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紫外線の可視化 花編

昨日に続いて、紫外線の見える虫が見ているであろう世界を可視化してみました。
方法は、虫が見える紫外、青、緑の3原色を人間が見ることのできる青、緑、赤の3原色に変換するだけです。

昨日は、チョウの標本だったのですが、今日は、家で咲いている花について行ってみました。





今日、咲いたばかりのピンクのハイビスカスの花です。淡いピンクの花が紫外を可視化した結果、薄暗い緑色に変ってしまいました。虫にとってはあまり目立たない花なのかもしれません。雄蕊がちょっと目立つ程度でしょうか。



次はベランダで咲いていたローズマリーの花です。人間の目には薄青い目立たない花ですが、虫の目に結構目立つ色のようです。

今日は、そのほかにカメラの分光感度も調べてみました。方法は、40W白色電球のスペクトルを撮影した写真をRGBに分けて表示し、それから、RGBの分光感度曲線をそれぞれ計算するのです。



一番上の写真は40Wの電球の光を、手作り分光器とNikon 70Dで撮影したスペクトルの写真です(実際は飽和しないように弱く撮影しているのですが、これは分かりやすいように明るさを変えて表示しています)。これをImageJを用いてRGBの3色に分けてグレイスケールにしたものを下に示してあります。

これらのデータからGray valueを求めて、プランクの輻射公式から求めた2500Kの黒体放射のスペクトルで割り、その比の値からそれぞれの分光感度曲線を求めてみました。



人の3原色に対する等色曲線のように、3つの色で分離した曲線が得られました。特に、Rは短波長側が急激に切れ落ちているのが目立ちます。それぞれの裾の振る舞いについてはやや奇妙で、特に400nm以下の部分で変な感じがするのですが、この部分は40W白熱電球の強度が特に弱い所なので、もう少し検討が必要です。


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もしも紫外線が見えたら・・・

もしも紫外線が見えたら世の中どんな風に見えるのでしょうか。昆虫は赤が見えない代わりに、紫外線が見えます。昆虫になったつもりで世の中を見てみたい。こんなことを昔から思っていました。

紫外線写真は撮影出来ても、人間は実際には紫外線は見えません。そこで、昆虫の三原色(緑、青、紫外)を人間の三原色(赤、緑、青)に変換してみることにしました。



具体的な手順をムラサキシジミの標本を使って説明します。

1)普通に写真を撮ります。それが左側の写真です。
2)次に紫外フィルター(U-360)を入れて撮影します。
3)ImageJというソフトで、普通に撮った写真をR、G、Bの成分に分けます。8bitのグレイスケールになります。
4)紫外で撮影した画像を8bitのグレイスケールに変換します。
5)この4枚の写真のうち、GをRに、BをGに、UVをBにして色を合成します。

実際には、UVで撮影した写真の露出を合わせるために、白っぽい背景色がほぼ同じ色になるようにBrightを調整しました(上の写真では背景が緑がかってしまってうまくいっていません)。そうしてでき上がったのが右の写真です。

ムラサキシジミはもともとRとGの成分はほとんどなくて、Bの成分だけが明るいので、全体として深い青色に見えています。紫外線もよく反射します。そこで、色をずらすと、BとUVに対応したGとBだけが明るいことになるので、合成した色はシアンになります。この色の関係を左右の丸で表しています。明るいものにはそれぞれの色をつけて、暗いものは黒くしてあります。少し明るいものは灰色です。

深い青色のムラサキシジミは、もし人間が紫外を見ることができたら、実は、こんなに鮮やかな色で光っているのです。

いろいろなチョウの標本を自然光のもとで写真を撮って、もとの写真と比べてみました。





上がキチョウの♂、下が♀です。キチョウの♂は紫外を反射し、青を反射しないので、昆虫の目で見ると紫に見えます。♀は紫外を反射しないので、黄色になります。♂♀ははっきりとした色の違いがあるのです。



モンキチョウは紫外を反射せず、青もわずかしか反射しないので、赤みがかった色になります。





モンシロチョウの♂は紫外を反射せず、♀は反射するので、昆虫の目で見るとはっきりとした色の違いとして見えているはずです。ここでは、オスは黄色く見えているのに対して、メスは人間が見た場合と全く同じ白色になっています。



最後にルリシジミです。最初のムラサキシジミと同じで、青い色が水色の鮮やかな色に変わりました。

今回はチョウの標本を使ったのですが、今度は、花や景色なども調べてみたいです。


虫の目で見たキチョウ

キチョウは紫外線を反射します。一方、昆虫は一般に赤が見えなくて、代わりに紫外が見えています。いったい、虫の目で見るとキチョウはどんな風に見えているのでしょうか。そんな疑問に答えてみようと、いたずら実験をしてみました。



まず、キチョウ♂の標本を縁側に置き、窓ガラス越しですが、自然光のもとに置きます(この日は曇りでした)。

ケンコーのSPカラーセットという赤、緑、青のフィルターをカメラ(Nikon D70+Micro Nikkor 55mm)に取り付けて、それぞれ撮影します。SPカラーセットの説明書通りに、赤、緑、青で露出指数をそれぞれ8、4、4倍にします。具体的には、フィルターなしの撮影ではF4 1/20sだったので、赤ではF4 1/2.5s、緑と青はF4 1/5sで撮影します。






その結果がこんな感じです。試しに、これを合成すると元の色が戻るかどうか試してみます。






それぞれをImageJで16bitグレイスケールに変換してみました。ちょっと赤が露出オーバーだったのですが、構わず、mergeという機能で色合成をしてみます。その結果が次の写真です。



全体に暗く、ちょっと赤みが弱い感じですが、何となくもとの色が再現しました。特に、背景が同じような色になったので、そこそこうまく足されているのではないかと思います。

細かいことは抜きにして、次は紫外フィルターのU-360を用いて紫外写真を撮りました。露出指数は全く分からないので、いろいろと撮影したのですが、下の写真はF4 30sという条件です。



窓ガラス越しで曇りの天気でしたが、やはり紫外線で後翅が少し光って見えます。

紫外線は虫には見えていますが、人には見えません。逆に、赤は人には見えますが、虫には見えません。そこで、虫の見える色を人の見える色に変換してみます。具体的には、緑→赤、青→緑、紫外→青という具合です。






これを同じようにグレイスケールに変えます。






そして色合成したのが次の写真です。




やはり背景が同じような色になったので、そこそこうまく足されているかもしれません。
キチョウの翅でもともと黄色だった部分はやや地味な赤紫色になり、紫外で光っていた後翅の部分が青く光ってちょっと目立ちます。後翅だけが光っているのは、自然光照明が前方から当たっているからで、当てる方向を変えると光る場所も変化するはずです。

本当に、キチョウは、虫の目にはこんな風に見えているのでしょうか。

キチョウとムラサキシジミの紫外撮影

紫外の光源として輝線ではなく連続光源があれば、紫外での分光にも使えるかなと思って、いろいろな光源を試してみました。試料は紫外線をよく反射するキチョウのオスとムラサキシジミです。

午前中、久しぶりによく晴れたので、まず太陽光のもとで撮影してみました。カメラとレンズはNikon D70とMicro Nikkor 55mmです。



この状態で、レンズにU-360フィルターを取り付けて撮りました。



さすがに直射日光の下で撮影すると、1秒露出でも十分に撮れそうです。むしろ、露出時間が長くなると背景が明るすぎてコントラストが悪くなっています。

ところで、紫外を透過するフィルターは赤外も通過させます。



この図はメーカが出している透過率のグラフですが、U-360の場合は700nm以上が少し透過してしまいます。太陽光の場合、赤外が邪魔をしてコントラストが悪くなっているかもしれないと思って、BG40という赤外をカットするフィルターも併用してみました。それが上の右の図ですが、確かに背景が少し暗くなり、コントラストが良くなっています。



その状態で、太陽光の下、撮影した写真を載せておきます。ムラサキシジミは全体によく光っていますね。キチョウも右の翅が光っています。

今度は、手元にある、いろいろな電球を使って撮影してみました。



電球を標本から25cm離して置き、斜め上方向から照射しました。シャッター速度は30秒で固定です。ミニクリプトン球と電球型蛍光灯ではわずかに光っているのが見えますが、40WレフLEDはまったく光りません。ハロゲンランプは手元に10Wしかなかったので、パワー不足かもしれません。プロジェクターは150Wハロゲンランプを用いていて、これなら少し見えます。しかし、いずれも暗くてあまり使いものになりません。

やはり太陽光は偉大ですね。その分、日焼けをするのでしょうけど。375nmのUV-LEDで照らしたものも載せておきますが、これは明るく光って見えます。しかし、LEDからの光はスペクトルの線幅が狭く、反射や透過測定には向きません。どうしたらよいのか、思案中です。

モンシロチョウ類の紫外写真

先日に引き続いてチョウの紫外写真を撮ってみました。今回は、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、エゾスジグロシロチョウの3種です。モンシロチョウはメスが紫外線を反射するので、キャベツ畑に止まっていてもオスにはすぐ分かるという話をよく聞きます。実際にそうなのか確かめてみました。

撮影は前回と同じで、Nikon D70にMicro-Nikkor 55mmを取り付け、これにU-360という紫外フィルターを取り付けました。赤外カットフィルターは汚れてしまったので、今回は付けていません。撮影条件は、F2.8、ISO400、10秒露出です。光源には4Wブラックライトを用い、標本から約30cmほど離して、カメラの少し上から照らしました。




その結果がこの写真です。左がメス、右がオスです。紫外線下ではその差は明瞭で、オスは暗い色、メスは明るく輝いています。メスが紫外線を反射するという話はやはり本当でした。照明の方向をいろいろと変えてみても、変わらず光るので、方向性のない反射といえます。



スジグロシロチョウ夏型も同じで、紫外線下では、やはり、オスは暗い色ですが、メスは輝いています。



エゾスジグロシロチョウ夏型も全く同じです。

ところが、スジグロシロチョウの春型を撮影したときに驚きました。



メスがほとんど光らないのです。照明の当て方が悪いのかなと思って、いろいろと変えたのですが、やはり、暗いままです。これが個体差なのかどうかは、春型の標本が他にはなくて確かめられませんでした。これまで、春にはあまり採集していなかったようです。今年の春はちょっと頑張って採集してみようと思います。


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