べてよいのやら皆目見当がつきません。(キノコバエ科のシワバネキノコバエではないかというコメントをいただきました)(追記2017/11/27:シワバネキノコバエというのはジャワ産の種について与えられた名前なので、ここではAllactoneura sp.としておくのがよさそうです。詳細はこちらを見てください

ハエとハチの同定をもう少し進めてみようと思って、文献をいろいろとコピーしました。

田中和夫、「屋内害虫の同定法(2)双翅目の科の検索表」、屋内害虫 22, 95 (2000).
大石久志、「ルーペで調べる身近な縞模様のハナアブの見分け方(1)~(7)」、昆虫と自然 (1996~2000).

また、北隆館の新訂原色昆虫大図鑑第III巻も注文してみようと思っています。この図鑑、あまり評判がよくないのでこれまで買わなかったのですが、解説が原記載を基にしているというので、とりあえず買ってみようと思うようになりました。

廊下のむし探検 チャタテムシほか

廊下のむし探検 第175弾

11月にしては寒い日が続いていますが,マンションの廊下には相変わらず虫がいっぱいいます.

今日の最初はこの変わった虫です.







大変長い触角をしています.本体は一見,セミのような感じです.そこで,ウンカの仲間かなと思って図鑑を見てみたのですが,こんなに長い触角を持ったものは載っていません.「触角の長い セミ」とか,「触角の長い ウンカ」のような検索語で画像検索をしていると,チャタテムシの仲間であることが分かりました.

広辞苑によれば,チャタテムシは茶立虫と書き,「大顎で紙を掻くことがあり,その微音が茶を立てる音に似ているので名付けられた」とありました.この文でも分かりますが,セミやウンカの仲間のようにストローのような口を持っているのではなく,大顎を持った咀嚼口をもち,地衣類,菌類を食べるそうです.家の中では本を綴じている糊や穀物,紙類などのでんぷん質を食べるので,害虫になっています.

Wikipediaによれば,分類的には咀顎目(そがくもく)に入れられ,シラミやハジラミ以外の微小昆虫の総称とされていて,亜目などの分類はされていないそうです.九大の目録では,チャタテと名のつく虫は83種が登録されいました.この写真の虫は特徴から,チャタテ科に属する虫かなと思うのですが,名前までは分かりませんでした.写真のピントが甘かったので,夕方もう一度撮影に行ったら,もういませんでした.(追記:クロミャクチャタテかなと思います。)



この間から出てきているハチですが,ネットで調べていて,ようやく名前がわかりました.ヒメバチ科トガリヒメバチ亜科のホシクロトガリヒメバチだと思います.九大の目録でトガリヒメバチ亜科を探すと213種も登録されていたのですが,同じ属ではこれ1種だったので,たぶんそれで良いのではないかと思います.



同じハチの仲間ですが,これは名前が分かりませんでした.ハチやハエの名前を調べようと思うと,やはり標本を作らないといけないかもしれませんね.







ハエの仲間はいろいろといるにはいるのですが,あまり写真を撮りたくなくて,撮ったのはこの3種でした.真ん中の写真はよく見る種で,よく似た種をBibio omaniとしているサイトがありました.Bibioはケバエ属で,九大の目録では22種が登録されているので,もう少し調べてみる必要があるようです.一番下の写真は,小さなハエですが,2,3cmずつピョンピョンと飛び回っていて,動作が面白いので撮りました.名前までは分かりません.(追記2018/02/21:一番上はヒゲナガケバエ科のクロヒゲナガケバエのようです。二番目の写真は似た種を検索表で調べてみると、♀ではBibio omaniとB. simulansの区別がつきません。そのどちらかというところです

後はお馴染みの虫達です.







今頃になるとテントウムシの姿をよく見かけます.一番上はキイロテントウなのかなと思ったのですが,頭の部分の黒点模様が違っていました.この3匹,斑紋は全く違いますが,いずれもナミテントウのようです.



冬場,野菜を食い荒らす帰化昆虫,ヤサイゾウムシがまたいました.



ヒメツチハンミョウの♀は,この日はマンション1階の西側の廊下にいました.本当に神出鬼没です.





クロホシカメムシと,この間やっと名前が分かった,その幼虫です.



キバラヘリカメムシもいました.この日の個体は,前胸の刺は尖っていて,腹は黄色いようです.



マンションの外の草むらでツチハンミョウを探している時に見つけました.ヤマトシジミですが,本当に寒そうです.



ニトベエダシャクも相変わらずいました.



最後は,変わった止まり方をするツマジロエダシャクです.この蛾は,秋が深まったころでもよく見ます.

廊下のむし探検 ハートマークのカメムシほか

廊下のむし探検 第174弾

11月も半ばになってしまいました.もう,外を歩いていても,虫に出会う機会が少なくなってきましたが,マンションの廊下には暖を求めてなのか,結構,いろいろな虫がやってきています.

この日最初に出会った虫はハートマークのカメムシでした.



ツノカメムシ科のエサキモンキツノカメムシです.ハートマークの可愛いカメムシです.普段はめったに見ないカメムシなのですが,今頃になるとときどき見ます.昨年も10月16日に1匹だけ見ました.

ハチやハエの仲間はいるにはいるのですが,どれも名前が分かりません.











上から3つはみな触角の途中が白くて,長い産卵管をもっているので,同じ仲間なのでしょうか.オナガバチの仲間に似ているような気がするのですが,よく分かりません.上から4つ目の写真はハエ目かなと思ったのですが,触角が太くて長いので,やはりハチの仲間でしょうか.最後のハエは分かりやすいかなと思って,図鑑やネットで探したのですが,残念ながら見つかりませんでした.こんなハチやハエの名前がさっと分かるとさぞかし嬉しいでしょうね.

(追記:5番目のハエはヤドリバエ科のシロオビハリバエの1種かもしれません.H.-W, Byun and H.-Y. Han, Kor. J. Syst. Zool. 26, 243 (2010)によると,日本に生息するTrigonospila ludioとT. transvittataとの外見上の違いは,前者は,1)黄色みを帯び,2)胸の黒い帯が翅にまで届かない,3)顔の前面の剛毛が前向きにつく,4)脛節の剛毛が2-3本後ろを向いているなどが書かれていました.九大の目録ではTrigonospila属には,T. ludio, T. transvittata(シロオビハリバエ), T. vittigeraの3種が載っていますが,前二者を比較すると,この写真の個体では胸の黒い帯が翅に届いていないので,T. ludioに近いのかもしれません.T. vittigeraについては今のところ特徴が分かりません.)

追記:上から3番目の写真は、ヒメバチ科トガリヒメバチ亜科のホシクロトガリヒメバチかその仲間ではないかと思います(参照11/20のブログ)。上から4番目の写真は、11/21のブログの写真とほぼ同じなので、同じ種類と思われます。11/21のブログではキノコバエ科のシワバネキノコバエではないかというコメントをいただきました。)(追記2017/11/27:シワバネキノコバエというのはジャワ産の種について与えられた名前なので、ここではAllactoneura sp.としておくのがよさそうです。詳細はこちらを見てください





今頃になるとテントウムシの姿も目立つようになります.上は斑紋が四角で,原色日本甲虫図鑑のクリサキテントウの斑紋と似ているのですが,解説を見ると,ナミテントウと成虫では区別がつかないと書かれているので,やはりナミテントウでしょうね.下は,ナナホシテントウです.



ヒメツチハンミョウの♀が,この日は廊下の天井を這っていました.動きは鈍い感じなのですが,それでも神出鬼没で,いろいろなところに登場します.



カネタタキです.触角は折れ,後肢も尾肢もなくなって惨憺たる有り様です.





晩秋を代表する蛾,ニトベエダシャクが登場しました.昨年は11月24日と30日に見ているので,今年は少し早めでしょうか.名前の「ニトベ」の由来については,昨年のブログに書いてあります.この蛾を見ると,秋も深まったなぁとしみじみと感じます.



これも秋を代表する蛾で,ヤガ科のケンモンミドリキリガです.



シャチホコガ科のオオトビモンシャチホコも秋に出てきます.



ヤガ科のオオトビモンアツバです.夏から秋にかけて見ますが,特に秋によく見かけます.



ヤガ科のモクメクチバです.



最後もヤガ科のカブラヤガです.

この日見た虫は,たくさんいるクサギカメムシとマルカメムシ,それに,ハエの仲間を除いてこれで全部でした.

フラッシュによる影をなくす

壁に止まっている虫を撮影すると、脚の影が出てしまい、どれが脚なのか影なのか分からず、困ってしまいます。これまで、ティッシュペーパーなどをフラッシュの前に置いて影を防いでいたのですが、この間、知合いの先生から「影とり」という道具があることを教えてもらって早速購入してみました。今回はその試し撮りと、ついでに、影のできる条件なども調べてみました。



写真はケンコーのストロボディフューザー「影とり」SDF-26というものです。amazonで2000円弱で売っていました。下の写真のようにカメラのレンズにはめ込んで使います。また、使わない時は上の右写真のように折りたたむことができるので、ポケットなどに突っ込んでおけてちょっと便利です。



これでどのくらい影が取れるのか、この間から出ているヒメツチハンミョウで試してみました。



左側は普通に内蔵フラッシュで撮影したもの、右は「影とり」を使ったものです。影がほとんど見えなくなりました。TTL測光を用いていますが、若干暗くなるので、EV+1くらいの露出補正をするとちょうどよい感じです。

影ができる仕組みは次のように説明できます。



上の図で、光源が大きさを持っているとき、背景となる壁が近いと皆既日食に当たる本影と部分日食に当たる半影ができます。壁が遠くになると、影の大きさは大きくなり、中心に金環食にあたる対影ができ、その両側に半影ができます。このように影が大きくなると、影は広がっていき、その分薄くなるので目立たなくなります。つまり、影を広げるようにすればよいのです。



そのためには、二つの方法をとることができます。一つは光源の大きさを大きくすること、もう一つは光源を被写体に近づけることです。いずれの方法も影を大きくすることができるので、影を薄くすることができます。「影とり」はこの両方を同時に行う方法だということができます。



こんな実験をしてみました。被写体は待ち針の頭です。これを後ろに置いたスクリーンを壁にして影を作ります。



写真で写すとこんな感じになります。球の部分の影は縦に細長い感じになっています。これはフラッシュの形が横長になっているからです。これを調べるため、「影とり」をレンズにはめた状態で、鏡を写してみたのが次の写真です。



鏡が汚れていてちょっと汚くなりましたが、L=15mmのときの写真を見ると、横長であることが分かります。つまり、横向きには光源の大きさは大きいので、中心の黒い部分は一見狭くなりますが、裾は逆に広がっています。

ついでに、内蔵フラッシュと「影とり」との距離Lを変えて撮影すると、距離が大きくなるにつれ、光の当たる部分がだんだん大きくなっていくことが分かります。「影とり」に当たった光は拡散光としてさらに広がるので、待ち針にとってはこれが新たな光源になります。つまり、内蔵フラッシュと「影とり」との距離を大きくすることにより、光源の大きさを大きくし、さらに、被写体との距離を縮めることができるのです。内蔵フラッシュとの距離を90mmにするとほぼ「影とり」全面に光が当たっているので、このときが最大の光源の大きさということになります。

そこで、「影とり」の位置を少しずつ変えて、本当に影が薄くなっていくかどうかを調べてみました。



「影とり」を内蔵フラッシュの近くに置いても、影とりの効果はほとんどありませんが、距離を離すほど影はうすくなり、70mm以上離すとほとんど目立たなくなって、十分な影とり効果を発揮しました。

これまで、ティッシュペーパーを適当に置いて撮影していたので、影が薄くなったり濃くなったりまちまちでした。影を目立たなくするには、「影とり」でなくても、ティッシュペーパーでもトレーシングペーパーなどでもよいのですが、それを置く位置が重要だったということがあらためて分かりました。

廊下のむし探検 ヒメツチハンミョウ、プライヤオビキリガなど

廊下のむし探検 第173弾

昼間でも気温が10度をきる寒さです。あれほどたくさんいた廊下の虫もほとんど見かけなくなりました。そんな中で、ヒメツチハンミョウだけは一階の廊下の壁にちゃんといました。



この日いたのはヒメツチハンミョウの♀の方でした。壁に止まってじっとしています。付近に♂がいないかと探してみたのですが、外壁にも、周辺の草むらにもいませんでした。こんな日、♂はいったいどこに潜んでいるのでしょう。大阪市立自然史博物館友の会発行のNature Studyという会誌最新号の表紙写真に、宝塚市で撮影されたヒメツチハンミョウが載っていました。落ち葉を背景に黒い艶のあるヒメツチハンミョウが綺麗に写されています。廊下のヒメツチハンミョウはいつもこんな白っぽい壁が背景です。



それにいつものウリハムシです。



ツトガなのですが、何だろうと思ってちょっと苦戦しました。写す角度がいけなかったので、翅が斜めに見えしまっています。白い帯が強く、その上側は黒く縁取られています。いろいろと迷った挙句、いつものナガハマツトガかなと思うようになりましたが、自信はありません。



これはヤガ科のマメチャイロキヨトウです。



最後はこの間も登場したプライヤオビキリガです。「大図鑑」には、「現時点では日本特産種」と書いてありましたが、「標準図鑑」によるとロシア、中国、朝鮮半島でも見られるようです。

プライヤという名のつく蛾は「大図鑑」には8種類載っています。プライヤキリバやプライヤエグリシャチホコのように翅の端がえぐれた蛾に付いているので、てっきりプライヤという工具を指すのかと思っていました。調べてみると、学名にpryeriという名前がついているものを日本語読みにしているようです。因みに、工具のプライヤはplierとつづりが違います。pryeriという名の付けられた動物はかなりいて、例えば、オオセッカ、サラサヤンマ、ホシミスジ、ムカシヤンマなどなど。そのほか、pryeraniaとかpryeranaという名前もありました。いずれにしても、ラテン語なので良く分からないのですが、ひょっとすると人名なのかもしれません。もう少し調べてみます(追記:Henry James Stovin Pryer (1850-1888)という日本に在住した英国の動物学者に因んだ名前のようです)

廊下のむし探検 常連さんばかり

廊下のむし探検 第172弾

昨日は朝から、強い雨が降ったり、突然に晴れたりと、ともかく変な天気の日でした。それでも、ツチハンミョウが気になって、ちょっと様子を見に行ってみました。外に出るとブルっとする冷え込みです。いかにも「むし」が少なそうですが、それでも常連さんが少しいました。





まず初めにヒメツチハンミョウです。この日はオス2匹を見つけました。そのうち、1匹はマンションの西側です。これまで東側ばかりで見ていたので、少し驚きです。もう1匹は東側の外側の壁の溝に隠れるように入っていました。こんな溝が好きなようです。マンションの1階廊下の向かい側は全面、草地の斜面になっています。ここは植木屋さんが年何回か手入れをしているので、高い草は生えていません。こんな斜面全体にツチハンミョウがここかしこにいるのでしょうか。普段は立入禁止なのですが、一度許可をもらって調査してみたいと思います。



これはヤガ科のギンモンシロウワバです。「このブログでは初めてです」と書こうと思って索引を見たら、4月26日のブログに載っています。あれっと思って以前のブログを見直したら、4月に見た蛾はギンスジキンウワバの誤同定でした。ちょっと恥ずかしい感じです。ギンモンシロウワバはこれまで6月から10月にかけて採集していました。



キノカワガです。キノカワガというと緑色の蛾を連想するのですが、先日見た蛾もこんな色でした。秋にはこんな枯れ木色になるのかなと思って標本箱を見たら、6月から10月までの標本があって、10月に捕った個体は薄い緑と黒っぽい色のもので、写真のような色の個体はありませんでした。単なる色変化でしょうか。



ニッコウトガリバです。先日まで、ムラサキトガリバばかりいたのですが、最近はニッコウトガリバばかりです。発生時期に少しずれがあるようです。今年に限れば、ムラサキは10月17日から11月4日、ニッコウは11月8日からになっています。



ホソバヤマメイガです。何となく黒い3つの紋がはっきりしたクロモン型のような感じですが、地の色がやや暗いので、普通のホソバ型との中間のような感じです。「標準図鑑」では、ホソバヤマメイガの発生時期は6月から9月で、クロモン型は寒冷地に多いとあります。私の住むところは寒冷地ではないのですが、今頃発生する個体は黒い紋がはっきりしているのかもしれません。





ヤガ科のトビモンアツバです。翅の先端にある半円形の模様が特徴です。



この個体はトビモンアツバに似ていますが、半円形の模様はありません。おそらくウスチャモンアツバだと思います。

そのほかの「むし」です。



ヒメツチハンミョウの近くに小さなハチが止まっていました。名前までは分かりません。こんなハチの名前まで分かると楽しいのですが・・・。国立科学博物館のサイトに日本分類学会による日本生物種数調査の結果が載っています。それによると、昆虫綱は約30000種、そのうち、ハチ目は約4500種、ハエ目は約5100種、チョウ目は約5300種となっています。ハチもハエも蛾並みの図鑑さえあれば、なんとか調べられるのでしょうが。



昆虫が少ないとクモを撮影してしまいます。これはネコハグモです。小さいけれど色が綺麗なので、つい写してしまいます。



これはズグロオニグモです。マンションにはたくさんいます。



最後にヤサアリグモです。こんな寒い時期でも廊下の壁を歩き回っていました。

廊下のむし探検 カメムシ、甲虫、蛾など

廊下のむし探検 第171弾

11月になったのに、最近は「むし」が多い感じです。ざっと歩いただけで20種程度は見られます。この日の収穫は、この間から名前の分からなかったカメムシの幼虫の名前がほぼ分かったことです。



この間からいるカメムシの5齢幼虫がこの日もいました。



この日は偶然にも似たような形のカメムシの成虫がいました。これはクロホシカメムシというホシカメムシ科の成虫です。ひょっとしてこのカメムシの幼虫かなと思って、画像検索すると似たような写真が出てきました。どうやらこれだったようです。初めに見たのが11月3日だったので、一週間ぶりに解決というところです。



キバラカメムシが壁の凹んでいるところに止まっていたので、腹の部分を撮ってみました。あまり黄色でないので、おかしいなと思って図鑑を調べてみたのですが、間違いはなさそうです。こんな色の個体もあるのですね。図鑑には前胸の角が尖る個体と尖らない個体があるが、同一種ではないかと書かれていました。この写真は尖っていないのですが、昨年撮影した個体は確かに尖っています。



センチコガネです。



ヒメツチハンミョウはメスだけがいました。



これはアミガサハゴロモです。



ハチの仲間だろうと思うのですが、触角が櫛状になっています。こんなハチは初めてです。ネットで調べると、マツハバチ科の仲間には羽毛状や櫛状の触角を持つものがいるようですが、それとはちょっと異なるようです。(追記2022/08/14:akaitoriさんから、「ハチ目未同定の蜂は、クシヒゲアリガタバチではないでしょうか」というコメントをいただきました。調べてみると、頭部の形など、確かにそれっぽいですね。昔撮った写真の名前が分かって大変嬉しいです。どうも有難うございました。(総合画像リスト、2019年で止まっていますね。改訂しなくては



先日もいたのですが、やはり名前が分かりません。ガガンボモドキの仲間かなと思って探しているところです。(追記2018/02/21:ヒゲナガケバエ科のクロヒゲナガケバエのようです



マンションの廊下をちょろちょろ動き回っていました。モリチャバネゴキブリの幼虫だと思います。ゴキブリもいろいろと出てきますね。



「大図鑑」を見て、斑紋がクロモンヤマメイガに似ているなと思って、「標準図鑑」の方を見てみると、「大図鑑」に載っていたホソバヤマメイガScoparia isochroalisは、S. congestalisのシノニムということで、後者の方が載っていました。ついでに、クロモンヤマメイガはホソバヤマメイガのクロモン型となっています。結局、この写真の個体はホソバヤマメイガということなのですね。



これはコブガ科のキノカワガです。木の幹に止まっていると完全な保護色になるのですが、地下駐車場の天井だとこんな感じです。



翅と翅の隙間に黒い毛のような模様が顔を出しているので、ニッコウトガリバだと思います。



この間もいたブドウトリバかなと思います。



これはワモンノメイガです。



最後に、これまで名前が分からなかったクモがハンゲツオスナキグモ♂らしいことが分かりました。ヒメグモ科です。何度も見ていると少しずつ名前が分かってきて楽しいですね。

廊下のむし探検 ツチハンミョウ♀ほか

廊下のむし探検 第170弾

前回のカメムシに引き続き、昨日の「廊下のむし探検」の紹介です。先日、ツチハンミョウを見つけてから、マンション1階の廊下をいつも注意して見るようになりました。この日はいないかなと思ったら、いつもと少し場所を変えて3匹も見ることができました。





これはいつものヒメツチハンミョウのオスの写真です。下側の写真はちょうど溝を這いあがって来るところだったので、こんな角度から撮影することができました。



先ほどの2匹は廊下側にいたのですが、そのちょうど真裏の外に面した壁の溝にもう一匹いました。これは触角に塊が見えないので、メスの方ではないかと思います。メスを見たのは初めてです。この壁一枚で隔たれたオスとメスを一緒にするとどうなるのか、ちょっと気になったのですが、この日はそのままにしておきました。

この日はそのほかにも甲虫がいました。



大きなところでは、ウバタマムシです。立派な姿をしています。





ウリハムシも2匹いました。この写真、ストロボをたいたのに影が写っていないでしょう。この間、知合いの先生に教えてもらい、「影とり」という秘密兵器を使ってみました。これについてはまた今度書きます。



このゾウムシはアルファルファタコゾウムシという外来種です。昨年も12月29日にブログに書いていました。マメ科に寄生する害虫で、日本生態学会では「日本の侵略的外来種ワースト100」に入れています。面白い生活史をしていて、国立環境研のホームページによると、11月頃から春まで活動し、1-2月が繁殖期、その後、産卵します。4月に孵化し、5月に新成虫が出現しますが、その後すぐに夏眠に入り、11月まで活動しないようです。冬に活動する変わった甲虫です。



この間から出てきているナカジロトガリバです。



いつものムラサキトガリバかなと思ったのですが、ちょうど中央部分の翅と翅の間にかすかですが、黒い筋のようなものが見えます。おそらく腹に生えた毛のような黒い鱗粉塊だと思うので、これはニッコウトガリバの方ではないかと思います。展翅をするとすぐに分かるのですが。



カバナミシャクの仲間です。この仲間の名前調べはなかなか大変なのですが、翅に白い点々のような線が見え、その線の曲がり方などから、アザミカバナミシャクではないかと思いますが、自信はありません。



便所でよく見かけるハエです。学研生物図鑑を見ると、ハエ目チョウバエ科のオオチョウバエというようです。ただ、九大の日本産昆虫目録データベースを調べてみると、チョウバエ科は75種が登録されていて、そのうち、和名が付いているのがわずか5種ということで、本当のところはよく分かりません。オオチョウバエと書いてある場合(学研生物図鑑)と、オオケチョウバエと書いてある場合(九大データベース)がありますが、学名は同じなので、同一種のようです。まだ、ポピュラーでない昆虫があるようですね。



これもハエの仲間ですが、名前がよく分かりません。触角がすらっとしたところがケバエとは違うようです。(追記2018/02/21:ヒゲナガケバエ科のクロヒゲナガケバエのようです



廊下の片隅でじっとしていました。よく分かりませんが、ヒメハラナガツチバチかなと思います。



最後にクモの仲間です。保護色になっていて、どこにいるか分かりにくいのですが、カニグモの仲間です。これも図鑑で調べてみると、キハダカニグモというのに似ています。

廊下のむし探検 カメムシ7種

廊下のむし探検 第169弾

昨日は暖かかったせいか、マンションの廊下には虫がいっぱいいました。1回では報告しきれないので、2回に分けて報告します。まず1回目はカメムシ篇です。この日はカメムシだけでも10種もいました。そのうち、いつもいるクサギカメムシ、マルカメムシ、ツヤアオカメムシを除いたカメムシは以下の通りでした。





キバラヘリカメムシです。このカメムシは本当に貴公子然とした感じで、色合いも綺麗だし、思わず写真を撮ってしまいます。この日は2匹も見かけました。図鑑によれば、ニシキギ、マユミ、ツルウメモドキの実を好み、他の植物で観察されることは少ないとありました。



先日、翅を広げて赤い腹を見せてくれたミナミトゲヘリカメムシです。前胸の角が鋭く尖っています。南方系のカメムシで北上を続け、現在では関東地方まで分布を伸ばしているようです。寄生植物はシロモジ、クスノキなどのクスノキ科の植物だとのことです。



これはホソヘリカメムシです。よく見かけるカメムシです。マメ科・イネ科作物の害虫だそうです。



ハリカメムシと大変似ているのですが、おそらく、ホソハリカメムシの方だと思います。イネ科植物の重要な害虫として知られているそうです。



今までのカメムシと比べるとだいぶ小さなカメムシです。体長は8mmほど。ケブカヒメヘリカメムシだと思います。





これはオオトビサシガメです。今頃になるとマンションでよく見かけます。越冬場所を求めてきているのかもしれません。昆虫の体液を吸うのですが、人を刺すこともあるそうです。激しい痛みがあると図鑑には書いてありました。



最後にこのカメムシです。先日も見たのですが、名前が分かりませんでした。今度こそはと思って、手元にあるカメムシ図鑑や幼虫図鑑、ネット上の画像検索などいろいろと試したのですが、結局、ナガカメムシかホシカメムシあたりの5齢幼虫だろうというところまでしかたどり着きませんでした。なんとか名前が分かるとよいのですが。

廊下のむし探検 カメムシと蛾ちょっとずつ

廊下のむし探検 第168弾

11月になったので、ほとんど虫はいないだろうなと思いながら、廊下を歩いて探してみると意外にいるものです。この日も、カメムシと蛾、それに、ツチハンミョウがいました。



初めはカメムシです。これは、オオホシカメムシかヒメホシカメムシのどちらかですが、黒い丸が大きく、体は全体に長細い感じなので、オオホシカメムシの方だと思います。



もう一匹もカメムシです。他所の家の開いた窓のすぐ横に止まっていたので、写真を撮るわけにはいかず、ビニールの小袋に入れて、外に面した階段のところまで持ってきて写しました。ミナミトゲヘリカメムシです。「廊下のむし探検」にもいろいろと苦労があります。この間見た個体と違って、前胸の角がかなり尖っています。



階段のところに置いた時、ちょっと飛んだのですが、腹の部分が真っ赤に見えて驚きました。そこで、ちょっと草の先でつついてみました。その度毎に、ほんの2,30cmばかり飛ぶのですが、確かに、翅を広げると腹が真っ赤です。これはまさに警戒色でしょうね。



この日もヒメツチハンミョウが廊下の壁を登っていました。



近くに別の個体はいないかなと思って探していると、草むらとマンションの間で一匹が瀕死の状態になっていました。そこで、ビニールの小袋に入れて持って帰り、そのまま冷凍庫に入れました。今日、展足をしてみるつもりです。以前は酢酸エチルやアンモニア水を殺虫管に入れて採集していたのですが、最近は、蛾でもカメムシでも甲虫でもすべて冷凍庫に入れています。いつでも取り出すことができて、そのまま自然解凍すれば、すぐに展翅や展足ができるので便利です。



地下駐車場の天井に止まっていました。地下駐車場は暗いので、初め黒っぽい蛾としか分からなかったのですが、ストロボをたくと緑色が結構綺麗でした。ヤガ科のアオバハガタヨトウです。これまで、10月から12月にかけて採集していました。



これはヤガ科のイチジクキンウワバですね。廊下の壁に止まっていたので、近づいて撮影することができました。



同じキンウワバの仲間のエゾギクキンウワバです。銀色の模様が違いますね。この蛾も10月から12月にかけて採集しています。



これはケブカチビナミシャクというシャクガ科の小さい蛾です。この手の蛾は名前調べが大変なのですが、その中ではまだ分かりやすい方です。これまで、5月から7月と、9月から11月にかけて採集しています。年2化なのでしょうか。



最後に、何の気なしに撮影した蛾ですが、後で見るとちょっと変な形で止まっています。翅の中央にあるのは後脚でしょうか。黒い点々としたのが模様でしょうか。図鑑でちょっと調べたのですが、何だか分かりませんでした。

廊下のむし探検 また、ツチハンミョウ

廊下のむし探検 第167弾

昨日は意外にたくさんの虫がいました。その中でも特に、ツチハンミョウが実に3匹もいてびっくりしました。







初めに廊下を歩いたとき、外とつながっている、いつもの1階の廊下の壁に一匹いるのを見つけました。もう一度写真を撮ろうと行ってみると、今度はもう一匹が反対側の壁を登っているのが見えました。さらに、外の草の中を探してみると、マンションのすぐ近くの草むらに、もう一匹がいました。一度に、こんなにたくさんのツチハンミョウを見たのは初めてです。体長はいずれも16-7mmで、触角の節の長さから、おそらく、ヒメツチハンミョウのオスだと思います。

ツチハンミョウというと、ゆっくりゆっくりと動くイメージなのですが、壁を登っている個体で、その動く速さを測ってみました。3分で約60cm、つまり、分速20cmほど。意外に速く動きます。あっという間に、3mほどの高さの壁を天井近くまで登ってしまいました。私のブログを見て、先日、ツチハンミョウを観察されている先生が家に来られ、いろいろと面白い話を聞かせていただきました。これからも、もう少し、この辺りを探してみようと思います。

そのほかの虫です。



これはウリハムシですね。よく見ると、鞘翅が透き通っているような、そうでないような不思議な感じです。



これはホソハリカメムシだと思います。似た種でハリカメムシがいるのですが、触角第1節に黒い線があるかないかで見分けます。そこで、いろいろな角度から撮影したのですが、黒い線はありませんでした。



ハエのような感じですが、翅は4枚、やはりハチの仲間でしょうか。名前は分かりません。







この3枚、別種のようにも見えますが、おそらく、すべてムラサキトガリバだと思います。翅に鱗粉の盛り上がりによる筋が見えています。この日は全部で4匹見ました。



同じトガリバガ科のナカジロトガリバです。標本箱を見てみると、これまで、10月と11月に採集していました。



キリガが少しずつ出てきています。これはケンモンミドリキリガです。以前はミドリケンモンと呼ばれていたので、私はその名の方がなじみがあります。



これもキリガで、ちょっと分かりにくいのですが、おそらく、プライヤオビキリガではないかと思います。やはり、秋にだけ発生する秋キリガです。



これはヤガ科のモクメクチバです。



それに、蛍光灯のところに止まっているのは、ヤガ科のカブラヤガです。





上がトビモンアツバ、下がオオトビモンアツバです。翅中央の模様は変化が多いのですが、翅端の黒い模様がはっきりと異なります。



これはシャクガ科のウスミドリナミシャクです。夏と秋に発生します。



トリバガはどれもよく似ていて、名前調べが大変です。この写真の個体は、翅の中央付近に、下向きに鱗粉が三角形の形に並んでいるのが見えます。これが後翅で、おそらく、ブドウトリバではないかと思います。近縁種があるのですが、その区別までは分かりません。

廊下のむし探検 蛾が少し

廊下のむし探検 第166弾

11月に入ると、いよいよキリガのシーズンです。昨年も書きましたが、「キリガ」という名前の由来を、昔、知り合いの蛾の先生に聞いたことがありました。「根切り虫」のように、ヤガ科で幼虫が樹木を食する虫を「○○切り虫」と呼んでいて、その成虫だから「キリガ」と呼んでいたものが、その後、分類上近縁の種はみな同じ語尾を付けるようになり、草を食する種にまでキリガという名前が付けられたということです。



これはキリガの仲間でキトガリキリガです。成虫越冬しない秋キリガです。発生時期は、「標準図鑑」によれば9月末から10月とありますが、「大図鑑」では10月から11月、私の標本では10月から12月にかけて採集しています。寄主植物としてナシ、クヌギ、アベマキ、アラカシなどが挙げられていました。



模様がもやっとした蛾で、ヤガ科のオオトウウスグロクチバです。「大図鑑」によれば、「オオトウ」は紀伊半島の大塔山に由来するものだそうです。南方系の蛾ですが、分布が奇妙な蛾で、「標準図鑑」によれば、本州から沖縄まで産し、2000年台から記録が増えているそうです。四国の剣山で灯火に大量にやってきたり、赤石山脈の稜線や富士山中腹で見られたり、秋田県や鹿児島県で見られるなど、偶産と思われる記録が多いとのことです。私のマンションでは、それほど珍しくはなく、標本として10月に採集した♂♀を持っていました。



いつものナカウスエダシャクです。



細長い蛾で、写真を撮っていた時は何だか分からなかったのですが、家に戻ってからよく見てみると、見なれたワモンノメイガでした。これまで、3月から10月にかけてたくさん採集していました。



最後はこのカメムシです。翅が出始めているので、5齢幼虫だと思います。ナガカメムシの仲間かなと思ったのですが、カメムシ図鑑には幼虫があまり出ていないので、名前までは分かりませんでした。
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