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廊下のむし探検 腹を横に曲げて止まる蛾ほか

廊下のむし探検 第165弾

10月も最後の日になり、「廊下のむし」もいよいよ寂しくなってきました。



今日の主人公はこの変わった止まり方をする蛾です。上翅の下に下翅をほとんど入れてしまっているので、腹の部分が広く開いています。そこで腹をちょっと曲げてみたという感じの蛾です。止まっている面に垂直な方向に曲げて止まる蛾は多いのですが、これは面に平行に曲げています。似た種にオオノコメエダシャクとヒメノコメエダシャクという種があるのですが、翅の縁の窪み具合が小さいのと、翅の模様が淡いことなどから、ヒメノコメエダシャクの方ではないかと思います。

もう20年ほど前になるのですが、パソコン通信が盛んなころ、ノコメエダシャク類の腹がどちら向きに曲がるのかと話題になったことがあります。その時の結論は、右も左も均等だというようなことだったと記憶しているのですが、この写真のように斜めに止まっていると、重力で曲がっているといってもよいような気もします。もっとも、それ以上に曲げているので、重力の影響で方向が決まるといった方がよいのかもしれません。



そこで、昔、撮った写真をいろいろと調べてみました。手元にあった2枚の写真では、確かに、斜めに止まっているときは重力の方向に曲げていましたが、1枚だけ天井に止まっている写真が見つかりました(上の写真、1995年10月22日撮影)。この写真では重力によって天井から下に垂れさがるのではなくて、横に曲がっています。やはりこの蛾はともかく横に曲げたいのだなということは分かりますが、果たして、その向きは何で決まるかは、まだはっきりとはしません。これからも観察していきたいと思います。

そのほかの蛾です。



エグリヅマエダシャクです。数日前の写真では、強風のために翅を閉じるようにして止まっていましたが、本来はこのように翅を広げて止まります。春秋の年2回の発生で、これまで、5月と10月に採集しています。



春から秋までほとんど1年中見られる普通種です。ウスキツバメエダシャクです。



地下駐車場の天井に止まっていました。ヤガ科のマメチャイロキヨトウといいます。これも普通に見られます。



この間から出てきているヒメエグリバです。これまで、6月から10月にかけて採集しています。例年、そんなに多くは見ないのですが、今年はよく見る気がします。

蛾ではそのほかアオアツバ、オオバコヤガ、エゾギクトリバ、カバナミシャクの仲間がいました。



蛾以外の虫としては、例によって、クサギカメムシ、マルカメムシ、ツヤアオカメムシが山のようにいるのですが、そのほかでは、このオオトビサシガメだけでした。
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廊下のむし探検 ツチハンミョウほか

廊下のむし探検 第164弾

今年も私の住むマンションでツチハンミョウを見ることができました。昨年は、11月15日11月22日に見ました。ツチハンミョウはファーブル昆虫記にも載っていて、たいへん面白い生活史を持っています。その話の概略は昨年の11月22日のブログに書きました。



さて、今年は昨年より半月も早い出現です。場所は同じ1階の廊下の壁です。この部分は外とつながっていて、また、ツチハンミョウは動きが遅いので、いつも1階だけで見つかるのでしょう。お腹が大きく、奇妙な触角を持ち、黒い艶のある独特の形をしています。昨年は採集して、触角の節の形から種を同定しました。今年は特に採集はしなかったのですが、おそらく昨年と同じヒメツチハンミョウでしょう。

このツチハンミョウ、なんと数千個という大量の卵を産み、その卵が5月ごろに一斉に孵り、その幼虫が団子状になって草に付き、やがて周りの草や花など背の高いものに次々と登り始めるという話を知ったので、今年は5月ごろ、マンションの周りを探し回りました。でも、結局、見つかりませんでした。この個体はこのまま越冬して、来年春に交尾産卵します。来年は、また幼虫探しに挑戦してみようと思います。

カメムシでは、クサギカメムシ、マルカメムシ、ツヤアオカメムシは相変わらず多いのですが、そのほかに、こんなカメムシもいました。



これはミナミトゲヘリカメムシだと思います。ただ、ミナミトゲヘリカメムシは前胸背板の角に鋭い針のような突起を持つことが特徴です。しかし、この写真、鋭い突起がありません。あれ、おかしいなと思って、「日本原色カメムシ図鑑第3巻」を見てみました。この本には、ミナミトゲヘリカメムシのほかに、鋭い突起を持たないタイワンオオヘリカメムシの説明も載っていました。それによると、沖縄、先島に分布する可能性もあるが、タイワンとされていた標本を検したところ、突起の折れたミナミだったとこのことで、タイワンは日本には生息していない可能性もあると書いてありました。この写真のカメムシは、あるいはタイワンかもしれませんが、おそらく、ミナミの方かなと思っています。採集しておけば良かったのですが・・・。



これはホソヘリカメムシです。



顔の模様が分かるように近づいて撮影したら、全体に少し暗くなってしまいました。顔の模様から、スズキクサカゲロウだと思います。



撮影した時は、首の部分がだいだい色なので、ホタルトビケラかトビイロトビケラかなと思っていたのですが、帰ってから拡大して見ると、翅が茶色で透き通っていません。ホタルもトビイロも黒くて、透き通ったような感じです。トビケラの図鑑はなかなかないので、私はフライフィッシング用の水生昆虫の図鑑を見ています。刈田敏著の「水生昆虫小宇宙I、II」(つり人社)と同じく、「水生昆虫ファイルI、II、III」を見ていたら、「水生昆虫ファイルIII」に似た種が載っていました。ウルマートビイロトビケラです。ホタルもトビイロもウルマートビイロも共に、同じNothopsyche属に属しています。(追記2015/11/11:ウルマートビイロは北海道南部と本州北部、東部に分布するので、外観では区別つかないけれど全国的に分布するトビイロトビケラの方だと思われます



この黒っぽい虫はアミガサハゴロモというカメムシ目ハゴロモ科の昆虫です。市街地などにも普通にいるそうです。

次からは蛾です。



翅に独特の黒い三角形の模様があります。これを手がかりに探したところ、ヤガ科のタマナヤガであることが分かりました。



オオアカマエアツバ、ニセアカマエアツバという非常によく似た種があるのですが、下唇鬚が細くて尖っているので、おそらく、オオアカマエアツバの方だと思います。



これはこの間から登場しているオオバコヤガだと思います。



比較的小さな蛾なのですが、緑がかっている点、翅の模様などから「大図鑑」と「標準図鑑」のヤガ科の項を探し回ったのですが、似た種はあるものの確信が持てません。「廊下のむし探検」はお昼前に行ったのですが、おそらくまだ止まっているだろうと思って、夕方、採集に行きました。やはり、そのまま止まっていました。久しぶりに展翅をしたのですが、手元に個体があると名前はすぐに分かりました。ナカオビキリガというヤガ科キリガ亜科の蛾でした。10月半ばから11月にかけて出るキリガの仲間です。これは越冬はしない秋キリガの方です。



これはコヨツメアオシャク



最後は、シャクガ科のナカウスエダシャクだと思います。

廊下のむし探検 トビケラ、ゴミムシ、テントウ、蛾など

廊下のむし探検 第163弾

10月終わりになり、「廊下のむし探検」もそろそろ店じまいかなと思ったのですが、この日は結構バラエティに富んだ虫が見られました。



この日最初の虫はこのトビケラでした。これはエグリトビケラ科のウスバキトビケラです。「学研生物図鑑 昆虫III」によれば、幼虫は池沼、水田に住み、成虫は6-10月ごろ灯火に飛来するとありました。





次はゴミムシ2種です。これは私にとって難問でした。「原色日本甲虫図鑑II」と琵琶湖博物館の「里山のゴミムシ」をほとんど一種類ずつ見比べながら調べたのですが、共にナガゴミムシ亜科に入っているだろうなというところが分かったに留まりました。後者はニッポンツヤヒラタゴミムシに似ているような気がするのですが、決め手はありません。ゴミムシ調べはもう少し修行が必要です。



体長7mmほどのこんな虫が外に面した階段をのそのそと歩いていました。何だろうと思って採集してきたのですが、調べてみるとテントウムシの仲間でした。アカホシテントウです。それにしても、テントウも種類が多いですね。これまで廊下では、キイロ、シロジュウゴ、ナナホシ、ナミ、ベニヘリの5種が見られ、これが6種目になります。



地下駐車場の天井に止まっていました。小さな点のようだったのですが、拡大して写してみると、クロウリハムシでした。



これはオオトビサシガメです。一昨日、マツヘリカメムシを見たときには、似ているなと思ったのですが、見比べてみるとだいぶ違いますね。

後は蛾の仲間です。蛾も常連ばかりになってしまいました。



よく見る蛾なのですが、このシャクガ科のエグリヅマエダシャクだけは「廊下のむし探検」初登場でした。普段はこんな止まり方をしないのですが、風が強くて必死に耐えているようでした。標本箱を調べてみると、過去5月と10月に採集していました。



この間から出てきているヤガ科のウスチャヤガです。



この蛾もよく見ます。トガリバガ科のムラサキトガリバです。黒い筋のような鱗粉の隆起が目立ちます。



それに、トリバガ科のエゾギクトリバです。風に飛ばされて、また、止まったりを繰り返していました。

廊下のむし探検 関西でもマツヘリカメムシ

廊下のむし探検 第162弾

今日、外出からの帰りにマンションの廊下で見たこともないようなカメムシを見つけました。





廊下の壁をゆっくりゆっくり這い上がっています。一見、オオトビサシガメかなと思ったのですが、模様も違うし、脚の脛節が太くなっていて非常に奇妙で、また、触角も違います。一応、写真を撮って図鑑で調べたところ、最近、購入した「日本原色カメムシ図鑑第3巻」に載っていました。ヘリカメムシ科のマツヘリカメムシです。

図鑑やネットによれば、原産地北米では松の害虫として知られ、それが1999年にヨーロッパに広がり、2008年3月にはとうとう日本でも東京都小金井市で見つかりました。その後、狭山丘陵、石神井公園、皇居など各地で見つかり、神奈川県、茨城県、群馬県など関東を中心に分布が拡大しているようです。Wikipediaには詳しく分布拡大の様子が書かれています。

松の新芽や球果、種の汁を吸うようで、日本のように松を大事にしている国では、特に深刻な被害を及ぼすことが考えられます。ネットを調べると、その後、福岡県福岡市で2011年9月と10月に、愛知県名古屋市で2012年11月に見つかっており、また、山梨県、新潟県でも報告されています。関西での記録は見つからなかったのですが、とうとう私の住む大阪北部でも見つかったということは、全国的な、しかも、急速な分布拡大がうかがえます。松の害虫の種類は多く、枯れた松が目立つ昨今、新たな害虫の出現で今後どうなることか心配です。

廊下のむし探検 謎の虫

廊下のむし探検 第161弾

地下駐車場の壁に止まっていました。体長1.5-2cm位だったと思います。初め、ヒロズコガあたりの蛾かなと思って撮影したのですが、家に戻ってから写真を見ると何とも奇妙です。





脚を見るとトビケラのような気もしますが、いったい脚が何本あるのやら。触角の方もどうなっているのか分かりません。横から撮った写真を見ると、何か別の昆虫を押さえ込んでいるようにも見えます。さて、何でしょう。

その他の昆虫です。



この間から気になっていたカミキリがまたいました。長い産卵管を出しているので、メスでしょう。昨日は捕まえてきて調べてみました。体長は23mm。前胸が丸い形なので、おそらく、マルクビカミキリ亜科だと思って、九大の日本産昆虫目録データベースで調べてみました。全部で13種。そのうち、本州には10種いることが分かりました。平凡社の原色日本昆虫図鑑と学研生物図鑑昆虫IIを見るとほとんど出ていました。丸い前胸の部分を拡大してみました。



原色日本昆虫図鑑には、属の検索表があり、ポイントは複眼の形、前胸の形、脛節の端刺などです。でも、検索表はどうもうまく使いこなせません。大体の見当だけをつけて、後は手当たりしだいに比較してみました。学研生物図鑑には前胸のくぼみについて書いてありました。上の写真では、前胸背板は平らで、中央に細い溝(A)と両側に丸い凹み(B)があります。以前はオオクロカミキリかなと思ったのですが、これは中央に明らかな凹みがあると書いてあり、特徴が合いません。そこで、この特徴に合うサビカミキリの方かなと思っています。学研生物図鑑によれば、サビカミキリは全国的に分布し、マツ類に多く寄生し、7-8月ごろ灯火に飛んでくるそうです。



この日はクサギカメムシがやたら多い感じでした。いよいよ冬が近づいて来たなという気がします。秋から冬にかけては、このクサギカメムシが洗濯物などに紛れて家の中に入ってきて、いつも大騒ぎします。



これはウリハムシですね。



これはヤサイゾウムシでしょう。たしか、去年も秋に見た気がします。野菜の害虫で、冬にも活動するようです。



これはクサカゲロウです。クサカゲロウの仲間は顔の模様をみると種類が分かるので、少し拡大してみました。



複眼の近くに、丸くて黒い円とそこから半円状に出る黒い模様があるので、おそらく、スズキクサカゲロウだと思います。




マンションの入口付近で潰れていました。大図鑑と見比べてみると、翅の模様はチビホウジャクという種によく似ています。ただ、この種は沖縄に限られているようなので、おそらく、普通のホシホウジャクでしょう。採集しておけばよかったと悔やんでいます。

最後はおまけです。

2日前に散歩に行った時に、ヒメジョオンの花に小さな虫がいるようなので、花にビニールの袋をかぶせて振ってみました。小さな虫が採れたのですが、そのまますっかり忘れていました。昨日、思い出して出してみるとどうやらカメムシの仲間です。



小さいので実体顕微鏡を使って顕微鏡写真を撮ってみました。顕微鏡写真は被写界深度が浅いので、一部しかピントが合いません。そこで、フォーカスを変えながら10枚ほど写真を撮り、以前にも紹介したCombineZPというフリーの深度合成ソフトを使って合成してみました。上の写真のように、脚の部分も頭や翅の部分にもピントがだいたい合ったような感じになり、結構、良好です。実体顕微鏡写真には欠かせないものかもしれません。

さて、透明の翅の下に見える茶色の部分が腹です。乾燥してしまったので、縮んでいるかもしれませんが、一応測ってみると、体長は2.2mmでした。脚に黒い斑点があります。これを手がかりに、カメムシの図鑑を調べてみると、チビトビカスミカメという名前にたどり着きました。この中で、本州に普通にいる種は、コミドリチビトビカスミカメとネムチビトビカスミカメの2種です。コミドリの方はキク科、マメ科、アカメガシワ、ヌルデなどに普通にいるそうで、ネムの方はネムノキにいるということなので、あまり、決め手はないのですが、おそらく、コミドリチビトビカスミカメではないかと思います。

廊下のむし探検 着物を掛けたような形のクロホシフタオ

廊下のむし探検 第160弾

秋になって虫が少なくなってきた感じですが、マンションの廊下を歩くと意外に多くの虫に出会えます。この日の最初の虫は、まるで着物を掛けたような止まり方をする蛾です。



フタオガ科のクロホシフタオです。本当は斜めに写っていたのですが、着物のように見せるため、写真を回転しています。前翅と後翅を大きく開いた奇妙な止まり方をします。なぜ、フタオガというかというと、写真でも少し分かりますが、尾が2つにあるように見えるからです。展翅をするともっとはっきりします。実は、似た種にミナミクロホシフタオというのがあって、そちらかもしれないと思って採集してきて調べたのですが、決め手は雄の触角のようで、これは雌でよく分かりませんでした。試しに、手元の標本も調べてみたのですが、雄は皆、クロホシフタオでした。



これはヤガ科のホソオビアシブトクチバです。似た種がいないので、名前調べは楽です。



似た種が多いので分かりにくいのですが、おそらく、ヤガ科のウスチャモンアツバだと思います。



この間もいた大型の蛾です。ヤガ科のオオシマカラスヨトウだと思います。



これはヤガ科のウリキンウワバです。似た種にモモイロキンウワバがいるのですが、外横線が2重になっているところから、ウリキンウワバの方だと思います。



翅が破れていてなんだか分かりませんが、おそらく、ヤガ科のモクメクチバだと思います。



そして、相変わらずムラサキトガリバがいました。ここ何回かの常連です。



これはシャクガ科のマエキトビエダシャクですが、ここまで色が薄くなった個体はあまり見かけませんね。「標準図鑑」によれば、5-10月に見られ、おそらく年2化とのことで、最後の登場かもしれません。



この日、たくさんいたカメムシはこのマルカメムシでした。マンションには、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシと共に、たくさんやってきます。この日はちょうど植木屋さんがマンションの雑草を刈っていて、その余波でマンションに逃げてきたのかもしれません。その植木屋さんが、棒の先にブラシをつけて、廊下を歩きながらカメムシを退治していました。でも、このマルカメムシは小さいので、ほとんど見逃されていました。



以前、オオクロカミキリかなと書いたのですが、オオクロカミキリは前胸が大きく凹んでいるようで、ちょっと違います。サビカミキリかなとも思ったのですが、結局、よく分かりませんでした。



最後のクモ2種です。これはチャスジハエトリだと思います。「日本のクモ」には屋内性で、5-8月に出現とありました。



このクモがよく分かりませんでした。ヒメグモ科のハンゲツオスナキグモかなと思ったのですが、おそらく違います。(追記:ハンゲツオスナキグモで合っているのではと思います

クモは、オスとメスとで大きさも色合いも全く異なり、さらに、幼体も全く違う色なので、図鑑にはそれぞれを描いていただけると助かるのですが、大概は目立つメスだけとか、オスとメスについてで、名前調べをギブアップすることが多いです。まあ、ガも幼体は成虫と全く違う色と形ですけど・・・。

廊下のむし探検 意外に虫が多い

廊下のむし探検 第159弾

最近、雨で冷たい日が多かったので、しばらく、「廊下のむし探検」はお休みでした。昨日は、久しぶりに晴れていたので、郵便局に行くついでにちょっと歩いてみました。どうせあまりいないだろうなと思っていたのですが、意外にたくさんの虫がいました。



一番多かったのは、このツヤアオカメムシでした。一つの階に数匹ずついたので、マンション全体では何十匹かになるでしょう。それに加えて、クヌギカメムシも増えてきました。秋になると、カメムシが暖かいマンションに向かってどんどん集まってきます。



オカメコオロギのメスです。オカメコオロギには何種類かあるのですが、メスについては、図鑑に区別の仕方が出ていないので、ちょっと前に文献を調べてみました。ネットで調べてみると、松浦一郎氏の「日本産オカメコオロギ属近似種の分類」 New Entomol. 37, 17-23 (1988)という文献のあることが分かりました。New Entomol.は信州昆虫学会会誌のことで、以前は「新昆虫」と呼ばれていました。さらに、1996年からは北隆館が継承し、今では「昆虫と自然」という雑誌になっています。

残念ながら、ネットではダウンロードができないので、所蔵している図書館を調べると、国会図書館、岡山大、鹿児島大、岐阜大・・・などでした。コピーを取りに行くのも面倒なので、今回はJ-GLOBALという科学技術振興機構が運営しているサイトにコピーをお願いしました。郵送の場合、基本料金が838円、コピー1ページ9円で少し高い感じがしますが、図書館に出かけるときの交通費を考えるとむしろ安いかもしれません。

コピーは数日で届きました。この論文では、日本産のオカメコオロギは4種で、そのうち2種を新種として記載するというものでした。その4種は、ハラオカメコオロギ、タンボオカメコオロギ、モリオカメコオロギ、ネッタイオカモメコオロギです。でも、読んでみると、この4種の識別点は、雄では前翅末端の網状部、若齢幼虫の触角の白色部の有無、鳴き声の特徴により判別することができるが、「雌ではこれといった識別点はない」というものでした。ちょっとがっかりです。



そして、これはいつものツユムシです。ツユムシは天井に止まっていることが多いので、いつも逆向けに写ってしまいます。(追記:知り合いの先生から、ツユムシではなく、ヒメクダマキモドキであると教えてもらえました。南方系の昆虫で分布を拡大しているようです。)



廊下の隅にベッコウハゴロモが止まっていました。ストロボをたいたら、翅のあちこちが光って結構綺麗です。

後は蛾ばかりです。



似た種類がいて、いつも迷う種です。オオアカマエアツバとニセアカマエアツバです。2種は、頭の部分にある下唇で区別します。「大図鑑」によれば、雄では尖っていて、メスでは極端に太くなっているのがニセアカマエアツバとあり、写真が付してありました。今回の写真の下唇はだいぶ太いので、ニセアカマエアツバの方かもしれません。



中央にある白い点が目印です。ヤガ科のナシケンモンです。



翅の筋を除くと、模様がはっきりしないのですが、ヤガ科のオオウンモンクチバではないかと思います。



奇妙な角度からの写真ですが、地下駐車場に止めてある黒い車の屋根に止まっていました。ヤガ科のヒメエグリバです。



同じ車の横腹にはこんな蛾も止まっていました。カレハガ科のクヌギカレハです。自分の車に、こんな蛾が止まっていると、きっとぞっとするでしょうね。



廊下の蛍光灯のところにヒメヤママユが止まっていました。新鮮な個体です。



これはウスキツバメエダシャクです。白い壁に止まっていると、まるで保護色ですね。



ツトガ科のクロモンキノメイガです。よく見る蛾ですが、「廊下のむし探検」では初登場です。



この間も登場したムラサキトガリバです。



ちょっとエキゾチックな蛾ですが、似た蛾がいていつも迷います。アシベニカギバとオキナワカギバです。オキナワカギバは沖縄だけでなく、本州南部や四国、九州にも生息しています。「大図鑑」によると、オキナワカギバは、前翅の黄色の帯がそれほど顕著でなく、前翅外縁の中央部がほとんど出っ張らない、前翅横脈上の白い点が点状なのですが、アシベニでは「く」の字の形をしているという点です。以前、採集していた時もよく分からなくて、30数頭展翅をしたのですが、中間的なものも多くて、明確な区別は分かりませんでした。この写真の個体は、おそらくアシベニカギバだと思います。

廊下のむし探検 秋の蛾たち

廊下のむし探検 第158弾

台風が過ぎて急に寒くなってしまいました。こんなに寒いと「むし」なんかいないだろうと思ったのですが、念のため廊下を歩いてみると、寒いなら寒いなりに「むし」を見ることができました。



この奇妙な感じの蛾は、先日も登場したスズメガ科のホシヒメホウジャクです。翅が凸凹して見えるは後翅が見えているからです。年2回の発生で、今頃出てくる個体は成虫で越冬します。マンションでは、排気口などの暖かいところでじっと止まっている姿を見ることがあります。



これはヤガ科モンヤガ亜科のウスチャヤガです。どこかで見た気がしたのですが、名前を思いだせなくて、「大図鑑」のヤガ科のモンヤガ、ヨトウガ、カラスヨトウのあたりを見たのですが、見つかりません。以前、撮った写真を見てやっと分かりました。「大図鑑」の標本写真の色がこの写真とずいぶん違うので、見落としていたようです。「標準図鑑」を見るとこの写真と同じような色になっていました。図鑑には10月から11月に発生すると書いてありました。



似た種が多いので、あまり自信がないのですが、ヤガ科ヨトウガ亜科のアワヨトウではないかと思います。この蛾は中国からジェット気流に乗って飛来するといわれている蛾です。図鑑によれば4月から11月まで年数回発生し、イネ科の著名な害虫だそうです。



ストロボをたいたら翅が光って見えにくいのですが、白い線が独特の曲線を描いていることと、前縁に2本の白い線のような模様があることから、ヤガ科キリガ亜科のニレキリガだと思います。ただ、この蛾は通常夏に発生する蛾なので、どうして今頃いるのだろうと思ってしまいました。



マンションの玄関の床に止まっていました。ちょっと保護色みたいな感じで、普通の人は見落としてしまうかもしれません。シャクガ科のヒロバウスアオエダシャクです。



これはシャクガ科のカバナミシャクの仲間ですが、似た種類が大変多くて、同定に一苦労する仲間です。翅に入っている線の曲がり方を必死になって調べるのですが、これはホソカバスジナミシャクというのに似ています。ただ、この蛾は夏に発生する蛾なので、あまり自信はありません。



翅の白く光って見える2本の線は、通常は黒い線なのですが、ストロボで光ってしまったようです。この部分は両側から黒い鱗粉が盛り上がって線状になっています。トガリバガ科のムラサキトガリバです。晩秋に発生します。私の標本では10月と11月に採集していました。



廊下の壁の高い所に止まっていたので、こんな角度での写真になってしまいました。模様があまり見えないのですが、色合いからエゾギクトリバではないかと思います。



最後に甲虫です。初め、コメツキの仲間だから名前調べは諦めようかと思ったのですが、前胸から頭にかけての形がちょっと変わっているので調べてみました。以前も出てきたサビキコリではないかと思います。

これからは晩秋の蛾が続々出てくると思います。ちょっと楽しみです。

廊下のむし探検 ヒメヤママユほか

廊下のむし探検 第157弾

秋が深まってくると、秋にしか発生しない大型蛾が出てきます。先日、クスサンが見られましたが、昨日はヒメヤママユの登場です。



ヒメヤママユは、ヤママユなどと比べるとだいぶ小型の蛾です。もう20年ほど前に、私のマンションに来たヤママユガ科の数を調べたことがあったのですが、ヒメヤママユは11月を中心に10-11月にかけて見られ、数は第2位でした。因みに、1位はヤママユ、3位はオオミズアオ、以下、シンジュサン、エゾヨツメ、ウスタビガ、クスサンの順でした。この中で、秋の蛾というと、クスサン、ヒメヤママユ、それに、ウスタビガです。ウスタビガは11月に見られます。



この蛾はシャクガ科のヒロバウスアオエダシャクです。普段、少し緑がかって見えるのですが、これは茶色でした。



前日も見たクロズウスキエダシャクがこの日は2匹見られました。今頃の発生なのかもしれません。



一時期ミツモンキンウワバばかり見られたのですが、この日はイチジクキンウワバが2匹見られました。この2種は発生時期が少しずれているのかもしれません。



少し複雑な模様のツトガですが、これはナガハマツトガといいます。「ナガハマ」が地名なのか、人名なのかちょっと調べてみたのですが、分かりませんでした。



外横線がはっきりしないので、迷いに迷ったのですが、スジボソヤマメイガにしました。あまり、自信はありません。



立派なカメムシです。キバラヘリカメムシといいます。なぜ、「キバラ」かというと、



腹部がこんなに黄色いからです。



小さいヒメカゲロウの仲間です。図鑑にあまり出ていないので、間違っているかもしれませんが、チャバネヒメカゲロウかなと思います。試みに、九大の昆虫目録データベースで、その属名Eumicromusを検索すると、4種が引っ掛かりました。このうち、3種は南西諸島に分布するようで、本州に分布するのは、このチャバネだけでした。(追記2015/11/12:ホソバヒメカゲロウのようです



最後に、小さいクモなのですが、ハグモの仲間でネコハグモだと思います。私の作った索引によると、過去1、3、6月に見られていました。索引はこういうときに便利です。画像で検索できないのが残念ですが・・・。

廊下のむし探検 ヒメカマキリ、蛾など

廊下のむし探検 第156弾

最近、「廊下のむし」も数が減ってきたので、3日分をまとめました。





天井に一匹のカマキリがいました。小型で茶色いので、コカマキリかなと思ったのですが、「原色日本昆虫図鑑(上)」(保育社)を見ると、「前脚基節内面に黒斑」という点が違います。いろいろと調べてみた結果、ヒメカマキリではないかという結論にたどり着きました。図鑑によれば、成虫期は9月から11月で、静岡県以西の本州、四国、九州に分布するとのことです。



これはクサギカメムシです。これから冬にかけて、家の中に入ってきて困るカメムシの代表格です。



地下駐車場の天井付近に止まっていました。ちょっと汚れたような感じですが、もともとこんな模様の蛾です。ヤガ科のマメチャイロキヨトウです。



翅の模様がはっきりしているので、分かりやすい種です。やはりヤガ科のハスモンヨトウです。



模様が薄くてはっきりしないのですが、これはヤガ科のオオバコヤガだと思います。「オオバコ」という名前がついていますが、オオバコではなくてタデ科やイラクサ科の植物を食べます。従って、名前の由来は、「オオバコ・ヤガ」ではなくて、「オオバ・コヤガ」かもしれません。ただし、コヤガの仲間ではなくて、モンヤガの仲間です。



ヤガの仲間であることは分かるのですが、全体に真っ黒で特徴があまり分かりません。わずかに見えるひょうたん型の模様(腎状紋)とその下の斜めの筋を手がかりに探した結果、ヤガ科のナカジロシタバという名前にたどり着きました。これまで、9月から11月にかけて採集されていました。





この2種はほとんど同じ種類のようにみえますが、銀色の模様に向かう外横線が、上では尖っていて、下では丸くなっています。おそらく、上がミツモンキンウワバで、下はイチジクキンウワバだと思います。共に、9月から10月に多く見られます。





上は、この間から出てきているチャドクガです。下は、ゴマフリドクガかなと思ったのですが、そのわりに脚に生えている毛が少なく、別種かなと思って探したのですが、結局、ゴマフリドクガかなということになりました。



これはナカウスエダシャクです。



外横線の曲がり方が独特です。シャクガ科のクロズウスキエダシャクという蛾です。



最後に、模様のはっきりしたこの蛾は、シャクガ科のウストビモンナミシャクです。これまで、6月と10月に採集していました。この写真では胴体が短いように見えますが、別に短いわけではなくて、上に曲げているので、こんなに短く見えるのです。

高倍率ズームコンデジを調べる

これまで、野鳥などの撮影には、24倍ズームのパナソニックDMC-FZ150にオリンパスのTCON-17Xというテレコンを取り付けて撮影していました。これは、本体だけで35mmカメラ相当で最大600mmの望遠が得られ、これにさらに1.7倍のテレコンが取り付くので無限遠では焦点距離1020mm相当になるというものです。

今年8月終わりに、PanasonicからFZ200の下位機種として、ズーム倍率60倍のFZ70が出されました。これは、本体だけでも35mmカメラ相当で最大1200mmの焦点距離になるという驚くべきものです。これにテレコンを取り付けると、焦点距離2040mmになるので、いったいどんな感じになるのだろうと気になって、先日購入してしまいました。



FZ70(左)はFZ150(右)より少し大型で、おかげで、テレコンが今までのものではとりつかず、新たにアダプターを買わなければなりませんでした。

早速フィールドに出て撮ってみました。




テレコンを取り付けない状態で、普通に鳥の写真をズーム最大で撮ってみたのですが、皆、こんな感じです(写真は周辺をトリミングしています)。私はこれまで機動性を重視して、完全な手持ち派で、三脚も一脚も使用せずに撮影していました。しかし、FZ70で同じように撮影すると、残念ながら、まったくシャープには撮れません。

がっかりして家に戻ってきて、今度はテレコンを取り付け、三脚に固定して、直線距離で2.3km離れたところにある鉄塔を撮影してみました。



テレコンを取り付けないとまあまあシャープに撮れるのですが、取り付けると確かに大きくはなるのですが、色が滲んで全体にぼやけている感じになってしまいました(写真は周辺をトリミングしています)。

そこで、少し、その原因を調べてみました。このようになるのは、

1)カメラの性能(レンズ、撮像素子)があまりよくない
2)オートフォーカスがうまくいっていない
3)フィールドでの撮影については、手ブレが補正できていない

などが考えられます。そこで、次のようなパターンを作って調べてみました。



このパターンをL版の写真用紙に印刷しました。Aの黒い四角はフォーカス用(コントラストをあげることで、オートフォーカスがうまくいくようにしました)、Bは倍率を決定するための等間隔の目盛り、Cは線の太さを変えて、ぼやけ具合を調べるために用いました。Dの円は手ブレが起きているかどうかを調べるために書いてあります(方向によりぼやけ具合が違うと手ブレが起きていると判断できます)。Cの線の幅は対物ミクロを用いて、実体顕微鏡で実測しました。

このようなパターンを離れたところに置き、カメラを三脚に固定して撮影すると、上の2)と3)の問題は除外できるので、1)のカメラの性能を直接知ることができると思ったのです。



その結果がこの図です。9m離れたところにカメラを置き、Cの線の幅をピクセル単位で測定しました。計測にはいつものフリーソフトのImageJを用いました。FZ150とFZ70のそれぞれについてズーム最大にして、テレコンを取り付けた時と付けない時について調べたものです。倍率は、Bの等間隔の目盛り間隔の実測値と、撮像素子上での間隔を画像から計算した値との比を書いたものです。また、その倍率から計算した線の幅の値を結ぶ実線を描いてあります。

この図から撮像素子上で2~3ピクセルで下限がありますが、それを除くと、パターンの線幅がカメラでうまく捉えられていることが分かります。パターン上の0.1-0.2mmの幅の線を、9m離れたところからカメラを用いてその幅を正確に測ることができるなんて、少し驚きです。

FZ70+テレコンの場合は、まだ、下限にまで達していないようなので、マンションの廊下で、20m離れたところから同じ実験をしてみました。その結果が次の図です。



テレコンを取り付けない場合、3ピクセルを下限として、線の実幅とカメラで測定した線幅はよく対応しています。テレコンを取り付けると、下限が1ピクセルほど広くなり、また、途中でもやや広めになっていて少しぼやけていることが分かります。しかし、このカメラで、人がぼやけていると感じられる最小の大きさ(許容錯乱円)と比較すると、それほど悪くないデータです。このことから、FZ70は結像して検出するという、カメラ自体の性能は十分で、テレコンを取り付けると少し性能が落ちますが、まずまずなことが分かりました。


しかし、テレコンをつけた状態で、得られた画像を色に分けて調べてみると、少し驚くような結果が得られました。左はBの目盛り、右はC1の線の拡大です。緑では鮮明なのですが、赤では少しぼやけが見え、青では右に大きくぼやけています。C1の像をImageJのPlot Profileで表してみると次のようになります。



線が黒いので、下に凹んだグラフになっていますが、本体だけだと、赤で少し裾にぼやけが出る程度で、まずまずの結果ですが、テレコンを取り付けると、赤では裾にぼやけの成分がはっきり出て、また、青では右側に大きく裾を引きます。これが鉄塔の色の滲みの原因のようです。



ちなみに、以前のFZ150で同じ実験をしてみると、テレコンをつけても付けなくても特にぼやけは現れませんでした。

結局、FZ70は本体だけならば、カメラの性能は非常に良いことが分かります。従って、フィールドでシャープに撮れない大きな理由は、焦点距離が長いために手ブレの効果が大きくなり、それが十分に補正できていないことが原因のようです。一方、テレコンを取り付けた場合は、線幅から判断した性能は十分なのですが、裾にぼやけ成分が現れ、これが画像に深刻な影響を与えていることが分かりました。手元にソニーのテレコンがあったので取り付けてみると、ぼやけ具合は変化しました。従って、テレコンに純正のものを使っていないことが原因の一つかもしれません。

いずれにしても、このコンデジは手ブレを防ぐためには三脚がほとんど必須で、しかも、テレコンは像を拡大するもののシャープな像を得る目的にはあまり適当でないという結論になりました。私としては手持ちができないので、少し残念なのですが、水鳥を撮影するときなどに三脚を用いて使おうかなと思っています。

廊下のむし探検 一年のまとめ

廊下のむし探検 第155弾

「廊下のむし探検」は一年前の今日始めました。あまりに種類が多いのと、名前調べが大変だったので、途中何度か投げ出したくなったのですが、なんとか1年間続けることができました。今日はそのまとめをします。

「廊下のむし探検」では、北摂の山に近いマンションの廊下と地下駐車場を20分ほどかけてゆっくり歩き、その間に見た「むし」の写真を手当たり次第に撮って、その名前調べをしています。山に近いので、夜になるとマンションの明かりに向かって、いろいろな「むし」がやってきます。ちょうど巨大な白いキャンパスに集まる「むし」達のようです。

さて、この1年間に見た種で名前がだいたい分かった種類の概数を書くと次の通りです。

チョウ目(蛾類) 464種、甲虫目   159種、カメムシ目(カメムシ亜目) 47種、ハエ目 15種、バッタ目 15種、クモ目 13種、ハチ目 12種、チョウ目(蝶類) 8種、アミメカゲロウ目 7種、トビケラ目 6種、カメムシ目(その他) 5種、トンボ目 3種、鳥綱 3種、カゲロウ目 3種などなど


一番多かったのは蛾の仲間でした。科別でいうと、

シャクガ科 124種、ヤガ科 117種、ツトガ科 52種、メイガ科 34種、シャチホコガ科 20種、ヒトリガ科 18種、 ハマキガ科 18種

などです。名前調べに用いた図鑑は、「日本産蛾類大図鑑」(講談社)、「日本産蛾類標準図鑑I~IV」(学研)でした。幼虫の名前調べは、「原色日本蛾類幼虫図鑑(上下)」(保育社)と「日本産幼虫図鑑」(学研)を用いました。








私にとって印象に残った蛾は、写真の順に、ミジンベニコケガ、ミドリヒゲナガ、フタツメオオシロヒメシャク、エゾシモフリスズメなどでした。

甲虫の名前調べは今回初めて行いました。図鑑は「原色日本甲虫図鑑II~IV」(保育社)と「学研生物図鑑昆虫II」を主に用いました。私にとって何もかも初めてだったので、最初は音を上げそうになりましたが、少しずつ慣れてきました。それでも、コメツキムシなどいくつかの種類ではギブアップしている仲間があります。科別に書くと、

カミキリムシ科 41種、コガネムシ科 21種、ゾウムシ科 17種

などです。カミキリムシの仲間が多かったのが特に目立ちます。また、クワガタムシやカブトムシの仲間が何度か登場したのが印象的でした。








写真は順に、ミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、チビクワガタ、カブトムシです。

カメムシの仲間は全部で47種でしたが、カスミカメムシの仲間を何種か見たのが収穫でした。これまで、野外でもあまり見たことがなかったので、ちょっと嬉しい体験でした。カメムシは「日本原色カメムシ図鑑1~2」(全国農村教育協会)と「学研生物図鑑昆虫III」を使っています。





写真はミイロカスミカメとケブカキベリナガカスミカメです。

その他の「むし」では、クモがいっぱい出てきたことや、カイガラムシのオスを見たこと、ウツギノヒメハナバチの生態を文献で調べたこと、ヤマトシロアリの結婚飛行に遭遇したことなどが記憶に残っています。クモは「日本のクモ」(文一総合出版)、その他の虫はだいたい「学研生物図鑑昆虫III」を用いました。







写真はワスレナグモ、オオワラジカイガラムシ、ウツギノヒメハナバチ、ヤマトシロアリです。

次の一年は少しコメツキムシやゴミムシの仲間も調べてみたいな思っています。また、「廊下のむし探検図鑑」という図鑑も作ってみたいと思っています。なお、「廊下のむし探検」の記事の索引と種の索引を載せたホームページに別に作っています。そちらも参照ください。


以下は参考です。

1)こんなに多くの「むし」の写真を整理するのはどうしたよいかと考え、掲載した写真のファイル名を次のように統一しました。

(ローマ字で書いた種名)+(年月日)+(-)+(番号)  例) gomadarakamikiri20131012-1.jpg

こうすることで、フリーのファイル検索ソフト(例えば、FileSeeker3)を使って、「gomadarakamikiri」で検索すると、ゴマダラカミキリのこれまでの写真の一覧が出て、その日付も分かります。また、「201310」で検索すると2013年10月に見た種類の一覧が出てきます。この操作は、ファイルがいくつかのフォルダーにまたがって入っていても、それらのフォルダーを最初に選んでおけばできるので便利です。また、「gomadara -chou」とすることで、ゴマダラという名前のつく種からチョウをつくものだけを除くこともできます。

2)EXCELでこれまで写真に撮った種のリストを作っているのですが、同じ種が何回もブログに登場するので、リストにしたとき、重複が多くて種類数を数えるのが大変です。ネットで探していると便利な方法がありました。

sumproduct(1/countif(a1:a100, a1:a100))

という式を用いる方法です。

countif(a1:a100, b1)という関数は、a1からa100のセルに入っているデータの中で、b1に入っているデータと同じものはいくつあるかというのを示す関数です。従って、countif(a1:a100, a1)と書くと、a1からa100のデータで、例えば、ゴマダラカミキリがa1に書かれているとすると、その数、例えば、5を返します。つまり、5回登場したことが分かるのです。その逆数をとると、0.2になるので、それを5回足すと1になり、5つの同じデータが実は1種類のデータであることが分かります。countif(a1:a100, a1:a100)とすると、a1からa100まで順番にその操作を行って、それを配列の形で出力し、それぞれの逆数をとり、その和をとる操作が上の関数です。

廊下のむし探検 同定の難しい種が多い

廊下のむし探検 第154弾

秋も深まってきて、少し暇になるかと思ったのですが、最近の暑さのせいか虫の数が増えた感じです。しかも、名前調べが結構難しい種類が多く、大変やら嬉しいやらです。



今日の最初はこの蛾です。よく見るオオシロヒメシャクの仲間ですが、図鑑と見比べるといつもの種とは違うようです。フタツメオオシロヒメシャクという種によく似ています。ただ、この蛾は南方系で、三重から大阪にかけてが分布の北限と書かれていて、私の住むところは、ちょうどぎりぎりその北限に入っています。「大図鑑」によると、「オスの触角の各節から長い枝を出す櫛歯状もある」ということが書かれています。この写真、よく見ると、その長い櫛歯状の触角が少しだけ見えています。ちなみに、手元にあるクロスジやヒトツメの標本は、どれも櫛歯が大変短いので、この写真はフタツメでよいのかもしれません。私は初めてです。



天井近くの壁に止まっていたので、こんな角度からの写真になってしまいました。かなり大型の蛾です。カラスヨトウの仲間で間違いないのですが、オオシマカラスヨトウとシマカラスヨトウで迷ってしまいました。模様からはシマカラスヨトウに近い感じですが、分布が中部以北なので、やはりオオシマカラスヨトウなのでしょうね。



これはあまり迷うことなく、ヤガ科のオオウンモンクチバだと思いました。



蛍光灯のケースにはツマジロエダシャクが止まっていました。



これはツトガ科のシロオビノメイガです。野外で花にいる姿をよく見かけます。



これはハマキガのチャハマキですね。「チャ」は茶色の意味ではなくて、お茶の害虫の意味です。ちなみに、「大図鑑」で「チャ」と名のつく蛾は46種載っていましたが、「チャバネ」、「チャイロ」、「チャマダラ」、「チャモン」のようにほとんどは「茶色」の意味のようです。「チャノ」という名はお茶の害虫の意味でしょうか。



このゾウムシの名前もなかなか分かりませんでした。天井に止まっていて、写真が不鮮明なのが問題ですが、上翅が短い感じで、また、白い輪の模様がある点、上翅ががたがたになっていること、脚の腿節が奇妙な形になっていることなどを手がかりに探して、ガロアアナアキゾウムシに辿り着いたのですが、自信はありません。



このハムシはすぐに分かるだろうと思ったのですが、意外に苦戦。結局、クロウリハムシにしたのですが、似たヒメクロやルリバネとは脚が黒いところで区別しました。



これはおそらくゴミムシの仲間だと思います。琵琶湖博物館の里山のゴミムシをちらっと見たのですが、この写真からではどうしようもない感じです。



最後に、地下駐車場の天井にいたバッタの仲間です。おそらくツユムシだと思います。(追記:知り合いの先生から、ツユムシではなく、ヒメクダマキモドキであると教えてもらえました。南方系の昆虫で分布を拡大しているようです。)

フタツメオオシロヒメシャクは採集すればよかったと少し悔やんでいます。でも、採集と撮影はどうも両立しなくて、採集を始めると名前が分からない種はすべて採集してしまうので、とても撮影をしている余裕がありません。また、珍しい種は撮影する前にぜひ採集しておきたいので、これもうまくいきません。しばらくは採集を諦めて、もっぱら撮影に集中することにしました。

廊下のむし探検 甲虫や蛾、クモなど

廊下のむし探検 第153弾

日中の気温が30度を越える異常な暑さのせいか、廊下のむしも少し盛り返してきました。

まず甲虫からです。



廊下にいました。生きているのやら死んでいるのやら分からなかったのですが、とりあえず写してきました。前胸の部分が奇妙な形をしているので、すぐに分かるだろうと思って図鑑を見たのですが、真上から写した図鑑ではほとんどその形が分かりません。仕方なしに、いろいろな図鑑やネットを見て、クロマルエンマコガネかなというところまでたどり着きました。



これは廊下の片隅で死んでいたのですが、ヨツボシケシキスイの仲間かなと思って図鑑を見たのですが、形や模様が少し違います。仕方なしに、図鑑を最初から見ていったら、ヒメオビオオキノコというオオキノコムシ科の虫に似ていることが分かりました。




これはこの間から登場している、サビマダラオオホソカタムシというホソカタムシ科の甲虫です。



これはオオホシカメムシです。カメラを向けた途端に廊下を走り始めました。それで、廊下に這いつくばりながら追いかけて撮影しました。



地下駐車場の外壁に止まっていました。セグロアシナガバチです。尾を上げ、こちらが動くとそれに合わせて向きを少しずつ変えて、今にも襲ってきそうです。秋の蜂は何か殺気立っている感じです。



このクモはなんだろうと思って、「日本のクモ」を最初から見ていったのですが、分かりませんでした。「原色日本蜘蛛類大図鑑」という本を以前古本屋で買ったことを思い出して、見てみると、初めの方に描かれているクモに似ていました。以前にも見たクモでした。ワスレナグモです。すっかり忘れていました。名前のせいでしょうか。



こんなクモもいました。小さなアリグモです。ヤサアリグモだと思います。



蛾も少しだけいました。不思議な色合いの蛾ですが、シャクガ科のエグリイチモジエダシャクです。



最後に、この黄色い蛾です。地下駐車場の天井に止まっていました。チャドクガです。黄色ですが、触角が発達しているので、オスの方かもしれません。図鑑を見ると、チャドクガは7月上旬と10月上旬から中旬にかけて発生し、7月に発生するオスは黒いのですが、10月に発生するオスはほとんどメスと同じような色になると書いてありました。

廊下のむし探検 いよいよ寂しくなってきました

廊下のむし探検 第152弾

10月に入ると虫の数がぐっと減ってきました。15分から20分かけて、ゆっくりマンションの廊下を歩いているのですが、いるのはツヤアオカメムシばかりという状態です。昨年のちょうど今頃、ブログを開設したのですが、振り返ってみると、最初に出した写真がツヤアオカメムシでした。

昨日見た廊下のむしは以下の通りです。



これはカギバガ科のウコンカギバだと思います。大図鑑によると、ヒメウコンカギバという似た種があるので注意を要するとありますが、決定的な違いはありません。蛾の図鑑ではよくこういう書き方がされていて、最終的には交尾器を調べよということなのですが、いちいち捕まえてきて交尾器を調べないと、名前さえ呼ぶことができないのは大変不便です。「ウコンカギバsp.」とか、「ウコンカギバの一種」といういい方もありますが、いかにも種類が特定できていないということを強調しているようで、あまり使いたくありません。外見上、区別がつきにくい種がある場合には、それらの種を合わせて呼ぶような、正式の名称を作っていただけるとよいなと思いました。



これはドクガ科のスギドクガです。地下駐車場にいました。この日唯一のやや大きめの蛾です。



一目見てコブガの仲間であると分かります。しかも、前翅に三角形のはっきりした模様があるので、イナズマコブガだと思います。コブガとはどういう意味か、ちょっと気になって調べてみました。中国語では「瘤蛾」といい、まさに、コブガです。また、韓国語でも혹나방と書き、혹は瘤、나방は蛾なので、コブガそのものです。どうやら語源は中国のようです。瘤に関係しそうなことは、幼虫の体にコブ状の突起が並んでいること、幼虫が脱皮殻を頭に何個もつけた異様な形をした種があること、成虫の翅に鱗粉によるコブ状の隆起があることなどが考えられますが、よく分かりませんでした。



最後に、小さなゾウムシです。ニセマツノシラホシゾウムシではないかと思います。

カメラのノイズを測る

コンデジにテレコンバージョンレンズを取り付けて、遠方を拡大して撮影していたら、背景の「ざらざら感」が気になり始めました。このざらざら感のためにせっかく拡大した像がはっきりしません。そこで、ざらざら感を何とかして測ってみようと思いました。



この図は、近くの山の頂上にある鉄塔をPanasonic DMC-FZ150にOlympus TCON-17Xというテレコンバージョンレンズを取り付け、三脚で固定して撮影したものです(周辺をトリミングしてあります)。鉄塔が二本見えていますが、その送電線に着目します。写真の四角で囲った部分を拡大したものが左下の写真です。画面がざらついていて、送電線がとぎれとぎれになっています。

黒い線に沿って、フリーソフトのImageJを用いて、明るさ変化を測ってみました。右下の図がそれですが、この図では赤、緑、青の成分を均等に足し合わせたGray Valueという値を使っています。矢印で示した送電線の部分が黒いために、Gray Valueが小さくなり、鋭い凹みになっています。この凹みの幅は3ピクセルほどで、ほぼ、カメラの限界の分解能になっています。しかし、問題は背景が一様ではなくてガタガタと変化しているところです。これを「ノイズ」ということにします。

このノイズは撮像素子の暗電流や読み出し時のスイッチングノイズによるものだと思いますが、撮影条件やカメラの種類によってどう変わるか定量的に測定してみようと思いました。実際には撮像素子で得られたイメージはカメラ内部でデータ処理をしているので、撮像素子そのものの性能を見るのなら、RAWデータで比較すべきだと思うのですが、実際使っている画像が処理をした後のものなので、今回は、JPGで出力された画像について比べてみました。

定量的に調べるためには、画面全体で明るさが一様になるような光源が必要です。そこで、次の写真のような配置にしてみました。



実験手順は以下の通りです。

1)測定するカメラの前に蛍光灯を置きます。
2)カメラの画面を蛍光灯の中心に合わせます。
3)マニュアルフォーカスにして、カメラのファインダーを覗きながら、ズームやフォーカスを変化させ、できるだけ一様な明るさになるようにします。
4)そのままの状態で、レンズの前に白い紙を貼り付けます。

後は撮影するだけです。

このようにして撮影してみると、背景のざらざら感はカメラの種類によって随分異なります。



これは、Nikon D90と古いSony DSC-HX1というコンデジの測定結果です。ISOを共に200にし、絞りとシャッター速度を変えて、ほぼ同じ明るさになるように撮影したものを拡大したものが上に載せてあります。Sonyの方がだいぶざらざらした感じです。それをImageJで解析したものが下の2つの図です。真ん中の図はほぼ中央の部分の明るさ変化を調べたもので、Sonyの方がノイズがかなり大きいことが分かります。上の図全体について明るさ分布を取ったものが一番下の図です。分布の幅が広いということは明るさがそれだけ変化していることを意味しています。ここで、Gray Valueは次のような明るさに対応しています。



ざらざら感はISO感度によっても大きく変化します。そこで、絞り優先モードにして、ISO感度を変えて撮影してみました。撮影した画像は、ImageJを用い、できるだけ明るさが一様な矩形領域を選んで、Histogramの機能を用いて、平均の明るさとノイズの標準偏差を求めました。測定した結果が次の図です。



上がNikon D90、下がPanasonic DMC-FZ150です。Nikonでは絞り優先で合わせるとGray Valueが150付近に合いますが、Panasonicでは135付近に合うようです。本来、絞り優先では明るさを一定にするようにシャッター速度を変化させるので、ISOを変えてもGray Valueは一定になるはずです。左側のグラフはISOを変化させた時の平均の明るさですが、確かにNikonではほぼ一定になっています。これに対して、PanasonicはISO値を増加させると、どんどん暗くなっていきます。そこで、ほぼ同じ明るさになるように、マニュアルモードでシャッター速度を変え、ノイズを測定したものが右の図です。この図の横軸は対数目盛になっています。ISOを大きくすると共に、ノイズは急激に増えます。Nikonではノイズの大きさがそれでも2程度なのですが、Panasonicでは8近くまで上昇します。

次に、明るさの違いによるノイズの変化を測ってみました。やり方は、まず、ISOを200に固定し、絞り優先モードで絞りとシャッター速度を決定し、その後、マニュアルモードでシャッター速度を変化させて画像の明るさを変化させました。手元にある4つのカメラで行った結果が次の図です。



横軸は明るさをGray Valueで表し、縦軸はノイズの大きさを標準偏差で表しています。ノイズですから、少ないほうが良いのですが、機種によって随分違います。さすが、一眼レフのNikonは明るさ全般においてノイズは小さく、それに対してコンデジ3種は大きいことが分かります。Panasonicの2種は暗い部分のノイズが新しいFZ70の方が良好ですが、後はほとんど同じです。古いSonyの機種はもっともノイズが多い結果が得られました。

全般的にGray Valueが50-150程度のときに、ノイズがもっとも大きくなっています。これは一つには飽和のせいだと思われます。つまり、明るくなると、撮像素子の飽和によって明るさの変化に対してGray Valueが変化しなくなるため、ノイズも小さくなるのではないかと考えられます。いずれにしても、明るさのレベルは0-255までの範囲しかないのですが、ノイズがそのうち5-6もあると撮影に苦労するはずです。

もう少し、この実験を進めるには

1)データ処理をしていないRAWデータでも試してみる。
2)明るさを一定にして、シャッター速度を変えた時の変化も調べてみる。
3)ノイズがピクセル単位なのか、いくつかのピクセルにまたがっているのか、空間的な相関、あるいは、空間フーリエ変換を行って評価する。

などがあると思います。

いずれにしても、コンデジはやはりノイズが多いですね。

廊下のむし探検 クスサンほか

廊下のむし探検 第151弾

秋の定番の蛾、クスサンが登場しました。



クスサンはヤママユガ科の代表的な蛾ですが、私のマンションではそれほど多くは見られません。1995年から5年間ほど蛾の数を記録したことがあったのですが、その時は9-10月にかけて5年間で合計4匹だけでした。ヤママユが7-9月にかけて66匹、ヒメヤママユが10-11月にかけて32匹に比べると、如何に少ないかが分かります。東京都では絶滅危惧種I類に指定されています。

クスサンは繭から糸を取る天蚕として知られていますが、それほど実用化はされていません。むしろ、幼虫が多食性でいろいろな樹木の葉を食べるので、樹木の害虫として知られています。名前の由来になったクスノキのほか、ブナ科、ニレ科、ウルシ科、ヤナギ科など数え上げるときりがありません。中国ではこの蛾のことを、イチョウの害虫という意味で「銀杏大蚕蛾」と呼んでいるようです。

クスサンの学名が図鑑によってまちまちなので、ちょっと調べてみました。1982年に出された「大図鑑」には、Dictyoploca japonica (Moore)と書かれていますが、2011年に出された「標準図鑑」では、Saturnia japnoica (Moore, 1872)と記されています。「大図鑑」の発行の後、学名の変更を記した"PostーMJ"という小冊子がいくつか出されています(MJはMoths of Japanの略で、「大図鑑」を指しています)。それによると、1994年のEdition 1では、Caligula japonica Moore, 1862と変更されたことが書かれていました。その後、2000年にもEdition 2が出され、それには、Saturnia japonica (Moore, 1872)となって、「標準図鑑」と一緒になりました。

学名の書き方は、「属名 種名 命名者, 発表年」となっていますが、命名後に、属名が変更されると、命名者と発表年を括弧付きで書くことになっているようです。1994年のEditionでは、1984年に出されたInoueの論文に従って、もとの命名に戻されたが、その後、Nassig 1994年に出された論文に従って、Saturnia japonicaになったということのようです。ただし、Google検索をすると、Caligula japonicaが最も多くて3420件、次にDictyoploca japonicaで2730件、最後にSaturnia japonicaで1520件でした。

その他の虫です。



この蛾はヤガ科のマエキヤガです。マエキの部分が結構太いので見たときドキッとしました。



複雑な模様ですが、ヤガ科のヒメエグリバです。



何度か出てきていますが、シャチホコガ科のスズキシャチホコです。



これも何度か登場していますが、ヨツモンマエジロアオシャクです。前翅の前縁が白くなっています。



やや大型のハマキガです。模様から判断するとアトキハマキだと思います。



この蛾の名前は少し迷いました。翅にある鍵型の模様が特徴的で、おそらくハラブトヒメハマキだと思いますが、ちょっと自信はありません。



カメムシでは相変わらずツヤアオカメムシが多いのですが、その他に、オオホシカメムシもいました。



これは以前にも出てきた、サビマダラオオホソカタムシだと思います。天井に止まっていました。

秋になってきても、そこそこ虫がいますね

廊下のむし探検 クワガタ、カメムシ、蛾など

廊下のむし探検 第150弾

「廊下のむし探検」に登場する虫がだんだん減ってきました。その分、名前調べは楽になってきました。

今日の主人公はクワガタのメスでしょう。



小さいクワガタなので、コクワガタかなと思うのですが、図鑑を見ても、メスはみな同じようで区別がつきません。しかし、さすがクワガタです。「クワガタ メス 見分け方」でグーグル検索を行うと見分け方を書いたサイトがいくつも見つかりました。



要は、上の図に示すように、①前脚脛節が直線的か曲がっているか、②前胸背板の角がえぐれていないか、③鞘翅に筋がはっきりついているかどうか、などの違いで見分けるようです。この写真では、前脚脛節が直線的で鞘翅の筋がはっきりしないので、コクワガタかヒメオオクワガタかというところで、前胸背板の角がえぐれていないので、コクワガタかなというところです。前回は8月半ばに見たので、1ヶ月半ぶりの再会です。



この日も廊下のあちこちにカメムシがいました。ツヤアオカメムシです。マンション全体で20-30匹はいたのではないかと思います。どうしてこんなに発生したのでしょう。



廊下の壁の微妙な高さのところにいたので、斜め下から写真を撮るような形になってしまいました。翅にこのような白い点のあるカメムシはナガカメムシの仲間ですが、いろいろと図鑑と見比べ、チャイロナガカメムシではないかと思います。



これはウシアブです。いつもはパスしているのですが、この日は虫が少ないので出しておきます。(追記2018/03/05:検索表が♀用しかないので、♂の場合はTabanus sp.としておきます



翅が一部引きちぎられていますが、オンブバッタです。何にやられたのでしょうか。

次からは蛾です。



この蛾は少し珍しいと思いました。シャクガ科アオシャク亜科のコアヤシャクです。これまで1度しか見たことがありません。ひと通り、廊下を歩いてからカメラを家に置き、網をもって採集に行ったのですが、もういなくなっていました。



これはシャクガ科のヨモギエダシャクです。「ヨモギ」とありますが、雑食性で、幼虫は何でも食べてしまいます。図鑑には、イチョウなどの裸子植物、広葉樹、草本、野菜、果樹、花卉(かき;観賞用の植物)などに寄生するとありました。



それにいつものウスキクロテンヒメシャクです。



これはヤガ科のアオアツバです。いつもより模様が派手なので写真を撮りました。



メイガ科のトビイロシマメイガです。腹部を湾曲させて止まっています。



ストロボが強すぎて色が飛んでしまいました。翅の中央に模様があるようなので、シバツトガかなと思うのですが、よく分かりません。



最後は、トリバガ科のエゾギクトリバです。この日は風が強かったのですが、廊下の壁で必死に風に耐えていました。

廊下のむし探検 カメムシ、カマキリ、アリほか

廊下のむし探検 第149弾

この日はやたらカメムシが目に付きました。秋も深まると、越冬のためかマンションにはカメムシが集まってくるのですが、まさか、まだ9月なのにどうしてでしょう。






今日目立ったカメムシはこのツヤアオカメムシでした。蛍光灯のところに4-5匹固まっているところもあり、マンション全体では十数匹は見かけました。



これは先日も出てきたクロホシカメムシだと思います。



カマキリもいました。上翅を広げていたので、下翅がよく見えます。翅に白い点があるので、ハラビロカマキリでしょう。



大きなアリです。床の模様から体長を計算すると12mmにもなりました。クロオオアリかなと思って、以前、買ったおいた学研の「日本産アリ類全種図鑑」と見比べてみると、腹の形や毛の生え具合などは、クロオオアリよりむしろカラフトクロオオアリに似ている感じです。ですが、カラフトクロオオアリは寒冷地で、北海道や中部山岳地方にしかいないようなので、やはりクロオオアリなのでしょうね。それにしてもこの図鑑、学研から出すには少々マニアック過ぎる感じですね。値段も高いし(7000円)。ただし、ホームページでもその内容を見ることができます。



これはこの間も登場したワモンサビカミキリでしょうね。



体長数mmの小さなカミキリです。図鑑を見ても似たような種類があって、よく分かりません。ナカネアミイロカミキリかなと思うのですが、自信はありません。



これはアカビロウドコガネでしょうね。マンションの廊下では何回か観察しています。



スズメガ科のホシヒメホウジャクです。成虫越冬するので、マンションでは冬にこんな姿をよく見かけます。



これはヤガ科のキノコヨトウです。キノコという名前がついていますが、この仲間は地衣類を食草とします。



これはカギバガ科のウコンカギバです。翅の先が尖っているのはカギバガの特徴です。



似た種類があるのではっきりしないのですが、シャクガ科のニセオレクギエダシャクだと思います。





模様が若干異なりますが、両方共、シャクガ科のツマキエダシャクです。



黒白のくっきりした模様の蛾です。ツトガ科のシロモンノメイガです。今日は地下駐車場に2匹いました。



廊下で小さい蛾がうろちょろしていました。見た感じハマキガであることは確かなのですが、羽の先から頭の先まで5-6mmしかない小さい蛾です。模様がはっきりしているので「大図鑑」で調べ、ホソバチビヒメハマキだろうと思って、今度は「標準図鑑」を見てみるとびっくり。似たような種類がたくさんいます。しかも、図鑑には交尾器が違うとしか書かれていません。なんでこんなことをするのでしょうね。お陰で名前も呼べなくなってしまいました。
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