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テレコンバージョンレンズの仕組み

望遠レンズの焦点距離を伸ばす方法として、テレコンバージョンレンズ(テレコンバーター。略して、テレコン)を取り付ける方法があります。これには2つのタイプがあって、一つはレンズとカメラ本体の間に入れるタイプ(リアコンバーター)、もう一つはレンズの前に取り付けるタイプ(フロントコンバーター)です。レンズの取り外しのできないコンデジが出現してから、レンズの前に取り付ける後者のタイプは急速に普及してきました。今回は、フロントコンバーターについて、その仕組を説明します。





上の写真の左側はレンズの前に取り付ける1.7倍のテレコン(Olympus TCON-17X)とコンデジ(Panasonic DMC FZ-150)で、右側はそれを取り付けたところです。

このテレコンはどんな仕組みになっているのか調べてみました。

フロントコンバーターは凸レンズと凹レンズの組み合わせでできています。例えば、上の図のレンズL1とL2の組み合わせがそれに当たります。このとき、2つのレンズの焦点位置を一致するようにすると、平行光線が凸レンズL1に入射すると、その焦点位置P1に収束するように曲がりますが、凹レンズL2があるために再び平行光線になって出力します。つまり、テレコンは平行光線をビーム径を変えて再び平行光線として出力するレンズ系なのです。テレコンを通して見ると景色がそのまま見えますが、その大きさが少し大きくなっています。つまり、テレコンはそれ自身では焦点を結ばない光学系なのです。

テレコンを通って平行光線になった光は、カメラレンズLに入り、撮像素子I上の点P2に焦点を結ぶことになります。この時、例えば、図の一番上の光線に着目して、P2とAを結ぶ線と、CとDを通る入射光線をそれぞれ延長して、その延長線が交わる点Bを考えます。この延長線でできた光学系は、レンズL1、L2、Lを考えずに、仮想的な凸レンズL'を考えた場合と、カメラレンズLと撮像素子Iの間の光線を考える限り、全く同じ光路を通ることになります。つまり、仮想的な凸レンズを考えることで、テレコンの役目を説明できるのです。

この仮想的な凸レンズの焦点距離はどのくらいになるのかは、レンズの公式と上の図から求められます。詳細は「廊下のむし探検付録」の「テレコンバージョンレンズの仕組み」に載せましたが、その結果は次のようになります。

ここで、fはカメラレンズの焦点距離で、f'は仮想的な凸レンズの焦点距離です。また、f1とf2はテレコンの凸レンズと凹レンズの焦点距離です。H=f1/f2はテレコンの倍率を表し、この式から、テレコンを取り付けることにより、焦点距離がH倍になっていることが分かります。

しかし、この焦点距離が伸びるという考え方は、被写体が無限大の距離にあるときにだけ使える考え方です。実際の撮影では、別の考え方が必要になります。その場合の光学系を次に載せます。



この図は、Sで表した被写体(光源)をテレコンを用いて撮影している例です。この場合の光路を書くためには、まず、L1レンズでSの実像をRに作ることを考えます。図では、実線は実際に光が通る光路を表し、破線は補助線を表します。すべての光路を描くと図が複雑になってしまうので、実線については必要な部分だけを抜き出して描いてあります(付録参照)。

光源Sの先端から出た光線のうち、実像を考えるのに必要な光線は、軸に平行な光線と、凸レンズL1の中心を通る光線です。この2本の線によって、実像Rの位置を特定することができます。一方、軸に平行な光線は、凹レンズL2の作用で再び平行光線になり、カメラレンズLに入射し、焦点位置P2を通り、撮像素子上に焦点P3を結びます。

次に、実像Rの先端を通り、凹レンズL2の中心を通る光線を考えます。この光線もそのままカメラレンズLに入射する光線として考えることができます。したがって、カメラレンズLに入射する光線には、軸に平行な光線と凹レンズの中心を通る光線があることになり、それが最終的には撮像素子上に像を結ぶことになるのです。この光学系は、それぞれの線を入射側に延長したところに虚像Vがあるとして考え直すことができます。つまり、光源Sから出た光は、テレコンの作用により、虚像Vから出た光としてカメラレンズに入ることになります。カメラレンズの立場で言えば、光源の位置が無限大の距離にない場合には、光源の位置が見かけ上近くにあり、しかも、像の大きさは小さくなるわけで、その分、カメラレンズの位置を変えて焦点を合わせ直さなければならないことを意味します。

この場合の虚像できる場所もレンズの公式と相似の関係から求めることができます。詳細は、やはり、付録に載せますが、その結果は

となります。ここで、aは光源とテレコンとの距離、a'は虚像とテレコンとの距離です。

実際にこの関係式が成り立っているかどうかは簡単な実験で確かめることができます。距離が分かったところに被写体を置き、テレコンを取り付けてピントを合わせます。次に、フォーカスをマニュアルにして、ピントの合った場所にフォーカスを固定します。この状態でテレコンを外して、ピントがどこに合っているか調べればよいのです。テレコン(Olympus TCON-17X)とコンデジ(Panasonic DMC FZ-150)の組み合わせで実験した例を次にお見せします。



横軸に被写体とテレコン間の距離を取り、縦軸にテレコンを外したときにピントの合っている位置とテレコンが置いてあった場所との間の距離を取ります。実線は上の式で計算したものです。この計算では、H=1.7として、また、テレコンの凸ー凹レンズ間の距離を60mmと見積もり、それから、f2=60/(1.7-1)=85(mm)、f1=1.7*f2=145(mm)として計算したものです。距離が長い部分が少し計算値とずれますが、全体としてよく合っています。このことから、テレコンを取り付けたカメラは、テレコンによってできた虚像にピントを合わせようとしていることが分かります。

それでは、テレコンを入れると、何がH倍になるのでしょう。これも詳細は付録に載せますが、この場合は焦点距離ではなくて倍率の方になります。虚像を作ることで、像の大きさは1/H倍になりますが、近い場所にある虚像を撮影することで、像の大きさはH^2倍になります。この2つを合わせると、最終的な像倍率はH倍になるのです。つまり、テレコンは焦点距離を伸ばすのではなくて、遠くにある被写体の代わりに近くにその虚像を作り、結果として倍率を上げる役割を果たしていることになります。

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廊下のむし探検 蛾が少々

廊下のむし探検 第148弾

すっかり秋らしい天気になってしまい、マンションの廊下も寂しくなってきました。昨日の「廊下のむし探検」の結果です。この日、目立ったのは蛾ばかりでした。



ちょっとレトロな感じのする蛾です。シャクガ科のツマキエダシャクです。この蛾は個体によって色がずいぶん変化します。(追記:同定が間違っていました。ヤマトエダシャクでした



前翅が大きく破れていますが、鳥のビークマークかもしれません。シャクガ科のオオバナミガタエダシャクです。



このところ、この種の蛾がたくさん出ていて名前調べが大変です。実のところ、あまり良くは分かりません。外横線がギザギザになっているところから、ウスキヒメシャクかなと思っていたのですが、「外横線は後縁部で黒褐色の小紋を形成する」という「大図鑑」の記述から、オイワケヒメシャクかもと思うようになりました。



今まで何度も登場したキオビベニヒメシャクです。ストロボをたいて写真を撮ると艶があるように写ります。



前翅の銀白紋が連結するのがエゾギクキンウワバだと思っていたのですが、ネットで見ると、このように途中で途切れている個体もいるようです。



これはヒトリガ科のヨツボシホソバです。オスとメスとで色が随分違います。これはオスの方で、メスは全体が黄色で2つの青黒い紋があります。



これはドクガ科のモンシロドクガです。

一時期、多かったメイガ類がすっかりいなくなってしまいました。



廊下の隅にツクツクボウシがいました。近づいても逃げません。以前、チッチゼミも来たことがあるので、今年も来ないかと楽しみにしています。



おそらくゴミムシの仲間だと思うのですが、図鑑を見ても名前がなかなか分かりません。甲虫は難しいですね。

廊下のむし探検 名前の分からない蛾がいました

廊下のむし探検 第147弾

表題の蛾はこの蛾です。



名前が分からない時は、いつも、5000種載っている「大図鑑」を端から見ていくのですが、この種は分かりませんでした。全部で3回ほど見直したのですが、見つからないので、今度は、全4巻になっている「標準図鑑」を端から見ていきました。しかし、やはり分かりません。大きさは測らなかったのですが、小さい蛾です。どなたかお分かりになる方はお教えください。(追記:ヤガ科亜科不確定のクロテンカバアツバようです



これはヒトリガ科の仲間であることはすぐに分かるのですが、それ以上は特徴がないので分かりません。半ば、諦め気味です。



この蛾もなかなか分かりませんでした。ヤガ科のケンモンヤガの仲間かなと思って、「大図鑑」のその辺りを重点的に探したのですが、なかなか見つかりません。「標準図鑑」で改めて探したら、見つかりました。シロハラケンモンです。翅に走る内側の濃色の線が独特の形をしています。



これはシャクガ科のツマジロエダシャクです。前翅と後翅の間を開けた独特の止まり方をしています。



模様がはっきりしませんが、同じくシャクガ科のフタヤマエダシャクです。



これはゾウムシの仲間でニセマツノシラホシゾウムシかなと思っています。



これは、カメムシの仲間で、クロホシカメムシだと思います。カメムシの名前調べは、全国農村教育協会の「日本原色カメムシ図鑑」という図鑑を重宝しています。この後に出た、カスミカメが載っている第2巻も購入したのですが、最近、第3巻も出たということをネットで知りました。買おうかどうか迷っているのですが、1冊12000円もするので躊躇しています。

今日は蛾の名前調べで精力を使い果たしました。「廊下のむし探検」は、時間は15-20分くらいと短いのですが、後の名前調べに随分時間を費やします。でも、だんだんその時間が楽しくなってきました。

廊下のむし探検 鳥の羽、ミジンベニコヤガなど

廊下のむし探検 第146弾

昨日は外出するときにエレベーターに乗らず、カメラを持ってマンションの廊下を歩きました。わずか20分ほどの時間でできる「廊下のむし探検」です。

廊下を歩いていると小さくて綺麗な鳥の羽が落ちていました。



あまりに綺麗なので、拾ってきました。全体の長さは45mmほどの小さな羽です。以前、文一総合出版から出された「野鳥の羽ハンドブック」という本を買いました。一度も使うことがなかったのですが、やっと出番が来たと思って調べてみました。このような白い斑点のある羽は、トビ、シギ、フクロウ、ヤマセミなどたくさんあるのですが、似ているのはアカゲラやコゲラの羽です。小さくてこの辺りにもよくいる鳥ということで、おそらくコゲラの次列風切羽かもしれません。

その他の「むし」です。



地下駐車場の天井にいました。8月初めにも見た、ワモンサビカミキリではないかと思います。



モリチャバネゴキブリだと思います。Wikipediaによれば、森林性で人家では見られないということですが、マンションの廊下の壁をゆっくり登っていました。この間のオオゴキブリといい、森林性のゴキブリが人家にだいぶ近づいているのではないでしょうか。



クモの名前調べは難しいです。やはり文一総合出版の「日本のクモ」という本を眺めているのですが、腹の模様や足のまだら模様からイエオニグモかなと思うのですが、自信はありません。

蛾は思いの外、たくさんいました。



前脚を伸ばした独特の形をしています。これはスズキシャチホコです。今年5月にも見ていました。



同じく毛むくじゃらの前脚を前に伸ばしていますが、これはドクガ科のスギドクガです。



同じドクガ科の蛾でも、まったく違った形で止まります。「廊下のむし」初登場ですが、ニワトコドクガです。大図鑑には、ニワトコのほか、カマツカ、ズミ、ブナが食草だと書いてありました。



この間から何度も出ているミドリリンガです。ヤガ科だったのですが、コブガ科リンガ亜科に入れられています。後翅が赤いので、前翅の緑と補色関係にあり、開くと大変目立ちます。



ちょっと写真をぼやけてしまって残念なのですが、同じくコブガ科リンガ亜科のトビイロリンガです。大変綺麗な蛾です。



これはヤガ科のエゾギクキンウワバです。幼虫の食草はエゾギクやヒメジョオンのキク科だそうです。



表題にあったミジンベニコヤガです。たいへん小さな蛾で、翅を開いた時の長さ(開張)が9mmほどしかありません。数は多くなくて、福岡県では準絶滅危惧種に指定されています。私のマンションでは2,3年に一度見る感じです。コヤガの仲間は好きなのですが、これは特に小さくて可愛い感じがします。



これはケブカチビナミシャクだと思います。

ヒメシャクの仲間はたくさんいました。









ヒメシャクはみな似ているので、できたら避けたいところですが、この日はまとめて撮影してみました。並べるとそれなりに違いは分かりますが、いざ図鑑と見比べてもどれがどれだか分かりません。これまで採集した標本と見比べたりして、上から、ウスキヒメシャクナミスジチビヒメシャクヤスジマルバヒメシャクウスキクロテンヒメシャクと同定しましたが、あまり確かではありません。

廊下のむし探検 アオスジカミキリほか

廊下のむし探検 第145弾

マンションの廊下も閑散としてきました。そんな中、久しぶりにカミキリムシの姿を見ることができました。



アオスジカミキリです。索引を見ると、過去6月と8月にブログに載せていました。ネットで調べてみると、6月と9月末に成虫発生のピークがあるとのことです。



この間から出ているウスバカゲロウですが、この日の個体はかなり小型です。ウスバカゲロウとの違いがよく分からないのですが、コウスバカゲロウの方ではないかと思っています。



アオマツムシが今日も、地下駐車場の天井に止まっていました。



廊下の壁にキイロスズメバチが止まっていました。こちらが動くとそれに合わせて頭を動かします。かなり意識されているようです。近寄らないように廊下の隅を歩いて行きました。



小さい蛾ですが、少し見覚えがありました。これはヤガ科のハイマダラコヤガという蛾だと思います。「大図鑑」には載っていないので、以前、せっせと採集していたら、5月から10月にかけて20頭ほど採集していました。「標準図鑑」には載っていて、数は少ないと書いてありました。



これも小さい蛾ですが、ハイイロホソバノメイガというツトガ科の蛾です。以前にも登場しています。



これはヤガ科アツバ亜科のアオアツバです。この蛾は一年を通してよく見る蛾です。今日は蛾の数が少ないので載せておきます。

廊下のむし探検 コオロギと蜘蛛と蛾

廊下のむし探検 第144弾

秋になって何となくマンションの廊下も閑散としてきました。特に、甲虫がいなくなってきたのが寂しいですね。その代わり、バッタの仲間はよく登場するようになりました。

今日はこのコオロギからです。



例によって「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」を見たのですが、産卵管があるのでメスであることは分かりますが、どれも似ていて区別がつきません。そこで、顔を拡大してみました。



目と目の間の白い線が目立ちます。モリオカメコオロギかハラオカメコオロギあたりかなというところまでたどりついたのですが、その区別がつきません。この2種の違いは、図鑑やネットで調べたのですが、どれもあいまいではっきりした区別を書いたサイトが見つかりませんでした。なんとなくモリオカメコオロギの方かなと思っていますが、文献を調べてみる必要があるようです。(追記2015/10/27:いくつかいるオカメコオロギの区別がまだつきません。一応、保留ということにしておきます



アリによく似たクモがいました。数ミリほどしかない小さなクモで、おそらく、ハエトリグモ科のヤサアリグモではないかと思います。



同じハエトリグモ科のクモもいました。「日本のくも」(文一総合出版)で調べてみると、ミスジハエトリというクモに似ています。図鑑には、「本来は屋内性であるが、アダンソンハエトリの侵入地では競争に負け、野外で生活している」と書いてありました。クモにもいろいろと厳しい環境があるのですね。このクモは廊下にいました。



ガガンボの仲間はよく分かりませんが、これはマダラガガンボでしょうか。



廊下の真ん中にいました。生きているのやら死んでいるのやら分かりません。背側に2本のはっきりした筋が入っています。セスジスズメです。



似た仲間で、筋がはっきりしない種類もいます。こちらはコスズメの方です。



地下駐車場の天井には黄色の蛾が何匹かいました。ドクガ科のゴマフリドクガです。黄色い蛾にはご用心!



この間からよく見かけるヤガ科のミツモンキンウワバです。廊下にいたので、近づいて撮影してみました。ストロボをたいたら、翅全体が光って綺麗に見えました。



似た種類が多いのですが、翅の中央にある白い点がはっきりとしています。おそらく、キスジツマキリヨトウだと思います。私のデータベースでは過去に6月1頭だけ採集していました。



この種の蛾にはいつも苦しめられるのですが、候補としては、オオウスモンキヒメシャク、ウスキヒメシャク、オイワケヒメシャクあたりが挙げられるのですが、「外横線がこまかく鋸歯状をなす」というところから、ウスキヒメシャクかなと思うのですが、自信はありません。



メイガの仲間であることはすぐに分かるのですが、図鑑を見てもどの種だか分からなくて、後から網と毒瓶を持って採集してきました。久しぶりの展翅です。クロスジキンノメイガという蛾のオスでした。調べてみると、過去に、7-8月にかけて何頭か採集していました。



これはヒロバウスグロノメイガですね。



マエアカスカシノメイガもいました。



似た種類が多いので迷いますが、おそらく、ホソバヤマメイガではないかと思います。



最後のこの種。写真もはっきりしていないし、そもそも翅の形が丸いので、蛾なのか他の昆虫なのかさえよく分かりません。試しに、「標準図鑑」のIII巻をパラパラめくっていると、模様が似た種類があります。ひょっとすると、
ヒロズコガ科のシマヒロズコガかもしれません。初めてだったので、慌てて採集にいったのですが、もういませんでした。

廊下のむし探検 マダラウスバカゲロウと蛾など

廊下のむし探検 第143弾

まだ、9月なのですが、今年は秋の訪れが早い気がします。9月は虫が多い月のはずだったのですが、今年はやけに少ない感じです。

昨日のマンションの廊下の「むし」を紹介します。



翅に半円の模様がありますが、マダラウスバカゲロウだと思います。いつもは天井や壁の手の届かないところに止まっているのですが、この日は廊下の手すりに止まっていたので、思い切って近寄って写してみました。



触角が面白いですね。先が曲がっていて、その部分だけが黒くなっています。マダラウスバカゲロウはあまり数が多くないのか、京都、群馬、北海道では準絶滅危惧種に指定されています。京都府のホームページにはウスバカゲロウ中でもっとも美しい種であると書かれていました。ウスバカゲロウの幼虫はよく知られた蟻地獄ですが、本種は営巣をしないためその発見は大変難しいとも書いてありました。



もう一種、ウスバカゲロウがいました。これは、本家の方のウスバカゲロウでしょうか。



最近、山道を歩くとオオセンチコガネが飛んでいる姿をよく見かけますが、マンションの廊下にも今いっぱい来ています。以前、オオセンチコガネとセンチコガネの見分け方について書きました。それによると、前胸背板中央の縦溝と頭楯の形が決め手になるということでした。そこで、これも頭の方をアップして写してみました。



この写真では銀色に輝いて見える平たい部分が頭楯です。この形が半円形だったらセンチコガネ、長めで台形ならばオオセンチコガネでしたね。この写真では台形に見えるので、オオセンチコガネでしょうね。



これはエンマコオロギですね。地下駐車場にいました。何か食べているようです。これも頭部を拡大してみました。



まるで歌舞伎役者のような、いかめしい顔をしています。食べているのは何かの葉っぱでしょうか。



ヤママユが廊下に止まっていました。蛾が怖い私にとっては緊張する瞬間です。



やや大型の蛾です。ヤガ科の蛾で、似た種にシマカラスヨトウとオオシマカラスヨトウがありますが、おそらくシマカラスヨトウの方だと思います。



これはヤガ科のウスアオモンコヤガだと思います。コヤガの仲間は小さいからか何となく好きです。



これもヤガ科の蛾で、黒い三角形がはっきりしていないので、クロキシタアツバの方だと思います。後翅は黄色で目立ちますが、隙間から少しだけ見えています。



先日も出てきた、カギバガ科のウスギヌカギバです。翅の模様が芸術的ですね。



これも似た種があるのですが、おそらくマルハキバガ科のホソオビキマルハキバガの方だと思います。

「むし」の数が少ないので、少し顔のアップを増やしました。

廊下のむし探検 バッタと蛾が多い

廊下のむし探検 第142弾

台風18号がものすごい勢いで日本列島を通過していきました。私の住むところでは、午後から台風一過で晴れてきたので、風は強かったのですが、早速、廊下で虫を探してみました。台風の風に乗って南方からの虫がやってきているかもという期待もあって。



この日はバッタの仲間が目につきました。これはササキリの仲間だなと思って、「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」(北大出版)でササキリの辺りを見たのですが、黒い筋が頭に到達する部分が太くなっていて、どの種にも合いません。ひょっとして図鑑に載っていない種かもと思って、九大の日本産昆虫目録データベースで「ササキリ」をキーワードで調べてみると、本州産は6種。いずれも図鑑に載っていました。変異かもと思って、図鑑をぱらぱらめくっていると似た種類が見つかりました。セスジササキリモドキです。ササキリモドキ科といって別の科に属していました。そういえば眼の色も違うような。



1cmほどの小さいバッタですが、翅の網目模様と翅の先が細く伸びているところが目立ちます。何だろうと思って図鑑で調べてみるとマツムシモドキという種類のようでした。そういえば、8月終わりにも見たことがあったなぁと思い出しました。(追記:ヒバリモドキ科のウスグモスズの長翅型のようです



これはアオマツムシです。秋になると樹上でよく鳴いています。マンションの壁でもときどき見ます。明治時代に入ってきた帰化種なのですね。



ハナムグリであることは間違いないのですが、種類までは分かりませんでした。図鑑を見ていると、頭の前縁はどうの、前脚の脛節はどうの、・・・というようなことが書いてあり、写真を撮るとき、いろいろな角度から撮ればよかったとちょっと後悔しました。



それに、いつも名前調べを諦めているコメツキです。



これはホシウスバカゲロウですね。



ヒゲナガカワトビケラは春に大量に見るのですが、今頃になると再びときどき見るようになります。



綺麗な蛾です。カギバガ科のウスギヌカギバです。



これは何度か登場しているチャノウンモンエダシャクです。



ヒトリガ科のハガタキコケガです。前脚を伸ばしてちょっと変わった止まり方をしていますね。



小さい蛾ですが、雰囲気でコブガの仲間であることはすぐに分かります。でも、名前調べには苦戦しました。私は「大図鑑」愛好家なのですが、コブガの場合は「標準図鑑」の方が見やすいようです。内横線を縁取る黒い模様が特徴的です。外横線、亜外縁線が図鑑とまったく同じというわけではないのですが、シロオビコブガではないかと思っています。私のデータベースにはないので、初めて見たことになります。本州北部以南に生息しているようです。



これはメイガ科のハチノスツヅリガです。ネットで調べてみると、「巣虫」と呼ばれ、養蜂家にとっては困った害虫の一つのようです。ミツバチの巣に入り込んで卵を産み、巣のかけらやハチの幼虫や蛹を餌にするそうです。



これはメイガ科のフタスジシマメイガです。



これはツトガ科のコブノメイガです。

最後に地下駐車場の出口付近の天井を見ると、



大きなゲジゲジ、オオゲジがいました。

結局、南方系の昆虫は見当たらなかったですね。

AF合焦時間を測る

カメラで撮影するとき、オートフォーカス(AF)がなかなかうまくいかないことがあります。また、フォーカスに時間がかかることがあり、いらいらすることもあります。いったいどのくらいの時間でフォーカスが合うのでしょう。

カメラのフォーカスの合わせ方には、位相差検出方式とコントラスト検出方式があります。前者は速いのですが、精度はあまり高くなく、後者はやや遅いのですが、精度は高いとされています。一眼レフの場合は通常、位相差検出方式が採用されているようです。

手元にある一眼レフとコンデジを使って、それぞれの合焦時間を調べてみました。方法は簡単です。フォーカスの合っていく過程を、カメラのファインダーから別のカメラで動画撮影して判断するのです。



実験の模式図を上に示します。カメラのファインダーを別のカメラで動画撮影します。撮影には図のようにコントラストの高い縞模様を印刷したパターンを用いました。まず、近いパターンにフォーカスを合わせて、次にそれを取り除いて、遠いパターンに合うまでの経過(近→遠)をみます。また、逆の場合(遠→近)も調べてみます。



上の写真はNikon D90にAF Micro Nikkor 60mm/2.8を取り付け、4.0mの距離のパターンにまずフォーカスを合わせた後、93cmにある近くのパターンにフォーカスが合っていく過程を示したものです。数字は合焦した時間を0として秒単位で書いてあります。

Nikonの場合は焦点を合わせている間、合焦範囲を示す矩形のマークが赤くなるのでよく分かります。この図からは合焦時間は約0.3秒であることが分かります。同じ実験を何回か行って平均を取ると、遠→近の場合は0.30秒で、近→遠の場合は0.32秒であることが分かりました。

手元にあるコンデジも試してみました。最近、よく使っているPanasonic FZ150で、フォーカスボタンをAFに合わせ、ズームを最大にして同じ実験をしてみました。この場合の最小合焦距離が2mなので、近い方のパターンは約2mに置いています。



この写真は、近→遠の例ですが、合焦範囲を示す矩形は合焦したときだけ色付くので、フォーカスを合わせ始める時間は画像から判断しなければなりません。何回か試した結果、合焦時間は平均で0.42秒であることが分かりました。



しかし、遠→近の場合は、上の写真のように、かなり、さ迷いながら行っているようです。一度、フォーカスを逆方向にずらしてから、再度、近くに合わせていくので、時間がだいぶかかりました。この写真では-0.33秒辺りで、最初の状態(-1.1秒)に戻っているのが分かります。合焦時間は平均で1.1秒になりました。このように、近→遠と遠→近とでは合焦時間にかなりの差があります。こういう特性をよく知っておかないと、とっさのときに困るかもしれません。

SonyのDSC-HX1についても同じ実験を行うと、近→遠で0.55秒、遠→近で0.67秒でした。この場合も遠→近で少し時間がかかりましたが、それほど大きくは変わりませんでした。Sonyの場合は少し振動しながら合焦している感じです。その分、時間が少しかかっています。

合焦時間にはパターンのコントラストや大きさなども関係すると思うので、今後、これらも調べてみようと思っています。

廊下のむし探検 ハラビロカマキリ、蛾など

廊下のむし探検 第141弾

最近、マンションの廊下でカマキリをよく見かけます。先日も天井に止まっていたのですが、名前を調べようと思って網で捕まえ、手で持とうとした瞬間に逃げてしまいました。結構、カマキリも飛ぶのですね。

昨日も廊下の天井に止まっていました。



この日のカマキリはこれまでのカマキリと違い、ずんぐりとしていて、大きさもそれほど大きくありません。よく見ると、翅に白い点があります。図鑑で調べてみると、ハラビロカマキリのようです。カマキリは日本に一体何種ぐらいいるのだろうと思って、九大の日本産昆虫目録データベースで調べてみました。すると、カマキリ科は7種、ヒメカマキリ科は2種で、そのうち、本州に生息するのは6種と1種。意外に少ないですね。



カマキリのついでにバッタです。地下駐車場の天井にいました。先日も見かけたウスイロササキリではないかと思います。どんな鳴き声で鳴くのだろうと思って、図鑑を見ると、「夏から秋にかけてツルルルルルと鳴く」と書いてありました。楽しみです。



廊下に止まっていました。「廊下のむし探検」初登場ですが、よく見かけます。ヤガ科のシャクドウクチバです。「シャクドウ」は「赤銅」なのでしょうね。そう言われれば少し赤っぽい感じがします。



地下駐車場の天井にちょっと変わった模様の蛾が止まっていました。ヤガ科のヒメハナマガリアツバだと思います。これまで、5月から9月にかけて何回か採集しています。「ハナマガリ」は顔のところにある下唇鬚(かしんしゅ)が顔に沿って曲がっていることから付けられたのでしょう。写真ではよく分かりませんが・・・。



これもヤガ科のマダラウスズミケンモンではないかと思います。実は、ウスズミケンモンという種もいて、後翅の色が前者はうす茶色、後者は白なので、展翅をするとすぐに分かるのですが、前翅の模様だけではちょっと分かりにくいです。でも、何となく感で、前者の方かなと思っています。



シャチホコガ科のアオバシャチホコです。見るからに気持ち悪い蛾ですが、昨年10月にも登場しました。その時は、「悪魔的な蛾」として紹介しました。今見ても、何となくそんな感じがしますね。



この間から何度か登場していますが、シャクガ科のアシブトチズモンアオシャクです。今日は2匹いました。「チズモン」は「地図紋」だと思いますが、何となくその意味が分かりますね。



これはメイガ科のコメシマメイガです。「コメ」という文字がついていますが、「大図鑑」によると、「幼虫はコメノクロムシと呼ばれ、貯穀の害虫で、乾燥食品や動物の乾燥標本を食害する」と書いてありました。新しい米よりは古い乾燥した米を好むようです。



そしていつも悩む蛾です。外横線が奇妙に曲がっているので、図鑑を見比べ、ヒメアカウスグロノメイガかなと思うのですが、自信はありません。



壁から突き出したような形で止まっている蛾をよく見かけます。普段はあまり撮影しないようにと思って通り過ぎるのですが、ちょうど撮影しやすい高さに止まっていました。おそらく、ツトガ科のクロフタオビツトガだと思いますが、止まったままの格好ではよく分かりません。

廊下のむし探検 ミヤマクワガタ、蛾など

廊下のむし探検 第140弾

外出が多くて、しばらく「廊下のむし探検」が滞っていましたが、昨日、久しぶりに歩いてみました。

まず出会ったのは立派なミヤマクワガタです。





廊下の壁に止まっていたので、近寄って写すことができました。見れば見るほど立派です。子供たちが見つけたら喜ぶだろうなと思ったのですが、そのままにしてきました。



どこかで見たことがあったような気がしたのですが、どうやら初めてだったようです。結局、原色日本甲虫図鑑を端から調べていきました。ホソカタムシ科という聞いたことがないような科のサビマダラオオホソカタムシのようです。ネットで調べてみると、カミキリムシ幼虫の天敵で、松の害虫で知られるマツノマダラカミキリの防除に期待されているようです。



これはコアオハナムグリだと思います。



ササキリの仲間です。「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」で調べてみると、背中の筋の様子が、キリギリス科のウスイロササキリに似ている感じです。



カマキリがいたので、いい加減に撮影してきたのですが、名前を調べる段になって、オオカマキリとチョウセンカマキリという2種がいるということが分かりました。見分け方は大きさが違うこと、前脚の付け根の色が違うこと、翅の色が違うことなどだそうです。それならば、捕まえて、前脚の付け根を撮影しておけばよかったのですが・・・。ちょっとこの写真からは種類までは分かりません。何となく、そんなに大きいというわけではなかったので、チョウセンカマキリの方かなと思っています。



天井の隅に止まっていました。オオゴキブリの幼虫かもしれません。オオゴキブリは森林性だというものの、見るたびごとに人家に近寄ってきている感じがします。



これも廊下の壁に止まっていました。シャチホコガ科のオオエグリシャチホコです。シャチホコガは前脚を伸ばして、後翅を少しはみ出して止まるのですが、この仲間は「屋根型」の止まり方をします。



これもシャチホコガ科の蛾です。プライヤエグリシャチホコといいます。やはり、オオエグリシャチホコなどと同じ止まり方です。



前翅に三角形の模様がはっきり見えています。ヤガ科のタイワンキシタアツバです。後翅は黄色で、翅を広げると目立つ蛾です。



複雑な模様をしていますが、ヤガ科のヒメエグリガです。「廊下のむし探検」初登場ですが、時々見ます。



似た種類が多いのですが、翅端の部分に2つの黒い模様がはっきり見えています。ヤガ科のオオトビモンアツバだと思います。



翅にある線が複雑に曲がっています。ヤガ科のイチモジキノコヨトウです。胴体に沿って前翅には黒い筋が一文字に入っているはずなのですが、展翅をしてみないとよく分かりません。



ツトガ科のシロテンキノメイガです。これまで、5-8月にかけてよく捕まえていたのですが、どういうわけか「廊下のむし探検」では初登場です。数が減ったのでしょうか。



ハマキガ科のプライヤハマキです。小さい蛾です。接写をしようとカメラを近づけると逃げるので、ずっと追いかけていき、やっと撮影しました。



地下駐車場の天井にいました。イラガ科のテングイラガです。小さい蛾で、初めはゴミかと思っていたのですが、拡大して見ると蛾でした。こんな小さくても、幼虫には毒針毛があります。

廊下のむし探検 蛾ばかり

廊下のむし探検 第139弾

9月に入って急に涼しくなってきました。そろそろ秋の虫シーズンかなと思って、勇んで「廊下のむし探検」に行ったのですが、出会ったのは蛾ばかりでした。

今日一番目立った「むし」はこれです。



こげ茶色の翅に白い筋が目立っています。似た種類がないので大変分かりやすい種です。ヤガ科のホソオビアシブトクチバです。もともと暖かい地方に産する種だったのですが、庭で栽培するバラや生け垣のウバメガシなどを足がかりに北上を続けているようです。1982年に出版された「大図鑑」によると、東北地方で採集例はあるが土着は明らかでないとありますが、2011年の「標準図鑑」によると、分布は北海道、本州、・・・と、北海道まで広がっているようです。



この写真の蛾も「廊下のむし探検」初登場です。似た種が多いので、名前調べが大変ですが、この写真では、翅の一番下の中央に見える「V」字マークが決め手です。ヤガ科のヒメツマキリヨトウだと思います。これまで、7月と9月に採集していました。



同じくヤガ科のミツモンキンウワバです。この間から登場していますが、この日は特に数が多かったです。



翅がだいぶ破れているので、種類が特定しにくいですが、丸い模様(環状紋)とその右の細長い模様(腎状紋)辺りの特徴を参考に探すと、ヤガ科のマメチャイロキヨトウだろうということになりました。



壁に止まっていたのですが、近づくと急に飛び立ち、床に降りてしまいました。今にも飛び立ちそうな格好をしています。これはこの間も登場したウンモンツマキリアツバでしょう。似た種が多いのですが、翅の端にある半月の模様が特徴です。



これはリュウキュウキノカワガです。以前はヤガ科に入れられていたのですが、「標準図鑑」によるコブガ科に分類されています。「琉球」と名前がついていますが、本州、四国、九州に広く分布しています。食草はヤマモモだそうです。



これはアカスジアオリンガです。この種も以前はヤガ科だったのですが、今はコブガ科に入れられています。



頭の部分は橙色で、黒っぽい翅に黒い点が並んでいて独特の姿です。ヒトリガ科のクワゴマダラヒトリです。オスとメスは色が全く違っていて、黒っぽい個体はオスの方です。



これはツトガ科のコブノメイガです。「廊下のむし探検」初登場ですが、実は、大変、数の多い種です。



これはツトガ科のホシオビホソノメイガです。



この写真の蛾は、図鑑をみてもいつも良く分からない種で、とりあえずフキノメイガということにしておきます。

蛾以外の虫もちょっと。



ツチイナゴの幼虫が来ていました。以前、我が家のベランダで成虫がひと冬越したことがあります。成虫越冬する変わった種です。



廊下の壁に止まっていました。クモの仲間で、ハエトリグモ科のヤガタアリグモだと思います。アリに似ていますが、慣れてくると離れていてもアリではないなと気が付きます。



廊下にあるガラスに大きなスズメバチが来ていました。オオスズメバチです。ぶんぶんいって外に出たがっているようすです。怖いので、ちょっと離れたところから撮影しました。(追記:MSWiさんから、「ヒメスズメバチではありませんか。」というコメントをいただきました。腹の長さや触角の長さなどからでも違いが分かるようです。ネットで調べてみると、ヒメは腹端が黒いのが特徴のようです)(追記:私の勘違いで、腹の長さや触角の長さはスズメバチの♂と♀の見分け方だったようです。その後、MSWiさんから、「♂は触角が13節、腹部が7節で出来ていますが、♀は触角12節、腹部6節です。♂の方がそれぞれ1節ずつ多く持っていて、見た目にも長いですね。・・・(中略)・・・♂の腹端は平たい、♀の腹端は尖っている、という部分も区別点になりますよ。♂蜂には針が無いので、当然刺しません。」というコメントをいただきました。触角と腹部の節の数が♂♀で違うのは知りませんでした。いい勉強になりました。どうも有難うございました

9月入って、蛾が少しずつ増えてきたようです。その中でもヤガ科の種類が増えてきました。逆にメイガは少し減ってきました。これから秋に入ると、蛾の数は急速に減ってきます。晩秋から冬にかけて、昨年はキリガとフユシャクばかり撮影していたのですが、今年はどうなるでしょう。

廊下のむし探検 サビキコリ、ネグロシマメイガなど

廊下のむし探検 第138弾

9月に入りましたが、まだ、虫の数はあまり多くありません。それでも昨日は、いままで見たことがなかった種類の虫に出会えました。



標題にあるコメツキムシです。普段、コメツキムシの名前調べはパスしているのですが、形が変わっているので、図鑑と見比べながら調べてみることにしました。特に変わっているなと思ったのは、前胸の後の角の突起のところです。これを手がかりに調べたところ、サビキコリという名前にぶつかりました。「錆木樵」という漢字を当てているサイトも多いのですが、名前の由来は分かりません。こんな名前でもコメツキムシ科ではあるようです。似た種が多いので、どれだかはっきりしませんが、床の模様から判定した体長が16mmなので、おそらくサビキコリかなと思っています。



また、オオゾウムシに出会いました。このところ、姿をよく見ます。







この蛾が手こずりました。実は上の写真のように右側から撮った写真を見ていたのですが、前翅の先が破れていて、決め手となる白い模様に気が付きませんでした。ピントがあまり合っていないのですが、真上から撮った写真が1枚だけあったので、それを見て初めて白い稲妻模様に気が付きました。それを手がかりに調べていったところ、ヤガ科のツマナミツマキリヨトウであることが分かりました。初めて見る蛾です。「標準図鑑」にも「白いジグザグの斑紋が目立つ」と書いてありました。本州、四国、九州に分布するそうです。(後記:上の写真は錯覚によって、斜めに走る壁の角が凹んでいると思って見ると、蛾の形が良く分かりません。角が出ていると思って見て下さい。)



これは先日も見たヤガ科のクロクモヤガです。



これは、ヤガ科のモンムラサキクチバといいます。「廊下のむし探検」では初登場ですが、ときどき見ます。



これも「廊下のむし探検」初登場で、ヤガ科のアカキリバです。これも時々見ます。



ときどき登場していますが、ヤガ科のマダラエグリバです。



先日は遠くからの撮影だったのですが、今回は廊下の壁に止まっていたので、近くに寄って撮影することができました。銀紋がきれいに写っています。ウスイロギンモンシャシホコです。



白い後翅の一部が見え、前脚を前に伸ばしてと、シャシホコガ独特の止まり方をしています。前翅の模様ははっきりしないのですが、ナカキシャチホコかなと思っています。



先日も登場したモンシロドクガです。この蛾は白いのですが、メス成虫は毒針毛をまぶしているので要注意です。



アオシャクの仲間です。翅の中央を横切る筋が、後縁に対してほぼ直角になっているので、アシブトチズモンアオシャクです。



この蛾は以前にも見たことがあったような気がしたのですが、名前が思い出せませんでした。止まり方からメイガの仲間かなと思い、図鑑を見ていたら、ネグロシマメイガであることが分かりました。「ネグロ」というのが特徴をよく表しています。あまり多くない蛾のようで、「大図鑑」には「本州の標本を見ていないが、多分、関東以西にしか分布していないだろう」と書いてありました。「標準図鑑」には、関東以西で、数は少ないとあります。また、「幼虫は菓子類につく」とありました。どんな菓子につくのでしょう。



この綺麗な蛾はギンモンシマメイガです。



この蛾はツトガ科のモンキクロノメイガです。

9月に入り、何となくヤガ科の蛾の種類が増えてきたようです。

廊下のむし探検 蛾と甲虫

廊下のむし探検 第137弾

今日から9月になりました。8月最後の日の「廊下のむし探検」の結果を紹介します。

今日最初の「むし」はこの蛾です。



シャクガ科のウスミドリナミシャクです。頭の前に長く突き出しているのは下唇鬚です。前脚の曲げ方もほぼ左右対称で面白い止まり方をしています。



あまり緑色ではないのですが、アオシャクの仲間のナミスジコアオシャクです。



春に良く見たマエキトビエダシャクです。久しぶりに見る感じです。



薄暗い地下駐車場に置いてある車の傍の壁に止まっていました。あまり車に近づくわけにもいかず、遠くから撮影したので、少し斜めになってしまいました。翅に巴型紋があるハグルマトモエとオスグロトモエの区別がよく分からなかったのですが、「標準図鑑」を見ると、ハグルマトモエの方が「やや小型なことと、前翅の巴型紋が大きいことで区別ができる」と書いてありました。そこで、標準図鑑に載っている標本の巴型紋の直径とその中心を通って前翅前縁から後縁までの距離を測り、その比を出してみました。標本では、オスグロトモエは37%、ハグルマトモエは46-48%になり、確かに、ハグルマトモエの方が巴型紋が大きいようです。そこで、写真の個体についても測ってみると45%になり、ハグルマトモエの値に近いのでおそらくハグルマトモエの方ではないかと思います。



これも似た種のある困りものの蛾です。イチジクキンウワバとミツモンキンウワバです。外見上の区別点は、外横線が内側に切れ込んでいる部分が、前者は鋭く角をなすことはなく、後者は鋭く角をなすというところです。銀色の紋の右斜め下の線が角をなしているかなしていないかという点です。この日は2匹見られたのですが、一つは写真がはっきりしなくて、この写真では角をなしているように見えるので、ミツモンキンウワバの方かなと思っています。



これも似た種類がたくさんあるヤガ科の蛾です。初め、クサシロキヨトウかなと思ったのですが、かすかに見えている後翅が白くないので、スジシロキヨトウの方かなと思います。



これはヤガ科のオオタバコガです。タバコという名前がついていますが、トマト・ピーマン・ナスなど多くの作物の大害虫です。農薬関連のホームページを見ると、日本には古くからいた蛾ですが、1990年代になって西日本で急に猛威をふるい始め、その分布域が現在も拡大しているそうです。これは、薬剤に抵抗性のある個体が増えたためで、抵抗性系統の中国からの飛来が原因ではないかと書かれていました。



これは以前にも登場したヤガ科のフタキボシアツバです。翅に黄色の紋があるのですぐに分かります。



似た種もあるのですが、これはヤガ科のサビイロコヤガだと思います。(追記:サビイロコヤガは「標準図鑑」ではヤガ科アオイガ亜科サビイロヤガに改称されていました



以前にも登場したツトガ科のハイイロホソバノメイガです。うまく撮影できたので、もういちど載せておきます。

日中の暑さがおさまってきたせいか、メイガの仲間が少し減って、少しずつヤガ科の小さな蛾の種類が増えてきている感じです。

次は蛾以外の虫です。



大型のゾウムシです。おそらくオオゾウムシだと思います。前胸の横の部分が網目模様になっているのが気になるのですが、「原色日本甲虫図鑑」には「1、2年生存した個体では・・・・」と書かれているので、長く生きていてすり減ってきたのかなと思いました。



触角の形状からゴミムシダマシの仲間かなと思ったのですが、名前までは分かりませんでした。もう少し横から撮影できれば良かったのですが、車が邪魔してこんな角度からしか写せませんでした。ネットの画像検索でも探したのですが、こんな角度で撮影している人は見つかりません。刑事ドラマで、容疑者の写真と既存のイメージを3次元的にいろいろと回転させて比較し、「一致!」という画面を出す場面がありますが、そんなソフトがあるとよいなと思いました。



これはセスジササキリモドキだと思いますが、自信はありません。



見覚えのあるカゲロウでした。何だろうかとだいぶ考えたのですが、やっと思い出しました。チラカゲロウでした。

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