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20倍対物で顕微鏡写真

今日は天気も悪いし、「廊下のむし探検」でもなかろうと、家でゴロゴロ。でも、午後から気を取り直して顕微鏡写真の練習をしてみました。



上の写真のように対物レンズの周りをトレーシングペーパーで囲い、周りからLEDランプを三方から照らして照明しています。試料をスライドグラスの上に直接置いて、通常は背景光がない状態で撮りますが、コントラストが強すぎるときは、透過照明用のライトを少しだけ入れて背景光として使っています。

今日は、先日手に入れた長作動の20倍の対物レンズを使って練習をしてみました。長作動なので、試料と対物鏡との間が5mmほど開いていて、照明には十分です。試しに先日捕獲したニセケバエを撮ってみました。このハエにはダニがいっぱいついていたのですが、そのダニも撮影対象にしました。



ニセケバエというのはこんなハエです。体長3.5mmほどの小さいハエですが、もっと小さなハエばかり調べていた私にとっては中型のハエになります。対物鏡20倍を使うので、部分しか写りませんが、ともかく写してみました。



これは頭の部分を後ろから写したものです。広い複眼と、大きな単眼が見えます。黒い部分はこのように結構うまく撮影できました。背景が暗いので、あまりコントラストがつかないのがよかったのかもしれません。



こちらは触角です。もしゃもしゃと毛がいっぱい生えていますね。



ニセケバエの体にはこんなダニがいっぱいついていました。ちょっと気持ち悪いですね。でも、もう死んでいるので大丈夫です。



これは別の部分についていたダニです。黒い部分に比べるとちょっとシャープさが足りない感じです。



これはダニ1匹を直接スライドグラスに載せて撮ったものです。もう少しシャープに撮れるとよいのですが、まぁ、最初だから仕方ないかな。
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実体顕微鏡写真が綺麗に撮れた

これまで実体顕微鏡や生物顕微鏡で写真を撮って、虫の同定に利用していたのですが、実体顕微鏡では鮮明な写真が撮れなくて弱っていました。でも、それがひょんなことから猛烈に綺麗に撮れることが分かりました。

一時は、実体顕微鏡の性能なので仕方がないのかなと諦めていたのですが、生物顕微鏡では倍率を変えるたびに対物鏡を変えていかなければいけないのですが、実体顕微鏡にはズームがついているため、連続的に変えられるので大変便利です。何とかならないかなとずっと思っていました。



これは昨日見つけたコバチの仲間です。体長は3.5mmくらいの小さなハチです。この写真は、実体顕微鏡をズーム最大の5.6倍にして、焦点位置を変えて40枚ほど撮影し、深度合成ソフトで合成したものです。照明には実体顕微鏡に付属しているLEDランプを使っています。上の写真の胸の部分を拡大してみると、



こんな感じになります。照明で光ってしまうせいか、コントラストが強すぎるせいなのか、とにかくはっきりしません。体の色が黒くて、光ってしまうときが特にうまくいきません。でも、以前はこんな写真でとりあえず検索に使っていました。それで、もう少し何とかならないかと前からいろいろとやっていました。今日は特に照明方法を変えて写り具合を調べてみました。

とりあえず、光を拡散させた方が良いだろうと思ってこんな風にしてみました。



中心に試料となる虫が置いてあります。その上に、トレーシングペーパーを折って、くるくる巻いたものをかぶせてみました。さらに、100円ショップで買ったLEDランプを3台用意して、3方向から照明してみました。これで拡散光にはなるだろうと思っていたのですが、思った以上に効果抜群でした。



これがその写真です。胸の部分を拡大してみます。



胸に網目のような模様があり、毛の生えている様子など、実に見事に表現出来ています。実体顕微鏡を実際に目で見た時もこんな感じで、遥かに細かいところまで見えるようになりました。単純なことなのですが、ちょっとした工夫でこんなにもよく見えるようになるのですね。

同じようなことを生物顕微鏡でもやってみたのですが、結構、うまくいきそうです。おそらくLEDの色だとは思うのですが、薄い青緑色になってしまうのが若干気になりますが・・・。でも、これからはこうやって撮影していこうかな。

生物顕微鏡で深度合成写真

前回、実体顕微鏡での撮影がシャープにならないという話をしたのですが、今日は生物顕微鏡を使って撮影をしてみました。これまでは主に対物レンズ10倍を使っていたのですが、今回は5倍と20倍も使ってみました。特に、20倍は今回が初めてです。

まず初めに、前回と同様、対物ミクロを撮影して、その画像からカメラの撮像素子のところで測った実倍率を計算し、対物ミクロの目盛線の幅から分解能を見積もってみました。



その結果を上の表と写真にまとめてあります。例えば、対物レンズ5xの場合は、カメラの撮像素子の位置で測った倍率(実倍率)は5.76倍で、また、目盛線の幅は撮像素子のところで5.4ピクセルになり、倍率から逆算すると3.2ミクロンになります。高倍率では目盛線の幅はほとんど1.2ミクロン近辺に落ち着くので、実際の幅は1.2ミクロン程度なのでしょう。従って、倍率が高くなると分解能は1ミクロン以下となり、十分な感じです。

対物レンズの倍率と実倍率はほとんど同じ値でした。表の一番下の欄に実体顕微鏡の場合も載せていますが、分解能としては一番悪いので、像がシャープにならなかったのは仕方がないことかもしれません。

体長5mmのクチブトゾウムシを使って、いろいろな倍率で撮影してみました。それぞれ、焦点位置を変えて30枚ほど撮影し、CombineZPという深度合成ソフトで合成しました。照明は、100円ショップで購入したLEDランプを、標本の高さ合わせに用いる平均台にビニルテープで固定して、斜めから照明しました。



これは5倍の対物レンズで、実倍率は5.76倍の時の画像です。



次に、10倍の対物レンズで、実倍率11.56倍での画像です。体を覆う鱗片に細かな構造があること、毛のように見えているものの先端は広がっていることなどが見え始めました。



そして、同じ場所で撮影した、実倍率20.66倍での画像です。全体に少し白けてしまいましたが、鱗片や毛にある筋模様がはっきり見えるようになりました。





同じ倍率で、そのほかの部分も撮影してみました。結構、うまく撮れます。

40xも試みたのですが、作動距離が小さいのと、焦点が合う深さが極端に狭くなり、このような立体的な構造をそのまま撮るのはうまくいきませんでした。とりあえず使うには20倍までが適当みたいです。生物顕微鏡というと、通常、切片を作って透過で見るイメージですが、こんな立体的な構造をそのまま見るというのも面白いですね。

実体顕微鏡での深度合成の試み

これまで、実体顕微鏡と生物顕微鏡を用いて、昆虫の微細な部分の深度合成写真を撮ってきたのですが、実体顕微鏡ではどうもシャープな画像が得られず、また、生物顕微鏡では照明が難しくて苦労していました。そこで、まず、なぜ実体顕微鏡でシャープな画像が得られないのか、その原因を調べてみました。

といっても、実は、いろいろとやってはみたのですが、あまりうまくいかなったという話です。



最初の写真はナミガタチビタマムシという小さなタマムシの仲間の頭の部分の写真です。両側に複眼があって、その間に横線の入った四角い部分があるのですが、これが頭盾です。この縦横比で種類を見分けます。

Aの写真は生物顕微鏡で対物レンズを10倍にして、焦点位置を変えながら撮影し、CombineZPというフリーの焦点合成ソフトで合成したものです。右側は実体顕微鏡でズーム最大倍率5.6倍で同じく撮影したものです。頭盾の部分を取り出したものを下に載せていますが、明らかにAの生物顕微鏡の方が鮮明です。倍率も撮影条件も違うので単純には比較できないのですが、実体顕微鏡撮影は一般に鮮明さにおいては劣っているようです。



そこで、鮮明さを定量化するために、以前用いていた対物ミクロメータを用いてみました。対物ミクロは上の写真のようです。中心に1mmを百等分した目盛が打ってあります。この対物ミクロを斜めにして試料台におきます。そうすると、焦点を合わさなくてもどこかの目盛で焦点が合いますし、また、焦点の合う範囲が求められます。上の写真はそうやって撮影したものですが、右端と左端のリングは焦点が合っていませんが、中心では合っていることが分かります。



この中心部分だけを拡大したものが、一番上の写真です。ただし、これはズーム最大の5.6倍を用いたときのものです。黒の四角で囲んだ部分をImageJというフリーソフトで解析しますと、黒い線は暗い部分、白い背景は明るい部分になるので、真ん中のグラフのように目盛線の部分だけが下に凸になったグラフができあがります。

このグラフを良く見ると、左側に裾を引いていることが分かります。これが鮮明さを劣化させる原因かもしれません。その原因を調べるため、画像をRGBに分解して調べてみました。上の3つのグラフがそれです。その結果、緑と赤は良好なのですが、青はどこにも焦点が合っていないことが分かります。一番右に数字の4の文字を示していますが、青はぼやけてしまっています。



グラフから目盛線の見かけの幅をピクセル単位で求め、対物ミクロの目盛の位置でプロットしたものが上の図です。赤と緑では中心付近で下に凸のグラフができますが、青でははっきりしません。このグラフから青を除いて考えれば、合焦範囲とこのシステムでの分解能が求められます。対物ミクロを斜めにしたときの角度を用いて、焦点が合っていると思われる範囲を求めると45ミクロンになりました。目盛線の実際の幅は1ミクロン程度なので、見かけの幅は倍率で割ると、ほぼそのまま空間分解能になり、この場合は約4ミクロンになりました。カメラをNIKON D90からD7100に変えても空間分解能自体は変化しないので、この分解能は実体顕微鏡の性能で決まる値ではないかと思います。

この結果から、青を入れないで撮影すれば鮮明に撮影できるかもという推測が立ちます。



そこで、実体顕微鏡の光源になっているLEDランプに緑色フィルターを入れて緑を強調した場合(B)と、黄色いセロファン紙を入れて青をカットした場合(C)について、同じような実験をしてみました。それが上の図です。入れない場合(A)に比べると、Bではやや改善し、Cでは相当改善していることが分かります。

ちょっと期待が持てたので、早速、撮影をしてみました。



対象としたのは、体長5mmのクチブトゾウムシの顔の部分で、実体顕微鏡のズーム5.6xで撮影したものです。撮影条件はNIKON D90のマニュアルモードで、シャッター速度はAが1/3秒、BとCが1/2秒で、それぞれ焦点位置を変え約30枚ほど撮影して、CombineZPで合成しています。

BとCでは若干鮮明になった気もしますが、全体としてはあまり変化はありません。Aの四角の部分を拡大したものを下に示しますが、鱗片や剛毛を見ると、Aではやや左側に裾を引くような画像を示し、BとCではそれが改善されていることが分かります。

確かに改善はしているのですが、思ったほど鮮明になったという印象ではありませんでした。また、何しろ、画像に色が着いてしまうのは致命的です。そう思って白黒にしてみると、明るさだけの情報になるので細かいところがはっきりしなくなり、かえって見にくくなります。やはり、分解能が高くないという実体顕微鏡の性能が原因なのでしょうか。もっと鮮明に撮るには生物顕微鏡での撮影を工夫した方がよいかもしれませんね。ちょっと悲観的な結論になりましたが・・・。

ミラーレス一眼で顕微鏡写真

これまで実体顕微鏡や生物顕微鏡写真は、NIKONの一眼レフD90を取り付けて撮影していました。最近、ミラーレス一眼が売りだされ、コンパクトで使いやすいというので試してみたくなりました。



この写真のようなデジスコ用の構成にしてみました。本体はNikon 1 V1です。中古でボディだけ購入しました。売り出し時に比べると、驚くほど安く手に入ります。これにデジスコ用に売りだされているNikon DSA-N1を購入し、これも、デジスコ用にと以前購入していたWIDE DSという接眼レンズに取り付けました。



取り付けるとこんな感じになります。残念ながら、これだけではどこにも焦点が合わないのでカメラにはなりません。



実体顕微鏡に取り付けると、こんな感じになりました。焦点が合う位置にカメラを置こうと、手元にあるいろいろなものを間に入れてみました。実体顕微鏡はオリンパス製のSZX7です。このカメラポートに以前紹介したNikon Fマウントアダプターを取り付け、さらに、中国製の接写リング「近摂接圏」を入れて、それに、上の組み合わせを差し込むとほぼ焦点が合いました。生物顕微鏡の方は「近摂接圏」を間に入れるだけで焦点が合いました。

カメラは差し込んだだけで固定はしていないのですが、リモコンを使ったエレクトロニックシャッターを使うと振動がないので、このままでも十分使えそうです。ピント合わせは基本的にマニュアルフォーカスですが、画像が拡大できるので、ファインダーを見ながらでも十分うまく合わせることができました。また、撮影モードもマニュアルの他、絞り優先(A)モードも選べるので、明るさの調節をしなくてよいだけ楽に撮影できます。



いつもの通り、対物ミクロを用いて分解能を調べてみました。実体顕微鏡のズームの最大倍率5.6xで撮影した画面が上の通りです(トリミングはしていません)。中央の目盛の部分を左上に拡大していますが、10ミクロン間隔の目盛がはっきり見えます。

Nikon 1 V1の撮像素子の大きさは13.2 x 8.8 mm^2で、これが3872 x 2592 pixel^2に当たるので、素子一つの大きさは13200/3872=3.4ミクロン/pixelであることが分かります。画像から目盛間隔の10ミクロンが16.7ピクセルに相当することが分かるので、これから、接写倍率を計算してみると16.7*3.4/10=5.68倍になります。ズーム倍率とほぼ同じなので、上の接眼レンズとDSA-N1の組み合わせは約1倍の撮影倍率に相当することが分かります。また、目盛間隔から目盛線幅を見積もってみると、2.8ミクロンになっていました。



対物ミクロを生物顕微鏡の40xの対物レンズで撮影したものが上の写真です(トリミングはしていません)。これから、接写倍率と目盛線の幅を出してみると、42.2倍、1.25ミクロンになりました。

実体顕微鏡でズーム倍率を変化させ、また、生物顕微鏡で対物レンズを変えながら測定した結果をグラフにまとめてみました。



横軸は10ミクロン目盛間隔をピクセル単位で書いたもので、ピクセルを実際の長さに変えると接写倍率にもなります。縦軸は目盛線の見かけの幅をピクセル単位で書いたものです。倍率が上がれば、目盛線の見かけの幅も比例して広がっていくので、この比例関係から目盛線の実幅がほぼ1.25ミクロンであることが分かります。

逆に、倍率が下がると目盛線の見かけの幅は比例せず、途中で一定値に落ち着くので、この値からカメラ(接眼レンズとDSA-N1の組み合わせを含めた)の空間分解能はほぼ4ピクセルであることが分かります。つまり、分解できる最小の大きさが4ピクセルということになります。この値から、生物顕微鏡で40xでは、(検出器としてのカメラの分解能として)原理的に4*3.4/42.2=0.32ミクロンまで分解できることになりますが、実際には回折効果があるので、そんなに細かいところまでは見えないでしょう。一方、実体顕微鏡のズーム最大(5.6x)では、4*3.4/5.68=2.7ミクロンが分解能の限界になります。

生物顕微鏡の10xの対物レンズを用いて、キモグリバエという体長約2mmのハエを深度合成を用いて写してみました。



顕微鏡の焦点位置を少しずつ変えながら、全部で41枚の写真を撮り、combineZPというフリーソフトで合成したものです。これだけ見ると何が何だか分かりませんが、同じ領域を実体顕微鏡で撮影したものが次の写真です。



この写真と比較すると、かなり細かいところまで写っている感じですが、全体に少し平坦な感じになっています。照明をリング照明にしたせいかもしれません。もう少し工夫が必要みたいですね。


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