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廊下のむし探検 ツマキアオジョウカイモドキほか

廊下のむし探検 第49弾

最近の廊下のむし探検は蛾ばっかりなのですが、3月も終わりになり、少しずつほかの虫も出てきました。それとともに、名前調べも大変になってきました。



この虫が何なのかさっぱり分からず、原色日本甲虫図鑑II、III、IVを端から調べていこうと思って見始めたら、うまい具合にIII巻で行き当たりました。ジョウカイモドキ科のツマキアオジョウカイモドキのようです。春に出る甲虫で、大きさは5mmくらいの小さい虫です。



この間もいたカメムシの仲間のナガメです。



これはハチだということは分かったのですが、それ以上は分かりませんでした。それで、図鑑やインターネットで探しに探して、ヒメバチ科アメバチ亜科Ophion属まではたどり着きました。でも、それ以上の種名までは分かりませんでした。良く見ると、翅脈が途中で途切れています。



この間から出ているシャクガ科のウスベニスジナミシャクです。



これも早春の蛾で、エダシャク科のヒロバトガリエダシャクです。



これはヤガ科のトビモンアツバです。図鑑を見ると、6月と9月に発生と書いてあり、早春に見られるのは越冬の個体だそうです。



このクモもよく分からなかったのですが、カニグモ科のコカニグモではないかと思っています。

いろいろな種類の「むし」が出てきて、名前を調べるだけで一日かかってしまいました。
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レンズ絞りとぼやけの関係

虫や花の接写をするとき、絞りを絞らないと、ほとんど一点でしかピントが合いません。絞りを絞ると、ピントの合う範囲(被写界深度)が広くなっていくというをこれまでしてきました。今回は、あまり絞り過ぎると、かえって像がぼやけてしまうという話です。

いつものように、次のような対物ミクロを等倍で撮影して、その線の太さでぼやけ方を評価してみます。



中心の目盛部分は細かすぎてよく見えないので、四角で囲った4つの円の部分の中心付近の線幅を測ってみました。方法は、これまでと同様で、画像をImageJに取り込み、Plot Profileでgray valueを計算し、ぼやけ方を調べていきます。この線のもともとの幅は0.016mmです。



この写真は、Nikon D90 + Micro Nikkor 55mm +PK-13の組み合わせて、絞りとシャッター速度だけを変化させて撮影したものです。古いレンズを用いたのは、前回の実験で、ぼやけ方が一番自然だったからです。F値として書いてあるものは、等倍での実効F値です。F22では非常にくっきりと写っていますが、F64では線がだいぶぼやけています。これは絞りによる光の回折効果が現れ始めたからです。

この回折効果については、光の回折理論を用いて見積もることができます。1次元と2次元の場合の見積もり方をホームページに載せましたので、参照にしてください。計算はややこしいのですが、結果は簡単です。



これは、レンズの目盛をF16に合わせ、等倍で点光源を撮影した時の、撮像素子上のイメージを表すグラフです。点光源は波長0.5ミクロンの単色の光を出しているとします。点光源を撮影したのだから、焦点位置でも点になるはずなのですが、光の回折効果のために上の図のように広がってしまいます。この広がりの程度を表すために、グラフが初めてゼロになる点の値を使って、ぼやけの幅とします。従って、ぼやけの幅は1.22(m+1)Fλとなります。ここで、mは倍率、Fは無限遠を撮影した時のF値です。従って、実効F値が(m+1)Fとなります。また、λは光の波長です。



実効F値を変化させた時のぼやけ方を表します。実効F値を増していくと、どんどんぼやけていくことが分かります。グラフが0になる点で見積もったぼやけの幅もグラフに書き入れています。このカメラの1ピクセルの大きさは0.0055mmですので、F64では7ピクセルほどの広がりになるという計算結果です。



先ほどの対物ミクロの線を用いて、その線幅を調べてみました。いろいろな実効F値で撮影してみたのですが、その結果が赤点で表してあります。実線は計算結果です。実効F値が22より小さいときには、ほぼ0.017mm程度の幅、すなわち、対物ミクロのもともとの線幅の値で一定していますが、実効F値が22を越えるとどんどん増大していく様子が分かります。この増大の様子が計算による予想とほぼ一致していますので、これが光の回折効果だろうと思われます。

つまり、被写界深度を増やすためにF値を増していくと、今度は光の回折により像がぼやけることになるのです。従って、そのバランスが重要になります。このグラフから回折効果がほとんど現れない実効F値の最大はF22ということになります。従って、理論上では、等倍で撮影するときには、レンズの絞りをF11に合わせて撮影するのがもっともよく、倍率を下げていくに従って、もう少しF値を増やすことができることになります。

ためしにベランダにあるローズマリーの花を等倍で撮影してみました。



ローズマリーの花が薄水色なのと、天気があまり良くなかったので、なんだか白黒写真のように写ってしまいました。絞りを絞っていくに従い、だんだん背景にピントが合っていく様子が分かります。雄蕊の先端を拡大してみます。


確かに、F64では少しぼやけている様子が分かります。しかし、なぜF64だけ、こんなにきれいな紫色が付いてしまったのでしょう。ちょっと疑問です。もう少し調べてみます。

廊下のむし探検 クモ2種ほか

廊下のむし探検 第48弾

雨が降りそうで生温かい夜、こんな夜の次の朝には廊下に虫がいっぱいいます。昨日の朝はまさにそんな日だったのですが、思いのほか虫が少なかったです。廊下を掃除するおばさんに出会ったら、「もっと早く来ないと、私らみんなつぶしているから・・・」と。ちょっと遅かったかも。

それで今日はクモを写してみました。



独特の脚の格好をしているこのクモはカニグモの仲間です。おそらくヤミイロカニグモだと思います。クモは似た種類が多く、また、オスとメスで色や大きさが全く違うことがあり、さらに、幼生期も色や模様が異なるため名前を調べるのが、結構、大変です。



この一見良く見るクモの名前がなかなか分かりませんでした。初め、オニグモの仲間かなと思って、「日本のクモ」という図鑑のコガネグモ科を何度か見直したのですが、見当たらず、次は「クモ基本50」、「原色日本蜘蛛類大図鑑」を端から見ていったのですが、見当たらず。もう一度、「日本のクモ」を端から見ていって到達しました。ハグモ科のネコハグモというのだそうです。民家や塀などに壊れたような巣を張るとありました。数ミリの小さなクモです。



ハエの仲間ですね。去年、たくさん見られたBibio omaniというケバエによく似ていますが、脚の色や太さが少し違います。名前は分かりません。(追記:2014/04/29付のブログでケバエ科の検索を行い、上記写真と似た種はBibio aneuretus(キスネアシボソケバエ)だろうという結果になりました。この種は、「原色昆虫大図鑑III」と「札幌の昆虫」に出ています。



クサカゲロウです。クサカゲロウは顔にある模様でだいたい区別が付きます。顔を拡大してみます。



この模様はカオマダラクサカゲロウだと思います。



最後は、最近よく見るヤマトヒメカワゲラです。黄色い筋が入っています。(追記2018/02/26:カワゲラは検索がうまくいかず、まだ科の同定もできません。とりあえずカワゲラ目の一種ぐらいにしておきます

被写界深度 接写レンズ比較

虫や花の接写をするときに、被写界深度についてあまりよく知らなかったので、この間から実験をしています。今日は、家にある接写レンズを比較して、ぼやけ具合を比べてみました。



上の写真に示す3つの接写レンズを比較してみました。(a)と(b)は最近使っているもの、(c)はフィルムカメラの時代に使っていたものです。(a)と(b)は最大撮影倍率が等倍なのですが、(c)は接写リングPK-13を取り付けて、等倍になります。

前回の結果から、ぼやけの特徴がもっとも出やすい開放F値、等倍の条件で撮影しました。この時、(a)と(b)は実効F値がF5になり、(c)はF5.6になります(実効F値と最大撮影倍率の関係についてはホームページに載せておきました)。実験は、前回と同様に、実体顕微鏡の本体部分を取り去り、カメラをセットして、マイクロメータが付いたステージに対物ミクロを貼りつけ、マイクロメータでステージを動かしながら撮影していきます。



撮影した画像をImageJに取り込み、対物ミクロの中心部分の四角で囲った部分の中心付近の線の太さを評価しました。この線の太さは、光学顕微鏡で調べて、16ミクロンであることが分かっています。

(a) AF Micro Nikkor 60mmのとき
マイクロメータで合焦位置から前後に0.25mm間隔で動かした時のパターンを示します。



このレンズの特徴は合焦位置より手前に被写体がきたとき(マイナス符号)と遠くになったとき(プラス符号)で、ぼやけ方が異なることです。近くにきた場合は、線が太くなりながらぼやけていきますが、細い線が両端に残るような感じで広がります。遠くにした場合は、中心に細い線が見えつつも裾の方からぼやけが広がっていきます。1mmずらした場合の画像を比べてみるとこのあたりのぼやけの違いが良く分かります。



(b) AF-S Micro Nikkor 85mmのとき



このレンズの場合は、右側が常に裾を引いているようなぼやけ方を示します。合焦位置から手前にずれた場合は、鋭い線がかなり長い間見えていますが、遠くにずれた場合には非対称な形のまま自然に広がっていきます。



画像で見ると非対称にぼやけている様子がよく分かります。

(c) Micro Nikkor 55mm + PK-13
往年の名レンズです。このレンズを今のカメラで使うには、フォーカスも露出も全部自分で設定しないといけないので、野外で使うのは大変です。しかし、性能は一番良いようです。



合焦位置からずれていくと、ぼやけ方が極めて自然で、前後であまり変化しません。



画像で見たぼやけ方も極めて自然です。古いレンズの方が優秀なのでしょうか。

そこで、このレンズを使って、いろいろなF値でぼやけ方を調べてみました。



F5.6, F8, F16, F32の4つの条件で、線幅を調べてみたのですが、合焦位置前後で対称に振る舞い、きわめて自然な感じで広がっている様子が分かります。傾きもかなり綺麗に求まります。F32で、もとの幅より少し太めに撮影されているのは、光の回折効果によるものかもしれません。このデータの縦軸をmm単位に直して傾きを求めたものを縦軸に、横軸にはF値の逆数をプロットしたものが次の図です。



実線は幾何光学から計算したもので、等倍の場合は傾き1/2の直線です。ピタリというわけではないのですが、かなりよい結果が得られました。

今使っている接写レンズで、ぼやけの程度が幾何光学で予測したものよりかなり大きくなり、被写界深度がその分狭くなっているのは、多分にレンズの習性によるもののようです。なおかつ、ぼやけ方がレンズによって異なるので、実際の画像への影響も考えていかなければならないようです。


廊下のむし探検 カワゲラとクロスジキリガ

廊下のむし探検 第47弾

夜間、少し冷える日が続いたので、廊下の虫もやや小康状態です。3日前にはもう一種のキリガが見られました。



クロスジキリガという蛾です。ヤガ科ヨトウガ亜科に属する春キリガです。



この間から出ているヤマトヒメカワゲラです。今年はやけに多い気がします。このカワゲラは以前、ヤマトアミメカワゲラモドキと呼ばれていたそうです。きれいな水に生息すると書いてあったので、ちょっと嬉しい感じです。(追記2018/02/26:カワゲラは検索がうまくいかず、まだ科の同定もできません。とりあえずカワゲラ目の一種ぐらいにしておきます



尾がないので、オナシカワゲラの仲間だと思うのですが、それ以上は良く分かりません。今日はこの写真のようにやや大きな個体と、もっと小さな個体がいました。

後はお馴染みの虫たちです。



シャクガ科のモンキキナミシャクです。



ヤガ科のキバラモクメキリガです。越冬組です。



それに、この間から出ているチャイロキリガでした。

カメラの被写界深度4

カメラの被写界深度を別の方法で調べてみました。今回は以前よりもっと直接的な方法です。



実体顕微鏡の本体を取り除き、その場所に一眼レフカメラ(NIKON D90)を固定します。固定はアルミフォイルを詰めて行いました。カメラには接写レンズ(AF Micro Nikkor 60mm)を取り付け、等倍でマニュアルフォーカスにしておきます。下にマイクロメータ付きのステージを置き、対物マクロを取り付けています。初めに、実体顕微鏡のステージでフォーカスを合わせて、後は、少しずつマイクロメータを回して対物ミクロを上下しながら写真を撮っていきます。

F16で撮影した対物ミクロの画像はこんな感じです。


中央に10ミクロン間隔の目盛がありますが、つぶれてしまって見えません。この目盛線の幅は1.2ミクロンです。外側に4重の輪が見えますが、これははっきり見えます。この線幅は16ミクロンです。そこで、外側の円の線幅を測り、ぼやけ具合を調べてみることにしました。

絞りを変えて撮影したものを並べます。


いずれもピントが合った条件での画像です。右側は対物ミクロの4重の円の一部、中央はImageJでそれを解析したものです。絞りがF16、F32は綺麗な形をしていて、その幅はほぼもとの線幅(16ミクロン)程度の3ピクセル(16.5ミクロン)です。絞りが開放に近づいてくると、線幅自身はあまり変化しないのですが、裾に広い成分が見えてきます。F5では特に顕著で、右の画像でも線ははっきりしていますが、全体にぼやけた感じが出ています。

マイクロメータ付きのステージで高さを0.25mmずつ変えて撮影し、それぞれの線の幅を計測したものが次の図です。



横軸はマイクロメータの読みそのものを書いています。3.5mmがほぼ合焦位置です。縦軸は線幅をピクセル単位で表しています。F値が小さいと、距離が変化すると急速にぼやけが出てきます。それに対して、F32ではほとんど変化しません。縦軸をmm単位で表し、傾きを求めたものが次の図です。



横軸はF値の逆数です。縦軸は傾きを表しています。先日行ったノギスを傾けて撮影した結果も一緒に載せています。また、幾何光学から求めた予想は

という式で表されます。ここでmは倍率です。今の実験の場合、等倍なので、m=1を入れると傾きは1/2になります。それを線で表しています。今回の実験結果は、F32やF16では予想と結構良く合っていますが、F値が小さくなるにつれ、ずれが大きくなっていることが分かります。また、ノギスで行った実験とも比較的良く合っています。

実線より上にあるということは、被写界深度がそれだけ狭くなっていることを意味します。特にF値が小さいところでそれが顕著なのは、別の原因があるからではないかと思います。F5で撮影した線のパターンを解析してみますと、次のような図になります。

右の数字は合焦位置からのずれを表しています。合焦位置で見えていた裾の部分が徐々に広がって、最終的にぼやけになっている様子が分かります。これはレンズの収差によるものと思われます。この傾向はF8でも見られます。従って、被写界深度を広くし、ぼやけの効果をできるだけ少なくして撮影するには、絞りをF8よりかなり絞って撮影することが必要なように思えます。

廊下のむし探検 カゲロウ、ジョウカイ、蛾

廊下のむし探検 第46弾

マンションの廊下には、毎日、大変な数の虫がやってきます。その名前を調べるだけで精いっぱいの状態です。今日は、この2,3日見かけなかった虫だけを紹介します。



カゲロウの仲間であることは間違いないのですが、名前を調べるのは一苦労です。まず、手がかりは尾が2本です。従って、ヒラタカゲロウ科だろうと目を付けました。尾の長さが体長と同じくらい、体が黒っぽくて黄色の縞模様というところから、ナミヒラタカゲロウ♂ではないかと思っています。



これも名前を見つけるのが大変でした。もともと甲虫が苦手なんで・・・。まず、カミキリムシかなと思ったのですが、該当するものがいなくて、次に、カミキリモドキかなと思ったのですが、これも違う。その次は、学研生物図鑑昆虫IIを端からずっと見ていき、ホタルの辺りにやってきて、次に、ジョウカイボンの仲間かなと思って、やっと近くに辿り着きました。しかし、保育社の原色甲虫図鑑を見ると似た種類が何種類もいます。結局、写真の実測から、前胸背板の幅は長さの1.13倍、触角の第3節は第2節の1.39倍という数字を手掛かりに、ウスチャジョウカイの黒色型かなというところです。



これはカワゲラであることは確かなのですが、カワゲラの仲間は図鑑にはあまりでていないので、やはり名前は難しかったです。手掛かりは胸から頭にかけて黄色の線が入っていること、脚が黒いことです。これを調べるには釣り人用の「水生昆虫ファイル」という本が役に立ちます。これを見て、ヤマトヒメカワゲラかなと思っていますが、確証はありません。



これは今月初めにも見られました。マツトビゾウムシです。松の害虫だそうです。



きれいなカメムシです。たまにこんな虫が来てくれるとほっとします。私にはお馴染みのナガメです。



オナシカワゲラの仲間ですが、名前まではわかりません。



トビケラの仲間です。トビケラも以前、集めかけたことがあったのですが、あまりにもみな似ているのと、図鑑がないので、挫折したことがありました。これも名前はわかりません。



やっと蛾の番になりました。ヤガ科キリガ亜科のヨスジノコメキリガです。越冬組です。



ヤガ科キリガ亜科のチャマダラキリガです。やはり越冬組です。



シャクガ科エダシャク亜科のモンオビオエダシャクです。これは本州では春出てくる蛾です。前脚を少し伸ばして止まっているのか、写真では分かりにくいのですが、天井にやや斜めに止まっています。



最後は、昨日分からなかったハマキガの仲間です。仕方なく、採集して展翅しました。模様がはっきりしないのですが、色合いや翅の形などから、ハイミダレモンハマキ♂ではないかと思っています。

湿気が多く、生温かく感じる夜は必ず、虫が多くやって来ます。朝、廊下を歩いてみると、夜の宴で朝まで残った虫がたくさんいます。昨日はまさにそんな日でした。

廊下のむし探検 シャクガ類

廊下のむし探検 第45弾(つづき)

シャクガの仲間が中心です。





ちょっと綺麗な蛾ですが、ウスベニスジナミシャクといいます。



蛾の仲間では綺麗な方です。やはりシャクガ科ナミシャク亜科のアカモンナミシャクです。





これはモンキキナミシャクです。最盛期にはマンション中で1日100頭も見たことがありました。良く似た仲間にナカモンキナミシャクもいますが、外横線の形が違います。問題は次です。



模様が薄いので、ギフウスキとかいろいろと考えたのですが、やはりモンキキナミシャクじゃないかと思っています。





同定の難しいカバシャクの仲間が出てきました。普通にいるソトカバナミシャクではないかと思うのですが、あんまり自信はありません。



マエナミカバナミシャクでしょう。





マエアカスカシノメイガです。いずれも天井に止まっていたものです。透き通るような翅と前縁の赤茶色の線のコントラスが大変素晴らしいです。



最後はもっとも厄介なハマキガです。これは鱗粉がとれていて良く分かりません。



これも良く分かりません。標本が手元にないのではっきりしないのですが、ウスアオハマキかもと思っています。採集をしておけばよかったのですが、写真を撮っているとどうも採集がおろそかになります。

廊下のむし探検 マツヒラタナガカメムシとキリガ

廊下のむし探検 第45弾

3月も半ばを過ぎると、虫の数が爆発的に増えてきます。1度では書ききれないので、2回に分けて出します。初めはカメムシとキリガです。



マツヒラタナガカメムシがまたいました。前足が太いですね。



これはヤガ科のクロテンキリガではないかと思います。





このちょっと派手な蛾はヤガ科のカバキリガです。



この間から出ているブナキリガです。



これはちょっと迷いました。でも、特徴的な2つの点がかすかに見えているので、スモモキリガではないかと思います。



この左の方の蛾はもうちょっとはっきりした模様を持つスモモキリガです。右はホソバトガリエダシャクです。



はっきりした「I」の模様を持つのはアカバキリガです。



フラッシュをたいたらぴかぴかに光ってしまいましたが、実際はもっと地味です。ハンノキリガです。これまでのキリガが春のキリガですが、これは越冬組です。



キリガではありませんが、同じヤガ科のオオトビモンアツバが地下駐車場にいました。(追記:これはトビモンアツバですね

カメラの被写界深度3

カメラの被写界深度2の続きです。

 被写界深度の大きさは、図のDF DN の差として求めることができます。接写条件では

となります。ここで、m は倍率、N F値を表します。従って、被写界深度は焦点距離にはよらず、倍率とF値のみで決定されます。下の図はc 0.0189mmとしていろいろなF値でこの式を計算したものです。絞りを絞ってF値を大きくすればするほど、それに比例して被写界深度は大きくなり、また、倍率m が大きくなればなるほど、被写界深度は小さくなっていくことが分かります。いずれにしても、等倍(m = 1)では被写界深度は1mm程度と大変狭くなってしまいます。許容錯乱円は写真を対角30cmまで引き伸ばしたときの条件ですから、L版で見るだけならば、対角線の距離は半分程度になりますので、被写界深度も倍になる勘定です。




 さらに、接写条件では、合焦位置から撮影対象がずれると、そのときのぼやけの大きさciと合焦位置からずれの大きさ|s-Di|との比をとると、


と表せます。この時、iN、または、Fを表し、撮影対象が合焦位置より前でも後ろでも同じ式が使えることを示しています。この比はF値の逆数に比例し、そのときの比例係数は倍率だけで決まります。この関係を使って、昨日の実験結果が上の議論に合っているかどうか確かめることができます。

 

 実際に、昨日の結果をこの式と比べてみます。




赤色の点が昨日のデータから傾きを計算して求めた値です。実線は上の式でm=1としたものです。m=1では、傾きは1/2になります。残念ながら、ぴたりと 一致しているわけではありませんでした。この理由としては、ノギスの目盛線が太すぎたことが原因として考えられますので、次は、別の方法で実験してみようと思います。


計算の詳細はホームページをご覧ください。

 

参考文献

1. http://en.wikipedia.org/wiki/Depth_of_field

2. http://en.wikipedia.org/wiki/Circle_of_confusion

3. http://en.wikipedia.org/wiki/Zeiss_formula


カメラの被写界深度2

 昆虫や花の接写撮影をするときに、ある場所にピントを合わせると別の場所のピントが合わなくてなって困ることがあります。こんなときには絞りを絞るとよいという話は聞きますが、絞りを絞るとどの程度ピントが合うようになるのでしょう。ピントが合う距離の範囲のことを被写界深度(depth of field: DOF)と呼びます。




 被写界深度の大きさは幾何光学で求めることができます。まず、上の図のような光学系を考えてみましょう。点光源から出た光を焦点距離f のレンズで撮像素子上に集光させることを考えます。今、点光源とレンズの距離をs としたときに、点光源から出た光がちょうど撮像素子上に集光されるとしましょう。この点のことを合焦位置と呼ぶことにします。この点より少し遠い、距離DF のところに置いた点光源から出た光は少し手前で集光されます。従って、撮像素子上で像はぼやけてしまいます。同様に、少し近い、距離DN のところに置いた点光源から出た光は、撮像素子より少し後ろ側で集光され、撮像素子上ではやはり像はぼやけます。


 今、写した写真を見たとき、人の目ではぼやけているとは判断できないぎりぎりの大きさのぼやけを考えます。撮像素子上でそのぼやけを表す範囲を円で表し、この円を許容錯乱円(circle of confusion: CoC)と呼びます。ここではその直径をc とします。このとき、撮像素子上でのぼやけの大きさがc より大きくならないような、光源の位置の範囲を被写界深度と呼ぶのです。


 許容錯乱円の値c の決め方にはいろいろな方式があります。例えば、Zeissの式では、撮像素子の対角線の長さの1/1730となるように決めています。これは、35mmフィルムで撮影したときの許容錯乱円の半径を0.025mmとしたことから逆算した値です。また、撮像素子の対角線の長さの1/1500とする方式もあります。これは、写真を対角線の長さ30cmまで引き伸ばしたときに分解能5line/mmまで人が見えるとして決めたものです。

 

 例えば、後者の定義でNikon D90について実際に許容錯乱円の値c を求めてみましょう。D90の撮像素子の大きさは23.6x15.6mm2なので、その対角線の長さは28.3mmとなります。従って、c の値は28.3/1500=0.0189mmということになります。記録画素数は4288x2848ピクセルなので、1ピクセル当たりの大きさは23.6/4288=0.00550mmとなり、c 3.4ピクセルに当たります。


(つづく)
 

カメラの被写界深度

 昆虫や花の接写をしているとき、ある部分にピントを合わせると、別の部分のピントが合わなくて困ってしまうことがあります。例えば、テントウムシの背中の点の部分にピントを合わせると顔がぼやけてしまうし、顔に合わせると今度は背中の点の部分がぼやけてしまいます。ピントが合う範囲を表す量として被写界深度があります。

 今回はこの被写界深度を実際に調べてみようと思いました。方法は簡単で、周期的な目盛が入ったスケールを斜めに立てかけ、それを上から撮影してぼやけの程度を調べるという方法です。実験方法としては簡便ですが、できるだけ細い目盛線の入ったスケールがなかなか見つからないことと、目盛が画面上で異なった位置に現れるという問題があります。そこで、一度、平面的な試料を撮影した時の画面内でのぼやけの程度も確かめておく必要があります。

 実験では周期的な目盛の入ったスケールとしてノギスを用いました。ノギスの目盛線はあまり細くないのですが、試しにやってみました。ノギスを斜めに立てかけ、カメラで上から撮影します。カメラとレンズはNikon D90Micro Nikkor 60mmで、最近接(等倍)の位置にしてピントを固定して撮影しました。実体顕微鏡の鏡筒部分を外してカメラをそこに固定し、上下動のステージを用い、ほぼ中央に焦点が合うように高さを調整しました。





 初めの写真はそのときの撮影風景で、次の写真はその撮影例です。F5では目盛30付近でしかピントが合っていませんが、F25ではほぼ全面で焦点が合っている様子が分かります。この写真をImageJに取り込み、目盛に沿ってGray valueを計算した例が次の図です。



 目盛線の黒い部分が鋭い窪みになっていることが分かります。F5では中心付近の数本でピントが合っていますが、F25では広い範囲でピントが合っています。この目盛線に相当する鋭い窪みの幅を出し、プロットしたものが次の図です。





 縦軸は目盛線の半値全幅をピクセル単位で表したもの、横軸は目盛線の番号に相当します。写真で目盛の30に見えるものが図では0にしてあります。F値を大きくすると合焦位置からずれても幅の変化は少ないですが、F値が小さいときには幅が急速に広がっている様子が分かります。
 
 この実験の場合、ノギスの傾きは39.9°だったので、カメラから各目盛までの相対的な距離は、目盛の値にsin39.9°=0.641をかけたものになります。一方、目盛線の幅は顕微鏡で測った結果、0.148 mmでしたが、ノギスが斜めに置かれていることを考慮しますと0.148 xcos39.9°=0.114mmになり、これは20.7ピクセルに相当します。実際、図の20.7ピクセルの部分に横線を引くと、いろいろなF値で測定した目盛線の幅がこの値付近でほぼ平らになっていることが分かります。この部分を除くと、ピントが外れた部分の目盛線の幅はカメラからの距離に対して、ほぼ直線的に変化していることが分かります。別に、ノギスを水平に置いて撮影して、画面内での変化も調べてみましたが、目盛線の幅の変化は認められませんでした。
 
この実験結果の解析方法については次に回します。

廊下のむし探検 キバラモクメキリガ

廊下のむし探検 第44弾

相変わらず、マンションの廊下には春の蛾が次々とやってきます。そんな中、越冬していた蛾も登場し始めました。



木の枝の切れ端が落ちているのかと間違うような蛾で、キバラモクメキリガと言います。以前は数多く見られたのですが、今シーズンはこれが初めてです。マンションの廊下の照明を赤っぽい蛍光灯に変えてから、めっきり蛾が少なくなってしまいました。



顔を写そうと近付くと、翅をしきりに震わせて、今にも飛ぶぞという感じです。顔が木の枝の断面そっくりにできています。



これも越冬していた蛾です。カラスヨトウの仲間だと思うのですが、鱗粉がはげ落ちて良く分かりません。まだ、寒いのか換気扇のそばでじっとしています。



以前もでてきたハスオビエダシャクです。



それに、フユシャク亜科のホソウスバフユシャクです。



さらに、チャイロキリガです。これも以前登場しました。



こんな虫もいました。ひっくり返っていたので、戻してあげて写しました。ビロードツリアブです。春に出てくるアブですが、寒くて動けなくなったのか、じっとしていました。

廊下のむし探検 今日は少なめ

廊下のむし探検 第43弾

今朝はマイナス1度まで下がりました。昨日までの春のような陽気と打って変わったような異例の寒さです。今日は、きっと虫はいないだろうなと思ったのですが、一応、午後から廊下を歩いてみました。

ブナキリガ、キノカワガ、ホソバトガリエダシャク、チャイロキリガなどは、一昨日とまったく位置を変えずにそのまま止まってきました。予想通り、新たにやってきた虫は大変少なかったですね。



外横線の曲がり具合から、ホソバキリガだと思うのですが、あまり自信はありません。やはり春キリガの一種です。



もう死んでいるようでしたが、ヤガ科アツバ亜科のナミテンアツバです。図鑑をみると、成虫越冬と書かれているので、昨年発生した蛾のようですね。今日の廊下の虫は2頭だけでした。

廊下のむし探検 つづき

廊下のむし探検 第42弾

午前中、曇っていたのですが、気温はすでに19度。こんな湿って暖かい日は、実は、虫が多いのです。そう思って、カメラを持ってマンションの廊下を歩いてみました。



まず気が付いたのはこの蛾です。頭隠して・・・という感じですが、ブナキリガでしょうね。



この蛾は今年初めですね。チャイロキリガです。キリガという名前は木を食する「キリムシ」から来たということですが、種類が多いですね。今頃出てくるキリガは、たいがいヤガ科のヨトウガ亜科に属する蛾です。



これはヤガ科のモクメクチバという蛾です。



翅に白い点があります。シャクガ科のシロテンエダシャクです。



この蛾は、シャクガ科ナミシャク亜科のコバネナミシャクの仲間ですが、名前は良く分かりません。ハイイロコバネナミシャクかなと思っています。



この小さい蛾もナミシャク亜科のカバナミシャクです。おそらくマエナミカバナミシャクだと思うのですが、これもはっきりとは分かりません。



今シーズン12種目のフユシャクです。チャオビフユエダシャクです。例年2月中旬から3月下旬にかけて出てきます。



クサカゲロウもいました。昨年、顔を拡大して種類を調べたのですが、黒い丸と湾曲した黒い筋のある種は、スズキクサカゲロウではないかと思います。



3-4mmほどしかない小さなテントウムシです。ナミテントウなのかなとも思いますが、これも良く分かりません。

毎日毎日、すごい数の虫がやって大変です。明日の朝は寒くなるというので、ちょっと休めるといいのですが。

廊下のむし探検 早春の蛾が続々

廊下のむし探検 第41弾

今日も気温は20度を越え、一気に春に突入しました。それと共に、ものすごい数の昆虫が現れ始めました。特に、早春の蛾は全開状態です。



これはハスオビエダシャクです。翅の先端からうっすらと点々が見えます。個体によっては黒い筋になるものもあります。



窓枠に隠れるように止まっていますが、模様がはっきりと見えていますよ。アトジロエダシャクです。後翅が白いのでこの名前が付いています。



白点が見えないですが、シロテンエダシャクでしょう。



ウスベニコバネナミシャク
という小さな蛾です。なかなか凝った模様です。(追記2018/06/28:ウスベニスジナミシャクの誤り



先日から登場しているスモモキリガです。早春のキリガの代表です。



もう一種、春キリガが登場していました。ブナキリガだと思います。以前、蛾を収集していた時は、見たらすぐに名前が分かったのですが、最近はなかなか思いだせません。



これはキノカワガです。ヤガ科に属しています。木の幹に止まっているとほとんど周りと見分けがつかないのですが、こんな白い壁に止まると目立ってしようがありません。



昨日も登場したマエナミカバナミシャクです。天井に2頭止まっていました。






この奇妙な格好をした虫も、実は、蛾の仲間です。ヤガ科のフサヤガといいます。しっぽを持ち上げているので何だろうと思いますね。



廊下にはこの間からいるムラサキナガカメムシやクサギカメムシに加え、ウリハムシがいました。よく見ると、結構、綺麗な虫ですね。



壁にはもうカゲロウの姿も。カゲロウは英語ではmayflyというので、5月をイメージするのですが・・・。これはマダラカゲロウの仲間ですが、名前までは分かりません。

こうたくさん虫が登場してくると、その名前を調べるだけで精一杯の状態です。

廊下のむし探検 マツトビゾウムシほか

廊下のむし探検 第40弾

廊下のむし探検も、昨日から急に忙しくなってきました。気温が19度もあって、一気に春の様相です。





ゾウムシが2匹いました。甲虫には詳しくないのですが、図鑑で調べた結果、マツトビゾウムシのようです。



これも特徴がなくて名前が分からなかったのですが、まず学研生物図鑑昆虫IIで似た種を探して、次はネットで画像検索をして探しています。マルガタゴミムシかなと思いますが、自信はありません。



昨日、たくさんいたムラサキナガカメムシ。今日はマンション中で50匹ぐらいはいる感じです。廊下のあちこちで動き回っていました。





フユシャクもいました。ホソウスバフユシャクです。こんなに暖かいとフユシャクの影も薄くなってきますね。



昨日も見たホソバトガリエダシャクです。



これはシャクガ科のカバナミシャクの仲間です。カバナミシャクには似た種が多くて、同定するのが大変なのですが、これはマエナミカバナミシャクかなと思っています。今日は2頭いました。

だんだん種類が増えてくると、名前を調べるだけでも大変です。いまぐらいがちょうどいいくらいです。

廊下のむし探検 続々虫が出てきます

廊下のむし探検 第39弾

気温がどんどん高くなってきます。それに伴い、外では花粉だ黄砂だPM2.5だと騒いでいますが、外に出なくても、マンションの廊下にいるだけでどんどん虫がやってきます。



ヤガ科のスモモキリガです。キリガには秋キリガ、越冬キリガ、春キリガがいますが、これは春キリガです。早春に出てくる代表的な蛾です。



シャクガ科のホソバトガリエダシャクです。これも早春の蛾です。





それに、この間から出てきているオカモトトゲエダシャクがいました。今日は地下駐車場に3頭もいました。翅を横に伸ばして、なかなか格好が良いですね。



カメムシも多くなりました。ムラサキナガカメムシです。体長が数ミリほどの小さなカメムシですが、廊下のあちこちにいました。全部で30匹ほどいたかな。Y字型の紋が特徴的ですね。壁に止まっているものは、近づくとポトっと下に落ちます。落ちた後はじっとしています。



マツヒラタナガカメムシです。マンションの外壁にいたものですが、私は初めて見ました。



そして定番のクサギカメムシです。



テントウムシの仲間もいました。ナナホシテントウです。



変な模様なのですが、ナミテントウではないかと思います。こんな模様は初めてです。

これから虫はもっともっと出てきますよ。

カメラの波長感度3

手作り分光器を用いてカメラの波長感度分布を測定しているのですが、測定するたびに形が変化してしまいます。いろいろと考えてみたのですが、どうもカメラによる光の検出の直線性が悪いのではと思うようになりました。

そこで、シャッター速度を変えながら、スペクトルを測定して直線性を調べてみようと思い立ちました。光源には60W白熱電球を用い、透過型回折格子を用いた分光器でスペクトルを表示させます。



これをカメラ(Nikon D70+Micro Nikkor 55mm)で撮影します。条件は、F8、ISO200です。シャッター速度は1/100sから2sまで変えました。できるだけ対数的に変化するように、1/100, 1/50, 1/20, 1/10, 1/5, 1/2, 1, 2sというように変化させました。その結果をRAWデータとして保存し、ViewNXというNikonの提供しているソフトで16bit TIFFファイルに変換し、さらに、ImageJでR、G、B別々にGray valueを求めました。その結果は驚くようなものでした。



縦軸はGray valueを対数でプロットしています。16bitなので縦軸の最高値は65536です。横軸は殺菌灯の水銀発光線で補正した波長です。シャッター速度を対数的に変化させたので、本来ならば、線がほぼ等間隔に並ぶはずでした。Rでいうと波長が600nm以上の波長ではそのように見えます。強くなると飽和してしまうのは仕方がないですが。しかし、500nm以下を見ると、逆に変な成分が途中から増加し、形も変化していきます。Gでも500-600nmの範囲ではまずまずですが、それ以外は使い物になりません。Bも520nm以上はまったく駄目です。カメラがこんな風になっているなんて本当にびっくりです。

カメラの波長感度分布の測定の際、再現性がなかったのは、おそらく、こんな非線形な応答のせいでしょう。結局、まずまず直線性があって使える波長領域は、RでもGでもBでも非常に限られていることになります。そこで、それらの領域だけを集めてみたのが次の図です。



この図では、Rは585nm以上の波長領域、Gは500-585nm、Bは500nm以下の波長だけにして合成したものです。全体に線が等間隔になるようになり、まずまず使えそうです。GとRの境は585nmでほぼ決まってしまうのですが、BとGの境は480-520nmの間であれば大丈夫です。こんな厄介なことを毎回やれば、可視光全体で光強度の測定ができることになります。

それでも良く見ると、線は等間隔というわけでもないので、やはり、カメラで光の強さを定量的に測定するのは難しいみたいです。つまり、可視光全体にわたって光強度どうしの引き算や割り算が伴うような測定(例えば、吸収スペクトルや反射スペクトルの測定など)は難しいというわけです。うーむ、残念!

カメラの波長感度 つづき

先日から、手作り分光器でカメラの波長感度分布を測定していたのですが、そのときは、白熱電球を2500Kの黒体放射として解析をしていました。ここがちょっと不安だったので、温度の違うハロゲンランプを使って確かめる実験をしてみました。

用いたのは、透過型回折格子を使った手作り分光器とNikon D70+Micro Nikkor 55mmです。光源として、60W Toshiba電球と10W 三菱ハロゲンランプです。スペクトルをカメラで撮影して、それをRAWデータとして記録し、8bit TIFFに変換し、ImageJで解析しました。



この図は白熱電球とハロゲンランプで求めたスペクトルです。縦軸は強度ですが、適当にスケールしてあります。変な形になっているのはカメラの波長感度分布のためです。ハロゲンランプの方が色温度が高いので青い部分(波長の短い部分)の強度が強くなっていることが分かります。

もし、この2つの曲線が異なる温度の黒体放射スペクトルで表されるのなら、この2つのスペクトルの強度比を計算すると、それは、異なる温度での黒体放射スペクトルの比になるはずです。



それを示したのがこの図です。赤い線は2500Kと3000Kの黒体放射の強度比を示したものです。青い線は白熱電球のスペクトルをハロゲンランプのスペクトルで割ったものです。本当はだいたい一致してくれるとよいのですが、とくに青い方(短波長側)のずれが大きくなっています。黒体放射の温度は少しぐらい変えても傾きがちょっと変わる程度であまり大きく変化しません。どうやら測定が上手くいっていないようです。


実際に、上のデータを用いてカメラの波長感度分布を計算しても、450nm付近でかなりのずれが生じています。3回ほど同じ実験を繰り返したのですが、そのたびに形が変化してしまいました。どうやら照明が一様でないのが問題のようです。

ちょっと疲れたので、気晴らしに、空のスペクトルを測定してみました。



カメラの波長感度分布を補正していないので変な形のスペクトルですが、上の写真では何本か暗線が見られます。これは、いわゆるフラウンホーファ線です。太陽の光が太陽上空の大気や地球の大気で吸収された結果、暗線になるのです。分光器の前に殺菌灯を置いて、水銀の波長から横軸を決め、暗線の位置を求めてみると、上の図で示すように暗線の同定ができました。波長の誤差は1nmくらいでした。手作り分光器でも結構測定できるものですね。

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